「Summoner: A GODDESS REBORN」レビュー

【GENRE】
アクションRPG/サードパーソン

【PUB./DEV.】
THQ/cranky pants games/volition

【RELEASE DATE】
2003/1/31(アメリカ)

【OUTLINE】
パーティ形式のアクションRPGです。ハラサーは、長らく女神ラハラーを崇拝する王たちによって支配されていました。森羅万象の源となるのがエラーの木です。ラハラーは長子を作り、彼はハラサー王国を設立しました。
ある時、並外れた嵐がエラーを打ち砕き、ラハラーは旅立ってしまいます。彼女が舞い戻ってツリーを直す約束をすることもなく。ハラサーの王は、ラハラーがいない間に正義の道からそれました。彼らの崇拝の対象を、道理に反する極悪非道な魔術に替えたのです。
魔術師たちは、彼ら自身のことを”ヌーバサリム”と呼びました。そんな時、ガルディールの最初の皇帝ギシランが立ち上がり、ハラサーを征服してヌーバサリムを追放します。ギシランは、慈悲深い創造者としてラハラーを崇拝し修復に当たります。
預言者も、ハラサーが古い皇帝の遺跡から復興できるだろうと書き始めます。その予言を信じるなら、ラハラーは悪を完全に打ち破りエラーの木を治せることになります。彼らが書いた予言は、「予言者の本」に集められました。
ギシランの死から2000年以上の後、彼らの予言は実現します。ハラサーの女王としてマイアが登場したのです。マイアの運命は、森羅万象の救世主として「預言者の本」に書かれています。数百万人もの人々がマイアを崇拝していますが、未だに多くの敵も存在します。
マイアは、予言を果たして、ラハラーの女神とならなければなりません。しかし、そこには幾多の謎と苦難が待ち受けているのです。プレイヤーはマイアとなって、予言を実現させることが目的となります。

【GAME MODE】
NEW GAME
ゲームを最初から始めます。物語は、いきなり船上の戦闘シーンから始まりますが、ここがチュートリアルとなり、基本的な操作方法を教えてくれます。プレイヤーは、マイアを中心に通常は3人のパーティを任意に交代して操りながらプレイすることができます。
この仲間は徐々に増えていき、中盤までに7人すべてのキャラクターが勢ぞろいします。原則としてマイアは必ずパーティに加えなければなりませんが、それ以外のキャラクターは多くの場合、任意で選ぶことができます。
ただし、強制的にキャラクターを選択しなければならない場合があるため、すべてのキャラクターのレベルを上げておく必要があります。
最終的には約10エリア30ロケーションに行けることになりますが、いったん入ると出られないエリアがあるため、そのエリアに入る前にそれ相応のレベルにしておくのが賢明でしょう。
まず、中盤以降で訪れるPALUDAL’S LAIRまでに、全員のレベルを15以上に上げておきます。また、ラストのEYE OF THE STORMに行く時のレベルに関しては、キャラクター説明で記します。
なお、ラスト以前のレベル上げに適した場所としては、TAMIRATH CITADEL、PALACE OF HALASSARの図書館にあるBIBLIOPOLISの前でNHUVASARIM PAGEを使うことで入れるTOMEOF NHUVASARIMが最適でしょう。
また、ほとんどのエリアは何度も訪れる必要があり、その度に敵が復活していますが、一部のエリアは1回だけしか行くことができません。

キャラクター

マイア
ハラサーの女王で物語の主人公。「予言書の本」にラハラーの女神の生まれ変わりと書かれている。バランスのとれた扱いやすいキャラクターで、召還獣を召還できる。ラスト時の目標レベル21。

トージス
マイアのライバルであるガルディールのアズラマン王の弟。その王と敵対してガルディールからのハラサーの独立運動でマイアの軍隊を勝利に導く。扱いやすいパワー系。ラスト時の目標レベル20。

サンガリル
マイアの暗殺者としてトレーニングされたが、マイアの暗殺が間違ったことであることを悟る。接近戦も弓による長距離攻撃も得意。ラスト時の目標レベル20。

ヤゴ
魔術師。回復系のキャラクターだが、魔法攻撃は威力があり、レベルが上がってくると直接攻撃も侮れない。AI時でも常に回復や補助の魔法をかけてくれるので、終盤ではいつもパーティに加えておきたい。ラスト時の目標レベル20。

ネル
何世紀もの間、ネル王子の名は船長や海岸の村人から神や悪魔として恐れられ、海賊のリーダーはその名前を使ってきたものの、それは伝説にすぎない。マーシャルアーツ系のキャラクターで、使い勝手はソコソコ。ラスト時の目標レベル17。

イアリ
ミステリアスな神として知られるUNSEENが作り出した奇人。特殊な宝石から導き出されるエナジーウエポンで戦う。遠距離攻撃のみだが、使い勝手は高い。ラスト時の目標レベル20。

モーバザン
MUNARI CITY ARENAで戦うグラディエイターで、スペルも駆使する。魂を貪り食う力も持っていると言われる。攻撃力、スピードともに劣り、使いづらい。ラスト時の目標レベル17。

