「MotoGP: Ultimate Racing Technology 3」レビュー

【GENRE】
レース/バイク

【PUB./DEV.】
THQ/CLIMAX ENTERTAINMENT

【RELEASE DATE】
2005/9/2

【OUTLINE】
MotoGPの2004年シーズンのバイク、チーム、ライダー、トラックが実名で登場するバイクレースゲームです。
「MotoGP 2」の続編ということになりますが、本作からは北米版も「MotoGP 3」ではなく、「MotoGP: Ultimate Racing Technology 3」という長いタイトルになっています。
本作では、実際のMotoGP16戦を楽しむことができる「GRNAD PRIX」だけでなく、新たに市街地で16戦のレースを行う「EXTREME」が加わっています。
また、シードというランキングのようなものも採用されています。もちろん、オンライン対戦も充実しています。

【GAME MODE】
SINGLE PLAYER
シングルプレイの4モードがあります。

QUICK RACE
「GRAND PRIX」と「EXTREME」から任意のトラックとライダーを選んでレースすることができます。アンロックしていないライダー、コースは選ぶことができません。

CAREER MODE
本作のメインとなるモードで、最初にライダーを作成しなければなりません。
ライダーは、ネーム(ゲーマータグ)、ヘルメットデザイン(10種類から選択)、バイクデザイン(ロゴ、マーク、アルファベットなど8パターンをカスタマイズ)、ライダーレザー(レザータイプを選び、カラー、フロントロゴ、リアロゴをカスタマイズ)、チームネーム(任意に設定)、レーシングナンバー(2ケタまでの選択肢から選択)、国籍を設定します。
次にライダーのクレジットを、コーナリング、ブレーキング、トップスピード、アクセラレーションに割り振ります。当初は25ポイントが与えられており、規定の範囲内で各要素に割り振っていきます。
クレジットの振り分けは、人それぞれのスタイルにより異なりますが、コーナリングを最優先で強化し、トップスピードを軽視するのが定石です。
もっとも、クレジットは自由に増減できるため、あまり神経質になる必要もありません。
クレジットは、当初はレースに勝つごとに与えられ、より強力なバイクを作ることができます。

次に、「GRAND PRIX」か「EXTREME」のどちらに参戦するかを選びます。「GRAND PRIX」では、実際のMotoGPの2004年シーズンと同じ16戦に参戦します。
「EXTREME」では、アンダーグラウンドのレーシングリーグに参戦し、お金を稼いでいきます。
バイクのクラスは、600cc、1000cc、1200ccがあり、最初は600ccクラスにしか参戦できませんが、お金を稼いで上のクラスのバイクを買えば、そのクラスに参戦することができます。
なお、すべてに並行して参戦することも可能です。
「EXTREME」は、本作から新たに加わったもので、「GRAND PRIX」と同じ全16戦で戦いますが、バイクは10台だけになります。
コースは、Whale Coast、Andalucia、Riviera、Tuscany、Barcelona、Low Country、Copacabana、Auto Bahn、shires、Prague、Algarve、Tokyo、Gulf、Malay、Outback、Sevilla、です。
ガルフを除いては公道コースで、山岳、田園、都市、峠、砂漠、ジャングル、石畳、首都高速などさまざまなシチュエーションを楽しむことができます。
バイクは、架空で、Arashi Tengu、Arashi KK 599K、Ignasio NM 650N、Igunasio GF600、Sumiyaka Okami、Sheridan Longbowなどと、なぜか日本の名前のバイクが多くなります。
最初の所持金は$6000なので、一部のバイクしか買うことができません。
ライダーも、すべて架空のライダーになります。面白いのがライダー名で、速い2人が日本人なのですが、Kagu NishikawaとMasamune Odaという名前なのです。漢字に直すと、西川家具と織田正宗だったりするのでしょうか。
難易度は、ルーキー(推奨ラダー100-81)、プロ(同80-61)、チャンピオン(同60-41)、レジェンド(同40-1)の4段階があり、通常はバイクを作りながら自分に適した難易度からステップアップしていきます。
バイクのセットアップは、パワースライドの感度、ホイールベース、前後のタイヤコンパウンド、ギアレシオ、サスペンションが行えます。
「EXTREME」では更に、エンジンチューニング、ウエイトリダクション、ブレーキング、トラクション&スタビリティ、BHPアップグレードがレベル3まであります。

