「斬 歌舞伎」レビュー

【GENRE】
対戦格闘/すごろく

【PUB./DEV.】
元気/ライトウェイト

【RELEASE DATE】
2002/2/28

【OUTLINE】
対戦格闘アクションゲームです。旅一座の3人連れの歌舞伎役者となり、東海道を日本橋から京都へ旅していきます。めざすは、日本一の京都一座です。
旅先の宿場で他の一座と戦闘を行いますが、相手にダメージを与えたり倒したりするだけでは一流の役者にはなれません。
戦闘中にかっこいいアクションを行うたびに観客から歓声が上がり、例えダメージを受けても人気を上げることができるのです。
そうやって「人気ゲージ」を上げて観客から”おひねり”をもらえばもらうほど収入が増え、旅を円滑に進めることができます。
本作は、戦闘に勝つだけではなく、魅せることが重要な、東海道巡業対戦格闘アクションゲームなのです。
なお、開発元のライトウェイトは、「プレイステーション」版「ブシドー」シリーズ、「プレイステーション2」版「剣豪」シリーズ、などの開発を行っているメーカーです。

【GAME MODE】
旅興行
東海道を日本橋から京都まで、興行(対戦格闘)をしながら旅していくモードです。
4人のプレイヤーの中で、1番最初に京都一座に勝つことができれば優勝となります。最大4人で同時にプレイできますが、人数が足りない分はコンピューター操作になります。
1Pが宿場を選択すると、そこに登場する一座と旅興行を行います。勝敗によって、勝者(敗者)カードを選択し、カードの内容に従います。すべて終了すると2Pに移り、この手順を3P、4Pと繰り返していきます。
日本橋をスタート時の所持金は2万両で、隣りの品川への移動費用はかかりませんが、そのひとつ先の川崎へ行くには8000両かかります。更に先の神奈川へ行くには1万6000両かかります。
つまり、移動費用はひとつ先に進むごとに、倍かかるわけです。そのため、より早く京都に到着するためには、旅興行によってより多くの移動費用を稼ぎ出さなければならないというわけです。
旅興行は、宿場にいる一座と1ポイント勝負で行うため、一座から代表役者を選択しての代表戦となります。
勝敗によって選択する勝者(敗者)カードには、「所持金UP」、「役者○人トレード」、「○○まで進む」、「役者1人離脱」、「日本橋まで戻る」、「1回休み」などがあるため、できるだけ負けないようにしなければなりません。
なお、京都だけは、全員と対戦して全勝する必要があります。セーブは、マップ画面中にスタートボタンを押すことで行えます。

主演舞台
コンピューターが操る12人の役者と順番に戦い、その時間と獲得賞金を競うモードです。対決回数は1勝で勝利となり、対戦時間は無制限です。
途中で負けるとゲームオーバーとなり、その時点での記録が保存されます。対戦格闘ゲームの1人用モードと考えてもいいでしょう。

対決競演
役者1人を使い、人間対人間の対戦を行います。対決回数は2ポイントで勝利(「興行準備」で変更可)、DRAWの場合は両者勝利となります。両者1ポイントでDRAWの場合は、両者1ポイントの状態から再試合を行います。

勝ち抜き興行
役者3人を使い、人間対人間の勝ち抜き戦を行います。対決回数は1ポイントで勝利となり、DRAWの場合は再試合を行います。勝利した役者は、先試合の試合時点と同じ体力で次の役者と試合を行います。相手の役者をすべて倒すと勝利となります。

興行準備
対決回数、対戦時間など、ゲームの各種設定を変更することができます。

【GRAPHICS】6
歌舞伎の興行ということで、対戦はすべて舞台上で行われます。
床はフローリングで、背景はセットが組まれていることもありますが、たいていは書き割りです。つまり、ハードの性能を活かしたような立体的なステージは存在しません。
役者たちは、登場シーンこそ、それぞれが派手な見得を切って登場しますが、いざ格闘に突入すると、舞台を客席から眺める完全な2D視点へと移行します。
まぁ、歌舞伎の興行という設定なのですから、舞台も格闘も2Dなのは致し方ないのかもしれません。
そんなわけで、「Xbox」ならではの光と陰の表現や水の表現を楽しむことはできませんが、キャラクターの動き自体はそれほど悪くはないと思います。

