「BRAMBLE: The Mountain King」レビュー&ウォークスルーインデックス

「BRAMBLE: The Mountain King」は、ダークな北欧神話テイストの世界を舞台にしたホラーアクションアドベンチャーゲームです。
物語の舞台はブランブル。この美しくも幻想的な土地には、大小様々なクリーチャーがおり、森や洞窟には腹を空かせた獰猛な獣たちが無数に潜んでいます。
プレイヤーは、少年オーレとなり、恐ろしいトロールにさらわれた姉・リリモールを救う冒険へと旅立ちます。
そして、魔法のかけら「勇気のひらめき(Spark of Courage)」を呼び起こし、旅の道中で待ち受ける恐ろしいクリーチャーに立ち向かい、危険な旅を生き延びます。

本作を開発したDimfrost Studioは、スウェーデンのノルショーピン中心部にあるインディースタジオです。
ノルショーピンは、ストックホルムから電車で1時間ほどのオシュテルヨートランド地方にあり、スウェーデンの重工業の拠点として栄え、現在はリンショーピン大学のキャンパスがあるなどアカデミックな都市の一面も見せています。
スタジオは、4人の大学生が自分たちのゲームスタジオを作るという夢を抱いたことから始まり、2017年に小さいながらも情熱的なチームとしてスタート。
同年には、最初のゲーム「A Writer and His Daughter」をリリース。「BRAMBLE: The Mountain King」は2作目になります。
2020年にはマキシマム・エンターテインメント傘下のModus Studiosの一部となり、安定した環境の下で成長を続けています。

物語は、オーレの子供部屋で彼がロウソクに火を灯して部屋の中を見て回るところから始まります。
プレイヤーがオーレとなり、ベッドサイドテーブルのマッチ箱を動かし、右手前の机の上にある絵本を読み、壁で背比べをし、本棚のフィギュアを眺め、壁の絵を調べ、ドアを開け、最後に窓を開けます。
この暗示的なシーンは物語のとある場所で再び現れることになるのですが、そのことはあえて覚えておかなくてもプレイヤーの記憶を呼び覚ましてくれることでしょうし、作り手のうまさを実感させられるシーンでもあります。
物語に話を戻すと、オーレが近くの森を奥へ奥へと進んでいくと、そこには主人公のかわいらしさとは裏腹に摩訶不思議な世界が広がっています。
タイトルカットからはファンタジックな世界で姉弟が冒険を繰り広げる物語かのような印象を受けるのですが、ゲームの説明文にもあるようにここがダークな北欧神話テイストの世界を舞台にしたホラーアドベンチャーゲームであるということが徐々に明らかになっていくのです。
近くの森からノームの森に入っていくと小さくて愛らしいノームたちがいて、当初イメージしていた童話の世界らしさも味わえます。
それも束の間、姉のリリモールが恐ろしいトロールにさらわれてしまいます。ここから、オーレのリリモールを救う冒険の旅が始まるわけです。

もっとも、冒険の旅と言っても、それが童話のようなファンタジックなものではなく、”ダークな北欧神話テイストの世界を舞台にしたホラーアドベンチャーゲーム”以上の”本当は怖い童話”の世界が繰り広げられます。
プレイヤーは、トロールの森からネッケンの池と進むに連れ、この世界がいかに恐ろしい世界であり、プレイヤーキャラクターであるオーレがあっさりと死んでしまうということに直面させられます。
しかも、その死に方も想像以上にショッキングなものであり、それが4K Ultra HD、60fps+のリアルなグラフィックの中で繰り広げられるのです。
タイトルカットのファンタジックな世界で姉弟が冒険を繰り広げる物語かのような印象を受けてプレイし始めたというプレイヤーは、襟を正してプレイせざるを得なくなることでしょう。
私も、プレイを進めるに連れて当初のイメージとは違うなと感じるようになってはいたのですが、4Kによるリアルで美しいグラフィックは望むところであり、そのグラフィックを堪能しながらプレイを進めていきました。
本作は、その舞台が森や池や沼などの大自然であり、建造物もそんな大自然の中に建てられた木造建築が大半であるだけに、4Kによるリアルなグラフィックでそれらの大自然の美しさがより強調されるのです。

