【GENRE】
アドベンチャー
【PUB./DEV.】
任天堂/任天堂
【RELEASE DATE】
2004/3/18
【OUTLINE】
2003年3月14日に「ゲームボーイアドバンス」で発売された「ゼルダの伝説 4つの剣」を「ゲームキューブ」に移殖したものです。「ゲームキューブ」では、「つながるシステム」を採用して、新たなゲームとして生まれ変わっています。
「つながるシステム」とは、「ゲームキューブ」のコントローラポートにGBAケーブルで「ゲームボーイアドバンス」を接続して楽しむ新しいゲームスタイルのことで、本作では「ゲームボーイアドバンス」をコントローラーとして用いるばかりでなく、ゲームのディスプレイとしても用います。
本作では、「ハイラルアドベンチャー」、「シャドウバトル」、「ナビトラッカーズ」のすべてのモードで、「つながるシステム」を楽しむことができます。
【GAME MODE】
ハイラルアドベンチャー
本作のメインとなるモードで、他のプレイヤーと協力したり競争したりしながら4人のリンクを操作してコースをクリアしていくアドベンチャーモードです。
1~4人でプレイすることができ、1人の場合は「ゲームキューブ」のコントローラーか「ゲームボーイアドバンス」のどちらでもコントローラーとして使うことができますが、2~4人の場合には「ゲームボーイアドバンス」のみをコントローラーとして用います。
通常はテレビ画面を見ながら操作しますが、裏世界や横スクロール型の画面になった際に、「ゲームボーイアドバンス」の画面を見ながらプレイすることになります。
「ゲームキューブ」のコントローラーでプレイしている場合には、テレビ画面の中央に「ゲームボーイアドバンス」の画面が現れます。
冒険の舞台となるハイラルは8つの地域(Level)に分かれており、8つの地域の中にはそれぞれ3つのコースが用意されています。
コースをひとつずつクリアして次のコースへと進んでいくわけですが、各コースの最後には”暗黒の結界”が待ち受けており、この結界を破らないと次のコースに進むことができません。
プレイヤーは、各コースに待ち受ける敵を倒したり謎を解いたりしながら結界を破るために必要な2000フォースを剣に集めて、それぞれのコースをクリアしていくわけです。8つの地域と3つのコースは、以下のようになっています。
L1 風の行方: ハイリア湖畔、戻らずの洞窟、ハイラル城。
L2 ハイラルの東: 海岸、青の巫女の村、東の神殿。
L3 デスマウンテン: デスマウンテンのふもと、登山道、炎の塔。
L4 草原地方: 草原、沼地、ハイラル城への潜入。
L5 暗黒の世界: 迷いの森、カカリコ村、暗黒の神殿。
L6 あやしの砂漠: あやしの砂漠、砂漠の神殿、ピラミッド。
L7 雪のハイラル: 雪のハイラル、氷の神殿、風の塔。
L8 天上の世界: 天上の世界、暗雲、風の宮殿。
シャドウバトル
「ハイラルアドベンチャー」に登場したステージを使って、2~4人の対戦を行います。「ゲームボーイアドバンス」のみをコントローラーとして用います。剣やアイテムを用いて、相手のハートをすべてなくせば勝ちになります。
ナビトラッカーズ
制限時間内に集めた「海賊のメダル」の数を競う海賊試験です。1~4人でプレイできますが、「ゲームボーイアドバンス」のみをコントローラーとして用います。
ゲームの全体マップはテレビ画面に表示されますが、プレイングキャラクターは「ゲームボーイアドバンス」の画面に表示されます。
まず、オープニングのミニゲームで、装備品やアイテムを手に入れます。
これらの装備品やアイテムには、ロック鳥の羽根、マジックハンマー、ペガサスの靴、海賊のお守り、マジックマント、イベントカード、風船、スーパー風船、ふこうのツボ、スーパーハンマー、シャベルなどがあり、コース内の宝箱からも手に入れられます。これらの装備品やアイテムは、ゲーム本編で使うことができます。
ゲームは、前半3分、タイムイベント2分、後半4分の計9分ですが、メダルが合計100枚集まった時点でも終了となります。
プレイヤーは、テレビから流れてくるナビゲーターのテトラのヒントを聞きながら、「ゲームボーイアドバンス」内で番号順に「海賊のメダル」を集めていきます。
