1993年全日本F3000選手権観戦録

~1993 ALL JAPAN F3000 CHAMPIONSHIP SERIES~OBSERVER’S DOCUMENT

この記録は、1993年全日本F3000選手権全10戦中、9戦にわたって現地において観戦した記録である。その内訳は、予選、決勝とも観戦が鈴鹿4戦と菅生1戦、決勝のみ観戦が富士4戦、テレビ観戦が美祢1戦である。素晴らしい選手権が展開された本シリーズと、それを演出したドライバーたちの1年間の闘いをここに記す。
1993年全日本F3000選手権参戦ドライバー
1マウロ・マルティニ(ローラT93-50/無限/BS)
2伊藤直澄(ローラT92-50/無限/DL、レイナード92D/無限/DL、ローラT93-50/無限/DL)
3黒澤琢弥(ローラT92-50、DFV/BS)
3金石勝智(ローラT92-50/DFV/BS)
5ジェフ・クロスノフ(ローラT92-50/無限/DL、ローラT93-50/無限/DL)
7高橋国光(ローラT92-50/無限/YH)
8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)
10ハインツ・ハラルド・フレンツェン(ローラT93-50/無限/BS)
11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
14影山正彦(レイナード93D/無限/BS)
15檜井保孝(レイナード93D/無限/BS)
16和田久(ローラT93-50/無限/BS)
17和田孝夫(ローラT92-50/無限/YH、ローラT93-50/無限/YH)
17アンソニー・リード(ローラT93-50/無限/YH)
19星野一義(ローラT92-50/DFV/BS)
20アンドリュー・ギルバート・スコット(ローラT92-50/無限/BS)
21ローランド・ラッツェンバーガー(ローラT93-50/無限/BS)
25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
26石川朗(レイナード93D/無限/BS)
28パウロ・カーカッシ(レイナード93D/無限/DL)
33清水正智(レイナード92D/無限/DL)
36野田英樹(レイナード93D/DFV/BS)
37ミカ・サロ(ローラT93-50/無限/YH)
38田中実(ローラT92-50/無限/YH)
61トーマス・ダニエルソン(ローラT92-50/DFV/DL)
77鈴木利男(ローラT92-50/DFV/BS、ローラT93-50/DFV/BS)
88エマニュエル・ナスペッティ(ドームF103i/無限/DFV)
88中谷明彦(ローラT92-50/JUDD/DL、ドームF103i/無限/DL)
98服部尚貴(ローラT92-50/無限/BS)
※タイヤのBSはブリヂストン、DLはダンロップ、YHはヨコハマ
ミリオンカードカップレースラウンド1鈴鹿
(第1戦、3月21日、鈴鹿サーキット)
RACE REPORT
逆転初ポールを獲得したアピチェッラはスタートに失敗し、1周目で6番手までポジションダウン。替わってトップに立ったのはチーバーで、以下、星野、アーバイン、黒澤・・・と続く。
3周目の1コーナー進入で星野が、シケインでシフトミスしたチーバーのインを突くがオーバーテイクにまで至らず。以後、レースは膠着状態が続く。そんな中で観衆の喝采を浴びたのが関谷の追い上げだ。
実質的に予選がシェイクダウンとなった関谷は、予選9番手のポジションから次々に前車をオーバーテイク、4周目には4番手まで上昇した。表彰台も見えてきた33周目、右足ふくらはぎの筋肉が痙攣して惜しくも後退するがこのレースを盛り上げた最大の功労者だった。
レースは結局、チーバーが逃げ切り、開幕戦2連勝。星野が復活を告げる2位となった。93ローラ勢は重いシャシーの開発が進まず総崩れ、サロの13位が最高だった。

RESULT
優勝 25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
2位 19星野一義(ローラT92-50/DFV/BS)
3位 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
4位 3黒澤琢弥(T92-50/DFV/BS)
5位 20アンドリュー・ギルバート・スコット(ローラT92-50/無限/BS)
6位 77鈴木利男(ローラT92-50/DFV/BS)
PP 8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)
FL 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)

