
「ROUTINE」は、1980年代の未来観に基く月面基地の廃墟を舞台にした、1人称視点のSFホラーアクションアドベンチャーゲームです。
プレイヤーは、基地内を調査して重要な情報を集め、自らが到着する前にここで何が起きたのかを解明します。
本作には、場所名を伝えるマーカーはなく、ゲーム体験のひとつとしてプレイヤー自身で経路を探すことになります。
それを手助けしてくれるのが、「コスモノート支援ツール」(Cosmonaut Assistance Tool)、通称「C.A.T.」です。「C.A.T.」は、メイン端末へのアクセスや、周囲の探索、手がかりの特定などに活用できます。
月面基地にはプレイヤーを「脅威」と認識する未知の脅威がいますが、それを倒すことはできず基本的には逃げたり隠れたりするだけです。
月面基地が静寂に包まれた時、好奇心から始まった探索は命懸けのサバイバルとなり、答えを探し求める中で迫り来るのは徐々に明らかになる真相と深まっていく謎。残された術は、ただ前に進むことのみです。

「ROUTINE」は、2011年9月に設立されたLunar Softwareのデビュー作として2012年8月に発表され、2013年春にリリースされる予定でした。
Lunar Softwareは、アーティスト&デザイナーのアーロン・フォスター、同じくアーティスト&デザイナーのジェマ・ヒューズ、プログラマー&デザイナーのピーター・ディスラーにより、ランカシャー州プレストンから始まります。
アーロン・フォスターは、セントラルランカシャー大学でゲームデザインの学士号を取得、ジェマ・ヒューズとも出会います。ピーター・ディスラーとは、サイト「Mod DB」を通じて知り合います。
アーロン・フォスターは、ゲーム開発に当たっては、彼が子供時代に情熱を傾けたSF、ホラー、月を融合させたいという願望を持っていました。
「ROUTINE」の舞台が月になっているのはそれだけでなく、地球からの距離感、孤独な雰囲気、ゲーム内の敵の存在も関係しています。
また、映画「2001年宇宙の旅」(1968年)、「アンドロメダ・・・」(1971年)、「サイレント・ランニング」(1972年)、「エイリアン」(1979年)、「遊星からの物体X」(1982年)にも影響を受けています。

「ROUTINE」のプロジェクトは、チームの個人資産でまかなうという非常に限られた予算で生き延びねばならず、開発の終わりが近づくにつれて満足できない点が次々と見つかり、現状のままではリリースできないと開発は一時停止されます。
彼らは、それに対し、どう対処すればいいのか、どう直せばいいのか、解決策は見い出せないまま時は流れます。
しかし、Raw Furyと連絡が取れたことで、これまで苦労していたすべての分野でサポートしてくれるパートナーが見つかります。
Raw Furyは、スウェーデンのストックホルムに拠点を置く、インディーズゲーム専門のパブリッシャーです。2015年4月に「(アン)パブリッシャー」として設立されます。
自らを「(アン)パブリッシャー」と呼ぶのは、「時には、やり直す前に、まず元に戻す必要がある。ゲーム公開に関しては、私たちはそう考えている」という思想からです。
チームは、このパートナーを得て、Unreal Engine 3で開発を始めたものがUnreal Engine 5に移行し、ストーリー、ゲームプレイ、アートデザインなどすべてを全面的に見直しました。
「ROUTINE」は、こうして2025年12月4日にWindows、Xbox One、Xbox Series X|S向けにリリースされ、「Xbox Game Pass」にも対応しています。

物語の舞台は、前述したように、1980年代の未来観に基く月面基地の廃墟。月面基地と言っても、実際は月面にある観光リゾートの「ユニオンプラザ」が舞台になっています。
月面の観光リゾートというだけに、広場やスーベニアショップ、最先端エレクトロニクスショップ、ビデオショップ、アーケードゲームといった観光客向けの施設があります。
また、広大な敷地を有しており、エスカレーターやエレベーター、トラムといった移動手段もあり、従業員向けの居住エリアも用意されています。
プレイに当たっても、これらの施設をエスカレーターやエレベーター、トラムを利用して行き来することになるのですが、これでも基地の規模は開発段階で半減されています。各エリアの独自性と簡潔性を追求したからです。
さらに、月面基地ならではの研究施設も備わっており、このきな臭さが月面基地が廃墟となった理由を探っていく上でのキーポイントになります。
ゲームをプレイしていく中で、各エリアの独自性と簡潔性こそ体感できるのですが、マップも場所名を伝えるマーカーもないため、往々にして道に迷うことがあります。
観光リゾートで多くの従業員も働く施設であることから、施設内にマップや案内標識があるのは当然であり、施設内にこうしたガイダンスがあり、ポーズメニューでマップと現在地は表示されるようにすべきだったとは思います。

