「冒険少年クラブ画報」ウォークスルー&レビュー

【GENRE】
アドベンチャー/クイズ/間違い探し/ノスタルジー

【PUB./DEV.】
ジョルダン/サンテック

【RELEASE DATE】
2003/9/25

【OUTLINE】
昭和おもいで探しゲームです。プレイヤーは、懐かしの昭和30年代にタイムスリップして、10歳の少年・蒲郡時央となり、甘酸っぱい思い出のカケラを探して下町を探索します。そこには、いつしか失われてしまった懐かしい昭和の風景があり、決して豊かではなかったものの高度経済成長の真っ只中で活気に満ち溢れていた昭和が存在します。そんな下町で、間違い探しゲームに挑戦したり、昭和30年代から40年代にかけて存在したアイテムを探し出したりするのが目的となります。

【GAME MODE】
ゲームは、蒲郡家のお茶の間から始まります。正午の食卓で、父・文太、母・凛、主人公・時央が、時事問題に花を咲かせており、時央が遊びに出かける際に文太から気を付けるように注意されます。
なぜなら、町の中で、物をすりかえたり、看板にイタズラしたり、おかしな話をしていたり、妙な遊びをしていたり、する人がいるからです。ゲームは30日でエンディングを迎えますが、序盤を除いて、これらはランダムに3つ現れます。
家を出た時にはこの3つは画面左上で?マークになっていますが、近所の銭湯「兎湯」の金時じーちゃんに話を聞くと、それが何かを具体的に教えてくれ、?マークに替わって、物、看、話、遊、の各マークが表示されます。町内を歩き回ってこれらを探し出すのが目的となります。

物のすりかえは、昭和30~40年代になかったものを探せば良く、郵便ポスト、公衆電話ボックス、電気製品などを調べます。これだけは、正誤を答える必要はありません。
看板のイタズラは、町中にある10個ほどの看板の中からイタズラされたらしき看板を調べます。イタズラされていない場合もあり、正誤を答える必要があります。普段から、看板をチェックしておかなければならないわけです。
おかしな話は、時事問題や流行について、実際に昭和30年代~40年代にあったかどうかを考えて2者択一の回答を選びます。
おかしな遊びは、町内の子供たちがしている遊びについて、昭和30年代~40年代にそれがあったかどうかを考えて2者択一の回答を選びます。
これらの正解数は、秘密手帳にメモされていきます。

また、町中には、テレビ欄の切れ端、ドーナツ盤、ブルーチップも落ちており、これらを拾い集める必要もあります。
テレビ欄の切れ端を集めるとQ電気のショーウィンドウで当時のテレビCMを見ることができ、ドーナツ盤を集めるとバーで昭和歌謡を聴くことができ、ブルーチップを集めるとお母さんから小遣いをもらうことができます。
そのお小遣いは、駄菓子屋での買い物に使えます。駄菓子屋では、駄菓子を買うか、おもちゃクジを引くか、金券クジを引くことができます。駄菓子はしょっちゅう入れ替わりますし、おもちゃクジは外れもあるため、足繁く通う必要があります。
更に、スーパー万(マン)にも新しい商品(日用品、食品)が入るため、これもチェックしなければなりません。駄菓子とおもちゃは買うことで、日用品、食品はチェックすることで、秘密手帳にメモされていきます。
本作の最終目的は、30日以内に、この秘密手帳の空欄をすべて埋め尽くすことです。町内は広くはありませんが、午後6時には帰宅しなければならないため、効率良く探す必要があります。
家に帰ると、セーブすることができます。セーブデータは3つまで作れるので、秘密手帳が埋まらない可能性も考えて、ゲーム終盤にはフルにセーブデータを作っておくといいでしょう。