CONTINUE
セーブゲームから始めることができます。セーブデータは多数作ることができるので、最低でも3つは作っておきましょう。古めのセーブデータをひとつ残しておくことで、レベル的にクリアが困難なデータばかりによるゲームの最初からのやり直しを防げます。また、基本的にセーブはいつでもどこでも行えます。

OPTIONS
ゲームの各種設定を変更することができます。

EXTRAS
ゲームのクレジットとムービーを見ることができます。

【GRAPHICS】8
独特の世界観を持つ本作ですが、宮殿、市場、遺跡、森林、渓谷、監獄、氷雪などの各エリア、さまざまな種族が見事に描き出されています。主要なキャラクターのグラフィックも丁寧に描き込まれています。
本作は、「プレイステーション2」でリリースされた「Summoner 2」からの移殖となりますが、「ゲームキューブ」の性能に合わせてグラフィックが向上、フレームレートが秒間60フレームになっています。
また、随所に挿入されるムービーも、独特の世界観を的確に表現した美しさです。惜しむらくは、戦闘突入時に一瞬、フリーズすることがある点です。それを除けば、概ね良好なグラフィックだと言えるでしょう。

【SOUND】8
ステレオです。ドルビーサラウンドになっていないのが残念なところですが、サウンド自体は良くできています。独特の世界観とそのエリアに合わせたBGMは物語の雰囲気を高めてくれますし、SEも適切に挿入されています。
特筆すべきはボイスアクティングで、イベントシーンのムービーにおける演技は、極めて高い水準にあります。これらが、ゲームの物語としての質の高さをより一層引き上げているのは確かでしょう。

【CONTROL】9
操作性は、ほぼ問題ないレベルに達しています。キャラクターの操作は、移動も戦闘も大きなストレスを感じることがありません。
3D視点ですが、カメラのキャラクターからの距離は自由に変えることができますし、360度回転させて見ることもできます。戦闘時には、敵をロックオンしての攻撃も可能です。
問題点を挙げるとすれば、カメラがキャラクターの背後に回り込むのが少し遅いことです。ただこれも、プレイヤーが早めに適当なアングルに補正すれば済むことでしょう。スペルを選ぶ時やアイテムを使用する際にポーズがかかる点も誉められます。
また、メニュー画面も、とても分かりやすくまとめられており、何をするにもストレスがかかることがありません。操作するキャラクターの交代、ソロモードへの移行なども簡単に行えます。全般に、よく練り込まれた操作性だと言えるでしょう。

【GAMEPLAY】9
今や3DアクションRPG全盛といった感じですが、その中でも際立った新鮮さをもつタイトルだと言えるでしょう。
独特の世界観、それを表現するグラフィックとサウンド、個性的なキャラクター、味わいあるストーリー、よく練り込まれた操作性はもちろんのこと、それ以外にも新鮮な要素がたくさんあるからです。
通常は3人でパーティを組んで行動することになりますが、そのメンバーは指定されたキャラクター以外は任意に選べますし、プレイ中は随時キャラクターを変えて操作できますし、ソロモードにして単独行動をとることもできます。
それぞのキャラクターのAI時の行動指針を選択することも可能です。また、キャラクターのレベルアップ時に伸ばしたいスキルを選べるのですが、そのスキルもキャラクターごとに異なり、AI時のスキルまでも伸ばすことができるのです。
マイアには4形態の召還獣があり、BLOOD、TREE、SAND、EYEそれぞれで特性が異なります。クエストには、メイン(必ずコンプリートしなければならない)とオプショナル(コンプリートしなくてもよい)があり、オプショナルクエストの数は100は下らないでしょう。
そのオプショナルクエストも、宮廷で施設などの援助金を求められるものから便利屋的なものまでバラエティに富んでおり、ゲームをより幅広いものへとしているのです。とにかく、プレイヤーの努力次第で、さまざまな楽しみ方ができるゲームです。

【LONGEVITY】9
オプショナルクエストにこだわらないとしても、30時間は下らないでしょう。ゲーム自体のボリュームもかなりのものですし、前述しているようにPALUDAL’S LAIRとEYE OF THE STORMに行く前には十分なレベル上げが必要だからです。
オプショナルクエストをコンプリートするためには、何度も各エリアを訪れて人に話を聞いたり、見られるものすべてをクリックしたり、とりあえずクエストアイテムを使ってみたりする必要があります。
そのため、すべてのオプショナルクエストをコンプリートするには気の遠くなるような作業が要求されます。実際、私も、10ほどのオプショナルクエストを残したままでゲームをクリアしました。
もし、すべてのオプショナルクエストをコンプリートしようと思うなら、100時間はかかるのではないでしょうか。

【OVERALL】10
本作は、アメリカでもそれほど目立ったタイトルではありませんし、日本でも当然のごとく発売されてはいません。しかし、「ゲームキューブ」タイトルの中でも、かなりの掘り出し物であることは確かです。
物語を進めるためには、何度も同じエリアを訪れ、あちらこちらで人に話を聞き、見られるものすべてをクリックし、とりあえずクエストアイテムを使ってみる、といった英語力も忍耐力も必要とされる作業が待ち受けています。
それでも、それだけの苦労をしても楽しめるだけのゲームとしての質の高さを持っているのは確かです。大人の「ゲームキューブ」ユーザーならぜひともプレイしてほしい良質なタイトルです。

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