「LOWRIDER: Round The World」ウォークスルー&レビュー

【GENRE】
レース/アクション

【PUB./DEV.】
パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン

【RELEASE DATE】
2002/12/19

【OUTLINE】
ローライダーとは、1950年代のアメリカはロスアンゼルスで、人種差別や貧困に負けない陽気なメキシコ系アメリカ人たちが、中古車をレストアしたりきれいにペイントしたりして古いクルマを新車のように見せて楽しんでいたことから始まっています。
現在では、単にレストアしたり派手なペイントを施したりワイヤーホイールを履かせたりするだけでなく、ハイドロと呼ばれる油圧シリンダーを装着してカーダンスやホッピングなどを行うクルマのことを指します。
このローライダーによるショーは、アメリカのみならず、日本、ヨーロッパでも開催され人気を集めています。
本作は、このローライダーに焦点をあてたタイトルで、クルマのゲームのためジャンルこそレースに入れていますが、ゲーム中でプレイヤーがクルマを走らせることは一切ありません。そこのところは、くれぐれもご注意ください。
物語は、サンディエゴに住む主人公(プレイヤー)が、中古のインパラを購入して親友のBOBと一緒に遊び始めるところからスタートします。

【GAME MODE】
Golden Days
ストーリーに添って一流のローライダーを目指すモードです。

NEW GAME
ゲームを最初から始めます。まず最初に、3年代あるシボレー・インパラのうち1台を購入します。”ハイドロと言えばインパラ”というぐらい代表的な車種だけあって、本作でプレイヤーカーとして選べるのはこのインパラだけです(もっとも、プレイの進行過程で、友人や知人のローライダーを借りることはあります)。
そして、クラブ名を入力したらいよいよスタートとなります。本作では、最終的に、サンディエゴ、ロスアンゼルス、サンフランシスコ、スラムエリア、ラスベガス、の5地域に行けるようになります。
この5地域は、順にクリアする必要があり、いったんクリアすると、いつでも行くことができるようになります。この5地域では、いずれもクリアしなければならない競技が4つあります。

「STREET」は、最初に行うべき競技です。街に行き、自動的にゆっくり走行するインパラで、ギャラリーの要求するパフォーマンスを繰り出してファンを獲得しなければなりません。
すべてのファン(の表示)を白→赤→青へと変えていき、最終的にすべてのファンを青にすればOKです。1回の走行ですべてのファンを青にするのは不可能なので、何度か走行する必要があります。
いったんファンにすればいいので、連続して立つファンが違うパフォーマンスを要求していれば、最初はどちらかの要求だけ満たしましょう。
「HOP」は、次に行うべき競技です。△ボタンを押して、フロントホップを行い、相手よりも高くホップすれば勝ちになります。最終的には、100インチを超えるホップができるようになります。
「DANCE」は、3番目に行うべき競技です。画面の指示に従ってボタンを入力し、各時間内に指示されたパフォーマンスを繰り出します。各技のデキによりポイントが加算されていきます。ポイントをたくさんとったクルマの勝ちとなります。
「EVENT」は、最後にならないと行けない競技です。基本的には「DANCE」と同じですが、予選、準決勝、決勝と勝ち進み、優勝しないと、次のエリアに進むことができません。サンディエゴ、ロスアンゼルス、サンフランシスコは3回ですが、スラムエリアは4回、ラスベガスは5回戦う必要があります。
「Hot Legs Show」は、「EVENT」をクリアすると出現するオマケです。脚線美を誇る女性のダンスステージが見られます。もっとも、スラムエリアだけは、「Hot Body Show」でマッチョマンのショーとなります。奇をてらったものでしょうか。

「STREET」以外の各イベントには賞金があり、その賞金でショップでクルマをカスタマイズすることができます。カスタマイズできるのは、以下の各項目です。
ハイドロリクス、バッテリー、エンジン、ホイール、フロントカスタム、リアカスタム、フロントペイント、サイドペイント、リアペイント、ボディカラー、フェンダースカート、チョップルーフ、アクセサリー、コンチネンタルキット、サスペンション、アンテナ、パフォーマンス(フロント、リア)、ペイントツール。
機能パーツと装飾パーツに分けられますが、機能パーツは5段階前後、装飾パーツは最大46種類あります。

Continue
HOMEのEXITで中断した続きからプレイできます。

File Load
セーブデータから始められます。セーブデータは、4つまで作れます。

Arcade Kings
COMまたは2Pとの対戦形式ですぐにローライダーのパフォーマンスを楽しむことができるモードです。「HOP」、「DANCE」、「BED DANCE」、「UNLIMITED」の4つをプレイできます。
「BED DANCE」はトラック部門専門で、「UNLIMITED」はどの車種でもエントリー可能ですが「Golden Days」をクリアしている必要があります。

