ステルスアクションアドベンチャーゲーム「A PLAGUE TALE: INNOCENCE」の続編です。
物語は、前作から6ヵ月後、1349年6月のフランスが舞台になります。アミシアとユーゴの姉弟は、母親のベアトリスと友人のルーカスとともに、南フランスの活気ある都市プロヴァンスをめざします。
しかし、ユーゴの力が再び目覚めた時、死と破壊がネズミの大群となってまたもや押し寄せてきます。
再度、逃亡を余儀なくされた姉弟は、ユーゴの治療法を探す鍵となり得る予言の島に一縷の望みを託すことになります。
本作では、前作よりもステルスが強化されるとともに、アミシアにカウンター能力が備わったため、プレイヤーはより幅広いプレイが可能になっています。
本作を開発したのはAsobo Studioで、「Microsoft Flight Simulator」の開発で知られており、前作の開発にも携わっています。
同社は2002年にフランスで誕生した開発スタジオで、社名はご推察のように日本語の「遊ぼう」に由来しています。
前作は大作感や知名度はそれほどでもなかったものの評判は高く、本作はリリースが発表された時点で既に大作感にあふれ、「Xbox Game Pass」対応であることも手伝って、日本のXboxユーザーの間でも期待されていました。
私も、前作はプレイしていて実績をコンプリートするほど楽しんだだけに、本作もリリースされたらすぐにプレイしようと考えていました。
本作は、前作同様に日本語字幕が入ると公式発表されていたのですが、発売直前になって「PlayStation 5」版が発売されるまでは日本語字幕が入らないということになってしまいました。
私は、数多くの海外ゲームをプレイしており、英語字幕さえ入っていればプレイに大きな支障はないのですが、サイトでウォークスルーする関係上、日本語字幕版を待とうかと考えていました。
しかし、プレイするゲームにゆとりが生まれたため、とりあえず英語字幕版でプレイするかと始めてみたのです。
すると、アミシア、ユーゴ、ルーカスといった主要登場人物たちが最初から登場し、いつものやり取りが見慣れた風景で繰り広げられ、海外ドラマのシーズン2でもあるかのようにスンナリと世界に入っていくことができました。
前作をプレイした人なら本作も違和感なく受け入れることができるはずですし、英語字幕版でもストーリーもそれなりには理解できるのではないかと思います。
本作の舞台は、前作同様、14世紀の中世フランスになります。本作では、中世史の博士号を持つロクサーヌ・シーラの協力のもと、インターネット上で情報収集し、実在する場所をベースに作成されています。
また、前作の舞台が戦争で荒廃した陰鬱なアキテーヌ地方だったのに対し、本作ではよりカラフルで活気のあるプロヴァンス地方に移されています。
リードライターのセバスチャン・レナードは、「恐ろしい事件が起きている中世の舞台の厳しい現実と、美しく、時には未知の環境との間に、より鮮明なコントラストが生まれた」と語っています。
彼のこの発言からも分かりますが、本作では活気にあふれた港や華やかな賑わいを見せる市場が描かれる一方、狭い路地で構成された異臭すら漂う下町が描かれたり、時には大海を船で航海したりと、様々な表情を見せてくれます。
フランスらしく、前作同様に田園風景や果樹園といった自然があれば、城や礼拝堂が用意されるなど、プレイヤーに既視感を抱かせつつ、プレイの進行を飽きさせることもありません。
しかも、そのすべてが4K、HDR10で描かれているのはもちろんのこと、リリース時点では「Xbox Series X」屈指のグラフィックを誇っていると言っても過言ではないでしょう。
プレイヤーは、ゲームをプレイしつつ、それらすべてのロケーションのこの上もなく美しいグラフィックすら堪能しているのです。
キャラクターのモーションやボイスアクティングが申し分ないものであるのは言うまでもないことです。
ゲームプレイという点では、冒頭で書いたように、前作よりもステルスが強化されるとともに、アミシアにカウンター能力が備わったため、プレイヤーはより幅広いプレイが可能になっています。
まず、ステルスという面に関しては、「A PLAGUE TALE」シリーズ自体がステルスアクションアドベンチャーゲームであり、ステルスは前作以上に大きな要素になっています。
前作のように、草むらに隠れ、敵の動きを読んで移動し、石や壺を投げて敵の注意をそらし、といったことは前作同様に行えます。
本作では、それに加えて、ユーゴには「エコー」という壁越しに敵の位置を明らかにする能力があり、ソフィアには鏡で近くの草むらを燃やして敵をそこに惹きつけるという能力があります。
これにより、ユーゴかソフィアが同行しており、それらの能力が使えるシチュエーションにおいて、彼らの能力を使うかどうかという選択の幅が広がるわけです。
次に、戦闘という面に関しては、アミシアにカウンターの能力が備わったため、通常の敵に攻撃されても、彼女が1回で倒されるということはなく、何度か反撃する機会が与えられています。
彼女がナイフを持っている際には反撃した上で敵を倒せるのですが、ナイフは「秘密の収納箱」を開けるために不可欠なものであるため安易に使うことはできません。
ただ、彼女が敵に反撃すると、その敵はひるんでしばし立ちすくむため、その隙に走って逃げたり、別の場所に隠れたりということが可能になります。
テーブルの下に隠れるというのも重宝するもので、ゲームを進める上で幾度もお世話になることでしょう。
