私は、ご覧のサイト「JIM’S ATTIC」を運営していますが、サイト運営の一環としてYouTubeも2007年から利用しています。
いつものようにYouTubeを開き、「チャンネル」から「動画を管理」に移動すると、動画が著作権侵害による削除依頼を受けたためYouTubeから削除された、という趣旨の画面が開き、コンテンツにアクセスできない状態になっていました。
YouTubeを15年利用して初めてのことなので、何が何やら分からない状態であれこれと調べ始めたのですが、まずは「YouTube Copyright School」を受けないことには先に進めないようでした。
「YouTube Copyright School」は、以下の動画を見てから著作権に関する4問の質問に答え、すべて正解すると初めてコンテンツにアクセスできるようになるというものです。
4問の質問は、2択を中心に4択ぐらいまである選択肢の中から正解と思えるものを選ぶもので、4問全問正解するまで何度でもやり直すことができます。
YouTubeでは、「著作権侵害の警告に関する基礎知識」として、以下のように説明しています。
「著作権侵害の警告を受けた場合、著作権で保護されたコンテンツの使用について著作権所有者が正式かつ法的な削除依頼を提出したことを意味します。このような正式な通知があった場合、YouTubeは著作権法に従ってお客様の動画を削除します。
1つの動画に対して著作権侵害の警告が発せられるのは、一度に1回だけです。ただし、著作権侵害以外の理由でサイトから動画が削除される可能性もあります。また、Content IDの申し立てによって違反警告が出されることはありません」。
また、著作権侵害の警告を受けた場合の措置は、抜粋すると以下のようなものになります。
著作権侵害の警告を初めて受けた場合は、コピーライトスクールを受講しなければなりません。
著作権侵害の警告を3回受けた場合は、アカウントと関連付けられているチャンネルがすべて停止され、アカウントにアップロードされたすべての動画が削除され、新しいチャンネルを作成できません。
さらに、著作権侵害の警告を解除する方法は、以下の3通りあります。
1. 期限が切れるまで待つ: 著作権侵害の警告は90日で期限が切れます。初めての警告の場合は、コピーライトスクールを受講する必要があります。
2. 撤回してもらう: 著作権侵害を申し立てた人に、申し立てを撤回してもらうよう依頼できます。
3. 異議申し立て通知を提出する: 動画が誤って削除されたと思われる場合、またはフェアユースとして認められると思われる場合は、異議申し立て通知を提出できます。
さて、今回、著作権侵害による削除依頼を受けたのは「WATCH DOGS #27(Act 3: Hope is Sad Thing)」です。
この動画の0分01秒から1分58秒までが該当部分で、手動による検出で動画が削除されたようです。該当部分はいわゆるカットシーンのようなものが大部分でBGMはありません。
5年以上前に上げた動画が、今になってなぜ著作権侵害による削除依頼を受けたのか解せなかったのですが、申立人の名前が明記されているので見にいってみました。
申立人はロシア人でチャンネル登録者も4万7000人ほどいたので、それなりに人気があるようです。
申立人の名前に「GAME」と付いているのですが、サムネイルにゲームがあるのはかなり前の「GTA V」ぐらいで、それ以外のサムネイルは自分語りが映っているものが大半でした。
「WATCH DOGS」の動画は見当たらないし、ゲーム自体を前面に押し出しているような様子もありません。
ひょっとしたらカットシーンの声優かとも思ったのですが、それにしてもUBI SOFTを差し置いて声優から著作権侵害による削除依頼が来るとも考えられません。
そこで思いついたのが、YouTubeは著作権侵害に関するパトロールをAIが行っており、著作権を侵害している動画を発見した場合、著作権者に報告が行くらしいということです。
その報告を受けた著作権者は著作権侵害による削除依頼を提出することができ、YouTubeはそれを受けて動画を削除したというわけです。
しかし、ここに問題があり、AIが誤認著作権侵害で著作権者に報告し、報告を受けた著作権者は確認もせずに著作権侵害による削除依頼を提出する場合があるということです。
件の著作権者は、チャンネル登録者が4万7000人ほどいる人気YouTuberのため、そうした報告も多く、確認もせずに著作権侵害による削除依頼を提出した可能性が高そうです。
著作権侵害の警告を解除する方法は前述の3通りあるのですが、「期限が切れるまで待つ」は受け入れがたいものがあります。
毎日のようにYouTubeに投稿していて、潔白である可能性が高いのに、著作権侵害を認めたままで90日間過ごさなければならないからです。
そのため、まずは「撤回してもらう」方法を試してみることにしました。著作権侵害による削除依頼を受けた場合、申立人のメールアドレスも明示されているため、直接メールを送って著作権侵害による削除依頼を撤回してもらうことができるのです。
送ったのは、以下のようなメールです。
「Nice to meet you.