DRIVERS CONTEST
関谷正徳10点。トムスからの参戦となった今年は以前の速さが戻ることが期待されていたが、その期待に見事に応えた格好。予選が事実上のシェイクダウンとなったにも関わらず、9番手のポジションをキープしたのは見事だった。なにしろ、予選中も決してマシンは好調とは見えなかったのだから。レース中の追い上げも素晴らしかった。オーバーテイクの難しい鈴鹿でただひとり気を吐いた感じ。結果は残念だったが、今シーズンの活躍を期待させるには十分の内容だった。
星野一義5点。昨年は散々だった星野。やはり、この人が頑張らなければならないし、頑張ってこそ日本のレースシーンは面白くなる。唯一の勝負どころ1コーナーで引いたのは、今後の展開を考えれば納得できる。何はともあれ、星野復活に乾杯!
ロス・チーバー2点。今年のチーバーはどうやら違う。鈴鹿ではコーナーで後続をブロックしまくっていた昨年と違って、きっちりと速さでレースをコントロールしていた。予選での異常なまでの自信が、予選のポジション悪化に結びつかなければという危惧はあるが・・・。
鈴木利男2点。昨年、惜しくもチャンピオンを逃がしたのは、ひとえに前半戦のノーポイントが響いているから。富士では強さを見せるだけに、ここ鈴鹿で貴重な1ポイントをゲットしたのは大きい。
マルコ・アピチェッラ1点。せっかくドームに初のポールをプレゼントしたのに、スタートで見事に失敗、レースもそのままずるずるといってしまった。それでも、予選でのここ一発の速さは特筆に値する。アピチェッラが速いのか、ナスペッティが遅いのか? 
キャビンインターナショナルフォーミュラカップ
(第2戦、4月11日、富士スピードウェイ)
RACE REPORT
予選3番手までを、92ローラ/DFV/BSという全く同じパッケージングの日本勢3人、黒澤、鈴木、星野が占めた。決勝でもこの3人が他を圧倒し、好スタートでトップに立ったアーバインもあっさり4番手に後退。前半戦はこの3者の静かな戦いがレースをリードした。
4番手以降では、ダニエルソン、チーパーがジャンプし、アーバインを追う。逃げる黒澤は星野に対して決定的なリードを奪えず、鈴木も3番手で虎視眈々。
この中から最初に脱落したのは黒澤で、星野がすぐ背後にまで迫っていた19周目、エンジンから猛然と白煙を吹き上げ、無念のエンジントラブルでリタイア。
これで労せずしてトップに立った星野だったが、鈴木がジワジワと追い上げる。鈴木をして「星野さんには悪いけど、楽勝だと思った」と言わせるほどの展開だったが、星野に並びかけた31周目にミッショントラブルが発生し、スローダウンを余儀なくされた。
その後、星野は独走となり、1年半ぶりの優勝を手中に収めた。アピチェッラが追い上げて2位。

RESULT
優勝 19星野一義(ローラT92-50/DFV/BS)
2位 8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)
3位 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
4位 77鈴木利男(ローラT92-50/DFV/BS)
5位 61トーマス・ダニエルソン(ローラT92-50/DFV/DL)
6位 20アンドリュー・ギルバート・スコット(ローラT92-50/無限/BS)
PP 3黒澤琢弥(ローラT92-50/DFV/BS)
FL 14影山正彦(レイナード93D/無限/BS)

POINT STANDING
星野一義15、ロス・チーバー9、エディー・アーバイン8、マルコ・アピチェッラ6、鈴木利男4、黒澤琢弥3、アンドリュー・ギルバート・スコット3、トーマス・ダニエルソン2

