「LOST RECORDS: BLOOM & RAGE」レビュー&ウォークスルーインデックス

「LOST RECORDS: BLOOM & RAGE」は、「LIFE IS STRANGE 1&2」、「TELL ME WHY」などでおなじみのDON’T NODによるナラティブアドベンチャーゲームです。
物語の舞台はミシガン州の密集した森林と静かな湖の間に位置する小さな町ベルベットコーブで、4人の女子高生が友情を育み、パンクバンドを組み、人生を永遠に変える謎めいた出来事を通じて絆を築いていきます。
プレイヤーはその1人であるスワンとなり、ノーラ、オータム、キャットと友情を育みながら、1995年と2022年の二重のタイムラインを行き来し、人生を一変させた青春時代の秘密、そして、誰が、あるいは何が、彼女らを再び集めたのかを解き明かしていきます。
キーとなるのはビデオカメラ。ビデオカメラを手に取り、ベルベットコーブを撮影しながら、人々や場所、豊かな自然の本質を記録。ただ楽しく撮影することも、隠された暗い秘密を探り出すことも可能です。

「LOST RECORDS: BLOOM & RAGE」は、前述したとおりDON’T NODによるナラティブアドベンチャーゲームで、DON’T NOD MONTREALが開発した最初のタイトルになります。
DON’T NODは、2008年6月にフランスのパリで設立されており、社名はSFファンタジー作家で共同設立者のアラン・ダマジオによって考案された回文です。
2013年リリースの「REMEMBER ME」がデビュー作で、2015年リリースの「LIFE IS STRANGE」で一躍名を馳せます。DON’T NODお得意のナラティブアドベンチャーゲームの始まりというわけです。
その後は、ナラティブアドベンチャーゲームとしては、「THE AWESOME ADVENTURES OF CAPTAIN AMERICA」(2018年)、「LIFE IS STRANGE 2」(2018-2019年)、「TELL ME WHY」(2020年)、「HARMONY: THE FALL OF REVERIE」(2023年)、がリリースされます。
「HARMONY: THE FALL OF REVERIE」は毛色が少し異なるのですが、それ以外は20歳前後の多感な若者が主人公になる超常現象を絡めたナラティブアドベンチャーゲームという点でひとくくりにすることができます。
「LOST RECORDS: BLOOM & RAGE」も、まさにそうした流れの中にあり、「LOST RECORDS」シリーズの最初の作品になっています。

そんな「LOST RECORDS: BLOOM & RAGE」の舞台は、冒頭で記したようにミシガン州の密集した森林と静かな湖の間に位置する小さな町ベルベットコーブ。
2022年、そこにあるバー&グリル「ザ・ブルースプルース」で、今はバンクーバー在住のスワン・ホロウェイとアトランタのソーシャルワーカーであるオータム・ロックハートが再会します。
2人が会うのは1995年の夏以来で、オータムが2人を含めた4人の親友が結成したパンクバンド「BLOOM & RAGE」宛に謎の小包を受け取ったため、スワンとノーラ・マラキアンを呼び出したからでした。
スワン、オータム、ノーラは、「ザ・ブルースプルース」で17年ぶりに再会し、謎の小包を前に、1995年の夏を振り返っていきます。
物語は、こうして2022年と1995年を行き来しながら、あの夏に起こった人生を一変させた青春時代の秘密、そして、誰が、あるいは何が、彼女らを再び集めたのかを解き明かしていきます。
本作はまさに、20歳前後の多感な若者が主人公になる超常現象を絡めたナラティブアドベンチャーゲームであり、プレイヤーは物語の冒頭からDON’T NODお得意の世界へと引き込まれていくのです。

実際のところ、どこか学校や社会になじむことができない4人の女子高生が、ふとした出来事をきっかけにお互いの共通点を見つけてかけがえのないない親友になり、ティーンエージャーらしい青春を謳歌しながら破天荒な行動へと駆り立てられていくという展開は、それぞれのキャラクターが魅力的なのはもちろんのこと、彼女たちの感情表現とストーリー構成の巧みさもあいまって、プレイヤーの心をつかんで離しません。
「LIFE IS STRANGE」しかり、「LIFE IS STRANGE 2」しかり、「TELL ME WHY」しかり、こうした物語を作らせた際のDON’T NODの感情表現とストーリー構成の巧みさは、お家芸としか言えません。
プレイヤーとしては、DON’T NODのナラティブアドベンチャーゲームというだけで、あれこれと詮索することなく、その世界に身を任せることができるのです。
そして、キャラクターに、ストーリーに、プロットに、期待以上のものを得ることができ、またひとつ珠玉の名作が加わるというわけです。
本作でも、登場人物や物語にグイグイと引き込まれ、次の展開が待ちきれませんし、プレイし終わってからもその余韻に浸ったり、その後の世界が気になって仕方なくなります。
本作が「LOST RECORDS」シリーズの第1作であることから、彼女たち4人のその後の世界が描かれるのか、もしくは、パラレルワールドが繰り広げられるのか、楽しみで仕方ありません。

