「ラリーチャンピオンシップ」レビュー

【GENRE】
レース/ラリー

【PUB./DEV.】
サクセス/SCi GAMES/WARTHOG

【RELEASE DATE】
2003/3/27

【OUTLINE】
PCゲームなどで定評のあるイギリス・WARTHOG社が制作したラリーゲームです。「ラリーチャンピオンシップ」シリーズとしては第6弾になります。本作は、WRC公式ライセンス商品ではありませんが、WRCで活躍するラリーカーから過去の名車まで全27台が実名で登場します。ステージは、灼熱のサファリから厳寒の北極までバラエティに富んだ6地域全25ステージが用意されています。本作の特徴は、ゲーム内で使用されるステージの路面情報を細かく分割する特殊なプログラミング法により、実際のラリーで使用される路面の凹凸を極限まで緻密に再現していることです。また、遠景を重視しており、1km先まで見通せるマッピングクオリティもウリとなっています。

【GAME MODE】
Single Player
以下の4つのモードを選ぶことができます。各モードとも、難易度を3段階から選択できますが、難易度はゲーム中にいつでも変更することができます。ラリーゲーム経験者なら、難易度Medium以上でプレイしましょう。

Quick Race
好きなマシン、ステージを選んでフリーランを行うことができます。ただし、最初に選べるのは、KenyaとScotlandの1ステージだけです。それ以外のステージは、各ステージで1位になることで使えるようになります。
マシンもキャリアモードで勝つことで使える車種が増えるようになります。なお、本モードには隠しクラスのClassicがあり、Audi Quattro、Lancia Stratos、Mini Couperが控えています。

Arcade
「アマチュア」、「チャンピオン」、「プロ」の3つのランクがあり、それぞれのランクに複数のステージが用意されています。
各ステージにはチェックポイントがあり、制限時間内にこのチェックポイントを通過しなければなりません。もっとも、実際には、制限時間を過ぎても、チェックポイントを通過すればタイムが加算されます。
本モードでは、各ステージ間でセーブができないため、クリアするためにはある程度コースを覚えておく必要があります。最後にプレイすべきモードです。

Career
本作のメインとなるモードです。ラリーカーを購入し、賞金を貯めながらより上位のクラスにステップアップして、全クラスを制覇するのが最終目的になります。
イベントには、ローカルラリーとチャンピオンシップがあります。前者は各国の地方で開催される2ステージ構成のイベント、後者は世界中の国・地域を舞台に開催されるスペシャルイベントです。4つのクラスは、以下のようになっています。

Privateer=Citroen Saxo、Nissan Micra、Skoda Felicia、Ford Puma SP
1600 Modified=Honda Civic、Peugeot 106、Proton Compact、Ford Puma
2000 Modified=Vauxhall Astra、Hundai Coupe、Renault Megane、Seat Ibiza、Ford Escort Maxi、VW Golf
Pro=Hyudai Accent、Lander Evo V、Peugeot 206、Skoda Octavia、Subaru Impreza 1998、Subaru Impreza 2000、Subaru Impreza 2001、Lancer Evo VI、Seat Cordoba、Ford Focus

Race Current Pace Car
「Quick Race」で1ステージを走行した後に選択すると、自分が走行したゴーストカーとフリーランで競うことができます。

Multiplayer
分割画面による最大4人までの同時対戦を行うことができます。

Load & Save
ゲームのロード、セーブが行えます。セーブデータは10個まで作ることができます。

Options
ゲームの各種設定を変更することができます。

Credits
ゲームのクレジットが見られます。

【GRAPHICS】6
前述しているように、本作のグラフィック面でのウリは、遠景を重視して1km先まで見通せるマッピングクオリティを実現させていることです。確かに、遠景まで見渡すことができるグラフィックの素晴らしさは、特にリプレイ画面で実感することができます。
しかしながら、「プレイステーション2」のグラフィック性能でそれを実現させたため、近くのテクスチャーは犠牲になってしまっています。残念なのがマシンのグラフィックで、「プレイステーション」と言われてもおかしくはないレベルです。
マシン全体の前後比も、ちょっとリアが大きすぎるように感じられます。Xbox版「RALLISPORT CHALLENGE」を見てしまった後では、近景はもちろんのこと、遠景も見劣って感じてしまうのは致し方ないところでしょうか。
ステージは、Wales、Manx、Arctic、USA、Kenya、Scotlandの6カ国・地域です。それぞれの国・地域の風土的な特徴をよく表したグラフィックとなっています。時間や天候の表現も、まずまずです。
ただ、Arcticの4ステージのうち半分は、雪の照り返しの表現がきつすぎてコースがよく見えません。コースがよく分からなくてまともに走れないというのは問題です。

