「PROJECT GOTHAM RACING 2」レビュー

【GENRE】
レース

【PUB./DEV.】
MICROSOFT/BIZARRE CREATIONS

【RELEASE DATE】
2003/11/18(アメリカ)

【OUTLINE】
ドライビングテクニックやドライビングスタイルを評価するKudosという独特のポイントシステムをレースゲームに持ち込み、ただ単に速く走るだけでなくいかにスタイリッシュな走りを見せるかがキーになるという斬新なタイトル「PROJECT GOTHAM RACING」の続編です。
ドリームキャストで発売された「MSR METROPOLIS STREET RACER」から数えると、3作目ということになります。
都市は、前作のサンフランシスコ、ロンドン、東京、ニューヨークの4都市から、エジンバラ、モスクワ、バルセロナ、ワシントンD.C.、シカゴ、フローレンス、ストックホルム、香港、横浜、シドニー、ニュルブルクリンクの11都市92コースへと拡大。
車種も、フェラーリ、ポルシェなどを含む102車種となっています。また、新たな要素が加わるとともに、難易度に柔軟性を持たせて初心者にも対応。更に、「Xbox LIVE」でもプレイでき、最大8人によるオンラインバトルも可能にしています。

【GAME MODE】
シングルプレイヤー
1人プレイ用の以下のモードがあります。

Kudosワールドシリーズ
メインとなるモードで、14に分けられたクラスを順にプレイして、さまざまなイベントをクリアしていきます。
それぞれのイベントでは難易度を選ぶことができ、難易度が高ければ高いほど多くのKudosを獲得できます。
難易度は、ビギナー(スチール)、イージー(ブロンズ)、ミディアム(シルバー)、ハード(ゴールド)、エキスパート(プラチナ)の5段階です。
また、Kudosは、美しい走りをすることでも加算されていきます。
Kudosには、SLIDE(後輪を滑らせる)、GOODLINE(コーナーで最速ラインを通る)、DRAFT(スリップストリームをする)、360(360度ターンをする)、TWO WHEEL(片輪走行をする)、AIR(段差などでジャンプする)、CLEAN SECTION(セクション間で壁やガードレールにぶつけない)、CLEAN RACE(レースを通して壁やガードレールにぶつけない)、TIME BONUS(時間を残してゴールする)、POSITION BONUS(上位でゴールする)などがあります。
また、これらを2秒以内に続ければ、COMBOとなり、より多くのKudosが獲得できます。
なお、本モード終了時の最低メダルによって、ボーナスカー(メダルごとに1台ずつ)が獲得できます。
イベントには、以下の7種類があります。

ストリートレース(SR)
AIを相手にした6台もしくは8台によるレースです。

1 on 1(1o1)
AIを相手にした1対1のレースで、難易度に関わらず勝つ必要があります。

タイムラン(TR)
決められた周回数を、目標タイム以内でクリアします。

ホットラップ(HL)
1周を、目標タイム以内でクリアします。

オーバーテイク(OT)
決められた時間内に、決められた台数を追い越します。

スピードカメラ(SC)
カメラ設置地点を、目標トップスピード以上で通過します。

パイロンチャレンジ(PC)
パイロンが置かれたコースで、決められた時間内に、目標以上のKudosを獲得します。

各クラスと、イベントは以下の通りです。カッコ内はイベント数です。

Compact Sports Series
SR、1o1、PC、1o1、SR、SC、SR(7)

Sports Convertible Series
OT、SR、SR、1o1、PC、SC、SR(7)

Coupe Series
TR、SR、SC、1o1、PC、OT、HL、SR(8)

Sports Utility Series
HL、SC、SR、1o1、PC、OT、SR、SR(8)

Pacific Muscle Series
SR、SR、SR、PC、HL、1o1、SR、SR、SC、SR(10)

Roadster Series
TR、PC、SR、TR、OT、TR、PC、1o1、SR、SC、SR(11)

Classic Series
HL、TR、SR、1o1、HL、PC、OT、1o1、HL、SC、SR(11)

Sports Coupe Series
TR、OT、SR、1o1、OT、SR、PC、SC、1o1、TR、SR、SR、SR(13)

American Muscle Series
SR、SR、PC、HL、1o1、SR、PC、SR、HL、TR、SR、SR、SC、SR(14)

Super Car Series
TR、OT、1o1、SC、SR、HL、HL、SR、1o1、HL、OT、SR、SR、SR(14)