「海賊のメダル」をもらうためには、メダル1つにつき3ルピーが必要になります。また、ラッキースターを取ると、次に取るメダルの数が1度だけ2倍、3倍に増えます。
タイムイベントには、海賊お宝ビンゴ、海賊4択クイズ、海賊早押しでポンの3つがあり、イベントカードがあれば参加できます。
ポイントとして加算されるのは、メダル獲得数、ボーナスキャラクターからメダルをもらった回数、ルピー獲得数、妖精アイテムの数で、これらを合計して最も多くのポイントを稼いだプレイヤーの勝ちとなります。
【GRAPHICS】4
「ゲームボーイアドバンス」版「ゼルダの伝説 4つの剣」を「ゲームキューブ」に移植したもので、完全な2D画面となっています。
もちろん、発色、オブジェクトやキャラクターのグラフィック、キャラクターの動きなどに関しては、「ゲームボーイアドバンス」版よりも向上しています。
しかし、「ゲームキューブ」のタイトルとして考えた場合に物足りなさを感じてしまうのは致し方のないところでしょう。
本作のパッケージにあるような「ゼルダの伝説 風のタクト」的な「ゲームキューブ」らしいグラフィックでのリメイクを期待したかったところですが、それよりも任天堂が力を入れる「ゲームキューブ」と「ゲームボーイアドバンス」とのコネクティビティを優先したということなのでしょう。
売れ行き不振の「ゲームキューブ」を買ってもらうためには、「ゲームボーイアドバンス」のユーザーに買ってもらうのが手っ取り早いと考えたわけです。任天堂には、「ゲームキューブ」の性能を活かしたタイトルづくりにも力を入れてもらいたいものです。
【SOUND】9
ステレオです。「ハイラルアドベンチャー」と「シャドウバトル」に関しては、「ゼルダの伝説」伝統のBGMとSEとわずかばかりのキャラクターボイスとなっています。
まぁ、「ゲームボーイアドバンス」版をほぼそのまま移殖したわけですから、グラフィック面との兼ね合いを考えてもやむを得ないところでしょう。
とは言え、「ナビトラッカーズ」に話を移すと、サウンド面での評価は大きく跳ね上がります。ナビトラッカーズは、テレビからナビゲーターのテトラのヒントが流れてくるわけですが、この喋りが素晴らしいのです。
プレイヤーは、ゲームの最初にニックネームを登録するのですが、なぜかこれがひらがなで二文字まででした。しかし、ゲームを始めるとこの謎はすぐに解けます。ナビゲーターのテトラがプレイヤーのニックネームを頻繁に呼んでくれるのです。
プレイヤーのニックネームをきれいに発音するためには、二文字までが適当だったということなのでしょう。しかも、単にプレイヤーのニックネームを呼ぶだけでなく、プレイヤーの現在の状況や次に取るべき「海賊のメダル」の番号なども事細かに解説してくれます。
テトラ以外のキャラクターが話すこともありますし、ボキャブラリーも少なくはありません。これほど賑やかで楽しめるパーティゲームというのも珍しいのではないでしょうか。
本作の「ゲームキューブ」と「ゲームボーイアドバンス」のコネクティビティの真価は、「ナビトラッカーズ」にこそあると言えるでしょう。
【CONTROL】8
本作は、1人だと楽しめないのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、メインモードとなる「ハイラルアドベンチャー」に関しては、その心配は無用です。1人でプレイしても、簡単に4人のリンクを操ることができるからです。
コントロールスティック(十字ボタン)で移動と物を押す、Aボタンで各種アクション、Bボタンで剣を振る、Rボタンでつかむ、持ち上げる、転がる、が基本的な動作です。それに加えて、Lトリガーと十字ボタンでフォーメーションを組むことができます。
フォーメーションは、クロス、ワイド、ロング、ボックスの4つで、攻撃したり物を押したり持ち上げたりする際に、状況によって使い分けられます。また、Xボタンを押すことで、1人のリンクだけで行動することもできます。
これらの操作をうまく使い分けることで、1人プレイでも、「ハイラルアドベンチャー」をクリアすることができるのです。1人プレイで不自由することは特にないでしょう。
ただ、2Dということで、オブジェクトが見分けづらかったり、距離感をつかみにくかったりすることがあります。
