「CRICKET 22」は、日本人の大半が名前を知っているけれど、その大半がルールを知らないというクリケットを楽しむことができるスポーツゲームです。
クリケットは、イギリスで発祥した野球の原型とも言えるスポーツで、イギリスを中心とした英連邦諸国などで高い人気を誇り、世界の競技人口は3億人を超えてサッカーに次いで2番目です。
イギリス、オーストラリア、南アフリカ、インド、西インド諸島、ニュージーランド、パキスタン、スリランカ、ジンバブエ、バングラデシュ、アイルランド、アフガニスタン、などで特に人気が高く、トップ選手の年収は30億円を超えています。
本作は、クリケットの魅力が盛り込まれたシリーズ最新作で、ナショナルチームと強豪国のクラブチームが男女とも収録されています。
プレイヤーは、世界中の様々な選手権に出場したり、物語性のある「CAREER」モードに挑んだりすることができます。
また、チュートリアルを通してクリケットに慣れることもでき、クリケットをよく知らない人でも楽しくプレイできるようになっています。
開発はBIG ANT STUDIOSで、2001年にオーストラリアのメルボルンで設立されました。
「CASEY POWELL LACROSSE」シリーズ、「RUGBY LEAGUE LIVE」シリーズ、「CRICKET」シリーズ、「AO TENNIS」シリーズなど、オーストラリアで人気のスポーツゲームをリリースしていますが、かつては「SPYRO」シリーズ、「SPRINT CARS」シリーズなども手掛けていました。
クリケットのルールですが、クリケットは、1チーム11人の2チームが攻撃と守備を交互に行い、最終的に得点の多いチームが勝ちになります。
試合は芝のグラウンドで行われ、直径120mの円の中央に長さ20m強のピッチがあり、そこで投球と打撃が行われます。
ピッチの両端にはウィケットがあります。ウィケットは、3本の棒(スタンプ)を立てて上にベイルを置いたもので、ウィケット間の距離は20.12mです。
直径120mの円周にはバウンダリー(ロープやマーカー)があり、競技エリアを区切る境界線になります。このバウンダリーを打球がゴロで超えると4点、ノーバウンドで超えると6点になります。
守備側は、ボウラー(投手)がウィケットの横から反対側のウィケットに向かってボールを投げ、反対側のウィケットの背後にいるウィケットキーパー(捕手)が捕球します。
フィールダーはどこで守っても良く、打球を捕球したらすぐにボウラーかウィケットキーパーに返球してランを阻止します。
攻撃側は、バッツマン2人がウィケットの近くに立ち、ストライカー(打者)がボウラーの投球を打ち、ノンストライカー(走者)とともに反対側のウィケットに向かって走ります。
打球がボウラーかウィケットキーパーに戻ってくるまでに反対側のウィケットまで走りきれば1点、1往復すれば2点となります。打球がバウンダリーを越えた場合は前述の通りです。
アウトには様々なものがありますが、以下が主なものです。
ボウルドは、ボウラーが投球でウィケットを倒す。
コートは、フィールダーが打球をノーバウンドで捕球する。
ランアウトは、バッツマンが反対側のウィケットに到達するまでに送球でウィケットを倒す。
スタンプトは、ストライカーがクリースから出ている時にウィケットキーパーがボールでウィケットを倒す。
ヒットウィケットは、ストライカーが自分でウィケットを倒す。
攻守交替は10アウトまたは規定投球数に達した場合となっており、規定投球数は以下のものが主流になっています。
ワンデー形式は300球ずつの1イニング制で試合時間は7時間に及び、T20形式は120球ずつの1イニング制で試合時間は3時間以下です。現在では後者が主流になっており、「ICCクリケットワールドカップ」は前者で競われます。
ここまでの説明で、クリケットの概略は、おぼろげながらも分かっていただけたのではないかと思います。
ウォークスルーと重複する部分もあったのですが、レビューにも必要ではないかと考えられたため、あえて掲載することにしました。
こうした予備知識を入れたり、チュートリアルを重ねた上で本作をプレイし始めても、最初のうちは今ひとつつかみづらいところはあるでしょう。
それでも、難易度実績はないため難易度を下げることはできますし、「CAREER」モードから始めればそれなりにストーリーが展開していくため、お話を楽しみつつクリケットになじんでいくことができます。
そのストーリーですが、新人プレイヤーとしてチームに加入し、練習やトレーニング、ケア、実戦を重ねながら自らのスキルを上げていきます。
そして、自らのスキルが上がるごとに、バットコントロールが巧みになってランを重ねることもできるようになります。
また、そうなることで、どちらに向けてどのような打球を放てばいいかという瞬時の判断も可能になります。
ただ、ボウルに関しては、スキルアップしてもどのようにしたらバッターを抑えられるか打ち取れるかといった投球術をマスターするのは難しいものがあります。
球種や緩急、コースへの投げ分けはあるのですが、それがどのように機能するのかが分かりづらく、うまくアウトを取れないのです。
野球なら投球の組み立てで打ち取ったり三振を奪ったりできるのですが、クリケットはそれが少し難しいように感じました。
