「ARAGAMI 2」レビュー&ウォークスルーインデックス

「ARAGAMI 2」は、2016年に発売され2018年には「ARAGAMI: SHADOW EDITION」としてもリリースされた「ARAGAMI」の100年後の世界を描いたサードパーソンステルスアクションアドベンチャーゲームです。
プレイヤーは、アラガミ一族最後の精鋭戦士の1人・アラガミとなって影の一党に加わり、羅生門谷にまつわる任務や依頼を遂行して侵略軍と戦います。
アラガミは、肉体を蝕んで精神を食い荒らす超常的な苦痛に苛まれており、人知を超えた能力である影を操る力を持ちます。
アラガミは、武器や鎧を製造して攻撃や防御力を増強したり、様々な能力や影の力をアンロックして新たな忍術を使えるようにしたりすることができ、 敵をステルスキルすることも殺さずに倒すことも容易に行えるようになります。
ゲーム全体が持つ雰囲気や任務の進め方はステルスアクションゲームの傑作「天誅」シリーズに似通っており、「天誅」シリーズが好きな人はもちろんのこと良質なステルスアクションゲームを楽しみたいという人は、ぜひともプレイしてほしいタイトルです。
本作をリリースするLINCE WORKSは、スペインのバルセロナで2014年に誕生したインディースタジオで、忍者とステルスゲームに情熱を注いでおり、「ARAGAMI」シリーズ2作品をリリースしています。
誕生してまだ10年にもならない若いスタジオで、リリースしたタイトルがわずか2本であるにもかかわらず、「ARAGAMI 2」は大手スタジオのフルプライスのゲームにも引けを取らない完成度の高さを誇り、本家の「天誅」シリーズに勝るとも劣らないほどです。

ボリューム的には全9章51任務もあり、マップも独高の山、遠くの田舎、山城、赤土の巨大鉱山、人里離れた村、赤土の首都、大忌像鉱山、荒廃した村、壊滅された村、大赤土坑道、隔離された村、赤土の宮殿、辺境の地、記憶の森、高地の城、とバラエティに富んだものが用意されています。
マップ名は、途中から呼び名が変わるものやマップの一部を切り取ったものなどもあるのですが、同じマップでも前回行けなかったところが次の任務では行けるようになったり、同じマップの別の場所が使われたりと、同名のマップでも新鮮な感覚でプレイできるような仕組みが施されています。
私も、新たな任務で同名のマップをプレイする際に、前回は行けなかったところが行けるようになったり、マップが拡張されていたりするのが楽しくて、ワクワクしながらプレイしていたものです。
また、マップによって、山や川や谷があったり、素朴な田舎の村だったり、城下町だったり、城や宮殿があったりして、武家社会の様々な風景を楽しむこともできます。
LINCE WORKSが忍者に情熱を注いでいるだけに、忍者が活躍した武家社会に対する時代考証がなされており、民家や屋敷の佇まいや家具・調度品などにその暮らしぶりを垣間見ることができます。
多くの町や村が赤土や赫灼といった時の権力者に蹂躙され支配されており、彼らの手下がその中を見張っているため、町民や村民、商人などの姿はあまり見られません。
それでも、窓や戸を閉ざしながらも明かりが灯った民家があったり、難民があばら家に隠れていたり、民兵組織が作られていたりと、町民や村民はひっそりと暮らしながらも反撃の機会をうかがっています。影の一党がそれを手助けするというわけです。

