「RAVENLOK」レビュー&ウォークスルーインデックス

「RAVENLOK」は、魅惑的なおとぎ話の世界を冒険するアクションアドベンチャーRPGで、インディースタジオCococucumberのボクセル3部作の完結編になります。
神秘的な鏡と出会った少女レイヴンロクは、専制的な女王の不吉な闇に苦しむ奇妙な世界に連れていかれてしまいます。
プレイヤーはレイヴンロクとなり、映画的タッチの3Dピクセルアートを駆使した美麗な世界で、不思議な生き物たちと出会い、気まぐれなキノコの森を発見し、マスクの館でのパズルに挑みます。
そして、剣と盾を手に取り、魔法のスキルを駆使し、恐ろしい獣や強敵のモンスターとリアルタイムバトルを繰り広げ、迷宮の謎を解き明かすのです。

Cococucumberは、ヴァネッサ・チアとマーティン・ゴーヴローが率いるインディースタジオで、カナダのトロントを拠点にインディーズゲームを開発・発売しています。
本作は、冒頭でボクセル3部作と書いているように、2019年にリリースされた「RIVERBOND」、2021年にリリースされた「ECHO GENERATION」に続くボクセルシリーズ第3弾にして完結編になります。
「RIVERBOND」は、斜め見下ろし型のシュート&スラッシュ・ダンジョンクローラーでソロでもマルチでもプレイすることができました。
「ECHO GENERATION」は、グラフィックが視点的にも色合い的にも大きく進化したターンベースのアドベンチャーゲームです。
「RAVENLOK」は、その2作品いずれともスタイルが異なるリアルタイムのアクションアドベンチャーRPGになっています。
それでも、本作はボクセルグラフィックの進化の先にあるとともに、スタジオとプレイヤーの成長にも寄り添ったものになっています。それがボクセル3部作の完結編とされる由縁なのです。

本作はセーブファイルを選ぶところから始まるのですが、オプションは極めて少なく1ページしかありません。選べる項目は、サウンドボリューム+αだけなのです。
言語選択や難易度選択も存在しなかったのですが、私が実績をコンプリートした後の2023年5月5日に「パッチ1」(Ver. 1.0.29.0)が当たっています。
言語は、英語だけでなく、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語が加わり、難易度は、イージー、ノーマル、ハード、から選べるようになり、カメラはX軸とY軸の反転が加わっています。
日本語は2023年夏のアップデートで加わるようですが、それ以前にプレイする場合は英語音声・英語字幕でプレイということになるでしょう。
難易度は、難易度選択がなくても何ら難しくはなかったし、難易度実績が追加されたわけでもないため、ノーマルを選んでおけば問題ありません。
カメラは、3Dと言っても完全な3Dではなく2.6Dといったところなので、X軸とY軸の影響はないと言っても過言ではなく、あえて反転せずとも良さそうです。
ちみなに、私は完全な3ゲームはY軸は反転させないとプレイに支障をきたすのですが、このゲームに関してはそういった問題は皆無でした。

物語は、レイヴンロクと飼い犬が丘の上で過ごしているところから始まります。主人公の名前を決め、愛犬のワッフルズに装着するアイテムを選んだら、父に呼ばれるので、奥から家の庭に入ります。
ここでまず、本作の特徴であるボクセルグラフィックの田園風景ならではの温かくも美しい景色に心を癒されます。
ここで、父と母に様々な頼みごとをされるのですが、この牧歌的な風景の中がチュートリアルの舞台にもなるのです。
そして、ここでの最後のクエストである「INTO THE BARN」で、鏡をクリーニングクロスで拭くことでこのクエストが完了し、現実世界からおとぎ話の世界に連れていかれます。
ここから、魅惑的なおとぎ話の世界を冒険する旅が始まり、迷宮の謎を解き明かし、専制的な女王を倒し、この世界に平和をもたらすことになります。
最初に下り立ったストーンガーデンでウサギのようなフィンに話しかけることから「不思議の国のアリス」を連想させますが、ヴァネッサ・チアによると「インスピレーションのひとつ」ではあるそうです。
彼女によると、映画「ラビリンス 魔王の迷宮」、「ネバーエンディング・ストーリー」、「ナルニア国物語」といった名作を数えきれないほど見直し、「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」、「千と千尋の神隠し」は素晴らしいインスピレーション源になっているそうです。
私はこうした予備知識なしにファンタジックなストーリーとグラフィックで本作を選んだのですが、これからプレイするという人はこれを踏まえた上でプレイするといいかもしれません。

本作は、このファンタジックな世界にいる、まさにおとぎ話の世界の住人に話を聞いてクエストを受けることで話が進んでいきます。
大半のアドベンチャーゲームは、それぞれのメインクエストとサイドクエストは個別に存在しているものなのですが、本作はそれぞれのクエストが複雑に入り組んでいます。
本作では、クエストを進めるためにおとぎ話の世界の住人に話しかけていくのですが、彼らに話しかけるごとにクエストを依頼されるため、同時進行するクエストが最大で10個ぐらいまで膨れ上がります。
私は、オープンワールドアクションアドベンチャーゲームで、メインクエストとサイドクエストを複数同時に受けることは珍しくはないのですが、さすがに最大10個ほどを同時に受けたことはありません。
それだけに、最初は不覚にもクエストを受けてしまうということに警戒していたのですが、本作は複数のクエストを同時に進行させることが前提のつくりになっているということが分かった時点で、それは受け入れるようになりました。
本作では、新たなクエストを受けた際に、そのクエストを進行させることで、別のクエストでやるべきことがやれるようになっているのです。
このあたりは慣れないうちは不安になってくることもあるかと思いますが、そういうものだと思ってプレイすることを心がけると気が楽になるでしょう。

