「O・TO・GI~百鬼討伐絵巻~」レビュー

【GENRE】
アクション/RPG/サードパーソン

【PRB./DEV.】
フロム・ソフトウェア/フロム・ソフトウェア

【RELEASE DATE】
2003/12/25

【OUTLINE】
平安時代をモチーフにした典雅で美麗な和の世界を舞台に、巫術と呼ばれる魔の力を扱う戦士ライコウを操り、華麗で爽快な戦闘を繰り広げるアクションゲーム「O・TO・GI~御伽~」の続編です。
本作でも、祭器を使った武器による攻撃と、巫術による魔法による攻撃を駆使して、雅にかつ豪快に迫りくる妖鬼を討伐していきます。
「敵を掴んで投げる」新アクションも加わり、ステージ内のほとんどの建物、柱、石段、岩壁などを破壊する爽快感がより一層向上しています。
もちろん、それらに対して加わる力や方向に応じて、破壊の規模や形状、破片の吹き飛ぶ量や方向などがリアルタイムで変化します。
本作では、前作までの源頼光に、安部晴明、「頼光四天王」の坂田公時、渡辺綱、碓氷貞光、卜部季武が加わり、総勢6人のキャラクターがプレイ可能になっています。

【GAME MODE】
開道 New Game
新しくゲームを開始します。ゲームはフェーズ制になっており、1フェーズで最大4つのステージが用意されています。
フェーズ内ではどのような順番でプレイしても構いませんが、フェーズ内のすべてのステージをクリアしないと、次のフェーズに進めません。
フェーズは11、ステージは27あり、それぞれのステージで与えられた条件のクリアをめざします。
また、それ以外にも、ステージクリアのための必要条件ではありませんが、「経過時間」、「清浄度」、「妖鬼討伐数」、「言霊救済率」、「連続打撃数」でハイスコアをめざすという目標もあります。
これらの数値によって出現するアイテムもあるため、ハイスコア獲得もおろそかにはできません。
「清浄度」は、ステージに置いてあるものを壊した割合に応じて、「大穢」、「穢」、「低」、「中」、「高」、「浄化」という6段階の評価があります。
「言霊救済率」は、ステージ内のオブジェクトに封じ込められた言霊を何%解放できたかが表示されます。
これらの要素が、ゲームをより奥深いものにしています。
また、同じフェーズは各キャラクターは1回しか出撃できませんし、ステージによって出撃できるキャラクターが決められている場合もあります。そのため、各キャラクターを満遍なく育てておかなければなりません。
フェーズとステージは、以下の通りです。

