【GENRE】
アドベンチャー
【PUB./DEV.】
テクモ/テクモ
【RELEASE DATE】
2008/11/13
【OUTLINE】
原案・監修に西村京太郎が当たるサスペンスミステリーアドベンチャー「DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ「京都・熱海・絶海の孤島殺意の罠」」の続編です。金沢、函館、極寒の峡谷における3つのストーリーを楽しむことができます。
新一新(あらたいっしん)は、数ヵ月前、立て続けに起きたいくつかの事件をパートナーの京明日香とともに解決し、本格的に仕事を始めますが、依頼が来ない日々が続きます。そんな探偵事務所に、金沢・加賀焼きの窯元で起きた盗難事件の調査依頼が届きます。
雪積もる金沢に向かい、調査を始めるなり、一新は窯元で男性の撲殺死体を発見します。2人は、冬の金沢を舞台に発生した殺人事件に巻き込まれていきます。
プレイヤーは、新米探偵の新一新となり、父が残した優秀な助手である京明日香ととともに、3つの殺人事件に挑んでいきます。
また、100問に倍増したショートミステリー集を楽しむこともできます。
【GAME MODE】
長編
全3章の物語で構成されており、おおまかに以下のような流れで進行します。プロローグ→事件発生→調査パート→推理パート→犯人が判明→エピローグ。
調査方法
調べる場合は、カットパネル内の怪しい場所をタッチして調査します。「探偵ルーペ」を使うことで、より詳細に調査できる場面もあります。
話す場合は、話をしたい人物にタッチして会話します。聞き込みの内容について選択肢が表示される場合は、聞きたい項目をタッチします。
持ち物が使える場合には、調査画面に「持ち物を使う」、「持ち物を見せる」などの項目が表示されます。任意の項目を選択後、持ち物リストから使いたい持ち物を選んで「決定」すると持ち物を使ったり見せたりできます。
手帳
調査の結果は手帳に蓄積されます。各種情報は、調査画面内の「手帳ボタン」から確認できます。
「思い出すボタン」は、読み飛ばしてしまった会話などを、少し前までさかのぼって確認することができます。本体のスタートボタンを押しても、同様のことが行えます。
「初心者ガイド」は、初搭載で、物語の進行を助けてくれるガイド機能(移動先案内マーク、ナビメッセージ)のON/OFFを切り替えられます。
「West Village」は、長編を中断し、短編をプレイできます。ここから、短編を開始した場合は、短篇の終了時に長編の続き(中断したところ)から再開できます。
「人物リスト」は、出会った人物の情報が確認できます。物語の進行により、情報が更新される場合もあります。
「持ち物」は、入手した持ち物を確認できます。調査中、持ち物リストが表示されたら、入手した持ち物を相手に見せたり、使ったりして詳しく調査を進めることができます。
「証拠」は、集めた証拠を確認できます。一定の証拠が集まると、「推理パート」に移行できます。
移動
「移動ボタン」をタッチすることで、現在地から他の場所へ移動できます。移動方法は、「移動ボタン」をタッチして表示される「移動先リスト」から行きたい場所を選択し、「決定」します。
前作では、移動先へは、現在地から直接移動することはできず、上画面に表示される「案内図」を確認して、目的地と現在地の中間地点を経由して目的地へ移動する必要があったのですが、本作では、「ダイレクト移動」が採用され、ストレスなく目的地に移動することができるようになりました。
未調査アイコン「!」が表示された場合は、調査が完了していない移動先か、新たに何か進展があった移動先です。優先的に移動します。
推理パート
調査を進めて一定の証拠を集めると、会話時に「推理する」が表示され、「推理パート」へ移行することがあります。「推理パート」では、推理を間違えても、同じ推理を何度でもやり直すことができます。
ゲームの中断
「捜査日記ボタン」をタッチすれば、ゲームデータを保存することができます。ゲームの進行中、物語の区切りがいいところで「京太郎くん」が登場します。ここが、ゲームデータの保存や中断する際の目安となります。
ゲームを再開する場合、「あらすじを読む」をタッチすると、前回、ゲームを中断したところまでのあらすじを京太郎くんが話してくれます。
短編(West Village)
