「MotoGP’06」ウォークスルー&レビュー

【GENRE】
レース、バイク

【PUB./DEV.】
THQ/CLIMAX

【RELEASE DATE】
2006/6/12

【OUTLINE】
THQの「MotoGP」シリーズ第4弾となる、MotoGPのオフィシャルライセンスゲームです。本作は、前作の発売から9ヵ月ほどしか間がないため、前作のキープコンセプト版となっており、システム面では大きな違いはありません。
シードの概念が残されていたり、「SINGLE PLAYER」が「GRAND PRIX」と「EXTREME(600、1000、1200)」で構成されるのも同じです。
ただ、「GRAND PRIX」は2005年シーズンと2006年シーズンから選ぶことができ、トラックも2006年版が収録されています。また、「MotoGP2」で恐れられた「CHALLENGE」が復活しています。

【GAME MODE】
SINGLE PLAYER
シングルプレイの3モードがあります。

QUICK RACE
「GRAND PRIX」と「EXTREME」から任意のトラックとライダーを選んでレースすることができます。アンロックしていないライダー、トラックは選ぶことができません。ライダーは、自ら作成したものを使うことはできません。
「EXTREME」のトラックは、「GRAND PRIX」の対応した順番のトラックを走ることでアンロックできます。例えば、「GRAND PRIX」の5戦目をプレイしたら、「EXTREME」の5戦目のトラックが解除されるというわけです。

RACING CAREER
本作を始めたら、例によって最初にライダーを作成しなければなりません。
ライダーは、ネーム(ゲーマータグ)、ヘルメットデザイン(10種類から選択)、バイクデザイン(ロゴ、マーク、アルファベットなど8パターンをカスタマイズ)、ライダーレザー(レザータイプを選び、カラー、フロントロゴ、リアロゴをカスタマイズ)、チームネーム(任意に設定)、レーシングナンバー(2ケタまでの選択肢から選択)、国籍を設定します。
次にライダーのクレジットを、コーナリング、ブレーキング、トップスピード、アクセラレーションに割り振ります。当初は18ポイントが与えられており、規定の範囲内で各要素に割り振っていきます。
クレジットの振り分けは、人それぞれのスタイルにより異なりますが、当初は、コーナリングを最優先で強化し、トップスピードを軽視するのが定石です。もっとも、クレジットは自由に増減できるため、あまり神経質になる必要もありません。
クレジットは、シードが上がるごとに与えられ、より強力なバイクを作ることができます。最後にプレイヤーロゴを作成することも可能で、レザーの前後に表示させることができます。

本作では、前作同様にシードの概念があり、シード100からスタートして、自分よりシードの高いライダー(AI)に勝つことで上昇していき、最終的にはシード1まで進めることができます。
「CAREER MODE」には、「GRAND PRIX」と「EXTREME」があり、その両方でシードを上げることが可能で、通常はAIの方がシードが高いため勝たなくても上位に入賞すればシードを上げられます。
前作ではシード1にするのに、全モード通算で20シーズンぐらいを要したと思うのですが、本作では13シーズンでシード1を達成しています。
しかも、本作からは「Xbox 360」ということで実績があり、「GRAND PRIX」のルーキー、プロフェッショナル、チャンピオン、レジェンド、「EXTREME 600」のレジェンド、「EXTREME 1000」のレジェンド、「EXTREME 1200」のプロフェッショナル、チャンピオン、レジェンド、のそれぞれで実績を解除することができます。
レジェンドをアンロックするには、チャンピオンでシリーズチャンピオンになる必要があるため、最低でも11シーズンプレイしなければなりません。ですから、シード1になるために余計にプレイするのは、わずか2シーズンだけということになります。
その上、実績には、すべての「EXTREME」のバイクを所有するという項目もあるため、シード1の獲得と並行して、このための賞金稼ぎを行うこともできます。
つまり、前作のようにシード1をめざして延々とプレイする必要はないというわけで、この点に関しては前作よりもシード1が楽に狙えるようになっています。