フェーズ1、ステージ1
眠りの場: 満ちあふるる巫力をかぎつけて集った亡者の類を全て討ち神聖なる地の戯れを濯ぐべし。

フェーズ2、ステージ2
霊宝院: 朝廷の礎である白珠を守るため夜陰に乗じ忍び込んだ白銀人を全て討ち破るべし。

フェーズ2、ステージ3
水陰の里: 村落にはびこる土蜘蛛の尖兵。これを率いる六匹の頭目を討ち穢れ無き清流を取り戻すべし。

フェーズ2、ステージ4
千仏御堂: 御堂の内に逃げ入った憑依の術を操る白銀の類を全て討ち破るべし。

フェーズ3、ステージ5
魂縛の石牢: 暗い石牢の底に、亡者を引き寄せる妖しげな妖気が満ちる。その元凶、探って参れ。

フェーズ3、ステージ6
霞の渓谷: 迷霧に紛れて渓流を下り、結界破りをたくらむ白銀の船団を、全て打ち砕くべし。

フェーズ3、ステージ7
火焔の祀り場: 火の気を喰らい孵らんとするおびただしき数の土蜘蛛を全て砕き、澱みを祓うべし。

フェーズ4、ステージ8
白虎殿: 都に雷の雨を降らさんとたくらむ石牢より放たれた罪人の亡霊を討ち破るべし。

フェーズ4、ステージ9
蓮華の池: あまたのけん族を率いて都落としをたくらむ土蜘蛛の長を討ち破るべし。

フェーズ5、ステージ10
鬼喰い松: 土蜘蛛の巣穴の奥深くへと潜入した仲間を守る為、白銀が放つ蟲毒を食い止めるべし。

フェーズ5、ステージ11
底津国: 死に際においてなお醜く足掻く土蜘蛛の長に死をもたらすべし。

フェーズ6、ステージ12
封珠院: 宮中の奥深くへと入り込んだ賊を討つため疾く宮内へと参られよ。

フェーズ6、ステージ13
紅蓮の都: 燃え盛る都より逃れるため地に落ちた大船の周りに張られた白銀の結界を打ち砕く。

フェーズ6、ステージ14
奈落の底: 妖光に導かれ彷徨う半身を導き、現世に繋がる深殿へと至る道を進むべし。

フェーズ7、ステージ15
桜花舞う参道: 四天王と落ち合うべく桜咲く参道をたどり都を望む台へと向かう。

フェーズ7、ステージ16
幽明の神殿: 道を閉ざす鍵である二匹の番人を解き放ち現世へと再び舞い戻るべし。

フェーズ8、ステージ17
骸の檻: 屍に埋もれ魂を縛られた季武を救うため、あまねく憎しみを引き寄せる罪人の魂を浄化すべし。

フェーズ8、ステージ18
妖樹の塔: 石となり果てた渡辺綱を救うため、怨念を束ねる骨の塔を砕くべし。

フェーズ8、ステージ19
氷仏参道: 妖鬼を滅ぼし、氷の内に囚われた公時を救い出すべし。

フェーズ9、ステージ20
天涯の海: 白銀人の操る浮き船の群れを打ち砕き都への侵攻を阻むべし。

フェーズ9、ステージ21
無音の里: 石と化した人々の報われぬ魂を喰らう猩々どもを全て討ち滅ぼすべし。

フェーズ9、ステージ22
蟲哭きの湖: 湖に施された封印より解き放たれつつある巨虫を再び昏き水底へと封じ直すべし。

フェーズ10、ステージ23
御霊の通い路: 異世へと繋がる門を開き亡魂を汚す二匹の妖鬼を在るべき世界へと追い遣るべし。

フェーズ10、ステージ24
人外の都: 亡者となり果てた幾千の都人。その報われぬ魂を解き放つため全て討ち滅ぼすべし。

フェーズ10、ステージ25
常闇の淵: 都を覆いつくさんとする闇の霧の元凶を絶つため獰悪なる鵺を討ち滅ぼすべし。

フェーズ11、ステージ26
月の御座: 束ねた月光の力を用い都への星降りをたくらむ白き巨妖を討ち滅ぼすべし。

フェーズ11、ステージ27
天の麓: 清明の命を救うためその身を蝕みつづける白珠を取り出だし、白き巨妖へと還す。

百鬼討伐の地
フェーズを進めるごとに新たなステージが追加されるミッションクリアタイプのモードで、全キャラクターで何度でも出撃することができます。以下の16ステージがあります。
九十九鳥居、妖湧洞、禍津壁、神水鳥居、橋合戦、御霊取り、草打、白銀逃散、舟打、籠殿上、射返台、異世送り、箱当、疾駆け、朱箱の深殿、陰鉄送り、千鬼討伐、名月。

廻帰 Load Game
前回の続きからゲームを再開することができます。セーブデータは、最大8個まで作ることができます。

修祓 Stage
新しいステージに進みます。

禊 Equip
装備変更画面です。装備は、祭器(武器)、霊符(巫術)、呪具(アイテム)の3つです。

神苑 Shop
アイテム・装備品の売買が行えます。アイテムによって、キャラクターの各パラメーターを上げることもできます。

再修祓 Cleared Stage
1度クリアしたステージに、キャラクターを問わず再挑戦できます。「現世」を選択するとステージをクリアした時の状態(破壊された状態)、「昔世」を選択するとステージをクリアする前の状態(破壊されていない状態)、で始められます。ただし、いずれを選択しても、いったん出現したアイテム、言霊は出現しません。

幣はく Option
ゲームデータの保存、読み込みや、各種設定の変更ができます。画面は明るめに設定しておくといいでしょう。また、自動注目(ロックオン)は、「なし」に設定しておき、Lトリガーで任意にロックオンした方がはるかに操作しやすいです。

再臨 2nd Play
クリアデータを保存しておくと、出現する項目です。2周目ではクリア時のレベル、能力値、アイテム、禍魂などを持った状態で最初からプレイすることができます。

【GRAPHICS】10
前作で大きな特徴のひとつだった、平安時代をモチーフにした典雅で美麗な和の世界は、本作でより一層磨きがかけられています。
紫や橙といった平安時代を彷彿とさせる妖しくも気品ある色使い、変化に富みながらも和風テイストを貫いたバラエティ豊かなステージは、前作に優るとも劣らないほどの美しさです。
もちろん、本作でも、そんな美しい世界のステージ内のほとんどの建物、柱、石段、岩壁などを破壊することができてしまいます。
本作でも、破壊が単に世界を壊すだけではなく、新たな美しさを創造することにもつながっているのです。
フロム・ソフトウェアお得意のクリーチャーが”妖鬼”として和風の美しさを放っているのも、メニュー画面に至るまで和風にこだわっているのも、前作同様に作品としての統一性の高さを感じさせられます。
また、本作から、物語性が増して登場人物が6人になったことで、ストーリーを追ったムービーも随所に挿入されるようになりました。これらのムービーは、選択したキャラクターによって異なる場合もあります。