DRIVERS CONTEST
鈴木利男5点。レース序盤はじっくり3番手で待機。明らかにペースを抑えた走りで、いつも通りの富士の鈴木パターン。中盤から徐々に動き、この時点でレースは鈴木のものだった。これだけの走りをされれば、まさにお手上げ。敬意を表し5点。
黒澤琢弥3点。完走すれば勝っていたかどうかはともかく、予選での速さ、レースでの安定感は増している。まだまだ鈴木、星野には及ばないだろうが、残念賞で3点。
星野一義3点。レースには勝ったが、内容は負けていた。黒澤は抜けただろうが、鈴木には確実に抜かれていた。自他ともにとても満点はあげられない。
エディー・アーバイン3点。好スタートを切りトップに立ったが、富士ではやはりDFV勢に及ばない。いつもならずるずるといくところを、3位に粘って見せた点を評価。
マルコ・アピチェッラ2点。5番手スタートから8番手までドロップするが、そこから着実に追い上げ2位をゲット。レースを投げなかった。今年のダンロップは意外といいか。
影山正彦2点。序盤17番手から次第に順位を上げ、終盤にはスコット、関谷の背後まで忍び寄りポイント圏も見えた。体制のいいチームなら更にやれる。
高橋国光2点。久しぶりにいいレースを見せてもらった。生きのいい外国人ドライバーを相手に遜色ないレースを展開し、国サン健在をアピール。終盤のスピンが惜しまれる。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING 関谷正徳10、星野一義8、鈴木利男7、黒澤琢弥3、エディー・アーバイン3、マルコ・アピチェッラ3、ロス・チーバー2、影山正彦2、高橋国光2
MINE ALL STAR
(第3戦、5月9日、MINEサーキット)
RACE REPORT
激しい雨が降り続け、クラッシュ、コースアウトが続出の大荒れのレースとなった。このコース2年連続Vのアーバインがぶっちぎりの予選トップ。
決勝もこのアーバインを先頭に鈴木、マルティニ、黒澤と続くが、雨に強いのかフレンツェンがトップを奪い、マルティニ、星野がこれに続く。
23周目、星野が最終コーナーでクラッシュ、レースは赤旗中断となる。2ヒート制となった第2ヒートは、フレンツェンがスタートで大きく出遅れるが、次々に他車を交わしてあっさり首位に立つ。
1周5秒ほど速い驚異的なタイムで2番手以下との差を広げにかかるが、6周目にエンジントラブルでリタイアしてしまう。更に、鈴木も12周目にスピンオフ。
その後、クロスノフがマルティニを抜いてトップを独走するが、今度はチーバーが星野と同じ場所でクラッシュ。再び赤旗中断となり、そのままレースは成立した。合計タイムでトップのマルティニが、93ローラで今シーズン初勝利。

RESULT
優勝 1マウロ・マルティニ(ローラT93-50/無限/BS)
2位 5ジェフ・クロスノフ(ローラT92-50/無限/DL)
3位 28パウロ・カーカッシ(レイナード93D/無限/DL)
4位 25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
5位 98服部尚貴(ローラT92-50/無限/BS)
6位 14影山正彦(レイナード93D/無限/BS)
PP 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/DFV/BS)
FL 98服部尚貴(ローラT92-50/無限/BS)

POINT STANDING
星野一義15、ロス・チーバー12、マウロ・マルティニ9、エディー・アーバイン8、マルコ・アピチェッラ6、ジェフ・クロスノフ6、パウロ・カーカッシ4、鈴木利男4、黒澤琢弥3、アンドリュー・ギルバート・スコット3、トーマス・ダニエルソン2、服部尚貴2、影山正彦1

DRIVERS CONTEST
ハインツ・ハラルド・フレンツェン10点。予選こそ9番手ながら、激しい雨の中、ようやく本場ヨーロッパの走り、そして、シューマッハ、ベンドリンガーとともにメルセデスの若手3人衆と呼ばれた走りを披露してくれた。特に、第2ヒートで見せた、スタートでの大きな出遅れの一気の挽回、他車より1周5秒も速い驚異的な走り。これにはセナも真っ青だろう。
エディー・アーバイン3点。やはり、MINEでは強い。予選で2番手鈴木に0秒5の大差。現在の全日本F3000の状況を考えれば、これだけでも十分なパフォーマンス。決勝の内容は、彼のMINEの強さからすれば少し不満。
ジェフ・クロスノフ3点。第1ヒートは9位。相次ぐ上位陣の脱落があったにせよ、第2ヒートで2位をぶっちぎったのには溜飲を下げさせられた。やはり、MINEは何が起こるか分からない。
マウロ・マルティニ2点。こういう荒れたレースで最後まで残って優勝するあたり、さすがは昨年のチャンピオンといった感じ。93ローラも予選から好調で、いよいよ進撃開始か。
影山正彦2点。2戦連続でファステストラップ連発。特に、第2ヒートは3位のカーカッシから3秒差。今後も伏兵として要注意。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING
関谷正徳10、ハインツ・ハラルド・フレンツェン10、星野一義8、鈴木利男7、エディー・アーバイン6、影山正彦4、黒澤琢弥3、ジェフ・クロスノフ3、マルコ・アピチェッラ3、ロス・チーバー2、マウロ・マルティニ2、高橋国光2
ミリオンカードカップレースラウンド2鈴鹿
(第4戦、5月23日、鈴鹿サーキット)
RACE REPORT
予選は雨が降り続くあいにくの天候で、午前中1回目の序盤にアタックしたドライバーが上位を占める。PPは2戦連続でアーバインが獲得し、午後2回目にタイムアタックした星野が2番手。
決勝はエンジンのかからなかったマルティニ、影山、服部が最後尾スタート。好スタートを決めたアーバインがレースをリードし、そのまま危なげなく逃げ切った。
2位、3位には星野、ダニエルソンが、終盤激しく追い上げるスコット、アピチェッラを抑えて入る。序盤レースを盛り上げた鈴木、関谷は3周目に相次いでリタイアした。
期待された服部はいいところなく、テールグループの中でレースを終える。また、黒澤もスタート後の1コーナーで接触し、早々と優勝争いから脱落と、見た目の派手さに関しては薄いレースだった。