駄菓子、おもちゃ、日用品、食品は、以下のものなどが出現します。

駄菓子
アーモンドグリコ、オレンジマーブルガム、元祖梅ジャム、カール(明治)、グリコ、ココアシガレット、花串カステラ、ビスコ、日光写真、ふ菓子、不二家パラソルチョコレート、不二家ミルキー、ベビーラーメン、ポンタンアメ、マーブルチョコレート(明治)、都こんぶ、ミルクキャラメル、ミルクチョコレート、ミルクチョコレートデラックス(明治)、メンコ。

おもちゃ
ウサギの太鼓たたき、市電、蒸気機関車、消防車、ソニコンロケット、ブタのコック、フレンドリー、ボンネットバス、三菱オート三輪レオ、ロケットレーサー、ロボットタンクZ。

日用品
アルミ弁当箱、花王ザブ、蚊取りブタ、金鳥の渦巻、キンチョール、削り節箱、新型花王石鹸、そろばん、ハクキンカイロ、白元トイレットボール、白元パラゾール、ブリキのじょうろ、ブリキの湯たんぽ、ポンナイフ、ライオンコドモ歯磨、ライオン歯磨。

食品
味の素、江戸むらさき、江戸むらさき特級、エースコックワンタンメン、オリエンタル即席カレー、オリエンタル即席ハヤシドビ-、かつおぶし、キューピーマヨネーズ、3食パック、のりたま、花らっきょう、前田のクリケット、ママプリン、森永ストロングコーヒー、ヤマサ醤油、ランチクラッカー(前田)。

【GRAPHICS】8
決して豊かではなかったものの高度経済成長の真っ只中で活気に満ち溢れていた懐かしの昭和30年代の風景が描き出されています。
ちゃぶ台を囲んだお茶の間から、銭湯、電気屋、駄菓子屋、商店、バー、交番、公園、広場、路地、そして、そこで暮らす人々の服装や髪型、町中に散在する物までもが、昭和30年代なのです。そこには、どこか郷愁を誘う風景があります。
特に、夕焼けの町並みにそれを強く感じさせられます。グラフィック自体は固定視点の疑似3Dでそれほど技術的にすごいことをやっているわけではありませんが、コンセプトの勝利だと言えるでしょう。
また、本作の目的のひとつであるテレビ欄の切れ端集めでは、Q電気のショーウィンドウで当時のテレビCMを見ることができます。
アーモンドグリコ、エースコック即席ワンタンメン、オリエンタル即席カレー、精工舎の腕時計、チキンラーメン、ナショナル、文明堂のカステラ、桃屋の江戸むらさき、桃屋の花らっきょう(白ラベル、青ラベル)、ロートの10CMで、今のCMとは異なる当時のCMのセンスは楽しめることでしょう。
更に、当時のニュース映像や、なつかし商店街ハイカラ横丁のオリジナルキャラクターのハイカラマンの特別映像も見られます。
ちなみに、ハイカラ横丁は、台場一丁目商店街(東京・お台場デックス東京ビーチ)、船橋ららぽーと、横浜ワールドポーターズにあります。なお、キャラクターデザインは、藤原カムイが担当しています。

【SOUND】7
ステレオです。ゲーム内のサウンドは、とてもシンプルです。
時央が家にいる際のBGM、町の中の小川のせせらぎや虫の鳴き声、物をすりかえたり、看板にイタズラしたり、おかしな話をしていたり、妙な遊びをしていたり、する物や人を探し出した時の回答時の効果音、おもちゃクジや金券クジを引いた際の効果音、などがある程度です。
ただ、夕方の工場のサイレンや豆腐の販売音は効果的で、郷愁を感じさせるものがあります。
また、本作の目的のひとつでもあるドーナツ盤集めでは、バーで昭和歌謡を聴くことができます。
銀河のロマンス、長い髪の少女、夕日が泣いている、小さなスナック、白いサンゴ礁、ある日突然、いとしのマックス、グッド・ナイト・ベイビー、小さな日記、マドモアゼル・ブルースの10曲で、このあたりに本作のサウンドの真骨頂があると言えるでしょう。