本作では、これまでの「MotoGP」シリーズ同様に、ライダーのクレジットを、コーナリング、ブレーキング、トップスピード、アクセラレーションに割り振ります。
各要素に振り分けられるクレジットは、「MotoGP」では30クレジットずつ、「MotoGP 2」では50クレジットずつ、「MotoGP 3」では100クレジットずつ、となっていました。
しかし、いずれも、すべてのクレジットを獲得しても、各要素のクレジットを満点まで振り分けることができませんでした。
例えば、「MotoGP 3」では、320クレジットまでしか稼げないため、コーナリング、トップスピード、アクセラレーションは100クレジットにして、ブレーキングは20クレジットにするというのが一般的でした。しかし、トップスピードを90クレジットにして、ブレーキングを30クレジットにするといった考え方も存在していました。
ところが、本作では、最高で400クレジットまで稼げるため、最終的には100/100/100/100のバイクが作れてしまいます。そのため、クレジットの配分で頭を悩ませるのは、クレジットを増やしていく過程にのみあるというわけです。
その400クレジットの内訳ですが、以下のようになっています。各シリーズチャンピオンは、4つの難易度の合計で、どれかの難易度をスキップした場合には、スキップした難易度のクレジットも合計して加算されます。
例えば、ルーキーとプロフェッショナルをスキップして、チャンピオンでシリーズチャンピオンになった場合には、3難易度分のクレジットを一気にもらえるというわけです。
また、前作では、シード2.00から一気にシード1.00まで進みましたが、本作ではシード1.99からシード1.00までゆったりと進んでいきます。
シードが2.00を切った段階でシードは1になりクレジットももらえるのですが、残る1クレジットはシードが1.00にならないともらうことができません。
私がシード1.99からシード1.00まで到達するには17シーズンかかっており、シード1になってから、更に4シーズンプレイしたことになります。シード1への道はそれほど遠くなかったものの、クレジット100/100/100/100への道は遠かったというわけです。
ちなみに、逐次メモを取っていなかったので、クレジットの割り振りが微妙に異なっている可能性がありますが、ご容赦ください。

初期クレジット: 18クレジット
シード99-75: 各4クレジット=100クレジット
シード74-50: 各3クレジット=75クレジット
シード49-25: 各2クレジット=50クレジット
シード24-0: 各1クレジット=25クレジット
チャレンジ: 68クレジット
GRAND PRIXシリーズチャンピオン: 16クレジット
EXTREME 600シリーズチャンピオン: 16クレジット
EXTREME 1000シリーズチャンピオン: 16クレジット
EXTREME 1200シリーズチャンピオン: 16クレジット

本作では、最初にプレイできるのは、「GRAND PRIX」(ルーキー、プロ、チャンピオン)で、1度シリーズチャンピオンになると、「EXTREME 600」も選べるようになります。
難易度は、ルーキー(推奨シード100-81)、プロ(同80-61)、チャンピオン(同60-41)、レジェンド(同40-1)の4段階があり、通常はバイクを作りながら自分に適した難易度からステップアップしていきます。
バイクのセットアップは、パワースライドの感度、ホイールベース、前後のタイヤコンパウンド、ギアレシオ、サスペンションが行えます。
「GRAND PRIX」のトラックは、ヘレス(スペイン)、ロザイル(カタール)、イスタンブール(トルコ)、上海(中国)、ル・マン(フランス)、ムジェロ(イタリア)、カタルニア(カタルニア)、アッセン(オランダ)、ドニントンパーク(イギリス)、ザクセンリンク(ドイツ)、ラグナセカ(アメリカ)、ブルノ(チェコ)、セパン(マレーシア)、フィリップアイランド(オーストラリア)、もてぎ(日本)、エストリル(ポルトガル)、バレンシア(バレンシア)となっており、前作から、パキサ(南アフリカ)、リオ(ブラジル)、が抜けています。