Options
ゲームの各種設定を変更することができます。

【GRAPHICS】7
本作では、前述しているように、プレイヤーがクルマを走らせることはありません。4競技中3競技は、広場やイベント会場内でクルマを停めて、その場でパフォーマンスを競います。
また、残る「STREET」も、自動的にゆっくり走行するクルマで街を流すだけで、実質的には2Dです。そのため、背景は、各地域の特徴こそ現れてはいるものの、ビルなどものっぺりとしており、見るべきものはありません。
本作のハイライトは、やはり、プレイヤーが操るインパラをはじめとした全18台のカスタマイズぶりと、ハイドロによるサスペンションを中心としたクルマの動きです。これが台無しでは目も当てられませんが、さすがにこれはよくできています。
カスタマイズが進んで行くに連れて良くなっていくクルマの動きは、見ていても心地良く、自分のパフォーマンスに惚れ惚れとさせられることでしょう。

【SOUND】7
ステレオです。クルマゲームで問題となるエンジンサウンドは、当然ながらありません。効果音も、ギャラリーの声援やMCのアナウンスなどが申し訳程度にあるだけです。その分、BGMには力を入れており、日本のラップユニット・双龍を起用しています。
プロデューサーが、2002年3月に行われた「ローライダーカーショウ」で彼らのステージを見て、その場でオファーしたのがきっかけというたげあって、本作にはピッタリのサウンドを聴かせてくれています。”♪ローライダー”は、思わず口ずさんでしまうほどです。

【CONTROL】9
どのようなパフォーマンスがあり、それをいかに心地良く決められるかが、本作最大の注目点です。結論から言うと、それは成功を収めていると言えます。
本作には、以下のようなパフォーマンスがあります。FRONTHOP(△ボタン)、REAR HOP(×ボタン)、FRONT TO BACK(△ボタン→×ボタン)、SIDETO SIDE(□ボタン→〇ボタン)、4 WHEEL HOP(□ボタン+△ボタン+〇ボタン+×ボタン)、JUGGLELEFT/JUGGLE RIGHT(L1ボタン→R2ボタン/R1ボタン→L2ボタン)、PANCAKE(L1ボタン+L2ボタン+R1ボタン+R2ボタン)、DADAKKO(各ボタンをランダムに連打)、BUNNYHOP(△ボタン→△ボタン→△ボタン→×ボタン)、SHRIMPBACK(×ボタン→×ボタン→×ボタン→△ボタン)、ROUNDTHE WORLD(L1ボタン→L2ボタン→R2ボタン→R1ボタン)、OCTOPUS(△ボタン→〇ボタン→×ボタン→□ボタン)、SPIDERCROW(△ボタン→□ボタン→×ボタン→〇ボタン)、FRONTFINISH(△ボタン)、SIDE FINSH(□ボタン→〇ボタン)、TRANSFORM(フロントのアップ、ダウンはL1ボタン、L2ボタン/リアのアップ、ダウンはR1ボタン、R2ボタン/フロント、リアの回転は左スティック、右スティック/フロント、リアのパフォーマンスはL3ボタン、R3ボタン)。
これらの多くはタイミングをうまく量れば、きれいに決めることができ、自らのパフォーマンスに悦に入ることができるでしょう。

【GAMEPLAY】10
ローライダーに目をつけ、しかも、ゲームとして成立させているところが評価できます。やることは少し単調ではありますが、クルマをカスタマイズしたり操作に慣れてきたりするごとに自らのパフォーマンスが目に見えて向上するさまは、プレイしていて本当に気持ちがいいものです。
お金もどんどん貯まるため、機能パーツはサンフランシスコに行く頃にはすべて最高のものを装着できますが、装飾パーツは行ける地域が拡大するごとに少しずつ増えていきます。
注意点としては、獲得ポイントの大きなパフォーマンス(フロント、リア)だけは使い捨てだということです。これは「EVENT」でしか使えませんが、「EVENT」では最低でも3回戦わなければならないため、極力、決勝戦まで温存しておくべきです。
また、「EVENT」終了後は、必ずショップで補充しておきましょう。フロント3種類、リア9種類が用意されていますので、あれこれと使ってその違いを楽しむといいでしょう。
ちなみに、FRONT FINISHとSIDE FINISHは、ラスベガスの「EVENT」でしか使用しません。

【LONGEVITY】6
本作のメインモードとなる「Golden Days」は、10時間ほどあればクリアできると思います。
ROUND THE WORLD、OCTOPUS、SPIDER CROWといった回転系の操作は慣れるまでに時間がかかりますが、ラスベガスに行く頃にはそれなりに操作できるようになっていることと思います。
また、TRANSFORMは回転よりもアップダウンの方が高得点、ということを理解していれば、より少ない労力で勝ち進んでいけることでしょう。

【OVERALL】8
本作は、2002年の年末商戦に「プレイステーション2」で発売するという冒険に出たため、ライトユーザーに迎合したタイトル群の陰に隠れた形となってしまいました。
しかしながら、マンネリ気味のライトユーザー向けRPGに比べれば新規性は多いにありますし、年末ならではのパーティゲームとしての要素も十分に持ち合わせていました(2P対戦時にはハンデをつけられます)。
確かに本作はプレイ時間的には6800円のボリュームではありませんが、2003年夏には980円~1980円で売られることも珍しくはなかったようです。本作が1980円以下で売られているのを見かけた全ゲーマーは、直ちに本作を購入しましょう。
この価格なら、プレイ時間の短さは気にはなりませんし、内容の新規さ・楽しさから考えて、多くのゲーマーがプレイ後に「魅力的なタイトルだった」と思えるに違いありませんから。

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