また、「ゲームボーイアドバンス」を「ゲームキューブ」のコントローラーとして用いる場合ですが、「ゲームボーイアドバンス」の方がコントローラーとしての操作性が劣るのは致し方ありませんが、両者間の視点移動はそれほど頻繁でもないため、あまり面倒と感じることはないでしょう。
【GAMEPLAY】7
「ゲームキューブ」と「ゲームボーイアドバンス」のコネクティビティに重点を置いたのが本作最大の特徴です。
任天堂の営業政策上の都合が見え隠れするのが少し嫌なところですが、「ハイラルアドベンチャー」は1人でも遊べますし、「ナビトラッカーズ」はコネクティビティの良さを最大限に発揮していますし、甘い見方をすれば許せるかなといったところでしょうか。
営業政策上の都合ということで言えば、本作を早期に買ってクラブニンテンドーでポイント登録すれば、「ゼルダコレクション」の交換ポイントが500ポイントではなく120ポイントで済むというのもありました。
「ゼルダコレクション」目当てで本作をいち早く買ったという人もいることでしょう。ユーザーにとってクラブニンテンドーが便利なのは確かですが、見事に任天堂に乗せられているという気もします。かくいう私も、それに乗ったひとりではありますが・・・。
さて、任天堂の営業政策上の話はこれぐらいにしておいて、話をゲーム自体に移しましょう。
前述しているように、本作は「ゲームボーイアドバンス」版「ゼルダの伝説 4つの剣」を「ゲームキューブ」に移殖したものです。そのため、グラフィックやサウンド面での目新しさはありません。
「ナビトラッカーズ」のサウンドを除いては。「ナビトラッカーズ」のサウンドは、本当によくできています。ゲーム自体はそれほど目新しいものでもないのですが、このサウンドがミックスされることによって、とても楽しいパーティゲームに仕上がっているのです。
単によく喋って賑やかというのではなく、自分のニックネームを呼んだり、ヒントを出したり、ゲームを盛り上げたりするタイミングが適切なのがいいところなのです。本作を手にしたら、ぜひとも「ナビトラッカーズ」をプレイしたいものです。
【LONGEVITY】9
「ゼルダの伝説」シリーズは、プレイ時間の長いシリーズとして知られています。本作の「ハイラルアドベンチャー」も、各コース2時間近くはかかるため、1Level当たり5時間以上、全8Levelで40時間以上はかかるという計算になります。
「ハイラルアドベンチャー」は、謎解きも重要な要素となるため、これで詰まるとけっこうな時間を取られます。
また、コース内ではセーブすることができません。ゲームオーバーになっても、フォースの精がいればそこから再スタートできますが、これが切れてしまうとコースの最初からやり直すことになります。
特に、Level8の風の神殿は、ラスボス戦を終えるまでセーブすることができないため、ラスボス戦前にフォースの精が10個を大きく割り込んでいる人はつらいと思います。
やはり、時間のかかるゲームは途中でセーブできるようにするべきだと思います。「ナビトラッカーズ」は楽しいものの長時間プレイするというものでもありませんし、「シャドウバトル」はすぐに飽きてしまうことでしょう。
【OVERALL】7
本作をどう見るかは、「ゲームキューブ」と「ゲームボーイアドバンス」のコネクティビティをどう評価するかにかかっていると言えるでしょう。社会人が3~4人集まって日常的にプレイできる機会は乏しく、1人プレイが中心になるはずです。
そう考えると、何も「ゲームボーイアドバンス」的なグラフィックとサウンドのゲームを「ゲームキューブ」でプレイする必要もないわけで、本作の価値も下がろうかというものです。
もちろん、ゲーム自体はそれなりに楽しいのですが、「『ゼルダコレクション』がほしいから『ゼルダの伝説 4つの剣+』を買った」という声は少なくはありませんでした。任天堂も、そのあたりのことを心得て、クラブニンテンドーで前述のキャンペーンを行ったのでしょう。
もっとも、「ナビトラッカーズ」のデキは画期的で、今後の任天堂のパーティゲームのスタンダードとなる可能性を秘めています。
「ゲームキューブ」と「ゲームボーイアドバンス」のコネクティビティにこだわらずに、「ゲームキューブ」単独でこれができれば素晴らしいパーティゲームになることでしょう。
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