また、サウンド面で特徴的なのは、本作ではオーレやリリモールをはじめとした登場人物がセリフをしゃべることはなく、すべては女性ナレーターによるナレーションによって語られるという点です。
また、図書館などで本を見つけると、それらはまさに童話のようなグラフィックで物語がつづられているのですが、そうした物語も同じ女性ナレーターになって音読されていきます。
本作がダークな北欧神話テイストの世界を舞台にしたホラーアドベンチャーゲームでありながらも、どこか童話のような雰囲気を感じさせるのも、女性ナレーターのナレーションと、本によって物語が語られるということが関係しています。
その物語も、ダークな北欧神話テイストだったり、本当は怖い童話よろしく、ダークで悲しい物語がつづられているため、子供向けの童話ではなく、大人向けの童話のような奥深さを感じさせられます。

ゲームのジャンルとしてはホラーアドベンチャーゲームとなっているのですが、足場を移動したり、ノームたちを誘導したり、ボスキャラと戦ったりするなど、アクション要素が色濃くなっており、アクションアドベンチャーゲームと言っても過言ではないでしょう。
本作は3Dゲームなのですが、視点は主人公であるオーレを背後から追従するのではなく、奥や横に移動するキャラクターを手前から眺めるような視点になっています。
その分、作り手の意図が色濃く出るものになっており、そのあたりからも童話を読んでいるかのような世界観が生まれています。
アクションの難易度としては、足場を移動するようなものはどちらに飛べばいいのか分かりづらい場合があり、これが時間との戦いとなる局面では少し厄介です。
また、ノームたちを誘導する際には、彼らの動きがままならないことがあり、トラップを回避しながらノーム8人を引率する場面ではかなり気を遣います。
まさにアクションアドベンチャーゲームと思えるのが、何度か遭遇することになるボス戦で、それぞれのボスに特徴があってかなり苦戦させられます。
それぞれのボスの特徴や攻撃方法、その避け方をマスターするまでに、かなりの試行錯誤が必要になることでしょう。

本作は、ゲームとしては大作というわけではなく、単にクリアするだけなら10数時間といったところでしょうか。
アクションアドベンチャーゲームらしく、物語を楽しみ、謎解きやアクションを堪能し、ボス戦で苦戦したとしても、平均的な腕前のプレイヤーならそれぐらいでクリアできると思います。
また、タイトルカットを見てプレイしてみたいと思い、実はダークな北欧神話テイストの世界を舞台にしたホラーアドベンチャーゲームであり、本当は怖い童話だったとしても、十分に楽しめるはずなので、ぜひともプレイしてもらいたいと思います。
実績も、アドベンチャーゲームならではのアイテム収集こそあるものの、ストーリーを追ってプレイすればある程度は解除できます。
やっかいなのは、「Survivor」という実績で、1度も倒されたり死んだりすることなくゲームをコンプリートします。
私も、この実績の解除を狙っていて、死んでしまったらコンソールのセーブデータを削除してクラウドのセーブデータと同期するという方法で挑んでいました。
しかしながら、終盤のボス戦でこれをうっかりやり損ねたらしく、1度死んでしまうというデータが残ってしまったため、この実績だけ解除できず実績解除は29/30にとどまりました。実績コンプリートを狙う人はこの方法を確実に繰り返してほしいところです。
何はともあれ、ファンタジックな雰囲気のアクションアドベンチャーゲームが好きな人なら楽しめるゲームで実績もそれなりに解除できるので、楽しみながらプレイできるはずです。

【ウォークスルーインデックス】
#1(チャプター1: 子供部屋、チャプター2: 近くの森)
#2(チャプター3: ノームの森、チャプター4: 頂上 パート1)
#3(チャプター5: トロールの森)
#4(チャプター6: ネッケンの池)
#5(チャプター7: トゥーバ パート1、チャプター8: 頂上 パート2、チャプター9: トゥーバ パート2)
#6(チャプター10: 沼、チャプター11: 図書館)
#7(チャプター12: スコグサラの木立)
#8(チャプター13: 疾病の村)
#9(チャプター14: ペスタの悪夢、チャプター15: 頂上 パート3)
#10(チャプター16: 山の王の広間、エピローグ)

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