DON’T NODのナラティブアドベンチャーゲームというと、グラフィック、サウンド、ゲームプレイ、ゲームシステムが上質なのは毎度のことですが、本作もその例に倣ってすべてが最上級のものになっていると言えます。
本作では、4人の女子高生がパンクバンド「BLOOM & RAGE」を結成するため音楽も重要になってくるのですが、楽曲がとても心地良く使いどころも最適で、物語をより深みのあるものにしています。
ゲーム音楽のサウンドトラックも珍しくはありませんが、本作の音楽もゲームとは別にそれだけを聴いても心地良く聴きごたえがあると言えるでしょう。
ゲームの肝となるのがビデオカメラで、映画制作を志すスワンがベルベットコーブの自然や風景、そこに暮らす人々、そして、何よりも自分たち4人を撮影して録画していきます。
ビデオカメラで撮影すること自体が、物語を進めるのに不可欠で、ゲームをより奥深いものにし、ゲームの収集要素にもなっています。
そのため、プレイヤーは、単に記録として撮影するだけでなく、より良いアングルでより美しい映像を撮影しようという楽しみが生まれます。

その時その時の選択により、人間関係や物語の展開が変化していくのもナラティブアドベンチャーゲームの楽しいところで、ある程度はプレイヤーが望む方向性に持っていくこともできます。
そして、DON’T NODのナラティブアドベンチャーゲームのいいところは、プレイヤーがチャプターをクリアすると、そのチャプターまではチャプターセレクトにより何度でもプレイし直せるところです。
しかも、「シーンを再プレイ」には、「コレクターモード」と「ストーリーモード」があります。
「コレクターモード」は、ストーリーの進行状況に影響を与えずに、以前のシーンで撮りそびれたコレクション要素を回収します。
「ストーリーモード」は、選択したシーンからやり直します。選択したシーン以降のストーリー進行状況、選んだ選択肢、コレクション要素はすべて消去されます。
プレイヤーの、ストーリーをやり直したい、ストーリーはこのままでいいけれどアイテムだけ集めたい、という要求にも応えてくれるのです。
このあたりも、DON’T NODのナラティブアドベンチャーゲームの第一人者としての懐の深さを感じ取ることができます。

このように、本作はDON’T NODの一連のナラティブアドベンチャーゲームの中でも他の作品に引けを取らない傑作となっており、ナラティブアドベンチャーゲーム好きはもちろんのこと、物語性が強いゲームが好きだとか青春ゲームが好きだとかいう人にも自信を持って勧めることができます。
「LOST RECORDS」シリーズの第1作としても満点と言えるゲームに仕上がっており、これからの展開を期待する上でもぜひともプレイしてほしいところです。

【ウォークスルーインデックス】
#1(テープ1: 1 期待~3 スワン・ホロウェイ、1995年)
#2(テープ1: 4 ベルベットコーブへようこそ~5 私たちが出逢った日)
#3(テープ1: 6 最初の夜~7 オータム・ロックハート、1995年)
#4(テープ1: 8 同窓会~9 ガレージバンド)
#5(テープ1: 10 ライト アクション カメラ~11 ムービーナイト)
#6(テープ1: 12 暗闇を怖がらないで~14 友達に電話)
#7(テープ1: 15 この古家~17 ノーマ・マラキアン、1995年)
#8(テープ1: 18 ブルーム・・・~19 荷造り)
#9(テープ1: 20 レベル2の挑戦~23 キャット(キャスリン)・マイケルセン、1995年)
#10(テープ1: 24 ライオット・ガール~25 …&レイジ)
#11(テープ2: 1 悪夢~3 また独り)
#12(テープ2: 4 姉妹の物語~5 空っぽの小屋)
#13(テープ2: 6 オータムの断片~7 ノーラの悲しみ)
#14(テープ2: 8 侵入作戦~9 ラプンツェル)
#15(テープ2: 10 星に願いを~13 狩られる者)
#16(テープ2: 14 魔女集会~16 エンター・ザ・ボイド)
#17(テープ2: 17 タイムカプセル~19 ロストレコード)

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