「POWERWASH SIMULATOR」レビュー、きれいになることが心地良い高圧洗浄やみつきゲーム

「POWERWASH SIMULATOR」のレビューです。本作は、高圧洗浄機で著しく汚れた建物や車両をピッカピカに掃除するシミュレーションゲームです。
プレイヤーは、高圧洗浄のプロとして高圧洗浄事業を立ち上げ、のどかなマッキンガムの町で様々な依頼を受けて頑固な汚れを落としていきます。
依頼で稼いだお金は、プレイが進むにつれてアンロックされていく新たなパワーウォッシャー、アタッチメント、洗浄液などに充てることができ、服装やパワーウォッシャーと拡張部品の外観もカスタマイズ可能です。
「キャリアモード」は、遊び方には正解も間違いもなく、時間との戦いも最終的なスコアもなく、ひたすら高圧洗浄機を駆使して汚れとストレスを洗い流していきます。
オンラインプレイも可能で、「キャリアモード」で仲のいいフレンドを手伝ったり、「フリープレイ」で最大6人のフレンドが集まって水遊びをしたり、ホストがすでにクリアした依頼に挑戦したりすることができます。
「チャレンジモード」は、様々なルールで汚れと戦うことができ、「タイムチャレンジ」では時間を競い、「ウォーターチャレンジ」ではできるだけ少量の水で正確に汚れを落とせるかを競います。
本作を開発するFuturLabは2003年に設立され、「PS Vita」をはじめ各ハードに優れたゲームをリリースしています。
そして、2020年にリモートファーストスタジオに移行し、イギリス内外の才能ある人材と協力して最高のゲームを提供できる体制を築いています。

私は、本作が2022年7月15日に「Xbox One」と「Xbox Series X|S」でリリースされ、「Xbox Game Pass」にDay Oneで登場することが決まった際、プレイしようと考えていました。
私は、本作以前にも汚れを高圧洗浄機(?)で洗浄していくゲームをプレイしていて、本作にも親しみやすさを感じていたからです。
そのゲームは、協力型タクティカルファーストパーソンシューター「TOM CLANCY’S RAINBOW SIX EXTRACTION」です。
同タイトルでは、プレイヤーのマイルストーンが25になると、「REACTレーザー」というものが使えるようになります。
これを使うことで、地球外生命体「アーキエン」のスプロールによる壁や床、地面などの汚れを落とすことができます。
本作は、同タイトルのこの部分だけをクローズアップしたようなタイトルで、ゲームとしての面白さも感じていたのです。
しかし、サイトでウォークスルーするようなゲームではなく、かと言ってプレイ時間もかなりかかるため、ローンチでのプレイは見送ることにしました。
ところが、「TOMB RAIDER SPECIAL PACK」がフリーDLCとして2023年1月31日から配信されることが発表され、「TOMB RAIDER」シリーズは好きなシリーズでもあるので、今さらながらプレイすることにしました。
同パックには、新たなミニキャンペーンが含まれ、短いストーリーと5新レベルがあるということで、トレーラーを見ても期待感が膨らむばかりでした。
そんなわけで、このままお蔵入りしそうだった本作を、リリースからほぼ半年後となる2023年1月18日になってプレイすることに決めたのです。

さて、「TOMB RAIDER SPECIAL PACK」に興味がわいて本作をプレイすることにしたと言っても、このフリーDLC配信までには時間もあるため、「キャリアモード」を急ぎプレイすることにしました。
本作の「キャリアモード」は、ひとつの依頼を完了すると次の依頼が現れ、新たなパワーウォッシャーやアタッチメントなどがアンロックされ、といった具合で、プレイヤーの挑戦心をかきたててくれます。
また、依頼は、主に建物や車両を洗浄していくことですが、どろどろになったり汚れがこびりついたりした建物や車両を洗浄していくにつれ、それらのピッカピカで美しい本来の姿が露わになります。
この汚れた部分ときれいになった部分のコントラストがあまりにも対照的で、この部分を全部きれいにして、次はここをきれいにして、と洗浄に夢中になっている自分がいます。
そして、「チャリン」とその部分の洗浄が完了した際に入るお金の音が心地良くなり、画面左上に表示されるパーセンテージが進行していくのが楽しくなっていきます。
それとともに、ここはこういう風に洗浄していこうとか、ここはこのノズルを使おうとか、ここはこのアタッチメントでいこうとか、まさにプロの高圧洗浄事業者気分に浸ることになるのです。
そうなれば、本作にはまったも同然で、時間が経つのも忘れるかのように、ひとつの依頼に没頭し、依頼が完了すれば次の依頼に挑もうかと考えるようになります。

