「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」レビュー&ウォークスルーインデックス

「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」は、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」と「最後の聖戦」の間の時期を舞台にした1人称視点のアクションアドベンチャーゲームです。
物語の舞台は1937年。邪悪な勢力が“大円環”につながる古代の力の秘密を求め、世界中を探し回っています。
プレイヤーは、インディ・ジョーンズとなり、探検や没入感あるアクション、心躍る謎解きが満載の、スリルあふれる冒険の世界に飛び込みます。
才能ある考古学者として、誰もが知る鋭い知性、機転、トレードマークのユーモアを生かし、敵たちと競い争いながら世界中を駆け巡り、史上屈指の謎につながる秘密を解き明かします。
彼のトレードマークである鞭は、メイン装備として敵の陽動や無力化や攻撃に使用できるだけでなく、移動時に最大の効果を発揮します。

「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」と「最後の聖戦」のようなゲームと言って思いつくのは、「アンチャーテッド」シリーズと「トゥームレイダー」シリーズです。
「アンチャーテッド」シリーズは、プロのトレジャーハンターであるネイサン・ドレイクが主人公の3人称視点のアクションアドベンチャーゲームです。
2007年に「PlayStation 3」で1作目が発売されたのを皮切りに、「PlayStation Vita」版もリリースされています。
私も、「PlayStation Vita」版を手始めに、「PlayStation 4 Slim 500GB Console – Uncharted 4 Bundle」を購入してプレイしています。
「インディ・ジョーンズ」を彷彿させるゲーム内容やゲーム性で、「PlayStation」を代表するアクションアドベンチャーゲームに仕上がっています。
「トゥームレイダー」シリーズは、上流階級のトレジャーハンターであるララ・クロフトが主人公の3人称視点のアクションアドベンチャーゲームです。
1996年に1作目が発売されたのを皮切りに、第1シリーズから第3シリーズまで数多くの作品がリリースされています。
私も、好きなシリーズで、グラフィックやユーザーフレンドリーさが増した第3シリーズは実績をコンプリートするタイトルがあるほどです。
ちなみに、当初は男性キャラクターとして制作されていましたが、インディ・ジョーンズみたいということで女性キャラクターのララ・クロフトに変更されています。
「アンチャーテッド」シリーズも「トゥームレイダー」シリーズも後に映画化されていますが、「インディ・ジョーンズ」は逆に映画のゲーム化というパターンになっています。

「インディ・ジョーンズ」は古くからゲーム化されていますが、「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」は実に15年ぶりのゲーム化とあって大きな期待と注目を集めていました。
本作を開発するMacineGamesは、2009年にスウェーデンのウプサラで小規模なチームとしてスタート。
2010年7月にBethesda Softworksと合意して「WOLFENSTEIN」シリーズを開発し、同年11月にBethesda Softworksの親会社であるZeniMax Mediaに買収されています。
ちなみに、マイクロソフトが2021年3月にZeniMax Mediaを買収しているため、現在はマイクロソフトの傘下にあるというわけです。
MachineGamesが開発することになった経緯は、「WOFFENSTEIN」シリーズを手がけており、そこにナチスが中心的な敵役として描かれていたこともあるからだそうです。
ゲームが主に1人称視点であり、カットシーンだけが3人称視点になるのも、そのあたりが関係しています。
また、1人称視点が採用されている理由として、プレイヤーがインディ・ジョーンズの役割に没頭できるようにという考えも挙げられています。

前述したように、物語の舞台は、「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」と「最後の聖戦」の間の時期である1937年。
邪悪な勢力が“大円環”につながる古代の力の秘密を求め、世界中を探し回っているのですが、この邪悪な勢力こそがナチスです。
そして、そのナチスと手を組んでいるのが考古学者のエメリッヒ・フォスで、圧倒的な勢力を誇るファシストをバックにインディ・ジョーンズの前に立ちはだかります。
また、ローカスという謎の巨人がマーシャル・カレッジに侵入してネコのミイラを盗むところから物語が動き始めます。
さらに、記者のジーナが彼女の姉であるローラの失踪についてエメリッヒ・フォスを調査しており、インディ・ジョーンズとチームを組むことになります。
物語は、インディ・ジョーンズと彼を取り巻くこれら3人の人物によって構成されるのですが、この組み合わせが「インディ・ジョーンズ」らしさを表現するものになっています。
物語の舞台も、マーシャルカレッジ、バチカン、ギザ、ヒマラヤ、上海、スコータイ、ジグラットと進んでいき、「インディ・ジョーンズ」のスケールの大きさを踏襲するとともに、プレイヤーを飽きさせないようになっています。

ゲームシステムは、1人称視点のアクションアドベンチャーゲームらしく、マップごとに規模は異なるもののオープンフィールドの中を駆け巡って冒険して謎解きしてと、自らが学者であり冒険家であるインディ・ジョーンズとなって大活躍することができます。
「アンチャーテッド」と「トゥームレイダー」が3人称視点なのに対し、「インディ・ジョーンズ」は1人称視点になっているのがゲームシステムとして特徴的なところでしょう。
これには、前述したような、MachineGamesが開発しているという点やプレイヤーがインディ・ジョーンズの役割に没頭できるようにという考えがあります。
個人的には、キャラクターものやステルス要素があるゲームは3人称視点の方が適していてプレイしやすいと思いますし、本作でもある程度は配慮されています。
鞭を使って移動したり狭いところを上下左右に移動したりするというシーンでは、客観視点の3人称視点が取り入れられているのです。
それでも、服を盗んで着替えることで敵に怪しまれないといった要素もある(ステルス)アクションアドベンチャーゲームでもあり、終始、3人称視点を選べるようになっていれば良かったと思います。