Grand Touring Series
TR、OT、SR、1o1、PC、SR、OT、HL、SR、1o1、OT、HL、1o1、SC、SR、SR(16)

Track Specials Series
HL、SR、HL、HL、1o1、SR、OT、TR、HL、1o1、OT、TR、HL、SR、1o1、SC、SR(17)

Extreme Series
TR、OT、SR、1o1、1o1、1o1、TR、PC、HL、SR、SR、SR、SC、1o1、SR、SR、SR(17)

Ultimate Series
SR、SR、SR、SR、PC、SR、PC、SR、SR、SR、SR、PC、SR、PC、SR、SC、SR、SR、SR(19)

アーケードレーシング
決められたモデルを使い、ストリートレーシング、タイムラン、パイロンチャレンジで、Kudos獲得をめざします。各イベントは、20ずつあり、「Kudosワールドシリーズ」同様に難易度が選べます。

タイムアタック
既にアンロックしているサーキットと車種で、タイムアタックが行えます。サーキットを走る車種は任意に選べますが、車種が走るサーキットは指定されています。本モードでは、Kudosを獲得することはできません。

マルチプレイヤー
Xbox Live(最大8人によるオンライン対戦)、スプリットスクリーン(最大4人による分割画面対戦)、システムリンク(最大8台のXboxによるシステムリンク対戦)が楽しめます。
「Xbox Live」では、クイックサーチ(すぐにゲームに参加できる)、オプショナルサーチ(参加するゲームの条件を指定して選ぶ)、ニューゲーム作成(ホストとなってゲームを作成する)、スコアボード(累計と都市別のKudosのランキング閲覧)、Xbox Live オプション(フレンドのチェックやオプションの変更)が行えます。

ゴーストチャレンジ
「ゴーストチャレンジ」でダウンロードしたゴーストと対戦します。

オプション
以下の各項目が行えます。オプション(ゲームの各種設定の変更)、プレイヤー(プレイヤーレコード、スピード写真、リプレイの閲覧)、サウンド/ミュージック(サウンドとサウンドトラックの変更)、デモ(都市別のデモ)、クレジット(ゲームのクレジット)。

コンテンツダウンロード
新しいコンテンツをダウンロードします。
Xbox Liveログアウト
Xbox LIVEからログアウトします。

【GRAPHICS】9
アメリカでは、前作は「Xbox」のローンチタイトルとして発売されており、本作はほぼ2年の時を経ての発売となります。
前作でも、各都市の作り込み、クルマのグラフィック、クルマへの景色の写り込みなどは申し分ないほどのレベルでしたから、グラフィック面では驚くほどの進化を遂げてはいません。
ただ、リアルに作るあまりに暗くて見づらいところがあった点は改善されていますし、グラフィックの美しさを強調するあまりにテカテカ光っていたボディはより自然なつやを醸し出していますし、色を抑え目にした背景にも好感が持てます。
明るさを任意に調整できる機能も付けられており、本作では暗すぎるといった不満は出ないことでしょう。
フレームレートが秒間60フレームから30フレームに落とされていますが、あまり気にはなりませんし、オンラインによる8人対戦を考慮すれば、現状では仕方のないことかもしれません。
また、前作であった処理落ちも、本作では発見するのが難しいほどになっています。「Xbox」も発売後2年を経て、グラフィック面でも熟成されてきたということでしょう。

【SOUND】10
ドルビーデジタルです。前作でも各車のエンジン音は問題ないレベルに仕上がっていましたが、本作ではそれが更に向上しています。
車種ごとのエンジン音の違いがしっかりと表現されているばかりでなく、車種によってはそのエンジンサウンドに酔いしれることさえできるほどのレベルになっているのです。
そして、本作では前作に引き続いて、各都市ごとに実在するFM局のDJがしゃべり特徴ある音楽が流れようになっています。
本作では、都市の数が前作の4から11へと拡大していますから、都市ごとに違ったラジオを聴く楽しみが増えたというわけです。
もちろん、プレイヤー自らがハードディスクに録音した音楽をBGMとして流すということもできますが、まずはラジオを堪能しないともったいないでしょう。

