「PowerA Enhanced Wired Controller」スティックのドリフト解消法

PowerAの「PowerA Enhanced Wired Controller – Team Kitty」は、とても使い勝手が良く「Xbox Series X」では純正コントローラーを使わずに、このコントローラーばかり使っています。
送料込みでも5000円ぐらいで買えるのに、カラーが豊富でお気に入りのカラーを見つけやすいし、ホールド感やボタンの押し心地などは純正コントローラーに遜色ありません。
最大の魅力は、アドバンストゲーミングボタン(マッパブルボタン)で、この2個のボタンにA/B/X/Y/LB/RB/LT/RT/左スティック押し込み/右スティック押し込み/方向パッドのいずれかを割り振れます。

「ASSASSIN’S CREED」シリーズや「TOMB RAIDER」シリーズなどで、左スティックでキャラクターを操作しながら左スティックを押し込んでダッシュするという面倒な操作から解放されます。
そんな素晴らしいコントローラーなのですが、ここ数日、左スティックがドリフトを起こすようになってしまいました。何もしていないのに、キャラクターが左に進んでいってしまうのです。
これは純性コントローラーでも起こる現象で、私は「Xbox Oneアナログスティックセンサーモジュール」を購入して、はんだ付けするなどして修理しています。

ただ、「PowerA Enhanced Wired Controller – Team Kitty」の場合は、左スティックをぐりぐりと回転させると、ドリフトはしばらくは収まっているため、基盤やモジュールが故障しているということはなさそうです。
おそらく、基盤やモジュールなどに汚れが付着して悪さをしていて、左スティックをぐりぐりと回転させることで一時的に症状が改善されていると考えられました。
そこで、コントローラーを分解して、その汚れを取ることにしました。必要になるのは、以下のものです。

精密ドライバー +0: コントローラーのカバーを開けるのと、基盤を外すのに使います。
精密ドライバー -: モジュールのカバーをこじ開けるのに使うので、先が細ければ型番は問わず、腕時計の裏蓋オープナー(こじ開け用)などでも構いません。
ピンセット: モジュールの中にあるリングを取り出したり、中にはめたりするのに使います。
ガソリンタンク水抜き剤: 基盤やモジュールの洗浄に使います。IPA純度100%(「リンレイ 水ぬき一発!」など)が理想で、高くても構わないなら専用品を使う手もあります。
綿棒: 100円ショップやドラッグストアなどで販売されているもので構いません。
電気スタンド: 細かい作業を行うために使いますが、自然光や蛍光灯で十分に明るければ不要です。

手順1
コントローラーを裏返し、中央4ヵ所、左右両端4ヵ所、のネジを精密ドライバー +0で緩めて外していきます。左右両端4ヵ所はネジが奥まったところに入っているので、ドライバーとネジの溝をしっかりと組み合わせてから回していきます。
コントローラーの裏蓋は、ネジだけで表側と組み合わされており、純正コントローラーのように力を入れて引きはがす必要はありません。ネジが外れれば、あっさりと裏蓋を外すことができます。
アドバンストゲーミングボタン(マッパブルボタン)は、裏蓋で押さえてあるため、裏蓋を外すと同時に外れます。

手順2
基盤は、コントローラー表側に左右の2ヵ所のネジで固定されています。左右のトリガーの根元内側に見えるネジがそうです。このネジ2個を外すと、基盤をコントローラー表側から外すことができます。
ただし、デュアルランブルモーターのコードが基盤とつながっているため、基盤を強く引っ張らないようにします。
また、コントローラー表側を上向きにすると、各種ボタンが外れて落ちてきます。ボタンは爪で向きが分かるようになっているし、見れば分かるので、同時に外しておいた方が作業が楽です。
この段階で、基盤の写真側をガソリンタンク水抜き剤を浸した綿棒で清掃しておいてもいいし、後でまとめて清掃してもいいでしょう。

手順3
基盤とデュアルランブルモーターをつなぐコードをはがさないように、基盤をくるっと回転させてスティック側を上に向けます。
元に戻すのは、基盤をくるっと回転させて乗せるのですが、ピタッとはまるため、さほど難しくはありません。