1人称視点ではあるのですが、アクションアドベンチャーゲームとしての操作性は良好です。
移動に大きなストレスを感じることはありませんし、戦闘も近接戦闘を中心に没入感が得られます。
ステルスも、周囲の敵に気づかれているかどうかは敵に表示される円グラフで分かりますし、敵のセリフで把握することもできます。
パズルは、ヒントを段階的に見ることもでき、パズルの解き方に迷ったら、それを見るということもできます。
パズル自体は、とてつもなく難しいということもなく、解き方のメモを見つけられる場合もあり、ゲームのテンポを大きく損ねたり、先に進むのを断念したりということもないでしょう。
グラフィックも美しく、マーシャルカレッジ、バチカン、ギザ、ヒマラヤ、上海、スコータイ、ジグラットが美しく描かれており、自然の景観や厳しさ、人々の生活感を堪能することができます。
サウンドも見事で、日本語吹き替えも優れた声優陣による安定した演技力で物語に浸れるようになっています。
操作性も良好で、大きなストレスを感じることもないのですが、壁の一部で登れるところが分かりにくいところもあり、このあたりは強調表示があっても良かったかなと思います。

物語は、マップごとに規模は異なるもののオープンフィールドの中を駆け巡って冒険して謎解きして進めるわけですが、楽しみは単に物語を進めるだけではありません。
メインのストーリーを包めつつ、「ミステリー」だの「フィールドワーク」だの様々なサイドクエストが存在しており、プレイヤーはより多様なプレイスタイルで楽しむことができます。
また、これらのサイドクエストを積極的にプレイすることで、物語により深くかかわることができたり、RPGのように自らのスキルを上げたり、変装のための服を見つけたり、マップに習熟したり、することができます。
これらのサイドクエストは、シンプルで短いものがあったり、それなりの時間を要するものがあったりで、どれが楽しく感じ、どれが面倒に感じるかは、人それぞれでしょう。
やり残したサイドクエストがあっても、ゲームをクリアしてから各マップを訪れて挑戦することができるため、面倒だったり先を急ぎたかったりすれば後回しにすることもできます。
問題は、メインのストーリー自体が骨太でエンディングまで丁寧に作られておりクリア後の達成感が半端ではないし、マップも場所によっては広大なため、クリア後にサイドクエストをやりに戻ろうという気力が起きるかどうかです。

このように、本作は「インディ・ジョーンズ」のゲーム化作品としては15年ぶりに登場したわけですが、開発チームの5年に及ぶ物語や登場人物、ゲームシステムへのあくなき取り組みにより、ライセンスゲームとしてはもちろんのこと、アクションアドベンチャーゲームとしても傑作に仕上がっています。
マイクロソフト傘下のBethesda Softworksのゲームとして「Xbox Game Pass」でプレイできるため、まだの人はぜひともプレイしてほしいところです。

【ウォークスルーインデックス】
#1(豊穣の女神像)
#2(侵入者)
#3(盗まれた猫のミイラ1: サンタンジェロ城)
#4(盗まれた猫のミイラ2: バチカン市)
#5(盗まれた猫のミイラ3: ニコラウス5世の塔1)
#6(盗まれた猫のミイラ4: ニコラウス5世の塔2)
#7(盗まれた猫のミイラ5: 修道女)
#8(フィールドワーク: 常軌を逸した神父)
#9(フィールドワーク: サベージの発見)
#10(フィールドワーク: ピンチの修道女)
#11(フィールドワーク: 巨人の秘密、盗まれた猫のミイラ6(告解の噴水))
#12(盗まれた猫のミイラ7(告解の噴水地下))
#13(盗まれた猫のミイラ8(秘密修道院))
#14(レースの始まり)
#15(ミステリー: 幸運の訪れ、ラーの像1(村の市場に向かう))
#16(ラーの像2(村の市場)、ミステリー: 永遠の座)
#17(ラーの像3(石碑を集める))
#18(ラーの像4(トンネル~フォスの執務室))
#19(ラーの像5(フォスの後を追う))
#20(ラーの像6(夢の碑文を解読する~光の闇を解く))
#21(ラーの像7(渡る方法を見つける~神殿の探索))
#22(過酷な山登り1(戦艦に向かう~戦艦を調べる)
#23(過酷な山登り2(石を見つける))
#24(炎の中へ)
#25(楽園の危機)
#26(スコータイ(聖なる真珠、ミステリー: 子供の遊び)
#27(スコータイ(フィールドワーク: 消えた若者1))
#28(スコータイ(フィールドワーク: 消えた若者2))
#29(スコータイ(フィールドワーク: 過去にとらわれて))
#30(スコータイ(フィールドワーク: フォスの秘蔵の埋蔵金)
#31(スコータイ(聖なる真珠2))
#32(スコータイ(聖なる真珠3))
#33(スコータイ(聖なる真珠4))
#34(スコータイ(フィールドワーク: 恐怖の研究))
#35(スコータイ(ミステリー: 猿騒動、文字から数字へ))
#36(スコータイ(聖なる真珠5))
#37(ジグラット(贖罪1))
#38(ジグラット(贖罪2))

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