【CONTROL】10
前作でもけちのつけようがないぐらいの操作性を実現させていましたが、本作でも変わらずに上質な操作性を保っています。
本作は、ちょっとプレイする分には単なるドリフトゲームと感じるかもしれませんが、実際のところは実に繊細で実車に忠実な挙動を実現させているのです。
車種ごとの微妙な特性の違いがうまく表現されており、グリップ走行が得意な車種やドリフトコントロールが容易な車種を、モードやコースに合わせて選ぶことができます。
操作に慣れてくると、パーシャルスロットル、ライトブレーキ、サイドブレーキ、カウンターなどを駆使したドライビングをすることができるようにもなってきます。
あえて難点を挙げるとすれば、以下のようなことが言えるでしょう。
スカイラインGT-Rのパワードリフトが10になっているなど一部の車種で本当にそうかなといったパラメーターがあること、全般にもう少しタイヤのグリップが上がっていれば良かったとも感じられること、などです。
もっとも、後者に関しては本作がKudosに基盤を置いているため仕方のない部分ではありますし、いずれにしても些細なことに違いはないでしょう。

【GAMEPLAY】9
「MSR」に比べると易しくなっていた前作ですが、それでもレースゲームにそれほど慣れ親しんでいない人にとっては難しかったに違いありません。そんな点を踏まえてか、本作では更に易しくなっています。
5段階選べる難易度は、レースゲーム熟練者にとってはまさにその表現通りの難易度と言え、ビギナー、イージーであれば、例え初心者であっても、そんなに苦労せずともクリアできる易しさなのです。ですから、時間さえかければ、ほとんどの人がクリアすることができるはずです。
また、Kudos獲得のための要素が増えたことで、Kudosを稼ぐためのドリフトの重要性も低下しており、初心者でも入っていきやすいゲームになったと言えるでしょう。

Xbox LIVEに対応した点も、本作をより価値あるものにしています。4輪のレースゲームとしては本作が初のLIVE対戦対応ゲームとなりますが、システム面はまずまず整備されており、快適なプレイを実現しています。
本作は8人までオンライン対戦できるのですが、同じ国同士であれば、ラグなどもほとんどありませんし、ボイスチャットも円滑ちに行うことができます。逆に言えば、国を超えての対戦ではラグが珍しくはないのですが、これは今後のオンライン対戦の課題としておきましょう。
また、ホストをする際に、ある程度条件を指定して参加者を選べるような配慮があっても良かったと思います。ひたすら速さを競う部屋やKudos稼ぎを狙う部屋かの明示、参加者のランクのある程度の指定、などは必要だったでしょう。

ランキングに関しても、一考の余地があります。「シングルプレイヤー」の「Kudosワールドシリーズ」と「アーケードレーシング」のランキングに関してはワールドランキングやフレンドのランキングも見られて悪くはありません。
しかし、「タイムアタック」は、サーキット数と車種数が多すぎて、どこに力を入れてタイムアタックすればいいのかがつかみづらいのです。
すべてのサーキットと車種でタイムアタックするなんていうのは不可能に近いですし、頑張ってタイムアタックしてランキング上位に入ったところで、積極的にタイムアタックしている人が少なければあまり意味がないものになってしまうからです。
都市数が多いのはいいとしても、一都市あたり3コースぐらいに抑えておくべきだったかもしれません。それでも、30コース以上になるわけですから。

【LONGEVITY】10
このシリーズは、相変わらずボリューム満点です。「Kudosワールドシリーズ」のイベント数が172、「アーケードレーシング」のイベント数が60、両方足せば実に232ものイベント数になるのです。
自分のレベルよりも低い難易度でプレイしてもかなりの時間がかかりますし、少し手応えがあるぐらいの難易度なら膨大な時間を要することでしょう。
しかも、「Kudosワールドシリーズ」のオールシルバー以上で獲得できるポルシェ911GT1やオールゴールド以上で獲得できるメルセデスCLK-GTRをゲットしたいとなると、より多くの時間プレイせざるを得ないことになります。
もちろん、LIVEでは毎晩のように数時間楽しむことができますから、コストパフォーマンスの極めて高いゲームだと言うことができるでしょう。

【OVERALL】10
本作は、2003年現在ではレースゲームの最高峰と言っても過言ではないでしょう。
Kudosという革新的なシステムを用い、飽きさせることのない多様なイベントを用意し、コンパクトカーからスーパーカーまで多彩な車種を登場させ、実に繊細で実車に忠実な挙動を実現し、最高品質のグラフィックとサウンドを擁し、初心者には易しく上級者には奥深く、XboxLIVEのオンライン対戦にも対応している。
これだけの要素を兼ね備えたレースゲームというのは、めったにあるものではありません。「Xbox」ユーザーでレースゲームに抵抗感を持たない人はもちろんのこと、非「Xbox」ユーザーでもレースゲームに興味がある人ならぜひとも買うべきタイトルです。

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