【CONTROL】8
固定視点ですが、操作は簡単です。左スティックで走り、△ボタン同時押しでゆっくりと歩き、○ボタンで人と話したり物を拾ったりなどのアクションを起こし、□ボタンで秘密手帳を開閉、が主な動作になります。
また、秘密手帳時には、○ボタンを長押しすることで、そのアイテムの詳細を見ることができます。元々、複雑な操作を必要としないタイトルですし、良好な操作性は当然とも言えるでしょう。

【GAMEPLAY】9
なつかし商店街ハイカラ横丁が、台場一丁目商店街(東京・お台場デックス東京ビーチ)、船橋ららぽーと、横浜ワールドポーターズに次々と誕生し、昭和30年代の町並みを再現して懐かしの駄菓子やレトロパッケージの薬品や食品を販売したり、なつかしのヒットメロディーを収録したCDを付けた食玩が発売されるなど、21世紀に入って以降、レトロブームは更に加熱してきました。そんなブームに乗って本作が発売されたのも当然のことと言えるでしょう。
本作が昭和30年代をどのように料理するのかに興味が持たれましたが、それは概ね成功していると考えられます。
決して豊かではなかったものの高度経済成長の真っ只中で活気に満ち溢れていた懐かしの昭和30年代を舞台に、イタズラされておかしくなったものを見つけて正しい昭和を取り戻したり、テレビ欄の切れ端、ドーナツ盤、ブルーチップを拾い集めて、当時のテレビCMを見たり、昭和歌謡を聴いたり、駄菓子、おもちゃ、日用品、食品を集めたりすることは、飽きることなく興味と好奇心を持って進めることができたからです。
また、5日ごとに、町の人の立ち位置や話すことが変わっていたり、新たな登場人物が現れたり、前半と後半で看板が入れ替わったりすることも、新鮮な気持ちでゲームを続けさせる要因になっています。
町の人の会話内容も、時代背景を感じさせるものがありました。更に、各メーカーやおもちゃ博物館館長の北原照久の協力を得られたことも、本作をうまくまとめあげることに貢献していると思います。

【LONGEVITY】7
蒲郡家のお茶の間から始まり、イタズラされておかしくなったものを見つけて正しい昭和を取り戻したり、テレビ欄の切れ端、ドーナツ盤、ブルーチップを拾い集めて、当時のテレビCMを見たり、昭和歌謡を聴いたり、駄菓子、おもちゃ、日用品、食品を集めたりして、家に帰ってきてセーブするまで、おおよそ20分ぐらいだと思います。それが30日ですから、約10時間となります。
ただ、秘密手帳でアイテムをチェックしたり、終盤で何度がやり直す必要があると思いますので、10時間以上はかかることでしょう。特に、おもちゃクジは外れが多くて10個すべてを集めるられるかどうかぎりぎりになるはずですから、このためのやり直しにてこずる可能性があるのです。

【OVERALL】7
本作は、折りからのレトロブームに乗って発売されましたが、このレトロブームにあやかることはできなかったようです。ただ、ここまで述べてきたように、内容は決して悪くはありません。
「冒険少年クラブ画報」というタイトルを聞いただけでは今ひとつピンときませんから、サブタイトルの「昭和おもひで探しゲーム」を少しひねったり、「なつかし商店街ハイカラ横丁」にしてしまった方が受けが良かったかもしれません。
それに加えて、価格も2800円とかのレトロ価格だったらセールスポイントになったのではないでしょうか。もっとも、現在ではそれなりに安く売られているはずですし、実際に私も980円で購入しています。
本作を本当に懐かしがって楽しめるのは40歳前後以上の人からだと思いますが、折りからのレトロブームを考えればそれ以下の世代でも楽しめるのではないかと思います。本作をレトロ価格で見かけたら、購入してみてはいかがでしょうか。

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