「grand theft auto: vice city」レビュー

【GENRE】
アドベンチャー、アクション、レース

【PUB./DEV.】
ROCKSTAR GAMES/ROCKSTAR NORTH

【RELEASE DATE】
2003/10/31(アメリカ)

【OUTLINE】
2002年秋にアメリカ、ヨーロッパで「プレイステーション2」版として発売された「grand theft auto」シリーズ第4弾「vice city」の「Xbox」版です。
「Xbox」では、「grand theft auto III」とセットになった「grand theft auto: double pack」のみが発売されています。
本作は、アメリカのフロリダ州マイアミをモデルにした都市バイスシティを舞台に繰り広げられるクライムストーリーです。
物語は、1986年、トミー・ベルセッティが15年の刑を終えて釈放されるところから始まります。
一文無しのトミーは、ケンから受けた報酬100ドルの小さな仕事を手始めに、陽気さと犯罪が同居する都市・バイスシティで犯罪組織のミッションを請け負いながら、暗黒街でのし上がっていくのです。
本作は、前作でも好評だった、バイスシティの生々しい生活感、ミッションの多彩さ、カーアクションの面白さ、乗れる(操れる)物の多さ、自由度の高さ、などにより一層磨きがかけられており、「Xbox」版はグラフィックやサウンド面が「プレイステーション2」版よりも強化されています。

【GAME MODE】
バイスシティは、温暖な気候に恵まれており、ビーチ沿いでは人々は水着で過ごすことも珍しくはありません。ただ、時折、スコールや雷雨に見舞われることもあります。
バイスシティの経済は、その大半を観光とブラックマーケットに頼っており、ここではマネーが神となっています。
バイスシティに住む人々は、よその土地から引っ越してきた人が多く、キューバ人、ハイチ人、白人労働者、定年退職者が、その多くを占めています。ゲームは、こんなバイスシティの以下の5地区を中心に展開されます。

オーシャンビーチは、ゲームが始まるリゾート地区です。ワシントンビーチ沿いには高級ホテルが軒を連ね、ヨットクラブやバー、ストリップクラブもあります。昼はローラースケーターや水着姿の美女が行き交い、夜はモデル、俳優、ディーラー、大金持ちなどが楽しい時間を過ごします。

バイスポイントは、オーシャンビーチの北側にあります。ショッピングモール、クラブ、宝石店などが点在する高級商業地で、高級マンションも多く、ダートバイクトラックもあります。

ダウンダウンは、バイスポイントから橋を渡った西側の島にあります。バイスシティの経済の中心地で、高層ビルが林立しアスファルトジャングルの様相を呈しています。北西側にはハイマン・メモリアル・スタジアムがあり、北東側にはダートバイクトラックもあります。

リトルハイチは、ダウンタウンの南側にあります。ハイチ人が住む庶民的な地区で、安価でカジュアルなお店が点在しています。ブードゥー教を信仰し、クレオール語を話す人も多く、訪れる価値のある地区です。西端には、スクラップ場があります。

リトルハバナは、リトルハイチの南側にあります。キューバ人はバイスシティでも一大勢力を誇りますが、その多くがこのリトルハバナに在住し、スペイン語を話しています。南東にはバイスシティ港があり、西側にはエスカバー国際空港があります。

また、東側の島(オーシャンビーチ、バイスポイント)と西側の島(ダウンタウン、リトルハイチ、リトルハバナ)は、4本の橋で繋がれています。
1番北の橋の途中にあるプロウン島にはインターグローバルフィルム、2番目の橋の途中にある島にはリーフリンクスゴルフクラブ、3番目の橋の途中にあるスターフィッシュ島には大きなマンション、がそれぞれあります。

トミーへの仕事の依頼は、メインミッション、サブミッション、物件ミッション、車両ミッションなどがあります。
本作では、サブミッション、物件ミッションをそれなりにこなさないと、メインミッションが進まないようになっています。
物件ミッションは本作から入れられたミッションで、トミーが店や会社のオーナーとなることでできるようになるミッションです。
トミーが購入できる物件は、Boatyard、CherryPopper Ice Cream Factory、Pole Position Strip Club、Kaufman Cabs、Sunshine Auto Show Room、Film Studio、Printworks、TheMalibuで、それぞれミッションを完了すれば1日当たり数千ドルの収入が手に入ります。ただし、それぞれの店舗まで回収に行く必要があります。
物件ミッションのうちSunshine Auto Show RoomとThe Malibuは、やらなくてもエンディングまで進められることは確認しています。
ミッション内容はさまざまですが、時間制限のあるものとないものとに大別することができ、いったんミッションが始まると画面左下のマップ上に目的地が表示されるため、どこに行けばいいのか迷うことはあまりありません。
体力が0になったり、時間内に目的を遂行できなかったりすると、ミッションは失敗に終わりますが、死んでも病院から復活するだけですし、警察に捕まっても同様です。ただし、その場合には、所持している武器はすべて没収されます。
街中には体力を回復したり、警察の手配レベルを下げる場所もあります。また、ペイントショップにクルマごと入れば、警察の手配レベルを0にできます。
このペイントショップは、ほとんどの地区にあって、とても重宝します。武器店も、少しは活用することでしょう。
もちろん、本作でも、自由に街をクルマで走り回ったり、歩き回ったりすることもできます。
クルマは、駐車場やショールームにあるものに勝手に乗ることができるだけでなく、走行中のクルマをカージャックすることもできます。その気になれば、通行人やギャングを襲撃してお金や武器を奪うこともできます。
本作では、トミーは最初はホテル住まいで、そこがセーブポイントになります。ゲームが進んで行くに連れて、セーブポイント用のアジトを購入できますし、物件でセーブすることもできます。
もっとも、中盤以降は、スターフィッシュ島にある大きなマンションがトミーの住まいとなるため、ここを拠点に活動することになるでしょう。セーブデータは、複数作ることができます。