【SOUND】7
ステレオです。ラリーゲームとしては、水準レベルのサウンドということができるでしょう。エンジンサウンド、路面ごとの走行音、コ・ドライバーのナビゲーション、ポイントとなるコーナーでの観衆の声援、など、ラリーならではの雰囲気がよく表現できています。
ただ、シフトチェンジの「スコン、スコン」といった音はちょっとチープです。もうちょっと控えめな音でも良かったように思います。

【CONTROL】8
ゲーム内で使用されるステージの路面情報を細かく分割する特殊なプログラミング法により、実際のラリーで使用される路面の凹凸を極限まで緻密に再現していることが、本作の大きな特徴のひとつとなっています。
日本版では、これがヨーロッパ版よりも少しマイルドになっていますが、それでも路面にタイヤを取られることは少なくはありません。気を抜いて走っていると、途端にスピンしたりコースアウトしたりする羽目に陥ります。それでも、操作性自体は悪くないため、テクニックを駆使すれば、スピンやコースアウトは最小限に抑えられます。
セッティングは9項目にわたって用意されているのですが、Gear Ratio、Tire Type、Tire Treadだけはステージごとに変更した方がいいでしょう。
残念なのは、選択画面の一部に項目を選択すると文字が読めなくなるものがあることです。もうちょっとカーソルの色使いを考慮すべきでした。

【GAMEPLAY】8
本作のウリとなっている要素に関しては、評価できこそするものの、だからどうした程度のものでもあります。それ以外の本作ならではの要素を挙げるとすれば、以下のようなものがあります。
まず、ステージの遊び要素です。本作のステージは実際のラリーに範を取っていますが、細かいステージ内容はゲームならではのお遊びが随所に見受けられます。
本作では、一般的なラリーコースばかりでなく、無気味なお墓、太古の恐竜の化石、ストーンサークル、炭坑跡、駐屯所などの中や横を走り抜けるのです。
また、コース脇にトラックや一般車両が駐車していたり、コースに故意に障害物が置かれていたりします。ただ、これらは純粋にラリーゲームを楽しみたい人にとっては、無用の長物だと言えるものでしょう。
次に、ステージ間でセーブが行えることです。コースを覚えきるのが難しいラリーゲームでは、これは重要な要素だと思います。
最後に、難易度がいつでも変更できることです。これは、とても喜ばしいことです。これにより、自らが最初に選んだ難易度が難しすぎたために一からやり直さざるを得ないということもなくなります。

【LONGEVITY】8
本作のメインモードとなる「Career」は、レースゲームに慣れている人がMediumでプレイすれば、それほど苦労せずに全クラスを制覇することができるでしょう。20時間前後プレイすれば、十分だと思います。
「Arcade」は途中セーブができない上、コースがよく見えないArcticも走らされるため、こちらもプレイするなら30時間程度は必要になるに違いありません。

【OVERALL】7
本作は、この時期に世界中で相次いで発売されたラリーゲームの中で、突出したものがあるという感じではありません。前述しているように、本作のウリとなっている要素に関しては、評価できこそするものの、だからどうした程度のものでもあります。
本作のステージは実際のラリーに範を取っていますし、ラリーカーもWRCで活躍するものから過去の名車まで全27台が実名で登場します。しかし、WRC公認ではありませんし、ステージにはお遊び要素もあり、WRC好きに最適というわけでもありません。
ですから、そんなに本格派のラリーゲームは要らないけれど、気軽にラリーゲームを楽しみたいという人には向いているかもしれません。Arcticのコースの見えなさには辟易させられるでしょうが、ここは難易度Easyで乗り切るという手もありますから。

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