My name is JIM KANOH and I received a request from you to remove a YouTube video due to copyright infringement.
The video is “WATCH DOGS #27(Act 3: Hope is Sad Thing)”.
This video is my play video and is not a copy of anyone else’s video.
I checked your video and found that you have not uploaded video of “Watch Dogs”.
Therefore, my video should not infringe your copyright.
As such, I would like to ask you to withdraw the copyright infringement claim against this video.
Thank you in advance.」。
このメールは、著作権侵害による削除依頼を受けたためYouTubeから削除された、という趣旨の画面を見た当日2022年10月21日13時に送ったのですが、返信が来るとか、削除依頼が撤回されるということはありませんでした。
そこで、全く同じメールを翌22日9時にも送ったのですが、やはり、返信が来るとか、削除依頼が撤回されるということはありませんでした。
日本からのメールが迷惑メールとして処理されているか、ロシア語以外のメールは無視しているか、撤回要望のメールは読む気すらないか、いずれかのようです。
そこで、さらに翌日の23日に「異議申し立て通知を提出する」ことにしました。これは、YouTubeに直接提出するもので、異議申し立て通知の内容と対象動画のURLとともに、本名、住所、メールアドレス、電話番号を添える必要があります。
申し立て通知の内容は以下のようなもので、「撤回してもらう」とほぼ同じです。
「The video is “WATCH DOGS #27(Act 3: Hope is Sad Thing)”. This video is my play video and is not a copy of anyone else’s video. Also, the part you pointed out is a so-called cut scene, and the video will be the same no matter who plays it. I checked your video and found that you have not uploaded video of “Watch Dogs”. Therefore, my video should not infringe your copyright. As such, I would like to ask you to withdraw the copyright infringement claim against this video.」。
すると、さらに翌24日19時15分にYouTube Copyrightから初めてメールが届きました。抜粋すると以下の通りです。
「受領した異議申し立て通知は、著作権侵害による削除通知を提出した申立人に転送されました。
異議申し立て通知が申立人に送信されると、申立人はこの日から10営業日以内に回答する必要があります。問題のコンテンツがYouTubeに復元されるのを防ぐには、あなたに対して法的措置を講じたという証拠を申立人が提出する必要があります。申立人が講じるべき法的措置について詳しくは、ヘルプセンターをご覧ください。
10営業日以内に申立人から回答がない場合、問題のコンテンツはYouTubeに復元されます。また、チャンネルに出されていた警告も解除されます」。
何ら動きがない日々が続き、申立人が放置プレイしそうな気配が漂ってきました。そして、11月7日20時15分にYouTube Copyrightから以下のようなメールが届きました。
「デジタルミレニアム著作権法に従って、異議申し立て通知の処理を完了したことをお知らせいたします。
次の動画は復元されました(お客様ご自身で削除した場合を除きます)。
http://www.youtube.com/watch?v=t3Yaw1vsDxo
– YouTubeチーム」。
これにより、著作権侵害の疑惑も晴れて汚名返上・名誉回復がなされ、動画も無事に復元されました。
それでも、誤認著作権侵害により当日はあれこれ調べて半日がつぶれ、その後も「撤回してもらう」メールを2度にわたって送信し、「異議申し立て通知を提出する」し、結果が出るまで約2週間待つという羽目に陥り、大変な思いをしました。
YouTubeを利用している人なら誰でも、ある日突然、このようなケースに遭遇する可能性があります。そうなった場合、本当に著作権を侵害していないか判断した上で、慎重に対処してほしいと思います。
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