「EXTREME」は、「MotoGP」シリーズの前作から加わったもので、トラックが公道中心となり、「GRAND PRIX」よりも爽快感が味わえるようになっています。
本作では、前作でも爽快感が不足していたとのTHQとCLIMAXの判断から、より爽快感を増すようなレイアウトにリニューアルされています。
具体的には、コース幅の狭いところはコース幅を広げられ、コーナーの出口がタイトになっているところはコーナーの出口が緩やかにされています。
これにより、余計な神経を遣うことなく走りの爽快感が得られるようになり、走行台数も前作の10台から16台へと増やされています。
バイクやライダーが架空でおかしな日本名が多いことや、最初の所持金が$6000であるところなどは、前作と同じになっています。
この$6000で「EXTREME 600」のバイクを買い、賞金を稼ぎながら、難易度とクラス(600、1000、1200)をステップアップしていくわけです。
「EXTREME」のトラックは、アンダルシア、アルガーヴ、コパカバーナ、リヴィエラ、タスカニー、バルセロナ、ローカントリー、モントレー、シレス、アウトバーン、プラハ、東京、マレー、ガルフ、アウトバック、ホエールコースト、セヴィリアとなっており、新たにモントレーが加わり、東京が大幅リニューアルされています。
「EXTREME」のバイクは、600、1000、1200の各クラスに最初から5~6台ずつ用意されていますが、買わなければ乗ることができません。
バイクを買うためには、レースで上位入賞して賞金を稼ぐ必要があります。賞金は、難易度によっても異なりますが、どの難易度でも、1シーズン通して上位に入賞すれば、そのクラスのバイクが1~3台ぐらいは買うことができます。
5~6台のバイクは、それぞれ性能が異なりますが、操作性自体に大きな差はないため、基本的には価格とトップスピードが高いバイクを買えばいいことになります。また、すべてのバイクを購入すれば、実績を解除することもできます。

各クラスのバイクは以下の通りで、Kimura、Ishikawa、Kurosawa、Vechioni、Marcuccilliの5社のバイクで構成されています。
EXTREME 600(Kurosawa VXR 6、Vechioni VR600 Virus、KimuraT6 Stingray、Ishikawa CR 600R、Marcuccilli KTR Super Venom)。
EXTREME 1000(Kimura VR1000、Ishikawa V1、Vechioni SVS Razorback、Kurosawa TXR 10-R、Marcuccilli ZSR Lightning)。
EXTREME 1200(Ishikawa CR12、Marcuccilli 1198R、Kimura VR1200、Kurosawa K12 Kobura、Vechioni KTR12 Brawler、Marcuccilli 1198S)。

「EXTREME」に限り、バイクにパーツを付けることができます。パーツは以下の5種類があり、クラスとステージが上がるに連れて価格が高くなりますが、$800程度から$2600程度で購入することができます。
パーツの効果はそれほど実感できないものの、タイムが若干向上します。難易度チャンピオンまでは最も安いバイクのノーマルで通用しますが、難易度レジェンドになると最も高いバイクにステージ3のパーツの組合せにするのが賢明だと思います。

エンジンチューニング(フューエルマッピング、ポートポリッシング、エンジンブループリンティング)。
ウエイトリダクション(ライトウエイトフェアリング、ライトウエイトフェアリング、ライトウエイトフェアリング)。
ブレーキング(スポーツブレーキディスク、スポーツブレーキコンバージョンキット、ABSブレーキ)。
トラクション&スタビリティ(レーススリックス、サスペンション、プロフェッショナルセットアップ)。
BHPアップグレード(ハイリフトカムズ、スーパーチャージャー、ニトロオキシド)。

「TRANING」と「CHALLENGES」も「RACING CAREER」に含まれており、「TRAINING」には極めて簡単な5つの課題があります。
「CHALLENGES」は、「MotoGP」であったものが「MotoGP 2」でより難しく進化したのですが、これの反省もあってか「MotoGP 3」ではなくなっていました。しかし、本作からは再び復活しています。
本作の「CHALLENGES」は、「GRAND PRIX」の17トラックで2つずつ、「EXTREME」の17トラックで2つずつ、合計68あります。内容は、区間タイム、スピードテスト、フォロー・ザ・リーダー、の3種類に大別されます。
区間タイムは、一定区間を規定タイム以内で走るもので、それほど難しくはありません。
スピードテストは、一定区間を規定タイムで走りつつ、ゴール地点で規定速度を上回る必要があるもので、規定タイムは緩やかで、規定速度も簡単に上回ることができます。
フォロー・ザ・リーダーは、AIと一緒に1周を走って1秒差以内でゴールするもので、AIよりも先着しても構いません。それほど難しくはありませんし、難しいと感じるなら1コーナーまでにAIを転倒させてしまえば簡単に勝てます。
本作の「CHALLENGES」は「MotoGP 2」のそれに比べるとはるかに簡単ですし、これぐらいはクリアできないとオンライン対戦は厳しいでしょう。
ちなみに、「CHALLENGES」は、1つクリアするごとにクレジットを1もらうことができ、合計で68クレジット稼げます。また、実績2つとも関係があるため、やらない手はないでしょう。