1問10分程度で楽しめるショートミステリー形式の推理問題集が100問あります。TopPageから、ミステリーに挑戦→ミステリーを選択→物語を読む→問題に従って推理する→判定、と進みます。問題には、さまざまなものがあり、なぞる、丸で囲む、道筋を描く、などといった回答形式があります。
問題の難易度は5段階あり、☆の数が増えるほど難しくなります。また、ヒントも2段階まで見ることができ、ヒントを見ることによるペナルティはありません。
問題は、段階を追って増えていき、1問単位、もしくは10問単位でスクロールすることができます。問題の解決数が増えるに従ってランクが上がっていきます。データは、TopPageまで戻って保存しないと保存できないので注意します。
【GRAPHICS】8
「DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ「京都・熱海・絶海の孤島殺意の罠」」の完全な続編です。グラフィックは、全く同じと言っても差し支えありません。
「セガサターン」や「プレイステーション」のアドベンチャーゲームでよく見られた、2Dのアニメ絵が画面いっぱいに映し出され、その下にセリフなどが表示されるという、往年のアドベンチャーゲームスタイルのグラフィックです。
日本製のアドベンチャーゲームは特にお得意の手法で、パターンやノウハウも蓄積されており、無難にまとまっています。
各キャラクターも、しっかりと描き込まれており、不快感を覚えることなく、プレイに没頭することができます。正統派2Dアドベンチャーらしいキャラクターデザインということができるでしょう。
建物や背景、室内のオブジェクトなども、特に不満に感じることはなく、推理する際にグラフィックが問題になるようなことも特にありませんでした。「ニンテンドーDS」のアドベンチャー、2Dのアニメ絵のアドベンチャーとして、十分に合格点をつけられます。
【SOUND】6
「DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ「京都・熱海・絶海の孤島殺意の罠」」の完全な続編です。サウンドは、全く同じと言っても差し支えありません。
「ニンテンドーDS」のゲームということで、セリフに音声もなく、効果音が中心になっています。テーマ音楽やインターバルの際の音楽が際立つ程度ですが、この音楽がサスペンスミステリーらしいもので、何度も聞いても不快に感じることもありません。
ちなみに、インターバルの音楽とタイトルロゴが連動しているところは、気が利いていて評価できます。
「ニンテンドーDS」でも、ほぼフルボイスのアドベンチャーゲームをプレイしてみたいものですし、そうなれば感情移入度ももっと上がるとは思うのですが、容量や予算面で難しいものがあるのでしょうか。
【CONTROL】8
大半の操作は、タッチペンで行います。タッチペンによる操作は、特に難しいこともなく、快適に行うことができます。
また、ボタンによる操作も可能です。Aボタンが決定/文字送り/ページ送り、Bボタンがキャンセル/戻る、Xボタンが(短編のみ)表示問題の切り替え、スタートボタンがムービーのスキップ/ゲームスタート、十字ボタンがカーソル移動/項目の選択です。
こちらも、特に問題はありません。おおむね、良好な操作性だと言えるでしょう。
【GAMEPLAY】8
本作は、「DS西村京太郎サスペンス 新探偵シリーズ「京都・熱海・絶海の孤島殺意の罠」」の完全な続編なので、前作と同様のことが言えます。
つまり、シリーズタイトルやサブタイトルを引っ張り出してくるまでもなく、西村京太郎のトラベルミステリーにあやかったシリーズであり、原案・監修も西村京太郎が担当しているということで、かなり引きの強いタイトルになっているということです。
私自身、西村京太郎のミステリーは大好きで、ここ数年は読んでいないものの、トラベルミステリーシリーズを中心に何十冊も読んでいます。
それだけに、前作では、主人公が十津川警部と亀井刑事でないことに違和感を覚えていたのですが、プレイし始めてすぐに、その気持ちもどこかに飛んでいってしまいました。
なぜなら、本作は、主人公が十津川警部と亀井刑事でなく、新米探偵の新一新と助手の京明日香であっても、やはり、西村京太郎のトラベルミステリーに違いがなかったからです。
