【GENRE】
アドベンチャー/パズル
【PUB./DEV.】
マーベラスエンターテイメント/グラスホッパー・マニファクチュア
【RELEASE DATE】
2008/3/6
【OUTLINE】
2001年に発売された「プレイステーション2」版「花と太陽と雨と 終わらない楽園」の移植版で、1999年発売の「シルバー事件」の続編になります。もっとも、「シルバー事件」をプレイしていなくても、本作のプレイに大きな支障はありません。
物語は、主人公のモンド・スミオが、ロスパス島にやってくるところから始まります。同島唯一のホテルである「フラワー・サン・アンド・レイン」の支配人であるエドから、サーチャー(探し屋)を生業とする彼に、「テロリストによる飛行機の爆破を阻止してほしい」と依頼されたからです。
しかし、その島は、何かが変でした。事件の連鎖、奇妙な人々、ループする時間。繰り返される日々の中、答えを求める彼の謎解きが始まります。
【GAME MODE】
LOAD
セーブデータをロードします。
COPY
セーブデーをコピーします。
DELETE
セーブデータを削除します。
BACK
セーブデータの選択画面に戻ります。
CONTINUE
最新のセーブデータからゲームを再開します。
NEXT DAYS
プレイしているシナリオの最初から再開します。
OPTION
顔グラフィックの表示位置を左右から選択できます。
BACK
セーブデータのロードなどが行える画面に戻ります。
ゲームは、1日(シナリオ)単位で区切られており、ホテルの内外を移動しながら、人に質問したり、場所で何かを探したり操作したりすることで、物語が進行していきます。
また、そのシナリオで行く必要のない場所には、原則として行けないようになっているため、無駄に行動する労力を減らすことができます。その日の行動をすべて終えたら、翌日になります。
プレイ中、緑または赤く光る表示が出現することがあります。この表示を発見したら、近づいてAボタンを押すか、タッチスクリーン下部の円内を軽くタッチします。すると、会話イベントなどが発生します。
移動時に、タッチスクリーン上部に表示されているのは万歩計で、主人公が画面上を徒歩か走って移動する際に数字が加算されていきます。歩数が一定数に達すると、”隠された謎”の自動サーチ回数が増えます。1000歩で5、5000歩で10、1万歩で15、2万歩で20、です。
モンド・スミオは、商売道具のコンピューター「キャサリン」を持ち歩いており、このキャサリンを介して物語の進行に必要なさまざまのことが行えます。
キャサリンには、移動時にタッチスクリーンの左上のキャサリンのアイコンをタッチするかYボタンを押すことで移動できます。
キャサリン画面では、GUIDE BOOK(ガイドブック)、MEMO(メモ)、SAVE(セーブ)、GOODS(グッズ)の4つのアイコンが表示されています。それぞれの目的は、以下の通りです。
GUIDE BOOK
ロスパス島のガイドブックを見ることができます。ホテルに到着した際にエドからもらうことができ、島内のほとんどの謎は、このガイドブックで解くことができます。ガイドブックは、4ページから18ページまでがロスパス島のガイド、20ページから49ページまでがホテルのガイドになります。
MEMO
タッチペンで最大上下2画面まで自由にメモを取ることができます。メモ画面へは、ガイドブック画面から、直接、移動することもできます。また、1度書いたメモは、消さない限り残っています。
SAVE
それまでの進行度合いをセーブすることができます。セーブデータは、3つまで作ることができます。
GOODS
キャラクターのプロフィール、手に入れたアイテムの内容、1度解いた問題の答え、を確認することができます。
ジャックイン
本作の謎解きは、基本的にはジャック・イン画面で行います。まず、タッチペンなどでピンジャックを選び、それを対象へ差し込みます。正しいピンジャックを選んだら、DIAL CONTROL画面に切り替わるので、正しいと思われる数字を選んでいきます。数字は、ガイドブックに書かれている数字をそのまま選ぶか、法則に従って計算したものを入れていきます。
本作の主な流れは、以下の通りですが、ペットのワニであるクリスチーナを探し回るクサビ・トリコ編も1日の終わりにプレイする場合があります。
R-00: ロスパス空港の駐車場からホテル・フラワー・サン・アンド・レインに行き、支配人のエドと話します。
R-01: ホテルの室内でカメラを調べ、室外に出ます。
R-02: 屋上、404号室などに行きます。
R-03: 304号室、302号室などに行きます。
