「トライアングル・アゲイン2」レビュー

【GENRE】
2Dアドベンチャー

【PUB./DEV.】
キキ/キキ

【RELEASE DATE】
2002/12/19

【OUTLINE】
アニメ絵の2Dアドベンチャーゲーム「トライアングル・アゲイン」の続編です。
「トライアングル・アゲイン」は、灯が歌手としてデビューするまでを追った第1章の「想い弾ける時」と第2章の「異世界に舞い降りた少女」で構成されています。
本作は、第3章の「混沌とした三角の形」と第4章の「夢見る少女のラブソング」で構成され、灯が鮮烈なデビューを飾ってからの物語が展開されます。
コンサートホールでの初ステージ、ファーストシングルのミリオンセラー達成、父・光一との再会、灯のデビュー曲を作った桐生勝との関係、などが描かれ、ストーリーの要所要所で現れる選択肢の選び方によって、灯の人生が大きく変わっていくというわけです。
もちろん、続編となる本作の制作も、「やるドラ」シリーズのスタッフが当たっているほか、ガイナックス、スタジオジブリ、博報堂、オリコンといった有名どころが関わっています。

【GAME MODE】
New Game
新しくゲームを始めることができます。New Gameで始めた場合にはクリアデータが引き継がれないため、セカンドプレイ以降には注意が必要です。
本作の選択肢は、アドベンチャーゲームとしては少ない方で、ムービーの合間合間に選択肢を選ぶという感じになります。
選択肢を選ぶ回数は、ストーリー展開にもよりますが、12回程度になるため、平均して5分強に1回ぐらいの割合で選択肢が現れるということになります。
その多くは言葉を選ぶものですが、2回だけは流れてくる音楽から選ばなければなりません。
本作では、たいてい選択肢は3択になりますが、選択肢の位置はランダムになっているため、音楽の場合は特に耳で正しい選択肢を選ぶ必要があります。
このあたりが本作がミュージックアドベンチャーである証しであるとも言えるでしょう。

Load
セーブデータの続きからプレイすることができます。本作では、最大10個までセーブデータを作成することができます。
セーブデータを利用して、物語をオリジナルアニメのような感覚で自動再生することもできます。
1度見たシーンは、Xボタンで早送りすることもできます。エンディングは全部で15種類あるため、すべてのエンディングを見るのに重宝することでしょう。

Replay
シナリオクリアしたデータを使ってリプレイを鑑賞することができます。

【GRAPHICS】9
グラフィック面で、前作から大きな進化はありません。
本作が前作の約6ヵ月後に発売されていることや、前作が第1章と第2章、本作が第3章と第4章と分けられていることから考えても、それは当然のことでしょう。
おそらく、前作と本作の開発はインターバルを置くことなく行われているはずです。そのため、アニメーションの少なさや画のあっさりさ加減も前作譲りになっています。
ただ、最近の美少女ゲームと一線を画した往年の2Dアドベンチャーゲーム的なキャラクターデザインなどのグラフィックは個人的には好みで、心地良くプレイすることはできました。
また、アイキャッチやメニュー画面もゲームの雰囲気を壊さないものになっています。

【SOUND】9
ドルビーサラウンドです。”ミュージックアドベンチャー”と銘打っていることからも分かるように、音楽には力を入れています。
挿入歌が7曲もあるばかりでなく、ピアノの演奏など、プレイ中は頻繁に音楽が流れているといった状態です。しかも、そのいずれもが完成度が高く、聴いていて心地良くなってくるのです。
ただ、前作にはあったカラオケCDは本作にはありませんし、本作では前作ほど音楽が重要なテーマとなってはいません。
確かに、選択肢の中に流れてくる音楽から選ばなければならないことが2回ありますが、”ミュージックアドベンチャー”としては、少し肩透かしをくらったような気分にさせられるかもしれません。

【CONTROL】8
昔ながらのコマンド選択式の2Dアドベンチャーということで、操作性に問題はありません。すべての選択肢はじっくりと考えてから選ぶことができるため、慌てて選びたくもない選択肢を選んでしまうといった過ちを犯すこともありません。

【GAMEPLAY】7
前作は、灯が歌手としてデビューするまでを追った第1章の「想い弾ける時」と第2章の「異世界に舞い降りた少女」で構成されていました。
内容的にも、まさに”ミュージックアドベンチャー”と呼べる代物で、灯のデビューまでの過程をワクワクしながらプレイできたものでした。
前作は、灯がいよいよ芸能界にデビューし、さあどうなるのか、というところで終わり、続編となる本作に期待を持たせたものですが、その期待は少し裏切られることになります。
コンサートホールでの初ステージ、ファーストシングルのミリオンセラー達成、などといった音楽面はさらっと流され、話は父・光一との再会、灯のデビュー曲を作った桐生勝との関係、などが中心となるからです。
類稀なる才能を持った少女のミュージックアドベンチャーから、ドロドロした人間関係が描かれたヒューマンアドベンチャーへと、変貌を遂げてしまったというわけです。
せっかく”ミュージックアドベンチャー”と銘打っているのですから、最後までそれで通してほしかったように思います。
また、本作は、前作同様にボリュームが不足しています。
挿入歌に容量を取られるのかもしれませんが、絵はそれほどアニメーションするわけでもないため、前作の第1章と第2章、本作の第3章と第4章を一緒にして発売できなかったものかと思います。
「Xbox」ならなんとかできなかったものでしょうか。

【LONGEVITY】5
エンディングまでのプレイ時間は、1時間ちょっとあれば十分です。エンディングが15通りあるものの、それまでの過程に大きな違いはないため、すべてのエンディングを見ようという興味が持続するかどうかは疑問です。
ここでは「5」にしておきますが、人によっては「3」でも十分なのではないかと思います。

【OVERALL】6
前作同様、物語の展開が唐突すぎたり、セリフがくさかったりするところが少なくはありません。
また、前作がまさに”ミュージックアドベンチャー”と呼べる代物で、灯のデビューまでの過程をワクワクしながらプレイできたのに対し、本作はドロドロした人間関係が描かれたヒューマンアドベンチャーへと、変貌を遂げてしまっています。
エンディング自体は前作の9通りから15通りに増えてはいるものの、ボリューム自体は前作同様に不足しています。
前作をプレイしているなら、その後の展開が気になる人もいるのではないかと思いますが、”ミュージックアドベンチャー”としての期待を持ってプレイするとがっかりする可能性は十分にあります。
できれば980円、高くても1980円なら許せるといったところです。

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