グラフィック面は、4K Ultra HDに対応しており、それなりに美しいグラフィックを楽しむことができます。民家や屋敷や城などの建造物はしっかりと描かれていますが、水面の表現は滝も川もベタッとしており流麗さは感じられません。
キャラクターのグラフィックも、キャラクター全体のプロポーションやモーションは問題ないものの、顔は立体感には少し欠け表情も豊かではありません。
このあたりはインディースタジオらしいところで、大手スタジオの平均的なグラフィックレベルには達していません。
もっとも、ステルスアクションゲームとしては、敵の動きや敵の警戒レベルはしっかりと把握できるようになっており、このあたりはプレイを進める上で役立ちます。
サウンド面は、立体音響とDolby Atomsに対応しており、こちらもステルスアクションゲームとして助かることでしょう。
登場人物のセリフは、フルボイスというわけでもなく、セリフの一部だけボイスが当てられています。登場人物が何語を話しているのか分からないのですが、一部は明らかに日本語になっており、日本語から派生した影の一党語なのかもしれません。
もちろん、日本語字幕には対応しており、ゲームの流れをしっかりと追うことが可能で、任務の内容も日本語で問題なく把握できます。

肝心のゲームプレイは、ステルスアクションアドベンチャーゲームらしく、ステルスアクションの醍醐味を堪能できます。
敵は効率的に配置されており、巡回する敵、直立して動かない敵、火玉を投げる火炎師がゲーム序盤から登場します。
プレイヤーは、それらの敵の動きや向きを把握し、敵に見つからないように背後から近づいたり、窓や柵や木箱の陰に隠れたり、上から飛び下りたりして敵を倒していきます。
この際、敵を気絶させることも殺すことも可能なのですが、ステルスアクションゲームだけに敵を殺さずに気絶させることでゲームをより楽しめるのではないかと思います。
また、気絶させたり殺したりした敵はその場から素早く移動させないと他の敵に見つかってしまうため、事前にそれらの敵を隠す場所を見つけておく必要もあります。
ゲームの早い段階で囁音をアンロックできるようになり、近くにいる敵をおびき寄せて倒すことができるようになります。そのことで敵を倒す自由度が高まり、ゲームに広がりが出てきます。
また、中盤からは、シャドープルやシャドーキルをアンロックしたり、くないを購入したりできるようになるため、さらに自由度が高まり、難易度が次第に増していく任務に柔軟に対応できるようになります。
敵も、透明な敵や死人燥者が登場したりして、より注意深く行動したり敵を倒したりする必要に迫られるため、ワンパターンの敵の倒し方が通用しなくなってきます。そのあたりもプレイヤーを飽きさせない工夫が感じられます。

任務48の通常プレイ。クリアまでに20分近くかかっています。

マップは、山や川や谷があったり、素朴な田舎の村だったり、城下町だったり、城や宮殿があったりするわけですが、それぞれの地形に高低差があり屋敷や城が複雑な構造になっていたりします。
そのため、プレイヤーは、草むらや物陰に隠れながら敵の行動を把握して倒し、ダブルジャンプやBボタンによるダッシュやシャドーリープを使いながらマップ内を縦横無尽に移動して目的に向かっていかなければなりません。
どの順番に敵を倒すか、または倒さないか、どういったルートで移動するかを常に考えながら行動しなければならないわけで、そこにステルスアクションゲームの醍醐味が感じられるというわけです。
マップをある程度把握したり移動の仕方に慣れてきたりすると、マップによっては敵はほとんど倒さずに屋根の上や鳥居の上や柱の上などをダブルジャンプやBボタンによるダッシュやシャドーリープを使って移動することも可能になります。そのルートを探すのも楽しみのひとつです。
もっとも、それぞれのマップにはお宝が隠されていたり、あちこちにお金が置かれているため、最初はそれらを集めるために地道に敵を倒しながら進んでいくことになるでしょう。
そのため、マップごとにかかる時間には幅があり、10分かからずにクリアできることもあれば1時間以上かかることもあります。任務中にセーブはできず2度死んだら任務失敗になるため、慎重にプレイを進める必要もあります。
本作には「協力モード」が用意されており、最大3人までプレイすることが可能です。協力モードでは、こうした本来のステルス要素だけでなく豪快なアクションも楽しめます。
ただ、豪快なアクションを楽しんでしまうとゲーム側で用意された緻密なステルス要素は損なわれてしまうため、最初から「協力モード」に挑むよりはコツコツと地道に進めていくのがお勧めです。
物語としても大きな流れがあってカットシーンも任務終わりに用意されており、それらを追っていくことがゲームをより深く楽しむことにもなるのです。