本作からは、シード(ラダー)というランキングのようなものが導入されています。シードは100からスタートし、自分よりシードの高いライダー(AI)に勝つことで上昇していき、最終的には1まで上げることができます。
シードは、「GRAND PRIX」でも「EXTREME」でも上げることができます。通常はAIの方がシードが高いため勝たなくても上位に入賞すればシードを上げられます。
また、シードが上がると同時に、クレジットを獲得することもできます。このクレジットの獲得条件は以下のようになっています。

シード100-81: 各5クレジット=100クレジット
シード80-61: 各4クレジット=80クレジット
シード60-41: 各3クレジット=60クレジット
シード40-21: 各2クレジット=40クレジット
シード20-1: 各1クレジット=20クレジット

シードは切り下げで計算されるようで、例えば20.50ならシード20といった具合です。つまり、そのシードに到達するたびにクレジットがもらえるわけで、レースの勝ち負けによってシードがもらえるわけではないということです。
また、自分よりもシードが低いライダーに負けてシードが下がったとしても、クレジットを再度もらうことはできません。
初期には20クレジットがプレゼントされるため、最終的に獲得できるクレジットは、20+100+80+60+40+20=320クレジット、ということになります。
このクレジットを、最終的には100を上限とするコーナリング、ブレーキング、トップスピード、アクセラレーションに振り分けるというわけです。
320クレジットのバイクを作るためにはシード1まで上げなければならないわけで、手間暇のかかる作業になります。
実際、シード2からシード1に上げるには、レジェンドで5シーズン全勝優勝する必要があります。
ただ、この頃には腕も上がっているはずなので、予選を行わずに最後尾スタートでも勝てるはずです。
「EXTREME」は10台で雨も降らないため、「GRANDPRIX」よりも簡単に勝てるでしょう。

TIME TRIAL
自らのゴーストを相手にタイムトライアルをするもので、オンライン上からスコアボード上位のライダーのゴーストをダウンロードして一緒に走ることもできます。

TUTORIALS
バイクの走らせ方を学べます。前作の凶悪な「Training」がなくなり、クレジットとは一切関係しない「TUTORIALS」が入れられたというわけです。

MULTIPLAYER
「XBOX LIVE」は、オンライン16人対戦をしたり、スコアボードを見たりすることができます。
「SYSTEM LINK PLAY」は、システムリンクにより16人対戦を行うことができます。
「SPLIT SCREEN」は、分割画面により4人対戦を行うことができます。

SETTINGS
ゲームの各種設定を細かく行うことができます。本作でも、コントローラーのキーコンフィグを完全に自由に設定できます。

EXTRAS
リプレイを見たり、アンロック状況を確認したりすることができます。

【GRAPHICS】9
「MotoGP」シリーズは、「Xbox」のレースゲーム中でもトップクラスのグラフィックを誇っていますが、本作でもグラフィックの美しさは継承されています。
元々がレースゲーム中でもトップクラスのグラフィックだっただけに、見た目の印象に大きな変化はありませんが、他の最新レースゲームと比べても引けを取らないということは、着実に2年3ヵ月分の進化を遂げているということです。
天候の変化や光源処理、各種エフェクト、クラッシュ時のグラフィックは前作譲りですが、スピードが上がると周囲の風景がぼやけるブラーはほとんどなくなっています。
繊細な操作を要求される本作では、走りにくいだけという感じもしたので、なくしてしまったのではないでしょうか。もっとも、視覚効果がなくても、スピード感自体は十分に感じられると思います。