手順4
左右のスティックを引っ張って外します。スティックは簡単に外すことができますが、スティックはモジュールの長方形のシャフトにはめてあるため、はめる際には向きに注意するようにします。
これで、基盤のモジュール内部も見えるようになったため、基盤の白く汚れているところと、モジュールの内部をできる範囲で、ガソリンタンク水抜き剤を浸した綿棒で清掃します。
モジュール内部に関しては、ガソリンタンク水抜き剤を多めに使うとともに、内部に行き渡るようにシャフトをぐるぐると回転させます。
このようにして基盤の白いところがきれいになっていくのが実感できると思いますが、ガソリンタンク水抜き剤が乾くと、また少し白くなることがあるので、繰り返し清掃したり、乾いた綿棒で拭き取ったりします。
また、綿棒は毛羽立ってくるため、早めに交換したり、ピンセットで毛を取っておきます。

さて、私は、ここまでで清掃作業を終えて、逆の手順でコントローラーを組み立てたのですが、いざ試してみると、なんと今度は右スティックがドリフトするようになってしまいました。視点が勝手に左を向くのです。
基盤やモジュールを壊するような清掃の仕方はしていないので、考えられることとしては、清掃したことでたまっていた汚れが広げられ、ドリフトを起こすようになってしまったのではないかということです。
そこで、再度、コントローラーを分解して、より深く清掃することにしました。手順1から4に加えて、手順5を行ったのです。

手順5
基盤に取り付けられたモジュールの2辺にオレンジのカバーがはめられているのが分かるかと思います。
このカバーの中にはリングが入っていて、片方のリングはX軸を、もう片方のリングはY軸を、それぞれ制御する役割を担っています。
オレンジのカバーを外すことで、これらのリングを取り出せるようになります。オレンジのカバーには、それとなく隙間があり、精密ドライバーのマイナスなど先が細いものを差し込めば、写真のように斜めに開けることができます。
このカバーを指で広げつつ、ピンセットでリングをつかむと引っ張り出すことができます。リングはシャフト端に引っかかっているので、無理には引っ張らないようにします。
取り出したリングの両面をガソリンタンク水抜き剤を浸した綿棒で清掃するとともに、オレンジのキャップの内側も念入りに清掃します。
リングを戻す時は、ワイヤーがU字型に出っ張っているところを真上側でオレンジのカバー側にして、ピンセットで微調整します。正しい位置に戻せていれば、リングをオレンジのカバーにカチッとはめ込むことができます。

作業が終わったら、逆の手順でコントローラーを組み立ててテストします。今回は、より深く清掃したことが奏功したのか、左右のスティックともにドリフトを起こすことなく何時間も使えています。
難易度が低く、慣れれば何のこともない作業で、デザインも使い勝手もいいコントローラーが復活したのですから、ガソリンタンク水抜き剤を取り寄せて清掃して良かったです。
PowerAのコントローラーでスティックのドリフトが起こってしまったという人は、機種を問わず基盤やモジュールをこのような方法で清掃してみるといいと思います。

コメント

  1. あああ より:

    コメント失礼します。最近私もドリフト現象が気になる事があり、この記事を参考にしてpower Aを分解して掃除をしました。改善される事がなく、ジョイスティックの交換を考えていますが、他のコントローラーとは違うものなのでしょうか。Amazonで確認したものとpower Aでは多少違いがあり、大きさや形は別物でしょうか。知識が浅く申し訳ございません。

    • JIM KANOH より:

      コメントありがとうございます。
      私は、純正のセンサーは交換したことがあるのですが、PowerAのセンサーは交換したことがないため正確なことは分からないんです。
      ただ、AliExpressで見てみるとハード別に9タイプのセンサーを扱っているショップがあり、その中から似通った形状のセンサーを買う手はあるのかなと思います。
      「ChengHaoRan Store Analog Sensor Repair Parts」で検索すると、2ページ目に出てくるはずです。もちろん、良さそうなショップがあれば、他のショップでも構いません。
      的確な回答ができず申し訳ないのですが、何かの参考になれば幸いです。

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