「ETERNAL DARKNESS: Sunity’s Requiem」レビュー

【GENRE】
アクションアドベンチャー/サードパーソン

【PUB./DEV.】
任天堂/SILICONKNIGHTS

【RELEASE DATE】
2002/6/23(アメリカ)

【OUTLINE】
サイコ・アクションアドベンチャーで、日本名は「エターナルダークネス 招かれた13人」です。
ある夜、女子大生のアレックスの部屋に電話が鳴り響きます。それは、祖父・エドワード・ロイヴァス博士の突然の死を告げるものでした。その知らせを聞き祖父の屋敷へと向かった彼女が目にしたのは、あまりにも無残な祖父の亡骸でした。
彼女は、祖父の死に関わる手がかりを探しているうち、机上に1冊の不気味な書物「THE TOME OF ETERNAL DRAKNESS」(エターナルダークネスの書)を発見します。
そこには、紀元前26年のペルシャから1991年の中東まで、11人の人物の物語が記されていました。それは、太古から繰り返されてきた闇と人類との戦いの歴史です。
アレックスは、闇の存在である「ANCIENT」の復活を阻止して、未完の「THE TOME OF ETERNAL DRAKNESS」を完結させなければならない宿命を背負っているのです。
邦題の”13人”とは、物語を形作るアレックスたち12人+実際に物語を進めるプレイヤー1人を指しています。
本作は、その壮大な物語にこそ魅力がありますが、独自の「SANITY」(正気)システム、多種多様なアイテム、ルーンを組み合わせて作るスペル、なども本作を彩る注目すべき要素となっています。
なお、本作は当初は「NINTENDO 64」で開発が進められており、開発期間は4年の永きにわたります。

【GAME MODE】
START GAME
ゲームを最初から始めます。物語は、アレックスが屋敷内を探索して、時にはパズルを解いたり、時にはマジックを駆使したりして、「THE TOME OF ETERNAL DRAKNESS」のページを発見し、それを読むことで過去の人物の物語を追体験するという形で進んでいきます。アレックス→1人目→アレックス→2人目→アレックス→3人目・・・、と繰り返されるわけです。
登場人物と物語は、以下のようになっています。

第1章:パイアス・オーガスタス(ローマ軍人、紀元前26年、ペルシャ遺跡)
秘宝取得の命令を受け、ペルシャ遺跡へと向かいます。

第2章:エリア(ダンサー、1150年、カンボジア寺院)
偶然、「THE TOME OF ETERNAL DRAKNESS」を手に入れ、カンボジア寺院へと足を踏み入れます。

第3章:アンソニー(青年、814年、フランスのアミアン大聖堂)
国王暗殺の陰謀を知り、それを伝えるために国王を探します。

第4章:カリム(貴族、565年、ペルシャ遺跡)
チャンドラという美女の愛を得るため、彼女が望む秘宝を求めて複雑になったペルシャ遺跡へと向かいます。

第5章:マクシミリアン・ロイヴァス(内科医、1760年、アメリカ・ロードアイランドのロイヴァス邸)
自分の屋敷の探索を開始します。

第6章:エドウィン・リンゼイ(考古学者、1983年、カンボジア寺院)
衛星を使ってエリアが訪れた寺院の調査を始めます。

第7章:ポール・ルーサー(旅の修道士、1485年、フランスのアミアン大聖堂)
殺人の冤罪で捕らえられますが、協力を得て脱出し、教会の暗部を探ります。

第8章:ロベルト・ビアンキ(著名な建築家、1460年、中東)
旅行中に将軍に捕らえられ、モニュメントを建てる場所の調査を命じられます。

第9章:ピーター・ジェイコブ(ジャーナリスト、1916年、フランスのアミアン大聖堂)
第1次世界大戦中、取材のために野戦病院となっているアミアン大聖堂を訪れます。

第10章:エドワード・ロイヴァス(臨床精神科医、1952年、アメリカ・ロードアイランドのロイヴァス邸)
自分の屋敷の調査を始めます。

第11章:マイケル・エドワーズ(カナダの消防士、1991年、中東)
油田火災の消火中に事故が発生、地下迷宮に吹き飛ばされてしまいます。

最終章:アレキサンドラ(アレックス)・ロイヴァス(ワシントン大学の学生、2000年、アメリカ・ロードアイランドのロイヴァス邸)
祖父の霊に招かれ、ダークネスとの最終決戦に挑みます。