トラックは、「GRAND PRIX」に関しては、鈴鹿がなくなりロザイル(カタール)が加わっただけで、それ以外のトラックはすべて同じになっています。そのため、新鮮味というものは感じませんが、それはライセンスものの宿命というところでしょう。
そのためか、2ストロークユーザー向けなのか、新たに「EXTREME」が加えられ、すべてが実在の土地の架空の公道コースになっています。
架空である以上は制約もないわけで、山岳、田園、都市、峠、砂漠、ジャングル、石畳、首都高速などさまざまなシチュエーションを楽しむことができます。
不思議なことに、「EXTREME」には夜はあっても雨はないのですが、「MotoGP」シリーズの雨は鬼門のようになっているので、これはこれで歓迎したいところです。もちろん、首都高速はお約束通り、夜になっています。

【SOUND】9
ドルビーサラウンドです。シリーズごとにエンジンサウンドが微妙に異なっており、当初は違和感を感じるかもしれませんが、慣れてくればこんなものかなと思うはずです。
本作からは、「GRAND PRIX」は4ストローク、「EXTREME」は2ストローク、が基本になっています。前作には「GRAND PRIX」しかなく、その中に4ストロークと2ストロークが混在していました。
そのため、4ストローク使い、2ストローク使い、と分かれて、個人で相互乗り入れする人は少数派だったのですが、本作では両モードをこなす必要があるため、必然的に相互乗り入れせざるを得ない状況が生み出されています。
そのため、両車を乗り換えるたびにエンジンサウンドに違和感を感じるということも起こってくるわけです。
とはいえ、実際のMotoGPは4ストロークで2ストロークには乗れないのですから、「EXTREME」で2ストロークに乗れることには感謝しないといけないわけです。

【CONTROL】9
前作同様、レースゲームとしてリアルでありながらも抜群の操作性を持ち、レースゲーム上級者ばかりでなく初心者でも安心してプレイすることができます。
バイクということでクルマとは違った操作感覚になりますが、キー操作にリニアに反応して素直な動きをしてくれるため、バイクの動きや操作に慣れてくればストレスなく爽快なライディング感覚を味わうことができます。
本作では、当初からコントローラーの設定を自由に変更できるため、上達してくるとさまざまな操作を駆使する奥の深さも持ち合わせています。
加速時には前傾姿勢をとってスピードをアップさせる、コーナーでは、ノーアクセルノーブレーキで回ったり、ブレーキングしてから回ったり、ブレーキングしてからリアブレーキでバイクの向きを変えたり、パーシャルスロットルの量を調節しながら回ったり、など、プレイヤーのアイデアとトライ次第でさまざまな操作が行えるのです。

と、ここまでは前作のレビューと同じなのですが、前作と大きく違うのが、本作では「GRAND PRIX」のバイクが前作に比べて操作しづらくなっているように感じるという点です。
どこが違うのかと言うと、横方向のタイヤのグリップが前作よりも大きくダウンしているのです。そのため、コーナーで転びやすくなっており、より慎重なライディングが要求されるようになっています。
この理由としては、操作性自体が変わってしまったのか、本作から「GRAND PRIX」では4ストロークしか使えなくなったからか、の2点が考えられます。
2ストローク使いの私としては、4ストロークしか使えなくなったことが理由かどうかは分かりません。
しかしながら、2ストロークを使う「EXTREME」では、2ストローク使いの私が前作同様のライディングスタイルを貫けることから考えると、「GRAND PRIX」で4ストロークしか使えなくなったことが理由のひとつとして考えられるかもしれません。
もしくは、「GRAND PRIX」の操作性を少しシビアにした分、「EXTREME」では前作同様の操作性を残しているのでしょうか。