任務48のスピードラン。クリアまでの時間は1分43秒です。

なお、本作には、プレイヤーがどこかに引っかかったり、あるべきものがなかったりするようなバグがわずかながらあり、私もプレイし直したことがあります。
それでも、LINCE WORKSは地道にパッチを当てており、そうしたバグは少しずつ直されています。
また、「クラシックモード」が発売からほぼ半年後となる2022年3月22日に追加されており、前作「ARAGAMI: SHADOW EDITION」からヒントを得て以下のような変更が加えられています。
操作性は、シャドーリープは空中だけでなく地上のあらゆる影に対して行うことができ、逆に空中でダッシュできないようになります。
ステルスは、物陰に留まることで通常よりもステルス性が向上します。
スタミナ回復は、明るいところではスタミナの回復が遅くなり、暗いところでは早く回復します。
ダメージ量は、敵の攻撃から受けるダメージが大きくなります。
私も少し試してみましたが、空中でダッシュできなくなったことが大きく、これまでのダブルジャンプからBボタンで飛び移れたところに飛び移れないようになったため、移動ルートを変える必要に迫られました。
私は前作は未プレイなのですが、前作経験者で前作の移動方法の方が良かったという人にとっては、「クラシックモード」の追加は歓迎したいところなのではないでしょうか。
このように、本作はステルスアクションゲームとして素晴らしいゲームに仕上がっているため、「天誅」シリーズが好きな人ならプレイすべきですし、そうでなくても良質なステルスアクションゲームがプレイしたい人ならぜひプレイしてほしいタイトルです。
個人的にも次回作をとても楽しみにしており、開発中とされるトップシークレットのゲームが忍者ものなのか、ステルスアクションゲームなのか、気になるところです。

【ウォークスルーインデックス】
序章

第1章: 蘇りし者
任務1: 古い絵巻
任務2: 物資を確保せよ
任務3: 谷からの伝言
任務4: 敵に接触せよ
任務5: 民兵組織を支援せよ1
任務6: 夜の嘆き

第2章: 巫女
任務7: 鉱山に潜入せよ
任務8: 菫を捕えていた者
任務9: 謎の依頼
任務10: 謎の暗殺依頼
任務11: 赤土の戦略情報
任務12: 赤土からの救助要請

第3章: 残火
任務13: 民兵組織を支援せよ2
任務14: 敵陣を撃破せよ
任務15: 赤土の書庫
任務16: 聖なる炎の蒸留器
任務17: 灰の花
任務18: 民兵組織を支援せよ3
任務19: 赤土の画家
任務20: 大忌像鉱山の秘密

第4章: 炎上
任務21: 救助
任務22: 赫灼の計画
任務23: 弔い
任務24: アラガミの魂1
任務25: アラガミの魂2
任務26: アラガミの魂3

第5章: 家族
任務27: 家族1
任務28: 家族2
任務29: 家族3
任務30: 家族4
任務31: 家族5
任務32: 守りの儀1
任務33: 守りの儀2

第6章: 策略
任務34: 民兵組織を支援せよ4
任務35: 赤土を襲撃せよ
任務36: 赫灼を妨害せよ
任務37: 赫灼から強奪せよ
任務38: 赤土を妨害せよ
任務39: 赤土を襲撃せよ2
任務40: 単純明快な任務

第7章: 陰謀
任務41: 民を守れ1
任務42: 民を守れ2
任務43: 民を守れ3
任務44: 民を守れ4
任務45: 手掛かりを見つける

第8章: 絆
任務46: 回想
任務47: 赤土の神器
任務48: 赤依との同盟
任務49: 信勝との同盟

第9章: 終局
任務50: 最終決戦への準備
任務51: 無頼

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