それぞれの物語は、アクションアドベンチャーらしく、探索、謎解き、戦闘、を繰り返しながら進んでいきます。一部アイテムと武器は12人で共通になるほか、習得スペルはどんどん蓄積されていきます。
しかし、12人それぞれに、SANITY、MAGICK、HEALTHの値や武力、走力などは異なります。第8章までは戦闘は易しく、謎解きはそこそこですが、マジックの使いどころは徐々に難しくなっていきます。
例えば、子犬が通れるような穴があった場合には「Summon Trapper」を使ってTrapperを操作する、壁に見えないドアがある時には「Reveal Invisible」で見えるようにする、といった具合です。
マジックを適切に使わないと、ゲームがいつまでも進まないという事態も起こり得るため、発想の転換が必要になります。
また、ほとんどの戦闘は、戦闘中にいったん隣室に出ることができます。ここで体力を回復したり、弾薬を補充してから、再度、戦いに臨むといいでしょう。敵のダメージはリセットされないからです。

第9章のボスであるガーディアンには、誰もが苦戦させられることでしょう。そこで、その対処法を記してみます。事前に、Two-EdgedSwordを装備し、「Magickal Attack」の5ポイントをAssignしておきます。
第1段階は、スタート地点で左右に移動して攻撃をかわし、ガーディアンの攻撃が終わった直後に「Magical Attack」を発動します。この攻撃2回で、ガーディアンは第2段階へと移行します。
第2段階は、スタート地点付近で最初のゾンビ3体を倒したら、すぐにガーディアンを見上げる視点の最後方で「Damage Field」の5ポイントを発動します。「Damege Field」にふれて倒れた第2陣のゾンビを一掃し、第3陣のゾンビが完全に姿を現した直後に、「Magical Attack」を発動します。
これを2度繰り返せば、ガーディアンは第3段階へと移行します。この際、ゾンビを一掃した直後に「Damage Field」内で動き回っておけば、「MAGICK METER」を効率良く回復させることができます。
第3段階は、ガーディアンを見られる位置で楕円状に走り回りながら、ガーティアンの攻撃をかわします。ガーディアンの攻撃は10回近く続いた後に休止しますが、休止してガーディアンの体が光り始める前に「Magickal Attack」を発動します。これをもう1度繰り返せば、ガーディアンを倒すことができます。
最終章のボスであるオーガスタスは、武器のGladiusを常に「Enchant Item」の7ポイントで”Enchant Gladius”にしておいて攻撃し、オーガスタスが動きを止めた際にこまめに「Recover」の3ポイントをHEALTHに発動させれば、それほど苦労せずに倒すことができます。

LOAD GAME
セーブデータは6個まで作ることができるため、複数のセーブデータを作ることを勧めます。また、ゲームのセーブは近くに敵がいない限りいつでも行えるので、頻繁にセーブしておきましょう。

OPTIONS
ゲームの各種設定を変更することができます。16:9でもプレイできるため、ワイドテレビがあるなら、ぜひ16:9でプレイしましょう。

【GRAPHICS】10
物語の舞台が、ロイヴァス邸、ペルシャ遺跡、カンボジア寺院、アミアン大聖堂などと遷り変わっていきますが、それぞれのグラフィックは時代ごとの違いを表現しながら十分な美しさを持っています。
細部まで描き込まれた建築物やオブジェクト、光と陰のエフェクトなどは申し分なく、空気の質感までもが伝わってきます。ただし、キャラクターのグラフィックに関しては、水準レベルだと言えるでしょう。
本作のグラフィックで最も誉められるべき点は、そのカメラアングルにあります。本作はフルポリゴンを採用していますが、これぞまさに映画的と言えるカメラアングルを実現させているのです。
一般的な3人称視点のゲームでは、キャラクター追尾視点か定点固定視点となっています。しかしながら、本作では、実に多彩で表現力豊かなカメラアングルを採用しているのです。
カメラは、キャラクターを、時には追尾し、時には手前を等距離で移動し、時には横から遠巻きに眺めながら移動し、時には固定視点で捕らえ、時には上方から見下ろし、・・・、などと枚挙に暇がないほどです。
これによって、キャラクターが壁や柱などに隠れて見えづらくなったり、アイテムが分からなくなったりするということもありません。これだけカメラアングルを熟考したゲームというのも少ないのではないでしょうか。
これが16:9の比率で楽しめるのですから、SILICON KNIGHTSには感謝せざるを得ません。随所に挿入されるムービーの美しさも、言うまでもありません。