【GAMEPLAY】9
「MotoGP」シリーズは、変化や進化がなさそうでいて、毎回、大きな変化や進化を見せてくれます。
本作の大きな変化は、「EXTREME」が加わって「GRAND PRIX」との2本柱になったことと、新たにシードが導入されたことです。
また、難易度が高くて不評だった「Training」をばっさりと切り捨てたことや、不自然なパワースライドが弱められたことは、大きな進化だと言えるでしょうか。
まず、「EXTREME」の追加ですが、これはとても喜ばしいことです。
架空のバイクとライダーとコースということで、最初は誰もが違和感を感じるはずですが、すぐに慣れますし、前作の2ストロークの動きに近いため、前作で2ストローク使いだった人は、楽しんでプレイできるのではないかと思います。
公道コースで、山岳、田園、都市、峠、砂漠、ジャングル、石畳、首都高速などさまざまなシチュエーションがあるため、変化に富んでいて新鮮な気持ちでプレイすることもできます。
また、タイムを詰めていくと、これもやはり「MotoGP」で、ラインどりやアクセルワーク、ブレーキングポイントなどを探り出していく楽しみ(苦しみ)も味わえます。
もっとも、操作性が「GRAND PRIX」とは異なるため、オンラインでは「GRAND PRIX」派と「EXTREME」派に分かれてしまいそうなのが少し残念なところではあります。

シードの導入は、「Training」の廃止に伴って本作に導入された新たな攻略要素と考えることができます。
両者の違いは、「Traning」は難易度が高いものの慣れると半日もかからずにクリアできてしまうのに対し、シードは難易度こそあまり高くはないもののシード1になるためには週単位で時間がかかってしまうという点です。
シード1を達成すると満点のバイクを作ることができ、前作同様にステータスシンボルとなり得るため、やりがいもでてくるのではないでしょうか。
実際、シード2からシード1へはレジェンドで5シーズン全勝優勝する必要がありますが、シード1に上がった時の喜びは大きなものがあります。
不自然なパワースライドが弱められたのは歓迎すべき材料ではあります。ただ、相変わらずパワースライドをした方が明らかに速く走れるようで、このあたりは次回作では更なる調整が必要なのではないでしょうか。
また、AIが横暴な点も改められてはいませんでした。多くの場合、AIは自らのラインやスピードを主張して前を行くプレイヤーを転倒させますし、当たりの強さは装甲車を相手にしているほどです。
「GRAND PRIX」の操作性も併せて、これらはぜひとも改善してほしいところです。

【LONGEVITY】10
本作でも、「SINGLE PLAYER」はXbox LIVEのオンライン対戦のためにあると言っても過言ではありません。
「SINGLE PLAYER」をやるだけでも、「GRAND PRIX」と「EXTREME」(600、1000、1200)の4種類を楽しむことはできますし、難易度もルーキー、プロ、チャンピオン、レジェンドの4段階ありますが、「SINGLE PLAYER」だけではそれほど長くは楽しめないのではないかと思います。
やはり、シード1というステータスシンボルと、バイクの満点のクレジットという満足感を得るために「SINGLE PLAYER」をやり込み、オンラインデビューするというのが本作の醍醐味になります。
そして、オンラインで対戦したり、スコアボードでランキングを上げたりすることが、本作の最大の楽しみであると言えるでしょう。
そう考えると、シードを1まで上げるためには数十時間を要しますし、「TIME TRIAL」や「MULTIPLAYER」を行えば100時間でも200時間でも費やすことができます。
ここでは、シード1の獲得を前提として、「10」にしておきます。

【OVERALL】10
本作も「MotoGP」シリーズらしく、つらく苦しい体育会系のゲームです。しかし、そのつらさ苦しさに耐えて自分のスキルを向上させてこそ、Xbox LIVE上で真の喜びが得られるのです。
カスタムバイクで320のバイクを作るのは大変な根気と時間を要する作業で、トップクラスのプレイヤーの中にも満点のカスタムバイクを作ってはいない人が少なくはありません。
満点のカスタムバイクは、ステータスシンボルと言うこともできるでしょう。レースゲーム上級者ならこれに挑戦してほしいところですが、Xbox LIVEでは自分のレベルに合わせたセッションも選べるため、ここまでつらく苦しい思いをせずに適当に楽しむのも悪いことではありません。
上級者から初級者まで思い思いの楽しみ方ができるのが本作のいいところなのです。本作では新たに「EXTREME」が加わって楽しみも増していますし、Xbox LIVEに対応しているということで「10」は当然になるでしょう。

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