【GENRE】
レース/アクション/スロットカー
【PUB./DEV.】
ENCORE SOFTWARE/KING OF THE JUNGLE
【RELEASE DATE】
2003/9/26(アメリカ)
【OUTLINE】
スロットカーレーシングをゲーム化したレースゲームです。スロットカーレーシングは、1960年代半ばに日本でも大ヒットし、それ以降も絶えることなく発売されて根強い人気を誇っています。
スロットカーレーシングでは、コースに溝(スロット)が彫られており、その両脇に電気を流す導線が敷かれています。スロットカーにはモーターが積まれており、導線から電力を得ながら溝に沿って走ります。
スケールサイズはHOスケールから1/24スケールまで大小さまざまですが、本作ではHOスケールを採用しています。
HOスケールのスロットカーは、現在では車体の下側に磁石が取り付けられているのが常識となっており、タイトコーナーをものすごいスピードで走り抜けたり、360度ループを楽々とこなしたりします。
本作は、そんなスロットカーレーシングの魅力をふんだんに盛り込みつつ、テレビゲームならではのギミックを加味したタイトルです。
【GAMEMODE】
Single Player
1人プレイ用の以下のモードがあります。
Arcade
「Championship」でアンロックした、Voltage(3Volts、6 Volts、9 volts)、Box Sets(British Classics、70’sCop Show、Stock Cars、GT Sport、Formula X、Japanese24)、Vehicle(Box Setsごとに4車種)、Environment(LivingRoom、Dining Room、Kitchen、Bedroom、Roof Garden)、Track(Environmentごとに4トラック)を自由に組み合わせて、シングルレースを行うことができます。
Championship
本作のメインとなるモードで、3Volts、British Classics、Living Roomの組み合わせからスタートして、新たなVoltage、Box Sets、Environmentをクリアしていきます。
すべてのシリーズは全4戦、全4台で行われ、1戦ごとに1位5ポイント、2位3ポイント、3位1ポイント、4位0ポイントが加算されます。
全4戦を終わってのランキングにより、新たなVoltage、Box Sets、Vehicle、Environment、Track、「Special」をアンロックすることができます。
3VoltsではLiving RoomとDining Room、6 Voltsではそれに加えてBed Roomしか走ることができません。すべてをアンロックするのが最終目的となります。
コースは、スロットカーレーシングらしいワイルドでトリッキーなレイアウトとなっており、1周すべてを全開で走行するのは不可能です。
また、コースの中央2車線が切れていたり、コースがクロスしていたり、2車線になっていたり、コース上に常設や可動のバリアも存在したりします。
更に、コース上には一部がカラーになっているレーンがあり、赤はスローダウン、緑はスピードアップ、黄はレーンロック、青はマグネティックの効果があります。
パワーアップアイテムも置かれており、ブースト(一定期間ブーストがかかる)、レーンロック(同一レーン内の他車のレーンを5秒間ロックする)、チャージ(同一レーン内の他車をコースアウトさせる)、ジャンプ(ジャンプしてバリアを避けられる)、マイン(自分の背後に爆弾を設置できる)、シールド(他車にぶつけて弾き出したり、バリア上を通過したりできる)があります。
本作は、スロットカーでありながら、任意にレーンチェンジを行うことができ、ただ単に速く走るだけではなく、これらの障害物を避けたり巧みに利用したりして、上位をめざす必要があるのです。
Time Trial
「Championship」でアンロックした、Voltage(3Volts、6 Volts、9 volts)、Box Sets(British Classics、70’sCop Show、Stock Cars、GT Sport、Formula X、Japanese24)、Vehicle(Box Setsごとに4車種)、Environment(Living Room、Dining Room、Kitchen、Bedroom、Roof Garden)、Track(Environmentごとに4トラック)を自由に組み合わせて、タイムアタックを行うことができます。