RESULT
優勝 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/BS)
2位 19星野一義(ローラT92-50/DFV/BS)
3位 61トーマス・ダニエルソン(ローラT92-50/DFV/DL)
4位 20アンドリュー・ギルバート・スコット(ローラT92-50/無限/BS)
5位 8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)
6位 21ローランド・ラッツェンバーガー(ローラT93-50/無限/BS)
PP11 エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/BS)
FL 8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)

POINT STANDING
星野一義21、エディー・アーバイン17、ロス・チーバー12、マウロ・マルティニ9、トーマス・ダニエルソン8、マルコ・アピチェッラ8、ジェフ・クロスノフ6、アンドリュー・ギルバート・スコット6、パウロ・カーカッシ4、鈴木利男4、黒澤琢弥3、服部尚貴2、影山正彦1、ローランド・ラッツェンバーガー1

DRIVERS CONTEST
エディー・アーバイン8点。ポールtoウィン。雨の予選で、早々とタイムアタックしてポール獲得の頭脳プレー。決勝も好スタートを切って逃げ切り。充実ぶりが自信を生み、MINEの無念を見事晴らした。文句のつけようがない完勝だ。
トーマス・ダニエルソン5点。ニューマシンが奏効し、予選で今シーズン初の1ケタ。決勝も星野に食らいつき内容のある見事なレースを展開した。高く評価できる。
星野一義3点。MINEのクラッシュで、首を痛めての出場。予選、決勝とも2位にまとめるあたり、今シーズンの星野は本当に充実している。星野を中心にシリーズが展開されている様がくっきり。
アンドリュー・ギルバート・スコット2点。これで予選順位は4戦連続して1ケタ。決勝も3度目の入賞と全く手堅い。終盤の追い上げは、前を走るドライバーにとっては不気味だ。
マルコ・アピチェッラ2点。スコットとともに、終盤を盛り上げたひとり。ファステストラップも評価できる。アーバインといい、ダニエルソンといい、今シーズンのダンロップはいける。
鈴木利男0点。序盤から頑張りすぎ。アーバイン強しと見て早めに動いたのだろうが、やはり、じっくり見ていくのが鈴木のレース。これではダメだ。
服部尚貴0点。後ろでちんたらやっているようでは情けない。マシンがダメならダメで、チームもしっかり体制を整えなければいけない。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING
エディー・アーバイン14、星野一義11、関谷正徳10、ハインツ・ハラルド・フレンツェン10、鈴木利男7、トーマス・ダニエルソン5、マルコ・アピチェッラ5、影山正彦4、黒澤琢弥3、ジェフ・クロスノフ3、ロス・チーバー2、マウロ・マルティニ2、高橋国光2、アンドリュー・ギルバート・スコット2
SUGO INTER FORMULA
(第6戦、8月1日、スポーツランド菅生、※第5戦オートポリスは開催中止)
RACE REPORT
予選ではアーバインが見事、3戦連続のPPを決めた。1回目ペナルティの星野は2回目に盛り返して5位。
2カ月ぶりとなった決勝レースはヒートアップし、スタートから波乱の連続。和田久、関谷、檜井、石川と、次々と消えていく。
星野もスタートに失敗し、焦りからかコースアウトしリタイア。逃げるアーバインも、リミッターのトラブルで後退を余儀なくされる。
そんな混乱の中でトップに踊り出たのがアピチェッラ。黒澤が猛追を開始するが、やはり、エンジンが回らずペースダウン。
レースを盛り上げたのは、その後方3番手に上がっていた影山。周回ごとに、ペースを上げ切れないアピチェッラとの差を詰め、残り数周で2秒以下の差にまで迫るがそこまで。
アピチェッラがそのまま逃げ切り、約1年ぶりの勝利をものにするとともに、ポイント争いでも2位に浮上した。またこれで、今シーズンのF3000は5戦目で5人目のウイナーが誕生。2位の影山は、F3000初の表彰台。

