ホットホイールの「スーパーチャージャー」

HOスケール(よりは大きいのですが)のミニカーと言えばイギリスのマッチボックス、という時代が長らく続く中、1968年にさっそうとデビューしたのがマテルのホットホイールです。ホットホイールは、ミニカーと言えば観賞用と考えられていたそれまでの常識を打ち破り、その名の通り炎のようなホットな走りをする世界最速のミニカーとしてさっそうと登場したのです。
ホットホイールは、「まさつ抵抗の少ないホイールベアリングが使ってあり、永久的に持続する特殊なレース用オイルを使用」して、それまでのミニカーでは信じられないような滑らかな走りを実現させていました。架空のクルマも多かったのですが、シャパラルやマクラーレンなどのCAN-AMマシン、アメリカンマッスルカーなどは、このスケールのミニカーなりに実車に忠実に再現されていました。私も、ホットホイールのミニカーは、マッチボックスやトミカと並んで、数十台は所有しています。いずれも、今から見れば、ビンテージもののミニカーだと思います。それなりに痛んだものが多いとは言うものの・・・。

さて、マテルでは、そんなホットホイールの快速ぶりをより楽しむため、下り坂になったレールを下った2台のホットホイールが惰性によって競走できるようなものも発売していました。そして、そればかりでなく、「スーパーチャージャー」という加速装置を使って、ホットホイールを人の手を煩わせることなくエンドレスで周回コースを走らせることができる写真のようなものもリリースしました。
スーパーチャージャーは、写真を見ての通り、家の中にクルマが入ると、その中に用意された加速装置によって、ホットホイールがものすごいスピードで押し出され、コースを1周してスーパーチャージャーまで戻り、再び、同じことを繰り返し、半永久的にホットホイールを走らせ続けることができるというものです。その仕組みは、左の写真のように、家の中に左右にスポンジを付けたローラーがあり、そのローラーの片方を単1の乾電池2本で回転させ、もう片方のローラーにもギアを通じて同じだけの回転力を伝え、家の中に入ってきたホットホイールがスポンジに挟まれ、その力によって前方に押し出されるというわけです。

スーパーチャージャーには、スピードコントロールスイッチが付けられており、FAST側にすれば高スピードで押し出され、OFF側にすれば低スピードで押し出されます。サーキットレイアウトやクルマの性能差により、クルマが押し出されるスピードを調節できるというわけです。また、電池を逆向きに入れると、クルマが反対側に押し出されるようにすることもできます。もちろん、写真のように2台のスーパーチャージャーを接続することもできますし、スピードコントロールスイッチの脇にあるボッチと橋げたを利用すれば、スーパーチャージャーを2階建てにすることも可能です。
レールの長さは、直線は60センチが基本ですが、180度カーブレールや90度カーブレール、15センチレール、7.5センチレール、なども用意されているため、アイデア次第ではさまざまなレイアウトを組むことができます。ただし、その構造上、タイヤがむき出しになっているフォーミュラカーは走らせることができませんし、ボディサイドの形状が複雑になっているものも同様です。もちろん、走行性能が向上したマッチボックスやトミカなど、他社のミニカーも走らせることができます。私も、あれこれと走らせましたが、かなり楽しめたもので、そのアイデアは賞賛に値します。

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