R-04: 2階、バー、407号室などに行きます。
R-05: 1階、フロント、屋上、2階、4階など、ホテル内を幅広く移動します。
R-06: フロント、屋上、404号室などに行きます。
R-07: フロント、2階、3階、屋上などに行きます。
R-08: フロント、教会などに行きます。初めて、ホテルから離れるわけです。
R-09: フロント、事故現場、ダイナーなどに行きます。送電鉄塔では、6ヵ所でジャック・インします。
R-10: フロント、事故現場、ダイナー、ホテルへ戻る途中の右手などに行きます。
R-11: フロント、灯台、402号室などに行きます。
R-12: ショッピングセンターに行き、奥の棚の裏のステップと話します。
R-13: エレキ島内を探索します。
R-14: ショッピングセンター、その先、フロント、408号室、映画館などに行きます。
R-15: フロント、麦畑、庭園、迷路などに行きます。
R-16: フロント、レストラン、プール、遺跡などに行きます。
R-17: コテージ、エレキ島、洞穴などに行きます。
R-18: 1階、フロント、屋上、2階、4階など、ホテル内を幅広く移動します。
R-19: ダイナー、ゲート、空港などに行きます。
【GRAPHICS】5
本作は、「プレイステーション2」版「花と太陽と雨と 終わらない楽園」の移植版で、グラフィックも移植元と同じく3Dポリゴンで表示されています。
「ニンテンドーDS」のグラフィック能力は、「NINTENDO 64」に匹敵するものがあり、それ相応の3Dポリゴン表示能力を備えています。
そのため、本作が「プレイステーション2」から「ニンテンドーDS」に移植される際に、日本のメーカーが好む2Dへと変更されなかったのは、とても好感が持てます。
ところが、本作の3Dポリゴンは、「NINTENDO 64」どころか、「セガサターン」の初期と言っても差し支えないほど粗いものになっています。
いくら「ニンテンドーDS」のグラフィック性能が「プレイステーション2」よりも劣ると言っても、これはあり得るものではありません。
もっとも、私はプレイしていないものの、移植元の「プレイステーション2」版もグラフィックの粗さでは定評があるようで、その粗さのままに「ニンテンドーDS」に劣化移植したというのが実際のところのようです。
本作は、「終わらない楽園」というサブタイトルがあるように、南国の楽園をその舞台としています。それだけに、本来なら南国の美しい風景や南国ならではのホテル内の調度や雰囲気が味わえるはずなのですが、その粗い3Dポリゴンのお陰で、それらを堪能することもできません。
「花と太陽と雨と」という南国ムードを連想させるタイトルや、パッケージのジャケット写真の澄み渡る空と生い茂る熱帯樹林とそれらを映し出す水面から思い浮かぶ南国のイメージは、その粗い3Dポリゴンのせいで期待が裏切られてしまうのです。
もっとも、本作は、「終わらない楽園」の”終わらない”部分に深い意味があり、想像以上にシュールな物語の展開は、その粗いポリゴンがあってより引き立つという結果を生んでいます。
これは、開発サイドが計算ずくで作り出したものかどうかは分かりません。しかし、もしそうであれば、これにGOサインを出した勇気を賞賛したいところですし、もしそうでなければ、思わぬ副産物だったと言えるでしょう。
この粗いポリゴンによって、ゲームに支障をきたすことはありませんが、グラフィック面で高い評価を与えるということはしづらいものがあります。次回作では、正攻法のグラフィックで勝負してほしいところです。
【SOUND】5
サウンドは、いかにも「ニンテンドーDS」のゲームらしいと言えるでしょう。登場人物のセリフに音声こそ付いているものの、それらはすべて擬音であり、正確な言語を発しているわけではないのです。
「ニンテンドーDS」でも、正確な言葉を話させることはできるのではないかと思うのですが、容量的には限界があるのでしょうか。これが「PSP」だったら、ある程度はセリフを話させることもできたはずです。音楽は、まずまずと言えるでしょう。
【CONTROL】6
ほとんどの操作を、タッチペンと数少ないボタンだけで行うことができます。その気になれば、タッチペン必須の操作以外は左手だけでも行えてしまうほどです。とは言え、だから本作の操作性が優れているというわけでもありません。
本作は、グラフィックに3Dポリゴンを採用してはいるものの、日本製のゲームらしく、主観視点ではなく客観視点になっています。つまり、常に主人公の背後から眺めるのではなく、半固定視点で主人公を眺めるような視点になっているわけです。