RESULT
優勝8 マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)
2位 14影山正彦(レイナード93D/無限/BS)
3位 25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
4位 77鈴木利男(ローラT92-50/DFV/BS)
5位 3黒澤琢弥(ローラT92-50/DFV/BS)
6位 37ミカ・サロ(ローラT93-50/無限/YH)
PP 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/BS)
FL 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/BS)

POINT STANDING
星野一義21、マルコ・アピチェッラ17、エディー・アーバイン17、ロス・チーバー16、マウロ・マルティニ9、トーマス・ダニエルソン8、影山正彦7、鈴木利男7、ジェフ・クロスノフ6、アンドリュー・ギルバート・スコット6、黒澤琢弥5、パウロ・カーカッシ4、服部尚貴2、ローランド・ラッツェンバーガー1、ミカ・サロ1

DRIVERS CONTEST
影山正彦5点。予選では強豪に割って入り、自己最高位のシングル7位。サバイバルレースをうまく生き残り、トップのアピチェッラを執拗に追い詰めた。いよいよ本格化し、名実ともにトップドライバーの仲間入りを果たした、と言っていいだろう。
エディー・アーバイン3点。3戦連続でポールを獲得する充実ぶり。決勝も不運なトラブルがなければ、ファステストラップを出す速さから見て勝っていたかもしれない。本当に手がつけられない。
ハインツ・ハラルド・フレンツェン2点。予選3位。速さはアーバインに匹敵する。後は決勝レースを、どううまくまとめるかだ。この2人の走りを見られるのは幸せというもの。
マルコ・アピチェッラ2点。予選で6番手につけ、決勝では序盤の混乱に乗じて頭を取る。終盤、苦しくなったら苦しくなったで、安全圏までペースダウンするうまみも見せた。技ありっ。
ロス・チーバー2点。開幕戦の勢いが見られないが、安定したレースぶりで3位をゲット。チャンピオン争いを考えると大きい。
鈴木利男2点。予選15位は不本意だろうが、そこから4位まで追い上げて3ポイント獲得。富士では強いから、このポイントは重要。
黒澤琢弥2点。予選は惜しくも2位。速さではアーバイン、フレンツェンにヒケを取るまい。またしても勝てるレースを落としたが、ポイント獲得は○。
ミカ・サロ2点。目立たないが、予選は久々に上位。決勝でも6位に入賞した。やはり、ただ者ではないのだ、この人は。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING
エディー・アーバイン17、ハインツ・ハラルド・フレンツェン12、星野一義11、関谷正徳10、鈴木利男9、影山正彦9、マルコ・アピチェッラ7、トーマス・ダニエルソン5、黒澤琢弥5、ロス・チーバー4、ジェフ・クロスノフ3、マウロ・マルティニ2、高橋国光2、アンドリュー・ギルバート・スコット2、ミカ・サロ2
FUJI INTER F3000
(第8戦、9月5日、富士スピードウェイ、※第7戦富士は決勝中止)
RACE REPORT
台風の余波で予選1回目は中止。2回目も途中から雨が降り出し、序盤にタイムを出したドライバーが上位に並ぶ。
PPはフレンツェンが決め、第7戦富士(決勝中止)のマルティニに続いて2戦連続して無限ホンダがPP獲得と、ポテンシャルの片鱗をうかがわせた。
決勝は、フリー走行でクラッシュしたサロが欠場。また、序盤で星野が中谷に追突し、ともにリタイア。このアクシデントの影響を数台が被る。
フレンツェンからトップを奪ったアピチェッラが逃げるが、徐々に鈴木が順位を上げ、いよいよバトルかと思われたところで、アピチェッラのエンジンカバーが浮きリタイア。
このまま鈴木がレースをコントロールして今期初優勝を飾るとともに、6人目のウイナーとなった。2-4位は膠着状態のまま、フレンツェン、ラッツェンバーガー、関谷がそのまま流れ込んだ。
5位に久々に”らしい”走りを見せた服部がファステストラップをマークして予選16位から追い上げ、6位にタイヤのバイブレーションに苦しんだアーバインが、やはり、予選22位から追い上げて貴重なポイントをマークした。