【SOUND】6
ステレオです。2D対戦格闘で、サラウンド効果もそれほど期待できませんから、ステレオで十分でしょう。
賑やかな歌舞伎サウンドや掛け声がひっきりなしに流れるのはいいのですが、ちょっと単調な繰り返しという感じはします。
ただ、正月にわいわい言いながら4人で「旅興行」をやる分には、景気が良くていいのかもしれません。
役者たちの登場時や勝利時の見得の切り方や、相手を斬ったり刀がぶつかったりした時の効果音なども悪くはないと思います。

【CONTROL】6
左スティックで移動、Aボタンで攻撃、AボタンとXボタンの同時押しで投げ攻撃、Xボタンで防御、Bボタンでジャンプ、Yボタンで前転し向きの変更、が基本的な操作です。
更に、相手役者が倒れている時に方向パッド上+Aボタンでダウン攻撃、倒れた役者が起き上がる時にAボタンで起き上がり攻撃、Aボタンの連打で連続攻撃、人気ゲージが蓄積された時に黒ボタンで必殺技、相手役者が空中にいる時にタイミング良く攻撃して打ち上げ攻撃、なども繰り出せます。
また、歌舞伎役者らしく、白ボタンを押すと見得を切れて、客席からおひねりがもらえますが、この間は無防備になります。
もっとも、コンピューター相手なら、どのキャラクターを使おうが、Aボタンさえ連打していれば、たいていは勝ててしまいます。対戦格闘熟練者なら、単に勝つだけでなく、いかに美しく勝つかを考えた方がいいでしょう。

【GAME PLAY】6
本作は、純然たる対戦格闘ととらえるよりも、パーティゲームと考えるべきでしょう。
対戦格闘としてのデキがそれほど悪いというわけでもないと思いますが、正月に4人で「旅興行」をわいわいやりながら楽しむのが本来の遊び方だと思います。
本作は、コンピューターが弱いため、例え対戦格闘初級者であってもコンピューターに楽に勝つことができます。また、初心者が熟練者相手に格闘で負けても、カードによっては先に京都にたどり着くことも不可能ではありません。
なぜなら、カードには、「勝者と敗者が逆転」、「所持金最大」、「日本橋まで戻る」といったものもあるからです。こうした点で、初心者でもお手軽に楽しめる対戦格闘と言うことができるでしょう。
また、「旅モード」のもうひとつの楽しみとしては、役者集めがあります。最初は白衣3人からスタートしますが、勝者カードの「○人トレード」によって、敗者の役者をトレードして獲得することができるのです。
登場するのは、白衣、黒衣、灰衣の基本3人と、弾正、定九郎、忠信、菊之助、五郎、助六、権六、右近(左近)、景清の9人の計12人。
もちろん、それぞれのキャラクターに特徴があり、白衣以外のキャラクターがどんどん増えていくのは楽しいものです。

LONGEVITY】6

メインとなるモードの「旅興行」は、コンピューター相手にひとりでプレイするなら3時間もあれば十分でしょう。「主演舞台」の難易度も、それほど高くはないと思います。
ですから、両方のモードをプレイしても、対戦格闘熟練者なら、10時間はかからないでしょう。
もっとも、本作は、前述しているように、正月に4人で「旅興行」をわいわいやりながら楽しむのが本来の遊び方だと思います。しゃかりきになってやり込むのではなく、接待ゲームとして置いておく1本でしょう。

【OVERALL】5
本作は、「Xbox」中でも屈指のワーストゲームという評価が定着しています。私はそうした評価を知った上でプレイしたのですが、確かにそういう評価を受ける怖れのあるタイトルだという気はします。
特に、本作を純然たる対戦格闘ととらえると、つらいかもしれません。これを、「Xbox」発売直後に6800円が買った人にとっては、怒り心頭に発するのは致し方のないところでしょう。
しかし、980円以下で買える今なら、話の種に買っておいても悪くはないと思います。お馬鹿なパーティゲーム、接待ゲームと考えるなら、笑って許せる範囲だからです。

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