そのため、主人公を見る向きが変わった際に、進行方向が不安定になります。また、主人公がドアの近くにいる際には、ドアを開けたくないのに、うっかりドアを開けてしまう場合もあります。
また、主人公の移動は、タッチペンの方が的確に行いやすいのですが、キャサリンのアイコンなどにふれてしまうことも多々あり、ストレスがかかるものになっています。
ジャック・インの際のピンジャックの操作性もそれほど良いとは言えませんし、数字を選ぶ際にダイヤルを回させる必要性にも乏しく、文字盤の数字を選んでいく方が素早くて良かったと思います。
操作性全般に関しては、ひどいとまでは言えないものの、とても褒められたものでもありません。
【GAMEPLAY】6
本作は、「花と太陽と雨と」というタイトル、「終わらない楽園」というサブタイトルから、終わることのない楽園を舞台にしたアドベンチャーというイメージを持ちます。
また、グラフィックの項でもふれたように、パッケージのジャケット写真の澄み渡る空と生い茂る熱帯樹林とそれらを映し出す水面から思い浮かぶ南国のイメージが、それをより一層強調させます。
しかしながら、実際にゲームを始めてみると、「セガサターン」の初期と言っても差し支えないほど粗い3Dポリゴンが、プレイヤーのそうした考えをまずは排除してくれます。
そして、いざホテルに到着すると、いきなり予想外の展開が訪れ、それに続いて、事件の連鎖、奇妙な人々、ループする時間、といったシュールな展開が待ち受けるのです。
この時点で、プレイヤーの事前の目論みは吹き飛ばされ、主人公のモンド・スミオと同一化して、作り手の掌で翻弄されることになるのです。
そうは言っても、プレイしていてそれが不快というわけでもなく、そのシュールな展開にはまっている自分がいることに気がつくはずです。
翌日の展開が知りたくて、なかなかプレイする手を休めることができないのです。本作は、そうした不思議な魅力を持ったゲームだというわけです。
もっとも、だからと言って、本作が同じようにシュールなアドベンチャーゲームである「SYBERIA」レベルの傑作というわけでもありません。
「SYBERIA」のレビューは、「XBOX」のレビューをご覧いただくとして、本作の場合には、「SYBERIA」のような一貫した壮大なストーリー性は乏しく、「SYBERIA」ほどの謎解きの整合性も存在しません。
本作は、ストーリー的には、同じ日の繰り返しが結果として最後に現れるといったものですし、謎解きに関してはあまり褒められたものではないからです。
本作の謎解きは、すべてがガイドブックによるもので、しかも、そのガイドブックから数字を拾ってくるか、その数字を元に計算するというものになっています。
つまり、アドベンチャーらしい、伏線を散りばめたものや、プレイヤーが得られる情報から推察する、といった謎解きが楽しめないのです。このあたりは、アドベンチャーゲームとしては、少し物足りないところです。
ただ、そのガイドブックに関しては、しっかりと作り込まれたものになっており、実在するホテルのガイドブックとしても、立派なものだと言えるでしょう。
このガイドブックだけでも読み応えのあるものなので、できることなら取扱説明書とともに印刷物として添付してほしかったところです。ゲーム中に幾度も閲覧する必要もあり、そうすることがプレイアビリティの向上にも貢献したことでしょう。
【LONGEVITY】7
本作はアドベンチャーゲームであるため、極力、自力で謎解きをすると、それなりの時間がかかると思いますが、詰まった時に攻略サイトなどのお世話になった場合には、15時間ぐらいでクリアできるのではないかと思います。
また、ゲームのクリアとは全く関係ない、その日ごとの探し物3点をすべて探すと、その倍の時間はかかる可能性があります。ここでは、一般的なクリア時間として、「7」にしておきます。
【OVERALL】6
本作は、「花と太陽と雨と」というタイトル、「終わらない楽園」というサブタイトルなどから、終わることのない楽園を舞台にしたアドベンチャーというイメージを持ちます。
しかしながら、実際にゲームを始めてみると、「セガサターン」の初期と言っても差し支えないほど粗い3Dポリゴンが、プレイヤーのそうした考えをまずは排除してくれます。
また、操作性の悪さ、謎解きの単調さも、あまり好ましいものではありません。それでも、そのシュールな展開にはまってしまうという不思議な魅力を持ったゲームで、プレイ後も余韻に浸ることができます。
点数的にはあまり高く評価できはしないのですが、人によっては心に残るゲームになることでしょう。
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