西村京太郎のトラベルミステリーというと、週刊誌に連載されるケースが多いこともあってか、出だしからテンポが良く、旅情が感じられ、十津川警部と亀井刑事のソフトな人柄と2人の間のやり取りに妙があり、彼らを取り巻く登場人物の機微にも味わいがあります。
前作でも、そうしたエッセンスは、見事に受け継がれています。変わった点と言えば、十津川警部と亀井刑事が、新一新と京明日香に替わったところですが、この2人も、それぞれが十津川警部と亀井刑事の役割をそのまま演じており、本質的には十津川警部と亀井刑事によるトラベルミステリーとなんら変わらないのです。
しかも、プレイヤーが新一新となることにより、ゲームのヒロインである京明日香との間の微妙な人間関係を味わうことができ、第3者として小説を読むのではなく、自らが主人公となってゲームをプレイするという点において、感情移入度が高くなっています。ゲームとしては、キャラクターをこの2人に置き換えたことが、正解だったというわけです。
物語は、前作同様に、3本ありますが、どれも西村京太郎のトラベルミステリーを読んでいるかのような上質さがあります。本作では、次に行くべき場所がある程度は示されますし、推理を間違えてもすぐにやり直すことができるため、ミステリーゲームとしては、かなり簡単な部類に入ります。
しかも、本作から、過去ログ機能と難易度選択が加わりました。前者は、ゲーム中にスタートボタンを押すと、今までの会話の一部を確認することができるというものです。後者は、移動先案内マークとナビメッセージのON/OFFを切り替えられるようになるものです。
これらにより、ゲームの難易度を自らの手で易しくも難しくもできるようになりました。しかも、ダイレクト移動により、目的地にストレスなく移動することができるようにもなりました。
元々、デキの良いサスペンスミステリーアドベンチャーだったのですが、本作ではこうした改良により、より完成度が高まった点は高く評価できます。
もっとも、短編となると、ショートミステリーだからというだけの理由ではなく、この上質さのかけらも見ることができないのは、前作からの悪しき伝統です。とってつけたような問題文と、文章の軽薄さが相変わらずだからです。
私は、前作同様に、問題文があまり快適でないと感じたり、問題文が無駄に長いと思うことが多々あり、ほとんどの問題文を読み飛ばしていました。それでも、たいていは問題を解くことができましたし、それだけ問題文が冗長だったということでしょう。
とは言え、問題の質としては、クイズの単行本ぐらいのレベルはあり、問題数も100問に増えたことから、ソコソコには楽しめます。それでも、こんなクイズを前作の倍の100問も入れるのだったら、長編をもう1本、追加してほしかったところではあります。次回作では、短編は要らないので、長編を4本か5本に増やしてほしいところです。
【LONGEVITY】7
本作は、長編がそれぞれ3~4時間、短編が100本で100時間、といったところで、すべてをやると20時間ぐらいになります。短編で水増ししているところはあるにせよ、この手のサスペンスミステリーアドベンチャーとしては、まずまずの長さだと言えるでしょう。
西村京太郎のトラベルミステリーというと、よく2時間ドラマになっていますし、1本あたりのプレイ時間が2時間ドラマよりも長いのであれば、よしとすべきかもしれません。
【OVERALL】8
本作は、原案・監修に西村京太郎が当たるサスペンスミステリーアドベンチャーで、金沢、函館、極寒の峡谷における3つのストーリーを楽しむことができます。
どれも西村京太郎のトラベルミステリーを読んでいるかのような上質さがあり、出だしからテンポが良く、旅情が感じられ、新一新と京明日香との間のやり取りと微妙な人間関係を味わうことができます。
往年の2Dアドベンチャーゲームファンはもちろんのこと、ミステリーゲームとしては、かなり簡単な部類に入るため、あまりゲームをプレイしたことのない西村京太郎のトラベルミステリーファンにも勧めることができます。価格も、かなりこなれており、ぜひともプレイしてほしいところです。
ちなみに、前作の完全な続編ではありますが、それぞれのストーリーは独立しており、続編であるこちらを先にプレイしても全く問題はありません。安く見つけたら、すぐに買ってプレイすべきでしょう。
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