TIME TRIAL
「GRAND PRIX」と「EXTREME」から任意のトラックとライダーを選んでタイムトライアルすることができるもので、自らのゴーストを相手にタイムトライアルを行うこともできます。
アンロックしていないライダー、トラックは選ぶことができません。「EXTREME」のトラックは、「QUICK RACE」でアンロックしている必要があります。

MULTIPLAYER
「XBOX LIVE」は、オンライン16人対戦をしたり、スコアボードを見たりすることができます。ゲスト3人を引き連れてのオンラインプレイも可能です。
「SYSTEM LINK PLAY」は、システムリンクにより16人対戦を行うことができます。「SPLIT SCREEN」は、分割画面により4人対戦を行うことができます。「MULTIPLAYER」には、通常の対戦以外に、「TAG MODE」と「STUNT MODE」があります。
「TAG MODE」は、トラックをいくつかのパートに区切り、そのパート間の速さを競うもので、スコアの付け方は、Winner takes all、King of the corner、Monopolizationの3種類があります。
Winner takes allは、パートごとに速く走った方に1スコア入り、最終的にスコアが多かった方の勝ちになります。
Kingof the cornerは、パートごとにスコアが数百点単位で入り、最終的にスコアの合計が多かった方の勝ちになります。
Monopolizationは、途中ではスコアは表示されず、両者がゴールして初めて勝者にだけスコアが入ります。
「STUNT MODE」は、規定タイム以内にさまざまなスタントを繰り出して、その技術を競うものです。
スタント項目には、クリーンセクションスコア、クリーンセクションアキュミュレート、ウイリースコア、エンドスコア、パワースライドスコア、バーンナウトスコア、オーバーテイクスコア、ジャンプスコア、ノックオフスコアがあり、スコアの配分は自由に変えることができます。

SETTINGS
ゲームの各種設定を細かく行うことができます。本作でも、コントローラーのキーコンフィグを完全に自由に設定できます。

EXTRAS
リプレイを見たり、アンロック状況を確認したりすることができます。

SEASON
2006年シーズンと2005年シーズンを切り替えることができます。

【ACHIEVEMENT】
Extreme Mode Champion(10): 「EXTREME」でクラスと難易度に関係なくチャンピオンになります。
Extreme 600 – Legend(30): 「EXTREME 600」の難易度レジェンドでチャンピオンになります。
Extreme 1000 – Legend(60): 「EXTREME 1000」の難易度レジェンドでチャンピオンになります。
Extreme 1200 – Professional(25): 「EXTREME 1200」の難易度プロフェッショナルでチャンピオンになります。
Extreme 1200 – Champion(50): 「EXTREME 1200」の難易度チャンピオンでチャンピオンになります。
Extreme 1200 – Legend(75): 「EXTREME 1200」の難易度レジェンドでチャンピオンになります。
GP – Rookie(10): 「GRAND PRIX」の難易度ルーキーでチャンピオンになります。
GP – Professional(30): 「GRAND PRIX」の難易度プロフェッショナルでチャンピオンになります。
GP – Champion(60): 「GRAND PRIX」の難易度チャンピオンでチャンピオンになります。
GP – Legend(100): 「GRAND PRIX」の難易度レジェンドでチャンピオンになります。
Finish 50 Races(20): オフライン、オンラインに関係なく50レース終えます。
Finish 250 Races(30): オフライン、オンラインに関係なく250レース終えます。
Finish 500 Races(50): オフライン、オンラインに関係なく500レース終えます。
Seeded #90(10): シードが90に到達します。
Seeded #75(15): シードが75に到達します。
Seeded #50(20): シードが50に到達します。
Seeded #25(30): シードが25に到達します。
Seeded #10(50): シードが10に到達します。
Seeded #1(75): シードが1に到達します。
Accredited(100): すべてのクレジットを獲得し、100/100/100/100のバイクを作ります。
Challenge Expert(30): 「CHALLENGE」を50終えます。
Challenge Master(60): 「CHALLENGE」を68すべて終えます。
Extreme Bike Collector(50): すべてのEXTREMEバイクを購入・所有します。
Stunt Mode Rider(10): オンラインで「STUNT MODE」をプレイします。