また、「キャリアモード」は、遊び方には正解も間違いもなく、時間との戦いも最終的なスコアもなく、ひたすら高圧洗浄機を駆使して汚れとストレスを洗い流していくのですが、実はそれだけではありません。
多くの依頼には実績があり、それぞれの依頼で特定の条件を満たすことで実績が解除されるのです。
私も、この実績をチェックしながら依頼をこなしていったため、依頼によっては遊び方には正解も間違いもあるという状態になっていました。
この実績というのが実に様々なのですが、最初に何かを掃除する、最後に何かを掃除する、という2タイプの実績が目立っています。
そのため、その依頼を進めていくにあたって、最初に何かを掃除する、最後に何かを掃除する、という場合には、それをかなり意識した洗浄を心掛けなければなりませんでした。
このあたりはゲームらしい部分でもあったのですが、その依頼に実績が含まれているかどうかは、事前に実績の一覧を見ておく必要がありました。
最初に何かを掃除するという実績の場合は「フリープレイ」でやり直してすぐに解除できますが、最後に何かを掃除するという実績の場合は「フリープレイ」を最後までプレイしなければなりません。
そのあたりは、依頼概要で「オプションの目的」などとして明示しておいた方が良かったと思います。実績解除は全く意に介さないという人は多くはないでしょうし、そうした方がそれなりのやりがいも感じられるはずだからです。

依頼のタイプですが、建物を洗浄するものは、一般人の家を洗浄するもの、州国立公園や消防署、遊園地などの公共施設を洗浄するものが中心になります。
一般人の家を洗浄するものはコンパクトなものから中規模のものまでありますが、町の高圧洗浄業者らしい依頼が楽しめます。
それに対し、州国立公園や消防署、遊園地などの公共施設を洗浄するものは、規模も大きく時間もかかり、より本格的な高圧洗浄業務になります。
やりがいがあって苦労させられるのも後者ですが、個性的な形状をした建造物や遊園地の楽しいアトラクションが見られるので飽きることがありません。
車両を洗浄するものは、一般的な4輪車や2輪車ばかりでなく、飛行機やヘリコプター、船舶などもあり、こちらもバラエティ豊かな洗浄対象を楽しめます。
「トイレを洗浄する」という依頼は「ついに来たか・・・」と思わされたものですが、不思議な小便器のデザインにも驚かされました。実際に使われているのでしょうか?
また、「トイレを洗浄する」で用意された実績「お楽しみは最後に」は、便器4つ、便座4つ、便器のふた4つだけを最後まで残すものですが、1回目は便器のふた1つだけを掃除してしまい、2回目はしっかりとできたのにバグに遭遇してしまい、3度目にしてよくやく実績を解除することができました。
「よりによってトイレ掃除だけ3回もやらされるとは・・・」と嘆いたものですが、数少ないバグがここで起こるのも本作らしいところかもしれません。

グラフィックは、4K、HDR10、60fps+で美しく描かれており、「Xbox Series X|S」への最適化もあって、その美しさを堪能できます。
前述したように、どろどろになったり汚れがこびりついたりした建物や車両の汚れた部分と、それらを洗浄してピッカピカで美しくなった部分のコントラストも対照的に描かれています。
汚れている場所は方向パッドの右を押せば光らせることができるだけでなく、スタートボタンを押して特定部位の汚れだけを知ることもできます。
そのため、終盤になって洗浄が完了していない部位が少なくなってきた場合でも、それがどこにあるのか知ることができるため作業を完了させる手助けになります。
サウンドは、パワーウォッシャーからの水音が流れっぱなしになっているわけですが、その音のボリュームだけを下げることもできるためストレスになることもありません。
また、それぞれの場所に応じた環境音、車両が通過する音であったり、鳥のさえずりであったりが聞こえてきて、ある意味単調な作業のスパイスになりつつ、時に癒しも感じられます。