本作はおとぎ話の世界を移動しながらクエストをこなしていくのですが、移動はシームレスというわけではなく、今いるエリアの端まで行くとカメラが切り替わり新たなエリアに入るようになります。
また、上記したように、本作は3Dと言っても完全な3Dではなく2.6Dといったところになっています。
どういうことかと言うと、2.5Dのゲームは基本は横スクロールになっているもののグラフィックは3Dで場所によっては奥にも行けるようになっています。たとえば、「TREK TO YOMI」がそうです。
本作の場合、カメラはあくまでも手前にあるのですが、2.5Dゲームのようにカメラアングルが固定されているわけではなく、奥行き方向はカメラの角度を扇状に少しだけ動かせるようになっているため2.6Dと呼んだのです。
ボクセルグラフィックのカメラアングルが、斜め見下ろし型から2.5Dになり、本作で2.6Dになったわけで、次回作では完全3Dへと進化するのでしょうか。

さて、クエストを進めて行けるエリアが増えていくことで、ストーンガーデンを含むエリアとは全く様相が異なるエリアに行けるようになります。
そして、それぞれのエリアに用意された鏡に触れてアクティブにすることで、これまで行ったことのあるエリアにワープできるようになります。
ストーンガーデンがあるヴィクトリアハウスを手始めに、ウィッチズハウスアティック、ティーパーティーなど、行けるエリアは次々と増えていくのですが、それぞれのエリアは景色が大きく異なるため、初めて訪れる際には特に新鮮です。
そして、それらの世界に共通しているのは、おとぎ話の世界らしさにあふれているということです。
カラフルでかわいらしい景色なのはもちろんのこと、植物も、NPC(操作できないキャラクター)も、敵やモンスターも、おとぎ話の世界の公式にならっているのです。
そのため、それぞれのエリア内を探索する際は、楽しさやワクワク感に満ちており、主人公を通じて自らがおとぎ話の世界に入り込んだかのような気にさせてくれます。

また、ストーンガーデンは安全ですが、それ以外のエリアには敵やモンスターがいます。
こうした敵やモンスターもまた、おとぎ話の世界の住人そのものであり、それぞれがかわいらしく描かれています。
そして、これらの敵を倒せば経験値を稼ぐことができ、魔女の家の右手前にいるデッカーに話しかけると、キャラクターのレベルを上げることができます。
レベルは、ヘルス、スタミナ、ストレングス、バレットスプレーの4項目がまとめて上がるため、どのスキルをあげようかと頭を悩ませる必要はありません。
また、エリアを出入りしてカメラが切り替わるごとにお金の入った壺と敵やモンスターが復活しているため、お金を稼いだりスキルをアップさせたりするのも難しくはないでしょう。
それぞれのエリアにはボスキャラも控えているのですが、いずれの戦闘も厳しくはありません。たいていはボスの攻撃圏外に逃げることができる上、順次覚えるLBボタン、RBボタン、左右のトリガーによる攻撃を駆使すれば苦労せずに倒せます。
このように戦闘の難易度が低めに抑えられているのも、おとぎ話の世界を冒険する本作ならではのやさしさでしょうか。

ストーリーは、魅惑的なおとぎ話の世界を冒険するアクションアドベンチャーRPGで、幅広いプレイヤー層を想定していることからか、おとぎ話の王道らしい展開を見せ、プレイヤーも終始ほのぼのとした気持ちでプレイすることができます。
敵やモンスターとの戦闘はボスですら厳しくはなく、クエストは半ばで混沌とするものの気にせず進めていけば収束し、パズル要素もそんなに難易度は高くはなく、老若男女誰しもがプレイし続けていればクリアできるようになっています。
「不思議の国のアリス」などのファンタジックな映画からインスピレーションを得て、映画的タッチの3Dピクセルアートを駆使した美麗なボクセルグラフィックの3部作の完結編とあれば、ゲームの完成度の高さは保証されたようなものです。
ただ、音声がフルボイスどころか一切入れられていないというのは最近のゲームとしては珍しく、そのあたりは頑張ってほしかったところです。このグラフィックに良質なボイスアクティングが加われば、没入度はより一層増したと思われます。
プレイ時間は、本作の世界観をしっかりと味わい、お金稼ぎやレベル上げにも配慮し、実績コンプリートも意識すれば、10時間ぐらいはかかります。大作とは言えないものの、心地良い時間を過ごせることでしょう。
ローンチで「Xbox Game Pass」入りもしており、ぜひともプレイしてほしいところですし、そこから外れていたとしても、セールの際にでも購入する価値はあります。ぜひ、このおとぎ話の世界の冒険を楽しんでください。

【ウォークスルーインデックス】
#1(ARM YOURSELF)
#2(FUNGI PATHWAY、STAG ASSISTANCE)
#3(POTION MAKING、OPEN THE SHOP、AWAKEN THE SPIRITS、SPRINGBLOOM SYMPHONY)
#4(POTION MAKING、OPEN THE SHOP、AWAKEN THE SPIRITS、SPRINGBLOOM SYMPHONY)
#5(TEA SETS、SLIMY TREASURES、EXOTIC CONFECTIONERY、NIGHT TERRORS、FUNICULAR ACCESS)
#6(RUNESTONE PUZZLE、SLEEPING GODDESS)
#7(GOLDEN ONE、DRAGON’S BRIBE、IT’S TIME)
#8(SHATTERED MIRROR、UNWANTED CREATURE、VISITING THE BOTANIST、CASTLE GATE)
#9(STEALTH MODE、DOOR OF DESTINY、CASTLE GATE、QUEEN’S CHAMPION! 2 ROUNDS)

Copyright (C) Cococucumber 2022 2023 All Rights Reserved.

コメント

タイトルとURLをコピーしました