【GRAPHICS】8
本作も前作同様、大人のゲームの様相を呈する映画のようなしゃれたオープニングで始まります。
本作は、温暖な気候に恵まれビーチ沿いでは人々は水着で過ごすバイスシティが舞台となり、前作とはまた違ったアメリカを見せてくれます。
リトルハイチやリトルハバナも前作にはなかったアメリカの一風景であり、オーシャンビーチやバイスポイントとのカラーの違いを感じとることができます。
映画スタジオ、ゴルフ場なども本作から入れられた要素で、それらをテーマにしたミッションを楽しむこともできます。
本作は、前作から1年後の2002年秋に発売された「プレイステーション2」版を元に作られていますが、1年分の進化が感じられるグラフィックとなっています。
1年前の「プレイステーション2」が元になっているだけに「Xbox」レベルのグラフィックとまではいかないものの、ビルや建物はくっきりとしましたし、人やクルマなどの作り込みも良くなっており、前作よりもはるかに進歩していることがうかがえるのです。
もちろん、それぞれの地区内はシームレスで移動できますし、「Xbox」版になって人やクルマのテクスチャーやポリゴンは強化されていますし、クルマへの映り込みや光源処理も施されています。
全体が美しくなっているばかりでなく、細かく見ていっても合格点をつけられるグラフィックになったと言えるでしょう。

【SOUND】9
ドルビーデジタルです。この点でも、「プレイステーション2」版からグレードアップされています。
やはり、オープニングのテーマソングには上質感が漂いますし、クルマに乗ればFM局から軽快なサウンドが流れてきます。
バイスシティには多くのFM局が存在し、黒ボタンを押すことでも局を変えることができます。
曲は、1980年代の名曲がふんだんに取り入れられており、「Out Of Touch」(ホール&オーツ)、「Billie Jean」(マイケル・ジャクソン)、「Self Control」(ローラ・ブラニガン)、「Owner Of A Lonely Heart」(イエス)、「Waiting For A Girl Like You」(フォリナー)、「Keep On Loving You」(REOスピードワゴン)、「Africa」(TOTO)、「99 Luftballons」(ニーナ)、「Kids In America」(キム・ワイルド)、など、ざっと挙げただけでも垂涎もののラインナップです。
もちろん、Xboxのハードディスクから音楽を流すことも可能です。
効果音も、街の喧騒、通行人やギャングの声、クルマのエンジン音、雨音などから街の息吹を感じ取ることができます。あちこちから聞こえてくる多国語が、バイスシティの特徴を物語っています。

【CONTROL】9
操作性は良好だと言えるでしょう。
歩行時は、左スティックで移動、右スティックでその場での主観視点、右スティックを押し込んで振り返り、移動しながらAボタン同時押しで高速ダッシュ、Xボタンでジャンプ、方向パッドの左右で武器の切り替え、左トリガーで標的、右トリガーで攻撃、白ボタンで視点切り替え。
クルマ時は、左スティックで移動、左スティックを押し込んでホーン、右スティックで前後左右の確認、右トリガーでアクセル、左トリガーでブレーキとバック、Bボタンでハンドブレーキ、Yボタンで乗車と降車、Xボタンで車両ミッションのオンオフ、白ボタンで視点切り替え、黒ボタンでラジオ局の切り替え。
もっとも、本作からは、真上からの見下ろし視点はなくなっています。実用性は皆無だっただけに、外したということでしょう。
本作からは、バイクにも乗れるようになっていますが、やはり、車両ごとに、操作性、スピード、耐久力が微妙に異なります。
ここにも、クルマやバイクのゲームを得意とするROCKSTAR GAMESらしいこだわりがうかがえます。
これにより、どの車種を選択するかでミッションの成功度も違ってくるわけです。ただ、本作ではガレージにクルマを確保しておく必要性は減少しています。
なぜなら、スターフィッシュ島にある大きなマンションには、最速クラスのインフェルナスがいつも置かれているからです。武器の操作性に関しては、ストレスを感じることは少ないでしょう。