OVERALL(1000): ほとんどの実績は、「RACING CAREER」を進めていくことで自動的に解除される仕組みになっています。
クレジット100/100/100/100のバイクを作ろうと思えば、下の2つを除く22番目までの実績のうち「Finish 500 Races」以外は問題なく解除できることでしょう。「Extreme Bike Collector」もお金が貯まっていくので、難なく解除できます。
「Stunt Mode Rider」は、オンラインで1レースでもプレイすれば解除できます。
残るは「Finish 500 Races」だけで、これも、オンラインで「GRAND PRIX」か「EXTREME」を10シーズン強プレイすれば解除できます。
それなりに腕に自信があるなら、ぜひとも1000Gを狙っていくべきです。

【GRAPHICS】8
「MotoGP」シリーズは、「Xbox」のレースゲーム中でもトップクラスのグラフィックを誇っていますが、「Xbox 360」にプラットフォームを移した本作でも、グラフィックの美しさは継承されています。
もっとも、本作が前作からわずか9ヵ月後の発売とあって、見た目の印象に大きな変化はありませんが、他の「Xbox 360」のレースゲームと比べても引けを取らないだけのグラフィックレベルにはあります。
もちろん、天候の変化や光源処理、各種エフェクト、クラッシュ時のグラフィックは前作譲りで、特に、雨天時の路面は鏡面のように周囲の風景を映し出しており、過剰なほどの美しさを醸し出しています。
また、スピードが上がると周囲の風景がぼやけるブラーは、本作でも感じられませんが、繊細な操作を要求される本作では、走りにくいだけという感じもしたので、これが復活しなかったのは歓迎したいところです。
視覚効果がなくても、スピード感自体は十分に感じられるはずなので、ブラーが復活しないことを残念がる必要はありません。
ただ、光源処理は少し過剰になっており、サーキットによっては路面が把握しづらい時があります。
例えば、セパンの最終コーナーなどは、イン側をほとんど見ることができず、操作自体に悪影響を及ぼしています。テレビの明度を限界近くまで上げても見づらいほどですから、プレイテストの段階で修正しておくべきでした。
次世代機になってから、光源処理に力を入れているタイトルは多いのですが、光源処理に少しぐらい嘘があっても、プレイアビリティを優先すべきなのではないでしょうか。
このあたりは、次世代機のグラフィック作りに手馴れてくれば、解消される問題なのかもしれませんが・・・。

トラックは、「GRAND PRIX」に関しては、パキサ(南アフリカ)、リオ(ブラジル)が抜けて、イスタンブール(トルコ)、上海(中国)が加わっています。
また、観客席には観客がいて、こぶしを振り上げるなどの動作をしています。このあたりは、「Xbox 360」の表現力ならではといったところでしょうか。
前作から加わった「EXTREME」に関しては、前作からわずか9ヵ月後の発売でありながら、時間の制約に対して精いっぱいの改良が施されています。
新たにモントレーが加わり、東京が大幅リニューアルされたばかりでなく、コース幅の狭いところはコース幅を広げられ、コーナーの出口がタイトになっているところはコーナーの出口が緩やかにされているのです。
また、こうした走りの部分だけでなく、見た目に関しても、全般により華やかさを増しており、都市部は建物やネオンサインが増やされ、海沿いやジャングルなどではオブジェクトが配されています。
東京は、外国人による間違った日本観などと言われますが、大都市や神社仏閣などの日本の魅力を凝縮したものであると考えれば、これはこれでいいのではないでしょうか。「EXTREME」は、例によって、夜はあっても雨はありません。