操作は、自分が左スティックで移動して右スティックのクリックで立ち・しゃがみ・寝転べるほか、LBボタンとRBボタンでノズルを交換し、右トリガーで洗浄水を出し、方向パッドの左で洗浄水を出しっぱなしにし、左トリガーでノズルの縦横を変更し、方向パッドの右で洗浄できていないところを表示しと、やることは多岐にわたっています。
もっとも、これらの操作に関してはプレイしている間に自然と覚えるし、難しい操作でもないため特に問題はありません。
ただ、右スティックでパワーウォッシャーを動かすのですが、これに関しては縦横のいずれもまっすぐに動かすのは簡単ではなく、縦なら縦、横なら横、ばかりを連続して洗浄する際は必ずしも計画的にいくわけではありません。
そのため、右スティックでパワーウォッシャーを動かすのではなく、左スティックで自らが前後左右に動いたりもします。その方が、まっすぐに洗浄しやすいのです。
ただ、縁や裏側などのように洗浄しにくい場所であっても、けっこうはみ出して立てたり、しゃがんだり寝転んだりして洗浄することができたりするので、このあたりはよく考えられています。
Aボタンによるジャンプも思いのほかジャンプ力があって重宝しますし、はしごや脚立はもちろんのこと、巨大な足場も移動させることができるため、使い勝手に優れています。
逆に、ここまで多様な洗浄方法を選ぶことができるということは、それだけ個々人の洗浄テクニックを発揮する余地があるというわけで、目論見通りに洗浄できた際には悦に入ることができるでしょう。

肝心の「トゥームレイダー」は、レベルが5つあるわけですが、いずれも「トゥームレイダー」の世界を垣間見ることができ、洗浄も楽しむことができました。
クロフト邸は、邸宅の正面と噴水を洗浄するのですが、すべての洗浄の始まりの場所であるだけになくてはならないものです。
ララ・クロフトの障害物コースとクアッドバイクは、彼女のトレーニング施設を見つつ、洗浄の過程で追体験するようなこともあり、洗浄とトレーニングの両方が楽しめます。
ララ・クロフトの小型トラックとモーターボートは、5つのレベルの中にあってはコンパクトで、ほっとひと息つけます。
クロフト邸の迷路は、イギリスらしい迷路を楽しみつつ、迷路中心にある秘密の場所を発見した時はちょっとした喜びを得られました。
クロフト邸の宝物庫は、宝物が思ったよりも少なく、アーチ型の天井や壁が少し面倒だったものの、ラストならではの大物の洗浄感はありました。
また、本作は、洗浄が20%完了するごとに依頼主からのメッセージを読むことができるのですが、通常の依頼ではあまり真剣に読まなかったものの、ララ・クロフトのメッセージだけは本人不在だけに楽しむことができました。
このように、それぞれのレベルはもちろんのこと、彼女からのメッセージも合わせて、「トゥームレイダー」の世界観を楽しめるフリーDLCでした。

本作は、高圧洗浄機で著しく汚れた建物や車両をピッカピカに掃除する”だけ”のシミュレーションゲームです。
しかし、ここまで見てきたように、きれいになることが心地良いという人間心理を見事に刺激するゲームに仕上がっており、洗浄することにやみつきになっている自分がいることに気づかされます。
それは、グラフィックが4K、HDR10、60fps+で美しく描かれ、どろどろになったり汚れがこびりついたりした建物や車両の汚れた部分と、それらを洗浄してピッカピカで美しくなった部分のコントラストが対照的に描かれていることも貢献しているのでしょう。
また、「キャリアモード」に関しては、遊び方には正解も間違いもなく、時間との戦いも最終的なスコアもなく、ひたすら高圧洗浄機を駆使して汚れとストレスを洗い流していくという敷居の低さも、プレイしようという気持ちをかきたてています。
その分、「チャレンジモード」は、「タイムチャレンジ」では時間を競い、「ウォーターチャレンジ」ではできるだけ少量の水で正確に汚れを落とせるかを競い、といった具合の難解な課題が課せられています。
単なる洗浄では物足りないという人は、実績解除と合わせて挑めばいいわけで、ゲームの幅を広げる点では貢献しています。
もっとも、「チャレンジモード」はかなり難しく、「タイムチャレンジ」はスポーツ系FPSのようなコントローラーさばきが要求されますし、「ウォーターチャレンジ」は詰将棋のような緻密さが要求されます。
「チャレンジモード」は実績のウエイトも低く、気が向けば挑戦すればといったところで構わないのではないでしょうか。
ここまでいろいろと見てきましたが、本作の「キャリアモード」だけでもプレイしてみるといいと思います。これまでのゲームにはないような新たな体験ができるはずです。

#1(特別依頼「トゥームレイダー」1-2)
#2(特別依頼「トゥームレイダー」3-5)
#3(「キャリアモード」1-13)
#4(「キャリアモード」14-26)
#5(「キャリアモード」27-38)
#6(特別依頼「ミッドガル」1-2)
#7(特別依頼「ミッドガル」3-5)

POWERWASH SIMULATOR (C) 2021, 2022 FuturLab Limited. Published by Square Enix Ltd. Developed by FuturLab Limited.

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