また、ユーゴはネズミの大群を操って敵を倒すことができ、近くにネズミがいなかったら繰り出せなかったり、時間が限られたりはするものの、確実に複数の敵を倒せるという便利さがあります。
アルノーも近接戦闘にはめっぽう強く、彼に倒してほしい敵を指示すれば、彼がそこまで行って倒してくれます。
ただし、アルノーと言えど2人以上の敵を相手にすることはできないため、敵が確実に1人でいる場合にのみ使えます。
戦闘という面で極めつけは、アミシアの戦闘方法のバリエーションがかなり広がったことです。
彼女は、前作でもスリングを使って敵を倒すことができましたが、本作ではイグニファーやエクスティングイスに加え、タールを使って炎をより強力にすることができます。
また、クロスボウも途中から使用できるようになり、矢を調達しないと使えはしないものの、ここぞという時にはクロスボウで敵を倒せるようになりました。
ただし、アミシアの攻撃方法があれもこれもと多彩になったことで、どこで誰に何を使うのかということが分かりづらくなったり、瞬時に必要なものが選べなかったりということが起こるようになりました。
戦闘中でもRBボタンを押せば武器と攻撃手段の選択画面になり、敵の動きもスローモーションに変わるため選ぶ時間はそれなりにありはするものの、敵の動きが止まるわけではないため武器と攻撃手段の迅速な選択が求められます。
そのため、うっかり間違った武器と攻撃手段を選んでしまうということが起こってしまうのです。これはネズミや利用できるオブジェクトに対しての場合も同じで、どれを選ぶのが正しいのか悩ませられることが往々にしてあります。
シリーズ2作目ということで、よりバリエーション豊かにということは分かるのですが、このあたりはシェイプアップしていても良かったのかなと思います。
本作が大作になったということに関しては、全体のスケール感やグラフィックの美しさもさることながら、舞台設定だったりカットシーンだったりの壮大さがこうしたスケール感やグラフィックの中で繰り広げられることが大きく貢献しています。
簡単に言ってしまえば、アミシアの攻撃力が増したこともあるのですが、ララ・クロフトが超人的な活躍を繰り広げる「TOMB RAIDER」シリーズが頭に思い浮かんでしまうのです。
両者ともゲームの若きヒロインで、ステルス要素とともに戦闘もあり、ゲームの舞台は森林や市場で、全体のスケール感やグラフィックの美しさも共通するものがあるのです。
アミシアが崩れる足場を走って駆け抜けるといったシチュエーションは、まさに「TOMB RAIDER」のララ・クロフトそのもので、両者がシンクロせざるを得ません。
前作は大作感や知名度はそれほどでもなかったのに、2作目にしてここまでの大作感が生まれたというのもすごいことです。
実際、2022年にリリースされた新作の中でも、質の高さを伴った大作という意味ではトップクラスの評価を得られても何の違和感もないところでしょう。
アミシア、ユーゴ、ルーカス、ベアトリスといった主要登場人物に加え、ソフィアやアルノーといった脇役陣も魅力を放っており、ストーリー的にもグイグイと引き込んで飽きさせないものがあります。
こうした点からも、Xboxユーザーには、日本語字幕版を待つまでもなく、英語字幕版であってもいち早くプレイしてほしいところです。必ずや素晴らしいゲーム体験が味わえるはずですから。
【ウォークスルーインデックス】
#1(CHAPTER I – UNDER A NEW SUN)
#2(CHAPTER II – NEWCOMERS)
#3(CHAPTER III – A BURDEN OF BLOOD)
#4(CHAPTER IV – PROTECTOR’S DUTY)
#5(CHAPTER V – IN OUR WAKE)
#6(CHAPTER VI – LEAVING ALL BEHIND)
#7(CHAPTER VII – FELONS)
#8(CHAPTER VIII – SEA OF PROMISES)
#9(CHAPTER IX – TALES AND REVELATIONS 1)
#10(CHAPTER IX – TALES AND REVELATIONS 2)
#11(CHAPTER X – BLOODLINE)
#12(CHAPTER XI – THE CRADLE OF CENTURIES)
#13(CHAPTER XII – THE LIVE WE DESERVE)
#14(CHAPTER XIII – NOTHING LEFT)
#15(CHAPTER XIV – HEALING OUR WOUNDS、CHAPTER XV – DYING SUN)
#16(CHAPTER XVI – KING HUGO、CHAPTER XVII – LEGACY OF DE RUNE FAMILY)
(C) 2022 A Plague Tale: Requiem, a game developed by Asobo Studio and published by Focus Entertainment. A Plague Tale: Requiem, Focus Entertainment and its logo are trademarks or registered trademarks of Focus Entertainment. The game and technology are the property of Asobo Studio. All rights reserved.
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