ここでは、パワーアップアイテムはなく、ゴーストを出現させることもできます。ベストタイムを記録すると、ネームエントリーできます。
Custom
「Championship」でアンロックした、Voltage(3Volts、6 Volts、9 volts)、Box Sets(British Classics、70’sCop Show、Stock Cars、GT Sport、Formula X、Japanese24)、Vehicle(Box Setsごとに4車種)、Environment(Living Room、Dining Room、Kitchen、Bedroom、Roof Garden)、Track(Environmentごとに4トラック)を使って、「Arcade」と「Championship」を自由に行うことができます。
Special
「Championship」でアンロックした、以下の各イベントを行えます。Cop Challenge(パトカーに乗り、悪人のクルマを5回攻撃する)、GT Special(CPUと1対1で対戦する)、Mine Mania(マインとバリアに満ちたコースで、クラッシュすることなく1周走る)、Countdown(Mine Maniaに時間制限が課されたもので、ブーストのみ使用可能)。
Multi-player
「Single Player」にある、「Arcade」、「Championship」、「Custom」が2分割画面で行えます。
「Free for all」は、ラップ制限がなく、クラッシュしたりコースアウトしたりして5つあるライフを最初になくしたプレイヤーの負けとなります。
Option
ゲームの各種設定を変更したり、レコードを見たり、ロード、セーブが行えます。本作は、オートセーブになっていますが、これをオフにすることもできます。
【GRAPHICS】7
本作は、「Xbox」と「ゲームキューブ」でリリースされる$19.99の廉価タイトルです。マルチプラットフォームでありながら、「プレイステーション2」で発売せずにこの2ハードというのは、なんだか嬉しく感じてしまいます。
本作は$19.99という低価格タイトルですが、グラフィック面では、「プレイステーション2」を意識することなく、「ゲームキューブ」以上の水準で製作することができるわけです。
それでは、実際のところはどうなのでしょうか。本作は、都会のペントハウスの高層階をその舞台としています。
ペントハウス内のリビングルーム、ダイニングルーム、キッチン、ベッドルーム、ルーフガーデンに、縦横無尽にトラックがレイアウトされており、それは、バスやトイレ、ビルの外すら例外ではありません。
広大なペントハウス内には高価そうな調度品があちらこちらに配されており、その横や上や中をトラックが通り、スロットカーが駆け抜けます。窓からは、高層ビル群や夜景を望むこともできます。
本作では、人は一切登場せず、無人のペントハウス内をスロットカーが走り抜けるだけです。
本作は、傑出したグラフィックレベルではありませんが、トラックのザラザラした質感や導線の金属感、スロットカーのおもちゃっぽさは見事に再現されています。
スロットカーレーシング好きなら嬉しくなること請け合いのグラフィックだと言えるでしょう。
【SOUND】7
ステレオです。「GROOVERIDER」というタイトルにはピッタリの音楽が流れるゲームです。
スロットカーの走行音や他車との衝突音、クラッシュ音、パワーアップアイテムの獲得時・使用時の効果音は、わざとらしいくらいに誇張されています。
実際のスロットカーレーシングでは、スロットカーのモーター音が聞こえるだけですから、このあたりはゲームゲームした音だと言えるでしょう。
音楽と効果音を合わせて、無機質な雰囲気のゲームに仕上がっています。まさに「SLOTCAR THUNDER」です。
【CONTROL】8
デフォルトでは、左スティックでアクセル/ブレーキ、左右のトリガーでレーンチェンジ、Bボタンでリアビュー、Yボタンで視点切り替え、Aボタンでアイテムの使用、Xボタンでアイテムの廃棄、となっています。
私はこれでは使いづらいので、左スティックでレーンチェンジ、右スティックでアクセル/ブレーキ、右トリガーでアイテムの使用、といった具合にコンフィグしました。
本作はレースゲームなので右トリガーでアクセル、左トリガーでブレーキが使いやすいのですが、それは設定できませんでした。