【SOUND】10
ドルビーデジタルです。本作でも、前作に引き続いて、徹底して和風サウンドにこだわっています。
各画面におけるBGMやSE、ナレーションや登場人物の声、などは、本作の和風感を更に盛り上げる要素として、プレイするものを心地良い和風の世界へと誘います。
特に、本作では登場人物が6人になっていますが、それぞれの声優が適役で演技力も高く、各キャラクターへの感情移入度も高まります。
テーマソングも、本作への期待感を高める要因として聴き心地のあるものが選ばれています。
また、妖鬼を倒したり、物を破壊したりした時の「ズバッ」という音は、前作同様に爽快感溢れるものになっています。

【CONTROL】9
前作同様、操作性も良好です。
左スティックで移動、右スティックでカメラの移動、Aボタンでジャンプ(ジャンプ中に再度押して2段ジャンプ)、左スティックと右トリガーを連動させてダッシュ、Bボタンで小攻撃、Xボタンで巫術(押し続けて離すと大巫術)、Yボタンで強攻撃/つかみ&投げ、が主な操作です。
キャラクターごとに6種類から9種類のコンボがあり、Bボタン、Xボタン、Yボタンを順に押すことで発動できますが、無理にコンボを使わなくてもクリアすることはできます(適当に押していれば勝手にコンボになることもあります)。
本作でも、右トリガーを引きっぱなしにしたままの状態での移動や攻撃は必須の操作になりますから、ぜひとも早い段階で習熟したいものです。
また、妖鬼を切ったり、物を破壊した時のコントローラーの振動も、物を破壊した時の「ズバッ」という音とあいまって爽快感を高めるのに貢献しています。

【GAMEPLAY】10
本作でも、前作同様、平安時代をモチーフにした典雅で美麗な和の世界において、妖鬼を倒したり物を破壊したりする爽快感、作品世界全体における和の世界観の演出の素晴らしさを感じ取ることができます。
「再修祓」で1度クリアしたステージに再挑戦する際に「現世」と「昔世」が選べることで「清浄度」や「言霊救済率」を上げられるのも、「O・TO・GI」シリーズならではの素晴らしい特徴のひとつだと言えるでしょう。
更に、本作では、登場人物が前作のライコウ1人から、源頼光、安部晴明、坂田公時、渡辺綱、碓氷貞光、卜部季武の6人になっています。
これによって、作品としての奥深さがより一層増しており、単なるアクションゲームではない奥深い和風の世界観が味わえるようになっています。
また、登場人物が6人に増えたことで、次のステージでは誰を選ぶのかといった戦略性、キャラクターの霊格(レベル)を上げる楽しみなども加わっています。
そして、キャラクターの霊格は前作同様の31でストップするものの、本作は前作に比べると難易度が下がっているため、キャラクターの霊格をMAXまで上げなくてもクリアできるようになっているのも評価したいところです。難しすぎてクリアできない、という人は前作よりも少なくなるはずです。

【LONGEVITY】9
前作に近い27ステージが用意されており、前作同様に1ステージのクリア時間は、短いもので数分程度、長いものでも15分程度となっています。
前作に比べると難易度が下がっていると書きましたが、本作では6人の登場人物全員の霊格をそれなりに上げておく必要があります。
そのため、いったんクリアしたステージで、何度も経験値を稼いでおかなければなりません。ですから、前作以上の時間は必要になってくるでしょう。
もちろん、「清浄度」や「言霊救済率」を上げようと思えば、更に時間がかかります。
霊格は、源頼光とお気に入りのキャラクター1人(私は坂田公時でした)を20以上に上げておき、それ以外のキャラクターは12ぐらいあれば、問題なくクリアできることと思います。
なお、エンディングは3通りあり、最も難しいエンディングをめざすと、最も時間がかかります。
難しい順に書くと、源頼光だけを使って「天の麓」→「月の御座」、源頼光を使って「天の麓」→源頼光以外を使って「月の御座」、「月の御座」、です。
最初の順番以外では、「修祓 Stage」にクリアマークが付かないため、すべてのエンディングを試すといいでしょう。
なお、「百鬼討伐の地」の方が難易度が高いように思われますので、これもプレイすると確実に50時間を超える時間プレイできます。

【OVERALL】10
本作は、前作同様に、2003年末に発売されたタイトルの中でも、1、2を争えるほど素晴らしいタイトルです。
本作では、平安時代をモチーフにした典雅で美麗な和の世界が前作よりもより一層磨きがかけられていますし、美しい世界のステージ内のほとんどを破壊することができる爽快感と破壊美を堪能することもできます。
また、登場人物が6人に増えたことによる作品としての奥深さや、ステージに応じた人選をするといった戦略性も楽しむことができます。誰でもクリアできるような難易度になったことも評価できる点です。
こうした素晴らしい続編をリリースしたフロム・ソフトウェアには感謝せざるを得ません。前作の売り上げを考えると、事情はともかく、本作を発売したのは称えられてしかるべきです。
しかも、発売間もないうちに本作を買えば、前作の北米版である「O・TO・GI: Myth of Demons」が同梱されてくるというサービスぶりです。「Xbox」ユーザーならば、好みに関わらず、ぜひとも本作を買うべきです。

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