【GAMEPLAY】10
「grand theft auto III」にあった、詳細に設定された各地区を、人やクルマが行き交い、それぞれのライフスタイルを貫き、随所で交通渋滞や交通事故や喧嘩や銃撃戦が発生し、パトカーや救急車が出動する、そんな24時間眠ることなく活動しつづける都市の中に繰り出す楽しさは、本作にも引き継がれています。
前作との違いは、交通人身事故が発生すること、パトカーの台数が少し減ったように感じられること、駐車場にとめられているクルマが訪れるごとに変わっていること、でしょうか。
ミッション自体は、前作よりも更にバラエティに富むとともに、全体の難易度は上昇しています。
シリアスなミッションやスピードを競うミッションがある一方でアイスクリームを50個売るなんていうユニークなミッションもあり、あっさりと終わるミッションもあればかなり頭を悩ませるミッションもあるといった具合なのです。
また、本作では、乗り物はクルマやボードだけではなく、バイク、飛行機、ヘリコプターなどにも乗れるようになりましたし、ラジコン飛行機やラジコンヘリコプターを操縦するミッションすらあります。
クルマは、壊れ方が前作ほどひどくなくなった一方で、タイヤがパンクするようになりました。激しい銃撃を受けた際や警察の仕掛けを踏んだ際にそうなるもので、かなりクルマをコントロールしづらくなります。
登場人物は更にバラエティに富んでおり、彼らが織り成すクライムストーリーとトミーのサクセスストーリーは、ゲームをよりドラマティックなものにしています。
もちろん、自由度の高さも健在で、ミッションのクリア方法や車種選択にもある程度の融通が利きますし、ゲームの進行とは直接関係のないミッションも楽しめます。
ピザバイク、タクシー、パトカー、救急車、消防車に乗れば、それぞれの仕事を楽しむことができますし、街中にあるジャンプ地点でバイクのスタントに挑戦したり、100個ある隠しパッケージを探し出したり、といった楽しみ方もできます。
そのほとんどが正規のミッションをすべてクリアしてからでも行うことができるため、気が向いたら再びバイスシティに繰り出すことも可能なのです。

【LONGEVITY】10
バイスシティは、前作のリバティシティのように各地区がはっきりと分けられていないため、最初に訪れた際にはそれほど広くないのではないかと感じてしまいますが、実際のところはかなり広い都市になっています。
しかも、東西の島を繋ぐ橋が4本もあるため、それぞれの繋がりや各施設の所在地をよく覚えておく必要があります。
また、それぞれのミッションは繰り返しチャレンジして自分なりの攻略手順を編み出さないと、簡単にはクリアできません。
そのため、メインのミッションをクリアするだけでも、それ相応の時間がかかることでしょう。
その上、本作では、ほとんどの物件ミッションをクリアしないと、メインのミッションが進まないようになりました。
物件ミッションが加わったことで、本作では資金面での余裕がなくなっています。次の物件を買うためには、ミッションクリア済みの物件を回って売り上げを回収する必要があります。
そういったこともあって、本作では、単にクリアをめざすだけでも、かなりの時間を要するようになっています。
もちろん、本作の楽しさは、それらのミッションだけにあるのではなく、前述したような自由度の高さにこそあります。
自由度の高さをそれなりに味わわないと、本作を持っている価値も薄れてしまいますし、本作を買った人なら少しぐらいはそれらのミッションを外れて行動してみるに違いありません。
そうした点を考慮すると、50時間ではとても足りないことでしょう。

【OVERALL】9
本作には、前作同様の楽しさや自由度の高さがありますし、前作以上のミッションの多彩さ、乗ったり操縦したりできる乗り物の多さもあります。
ですから、本作は、前作が楽しめた人であれば、間違いなく楽しんでプレイすることができます。
もっとも、「Xbox」版購入者であれば「grand theft auto double pack」を買っているわけですから、前作をプレイして本作を買うかどうかを決めることはあり得ないわけですが・・・。
もちろん、本作と「grand theft auto III」のセットが$49.99で買えてしまうのですから、北米版「Xbox」ユーザーなら躊躇することはありません。すぐにでも買うべきでしょう。
とは言え、北米版「プレイステーション2」版を個別に買ってもこれぐらいの価格で買えてしまうので、バーゲンプライスとも言いきれないのですが、「Xbox」でも「grand theft auto」シリーズが発売され、この価格で買えるということが重要なのです。
しかも、ハイチ人関連のミッションは、新規出荷分からは削除されてしまいます。同ミッションはサブミッションなのですが、それなりにボリュームがあって楽しめるため、削除されていないバージョンを買うことをお勧めします。
本作にもかなりたくさんのチートコードがありますが、本作でも私は一切使いませんでした。クルマなどの乗り物を操縦することや銃撃戦が嫌いではない人にとっては、なんとかクリアできる難易度だということです。
点数は、「10」に近い「9」というところでしょうか。

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