もっとも、操作自体が少ないため、コンフィグで用意されているセッティングでも使いづらいということはありません。
本作では、スロットカーレーシングならではの極限のコーナリング、360度ループ、クロスレーンなどといった楽しみもありますが、それよりもカラーレーンやバリア、パワーアップアイテムなどをうまく利用したり避けたりするための瞬時の判断力が大きなポイントになってきます。
このための操作性は、決して悪くはありません。また、各種メニュー画面も、使いやすくまとめられています。
【GAMEPLAY】9
スロットカーレーシングをテレビゲーム化しようと考えた時点で、本企画は斬新なタイトルになることが決定付けられたとも言えます。
スロットカーレーシング自体にかつての勢いはありませんが、スロットカーレーシングに郷愁を覚える人は少なからず存在するわけですから。
そして、前述しているように、本作では、トラックのザラザラした質感や導線の金属感、スロットカーのおもちゃっぽさは見事に再現されています。
スロットカーレーシングらしいワイルドでトリッキーなコースレイアウトは、360度ループやクロス、2レーンなどとあいまって昔懐かしさを感じさせてくれますし、クラシックカーやパトカー、ストックカー、フォーミュラカーなどのスロットカーの定番をしっかりと押さえているのも嬉しいところです。
スロットカーが走る際の挙動や、コースアウトして跳ね返る際の動きも、まさにスロットカーのそれです。このように本作には、スロットカーレーシングの魅力が満載されているのです。
その一方で、これはどうかな、といったギミックも盛り込まれています。コースの中央2車線が切れていたり、コース上に常設や可動のバリアが存在したり、カラーレーンがあったり、パワーアップアイテムが置かれていたりすることです。
そうすることで必然的にレーンチェンジできることが不可欠となるわけですが、これらの要素はなくても良かったようにも思います。
コースを移動できず、純粋にコーナーにおけるテクニックを競うものであっても面白かったかもしれません。
開発サイドがスロットカーレーシングの企画を提案した際に、販売サイドが純粋なスロットカーレーシングでは詰まらないから障害物などのギミックを盛り込めとでも言ったのでしょうか。
まぁ、これはこれなりに面白いので、一概に悪いというわけでもありません。
【LONGEVITY】8
見た目よりもボリュームのあるゲームで、予想外に長く楽しむことができるでしょう。「Championship」を最後までクリアするには相当の労力を要しますし、「Custom」もそれなりに楽しめるからです。
本作のアンロック条件はさまざまですが、中盤以降のEnvironmentのアンロックにはてこずらされることでしょう。その最大の理由は、AIの賢さ(狡猾さ)にあります。
AIのさまざまなギミックを回避する能力が人並みでないばかりでなく、AIのパワーアップアイテムの使い方が憎らしいばかりに的確なのです。
うまく上位を走っていても、AIの攻撃によって最下位に転落することも珍しくはありません。
また、可動のバリアは、スロットカーがコース上のスイッチを押すことで動くのですが、自分のスロットカーの後方のAIのお陰で、倒れているはずのバリアが突然置き上がることもあります。
これを回避するとこは不可能に近く、AIの賢さ(狡猾さ)と合わせてゲームを難しいものにしており、シリーズを1位で終えられるかどうかは運の要素も少なくないと言えるでしょう。
【OVERALL】7
前述しているように、本作は、スロットカーレーシングをテレビゲーム化しようと考えた時点で、斬新なタイトルになることが決定付けられたとも言えます。
そして、スロットカーレーシングに郷愁を覚える人ならば、まず間違いなく楽しんでプレイできることでしょう。
余計だとも思えるギミックも盛り込まれてはいますが、$19.99というバーゲンプライスを考えれば、コレクターズアイテムとしての価値も十分にあります。
スロットカーレーシングに興味も感慨もない人でも、アイテム系のレースゲームの変り種と考えればいいと思います。
海外のレビューで、「ステアリング操作のできないレースゲームなんて信じられない」と酷評している人がいましたが、お門違いもいいところでしょう。これはスロットカーレーシングを題材にしたテレビゲームなのですから。
本作は、価格的にも、レースゲーム好きなら買って損はないタイトルだと思います。
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