【SOUND】9
ドルビーデジタルです。「MotoGP」シリーズも4作目となり、また、前作からわずか9ヵ月後の発売とあって、サウンド面での大きな変化はありません。
「GRAND PRIX」は、前作が2004年シーズンバージョン、本作が2005年と2006年シーズンバージョン、ということで、バイク自体の進化はあるのですが、エンジンサウンド自体は実車からサンプリングされているでしょうし、再現度は問題ないのではないかと思います。
リアルなバイクゲームのリアリティを損ねるようなサウンドになっていないのは確かなところでしょう。ちなみに、本作にも、当初の作品にあったような、お遊びのエンジンサウンドは存在しません。

【CONTROL】8
前作からわずか9ヵ月後の発売とあって、基本的にはキープコンセプトになっています。レースゲームとしてリアルでありながらも抜群の操作性を持ち、レースゲーム上級者ばかりでなく初心者でも安心してプレイすることができるというこです。
バイクということでクルマとは違った操作感覚になりますが、キー操作にリニアに反応して素直な動きをしてくれるため、バイクの動きや操作に慣れてくればストレスなく爽快なライディング感覚を味わうことができます。
本作では、当初からコントローラーの設定を自由に変更できるため、上達してくるとさまざまな操作を駆使する奥の深さも持ち合わせています。
加速時には前傾姿勢をとってスピードをアップさせる、コーナーでは、ノーアクセルノーブレーキで回ったり、ブレーキングしてから回ったり、ブレーキングしてからリアブレーキでバイクの向きを変えたり、パーシャルスロットルの量を調節しながら回ったり、など、プレイヤーのアイデアとトライ次第でさまざまな操作が行えるのです。

「GRAND PRIX」のバイクは前作に比べると少しだけ操作しやすくなっています。前作では、横方向のタイヤのグリップが大きくダウンしていたのですが、それが本作では、少しだけ戻っているからです。
とはいえ、「2」ほどの操作のしやすさはないにも関わらず、パワースライドに対する許容量は大きいため、「GRAND PRIX」では、相変わらず熟練したパワースライダーの天下となってしまっています。
それに対して、「EXTREME」のバイクの操作は、タイヤの横方向に対するグリップが高いため、操作に対する幅は広くなっています。ですから、「EXTREME」では、「GRAND PRIX」ほどには熟練したパワースライダーの天下になってはいません。
やはり、「GRAND PRIX」のタイヤの横方向に対するグリップを「2」のレベルまで戻すべきなのではないかと思います。

【GAMEPLAY】8
ここまで述べてきたように、前作からわずか9ヵ月後の発売とあって、基本的にはキープコンセプトになっており、大きな変化点というのはありません。前作で褒められた点は本作でも褒められますし、前作で好ましくないと感じられた点は本作でもそう感じられます。
前作で褒められた点を具体的に挙げると、「EXTREME」が加わって「GRAND PRIX」との2本柱になったことと、新たにシードが導入されたことです。
逆に、前作で好ましくないと感じられた点は、パワースライドの不自然な速さが残されていることと、AIが横暴なことです。
「EXTREME」に関しては、前作でも爽快感が不足していたとのTHQとCLIMAXの判断から、より爽快感を増すようなレイアウトにリニューアルされたのは褒められる点です。
コース幅の狭いところはコース幅を広げられ、コーナーの出口がタイトになっているところはコーナーの出口が緩やかにされたことで、余計な神経を遣うことなく走りの爽快感が得られるようになったからです。
それにより、走行台数も前作の10台から16台へと増やされたのも嬉しいところです。もちろん、そうした措置を行っても、誰が走ろうと同じようなタイムになるというわけではなく、走りのテクニックによってタイム差が生じます。
つまりは、初心者に優しいにも関わらず、上級者もやり込みがいがあるという、テレビゲームの理想形になっているというわけです。

シードは、面白い概念だっただけに、これが残されたのは良かったと思います。しかし、シード1とシード1.00の違いが分かりづらく、また、シード1.00へ到達するためにはそれなりの時間を要するという点は、あまり褒められないように思います。
もっとも、これにより、クレジット100/100/100/100のバイクが一種のステータスシンボルになっているのは確かです。「MotoGP」シリーズのクレジットは、タイトルごとに満点が異なりますが、満点を獲ることがステータスシンボルになっているのはいつものことだからです。
満点のクレジットという意味では、「CHALLENGE」の復活も、注目すべきポイントです。「MotoGP2」では、すべての「CHALLENGE」をクリアするのは簡単なことではなく、それこそ満点のクレジットが、かなりのステータスシンボルになっていました。
「MotoGP 3」では、これが難しすぎたという反省からか、「CHALLENGE」がなくなっていたのですが、本作では2作ぶりに復活しています。もっとも、「MotoGP 2」のような難しさはなく、少しやればクリアできるものばかりになっています。
この難易度設定は、「MotoGP」シリーズをプレイしている人にとっては易しく感じられるものですが、「MotoGP」シリーズ初プレイとなる人にとっては適切な難易度なのではないでしょうか。素直に評価したいところです。