【SOUND】10
ドルビープロロジックIIです。本作のサラウンド環境は素晴らしく、ゲームの臨場感をより一層盛り上げています。トータル5時間にも及ぶというボイスアクティングも、数多のタイトル中でもトップクラスだと言えるでしょう。
BGM、SEに関しても、適切な音が明瞭に使われています。「SANITY METER」が低下してくると奇妙な幻覚に悩まされることになるのですが、その際に聞こえてくる多くのささやき声もまさに絶品です。これもまた、本作の醍醐味だと言えるでしょう。

【CONTROL】9
操作性も、ほぼ問題ないレベルに達しています。キャラクターの操作は、移動も戦闘もストレスなく行うことができます。これは、まさに映画的と言えるカメラアングルによっているところもあるでしょう。
移動時にどこかにひっかかるようなことはありませんし、戦闘時にもRボタンを押せば敵をロックオンすることができます。調べられるものや開けられるところは近くを通れば画面上にBボタンが現れますし、取れるアイテムは光ります。
スペルのうちよく使うものに関しては、コントロールパッドに登録することもできます。メニュー画面も効率良く配置されており、やりたいことが即座にできるようになっています。
唯一の不満点としては、弾薬の装填とマジックの詠唱に時間がかかることですが、これがゲームバランスを悪くしているということはありません。弾薬の装填に関してはいったん隣室に移動すればいいのですし、マジックの詠唱に関してもポイント数を考慮すればいいわけですから。

【GAMEPLAY】10
アレックスが屋敷内を探索して、時にはパズルを解いたり、時にはマジックを駆使したりして、「THE TOME OF ETERNAL DRAKNESS」のページを発見し、それを読むことで過去の人物の物語を追体験する、という本作特有のシステムと、ゲーム全体が持つ本作ならではの雰囲気が、ゲームを素晴らしいものにしています。
SILICON KNIGHTSがあの「Legacy of Kain」シリーズを開発していたと聞けば、それも納得いくところでしょう。
そして、もうひとつのハイライトとなっているのが、ゲームタイトルにも採用されている「SANITY」システムです。これは、キャラクターがクリーチャーに近づいて「SANITYMETER」が低下すると奇妙な幻覚に悩まされるというものです。
その幻覚は、部屋が傾きだしたり、壁から血が滴り落ちたり、自分がゾンビになったりするとともに、多くのささやき声も聞こえてきます。
また、突然、メニュー画面になってセーブデータが消去される映像が見えたり、ボリュームが小さくなる映像が映し出されたりもします。もちろん、これらすべては幻覚で、現実のことではありません。しかし、本作独自の雰囲気を醸し出す大きな要素といえるでしょう。
最終的に12個まで作れるマジックの使いどころも、本作の大ききなポイントです。本作のパズル要素の多くにマジックが関わっており、どのマジックを使うかには頭をひねらされることでしょう。それだけに、的確なマジックを使った時の喜びは大きなものがあります。

【LONGEVITY】8
本作の戦闘には一部難しいものがあり、何度もやり直すことになると思います。しかし、最も時間を取られるのが謎解きでしょう。特に、的確なマジックを発見できるかどうかで大きく時間が異なってきます。
そのため、通常は30時間近いプレイ時間が必要になりますが、攻略本などを見てしまえば大幅に時間を短縮することができます。しかし、それでは面白みも半減してしまうので、できるだけ攻略本などには頼らずにプレイすることをお奨めします。

【OVERALL】10
本作は、任天堂初の「MATURE」(17歳以上推奨)タイトルとして、アメリカでリリースされました。そして、そのアメリカでは、「ゲームキューブ」でも屈指の傑作として高い評価を受けています。
アメリカ有数のテレビゲームサイトでも、GAME SPOTで9.4、IGNで9.6という驚異的な数値をマークしているのです。これは、「ゲームキューブ」中でトップクラスなのはもちろんのこと、全タイトル中でも上位にランクされるものです。
そんな「ゲームキューブ」史上に残る傑作を、日本市場でもリリースする英断を下した任天堂には拍手を送りたいところです。しかしながら、そんな歴史的傑作を評価する者が少なかった日本の「ゲームキューブ」ユーザーには落胆させられます。
日本では子供向けとされる「ゲームキューブ」ですが、同じく大人向けの「バイオハザード」シリーズの売り上げを考えれば、本作がそれに遜色ないセールスを記録してもおかしくはないはずです。
「ゲームキューブ」ユーザーに限ったことではありませんが、日本のゲーマーはもっとゲームを見る眼を磨いてほしいものです。こんな歴史的傑作をプレイしないとしたら、それは宝(「ゲームキューブ」)の持ち腐れというものです。

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