月面基地の廃墟が舞台であるため、登場人物はプレイヤーだけになります。プレイヤーは、月面の観光リゾートという広大な敷地内をマップも場所名を伝えるマーカーもない中、手探りで移動しながら答えを探し求めなければなりません。
1980年代の未来観に基く月面基地の廃墟は、アートデザインやUnreal Engine 5によるグラフィックパワーにより、アーロン・フォスターの思惑通り見事なまでに描かれています。
また、登場人物自体はプレイヤーだけになるのですが、居住区の資料や端末から得られる情報により、そこで生活した人たちの息吹は感じることができます。
プレイヤーは、電子メールや日記を読むことで、月面基地の様子やそこでの人たちの暮らしぶりにより深くふれられるようになっているわけです。
そして、メディアも含めて、これらの情報を得れば得るほど、月面基地が廃墟化した理由に近づいていくことになります。
ゲームを進める上で重要になる情報や次にやるべきことは、ポーズメニューから見ることはできないのですが、各エリアに用意されたワイヤレスアクセスポイントで確認することはできます。
この点に関しても、ワイヤレスアクセスポイントに行けば見られるのであれば、ポーズメニューで見られるようになっていても良かったかなと思います。

操作性は、通常のコントローラーでは今ひとつという声もありますが、そういった声を最初に目にしていたからか、そこまではひどくなかったという印象です。
ゲーム全体の雰囲気として「ALIEN: ISOLATION」をイメージすればいいかと思うのですが、それに比べてもうひと頑張りと思うところは、端末で電子メールや日記をスクロールする際の操作です。
このゲームの不思議な操作体系として、右スティックで視線自体を動かし、Xボタンでクリックしたまま、右スティックで画面をスクロールしなければなりません。
通常は、Xボタンでクリックしたとしても左スティックでスクロールするのですが、本作ではそうした操作体系になっていないのです。
そのため、Xボタンを左手の指で抑えつつ、右手の親指で右スティックを上下させるという操作が要求されます。
ワイヤレスアクセスポイントも、右スティックで見たいものに合わせる必要があるため、視点自体をX字状に動かさなければなりません。
本作で大活躍する「C.A.T.」は、ストーリーが進むにつれてできることが増えていくのですが、これも「C.A.T.」を出してボタンを押すためには、右スティックで視点を動かしてカーソルをボタンに合わせる必要があります。
今は、どのボタンを押すのかとか、どのモジュールを使うのかとか、分かりづらいところもあり、操作性とは別の部分でも少し迷うことがありました。

孤独な基地内で襲ってくる敵から逃げる隠れるという要素は「ALIEN: ISOLATION」と同じですが、本作ではロボットのタイプ05と生命体のエンティティAが登場します。
いずれも倒すことはできず、タイプ05は複数回攻撃されるとゲームオーバーになり、エンティティAは見つかれば逃げることもかなわず即死になります。
そうした意味で、敵に対する恐怖心は「ALIEN: ISOLATION」以上にもなります。いずれも足音やうめき声でその所在を知ることはできるのですが、エンティティAは通常は「C.A.T.」を通してしか姿を見ることができません。
こうした敵の存在が、基地内を探索するだけのSFアドベンチャーゲームではなく、SFホラーアクションアドベンチャーゲームたらしめる要因になります。
1980年代の未来観に基く月面基地の廃墟を探索していくだけでも楽しいのは確かですが、こうした敵の要素を絡めることで恐怖心が増したり、行動を急かされたりするのは確かで、ゲームの緊迫感を醸し出す要素になっています。
実際のところ、タイプ05とエンティティAが姿を現すことで、ひとつひとつの行動が慎重かつ迅速になるため、ゲームにメリハリが出ています。

このように本作は、アーロン・フォスターが意図したSF、ホラー、月を融合させたものに仕上がるとともに、映画「2001年宇宙の旅」、「アンドロメダ・・・」、「サイレント・ランニング」、「エイリアン」、「遊星からの物体X」のエッセンスがそこかしこに盛り込まれたものになっています。
これらの点を踏まえた上で本作をプレイすれば、なるほどと思いながらプレイできることでしょう。
そして、私も、プレイする前は賛否両論あるレビューを目にしていたことから、かなり身構えてプレイし始めたのですが、若干の操作性の問題点を別にすれば、スンナリとゲームに入り込むことができました。
賛否両論あるレビューに比べると評判よりもオーソドックスなSFホラーアクションアドベンチャーゲームであり、特に「ALIEN: ISOLATION」が楽しかったという人なら思った以上に受け入れられるのではないでしょうか。
また、映画「2001年宇宙の旅」、「アンドロメダ・・・」、「サイレント・ランニング」、「エイリアン」、「遊星からの物体X」のいずれかを見たり面白かったという人も、「ROUTINE」の世界観に入っていきやすいはずです。
このあたりのゲームや映画が良かったという人はもちろんのこと、SFホラーアクションアドベンチャーゲーム好きの人も、本作をプレイする価値は十分にあります。

【ウォークスルーインデックス】
#1(チャプター01 誕生 1)
#2(チャプター01 誕生 2)
#3(チャプター02 切断)
#4(チャプター03 再現)
#5(チャプター04 漂流 1)
#6(チャプター04 漂流 2)
#7(チャプター05 忍耐)
#8(チャプター06 遺業)
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