逆に、本作でも、全く評価できないのが、パワースライドの不自然な速さが残されていることと、AIが横暴なことです。
パワースライドに関しては、マニュアルやロード画面でもふれられているぐらいで、THQやCLIMAXは、「MotoGP」には欠かせない要素と考えているようです。
もちろん、パワースライド自体は実際のMotoGPでも使われることがあるので、それ自体は否定するものではありませんが、「MotoGP」シリーズにおいては凶暴なまでの速さがあるのが問題なのです。
トラックによっては、パワースライドを使うことで5秒以上もラップタイムが速くなることもあるほどで、これは尋常なことではありません。パワースライド嫌いは世界中の「MotoGP」プレイヤーに多数存在しており、THQとCLIMAXは早急に改善すべきです。
理想としては、パワースライドの使い手のうち、パワースライド巧者上位0.1%のラップタイムが、パワースライドを使わないプレイヤーよりも速く、最も速くても0.5秒程度であることでしょう。
逆に言うと、99.9%のプレイヤーは、パワースライドを使うと、パワースライドを使わないプレイヤーよりも遅くなるということです。
AIが横暴なことに関しては、いつになったら直されるのか、ただただあきれるしかありません。「ToCA RACE DRIVER 2」では、見事なまでのAIのマナーの良さが実現されていましたし、「MotoGP」シリーズだって、やればできるはずです。
「MotoGP」シリーズのAIは、前方のごく狭い範囲にしかセンサーが働いていないようで、少しでもラインがずれていると、遠慮なくぶつけてきます。本来は、前方180度ぐらいの広角度と、数m程度の距離にセンサーが働いているべきです。
しかも、「MotoGP」シリーズのAIは、装甲車を相手にしているかのような強さで、こちらがぶつけられたらもちろんのこと、こちらからぶつけても、倒れるのはAIではなく自分なのです。
これがいつまで経っても直されないのは、THQとCLIMAXのAIに対する考え方が根本的に間違っているか、CLIMAXに技術力がないかのどちらかでしょう。両社に猛省を促したいところです。

【LONGEVITY】9
本作でも、「SINGLE PLAYER」はXbox LIVEのオンライン対戦のためにあると言っても過言ではありません。
「SINGLE PLAYER」をやるだけでも、「GRAND PRIX」と「EXTREME」(600、1000、1200)の4種類を楽しむことはできますし、難易度もルーキー、プロ、チャンピオン、レジェンドの4段階ありますが、「SINGLE PLAYER」だけではそれほど長くは楽しめないのではないかと思います。
やはり、クレジット100/100/100/100というステータスシンボルを得るために「SINGLE PLAYER」をやり込み、オンラインデビューするというのが本作の醍醐味になります。
そして、オンラインで対戦したり、スコアボードでランキングを上げたりすることが、本作の最大の楽しみであると言えるでしょう。
クレジット100/100/100/100のバイクを作るためには数十時間を要しますし、「TIME TRIAL」や「MULTIPLAYER」を行えば100時間でも200時間でも費やすことができます。
ここでは、「SINGLE PLAYER」でのクレジット100/100/100/100の獲得を前提として、「9」にしておきます。

【OVERALL】10
本作も「MotoGP」シリーズらしく、パワースライドやAIの横暴さに対する不満点は残されています。しかし、ゲーム自体が楽しいことは確かですし、オンライン対応のレースゲームとしてトップクラスなのは間違いのないところです。
クレジット100/100/100/100のカスタムバイクを作るというステータスシンボルを味わう楽しみ方も、「MotoGP」シリーズならではのことです。実績に意地の悪い項目がないのも褒められるところですし、満点があげられます。

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