ストーリーに話を戻しますが、自らのスキルが上がることで、キャプテンに選出されたり、上位リーグからのスカウトがあったり、スポンサーがついたり、プレスカンファレンスに参加したり、ナショナルチームに選ばれたりします。
また、ステップアップごとに新たなチームのメンバーに紹介されたり、試合の前後にチームマネージャーからの言葉があったりします。
これらはバリエーションが少ないため、だんだん新鮮味がなくなってくるのですが、ゲームに変化をつけるという点では意味があります。
また、スキルアップのための各種トレーニングはミニゲームと言っても良く、本編の試合とは別にミニゲームを楽しむという要素もあります。
ただ、これらの各種トレーニングによるスキルアップが数値的にはほとんど反映されていないように思われるため、徐々にやらなくなってしまいます。
これがバグなのか、数値上に現れていないだけなのか分からないのですが、試合をすることによるスキルアップははっきりと数値に現れるだけに、もう少し目で見てわかるようにしてほしかったところです。
ケアは、禅もサウナもマッサージも、ケアルーム全体の入口に入るところで終わっているのが残念でした。座禅していたり、サウナでくつろいだり、マッサージを受けていたりする絵があっても良かったように思います。
「CAREER」モードでゲームを開始した時にはスタジアムはまだ質素なのですが、それがステップアップするごとにスタジアムが立派になり、ナショナルチームの試合にデビューした際にはスタジアムの立派さに感動させられます。
自分もいよいよここまで来たかという余韻に浸ることができ、「CAREER」モードを頑張って続けてきたことへのご褒美でもあります。
グラフィック面でも、4K、HDR10、VRR、60FPSに対応しているのですが、スポーツゲームとしても十分に美しいグラフィックを誇ります。
スタジアムやフィールドや選手のモデリングが美しいのはもちろんのこと、選手のモーションも自然で違和感なくプレイすることができます。
上位リーグやナショナルチームの試合になるとスタンドの観衆も大勢いるのですが、観衆の服の色やデザインのバリエーションが豊富で、それぞれが思い思いに動いているため、とても自然に感じられます。
ただ、守備側が凡ミスをすることがあるのと、選手間に当たり判定がなく選手同士がすり抜けていくのは興ざめでした。選手同士で当たり判定がないゲームは時折見受けられますが、このあたりは徹底してほしかったところです。
サウンドは、バッティング時の乾いた音が心地良く、コメンテーターもマイケル・アサートン、デヴィッド・ガワー、メル・ジョーンズ、アリソン・ミッチェル、イアン・ヒーリーといったイギリスとオーストラリアのクリケットのコメンテーターが担当しており、プレイに則した試合を盛り上げるコメントが流れます。
ここまで、「CRICKET 22」について見てきましたが、日本人にとって野球とは違ってなじみの薄いクリケットであっても、それなりに楽しむことができるというのは分かりました。
やはり、野球の原型とも言えるスポーツだということが大きく、半ば野球ゲームのような感覚でプレイできたというのも良かったのでしょう。
もちろん、「Xbox Game Pass」入りしていなければ買ってまでプレイすることはありませんが、そのお陰で実績をコンプリートするところまでプレイし続けることができたのも確かです。
クリケットになじみのない人であっても野球好きなら、「Xbox Game Pass」期間中にプレイしてみるというのは悪くないことでしょう。
野球の原型とも言えるだけに野球に比べるとプレイのバリエーションは乏しいですが、それなりに楽しめるのではないかと思います。
なお、実績で最後まで残るのが「Settle the Score」です。「CAREER」モードのテストマッチでウイニングランをするというものです。これには何段階もの準備が必要になります。
・テストマッチは国際試合しかないため、テストマッチが現れるのを待つ。
・チーム全体を操作するのは不可で、プレイヤーキャラクターだけを操作する。
・ウイニングランをするには後攻(表でボウル、裏でバット)が必須のため、コイントスでボウルを選ぶか、相手がバットを選ぶのを祈る。
・2イニングス目で、リードされた状態で自分の打順になり、その打順で逆転勝ちする。
ランの方法はなんでもOK。
これらすべての要素を満たすのが大変で、私はこの実績を解除するだけで3時間ぐらいはかかりました。
それ以外の実績は「CAREER」モードを長くプレイしていたり、狙って解除したりすることができるため、時間さえかければ実績のコンプリートはそれほど大変ではありません。
【ウォークスルーインデックス】
#1(概要とモード)
#2(チュートリアル)
#3(「CAREER」1: スタート)
#4(「CAREER」2: トレーニング)
#5(「CAREER」3: キャプテン)
#6(「CAREER」4: 国内レベルデビュー)
#7(「CAREER」5: ファーストスポンサー)
#8(「CAREER」6: プレスカンファレンス)
#9(「CAREER」7: インターナショナルマッチ)
#10(「ASHES SERIES」)
#11(「BIG BASH LEAGUE」)
#12(「THE HUNDRED」)
#13(「CARIBBEAN PREMIER LEAGUE」)
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