RESULT
優勝 77鈴木利男(ローラT92-50/DFV/BS)
2位 10ハインツ・ハラルド・フレンツェン(ローラT93-50/無限/BS)
3位 21ローランド・ラッツェンバーガー(ローラT93-50/無限/BS)
4位 36関谷正徳(レイナード93D/DFV/BS)
5位 98服部尚貴(ローラT92-50/無限/BS)
6位 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
PP 10ハインツ・ハラルド・フレンツェン(ローラT93-50/無限/BS)
FL 98服部尚貴(ローラT92-50/無限/BS)

POINT STANDING
星野一義21、エディー・アーバイン18、マルコ・アピチェッラ17、ロス・チーバー16、鈴木利男16、マウロ・マルティニ9、トーマス・ダニエルソン8、影山正彦7、ジェフ・クロスノフ6、アンドリュー・ギルバート・スコット6、ハインツ・ハラルド・フレンツェン6、黒澤琢弥5、ローランド・ラッツェンバーガー5、パウロ・カーカッシ4、服部尚貴4、関谷正徳3、ミカ・サロ1

DRIVERS CONTEST
鈴木利男5点。予選8位からじっくりと順位を上げていき、アピチェッラに追いついたところで彼がリタイア、労せずして今期初優勝を飾った。まったく落ち着いたレース運びは、自信にあふれており、安心して見ていられる。チャンピオン争いでも、トップに5点差。シナリオ通りか。
マルコ・アピチェッラ4点。予選2位から序盤でフレンツェンを交わしレースをリード。菅生の再現かと思わせたが、後ろは「後半勝負で抜けたはず」と言う富士に強い鈴木。勝てたかどうかは分からないが、内容はとても良かった。エンジンカバーが浮いてしまったのが不運だった。
服部尚貴3点。ファステストラップを連発して予選16位から追い上げ。久々に彼らしい気持ちのいいレースで、次の鈴鹿は期待していいか。
ハインツ・ハラルド・フレンツェン2点。アピチェッラにあっさり交わされたが、きっちりと2位を守った。完走するのも大事なこと。特に93ローラ+無限ホンダには、実戦データは大きい。
ローランド・ラッツェンバーガー2点。これといった見せ場もなかったが、今シーズンのレースぶりから、ここで実力を証明したのは重要。
関谷正徳2点。まともに走ってまともに入賞。初ポイントでホッとした感じ。
エディー・アーバイン2点。予選22位でも焦らず冷静なレース運び。こういうレースをしていれば、チャンピオンはやってくるもの。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING
エディー・アーバイン19、ハインツ・ハラルド・フレンツェン14、鈴木利男14、関谷正徳12、星野一義11、マルコ・アピチェッラ11、影山正彦9、トーマス・ダニエルソン5、黒澤琢弥5、ロス・チーバー4、ジェフ・クロスノフ3、服部尚貴3、マウロ・マルティニ2、高橋国光2、アンドリュー・ギルバート・スコット2、ミカ・サロ2、ローランド・ラッツェンバーガー2
ミリオンカードカップレースラウンド3鈴鹿
(第9戦、9月26日、鈴鹿サーキット)
RACE REPORT
予選はチーバーがこの季節としては速い、1分43秒台をただひとり叩き出して今年初のPP。尻上がりに調子を上げてきた服部が2番手につけた。以下、鈴木、関谷、アピチェッラと、前回富士の流れを引き継いだ感じ。
決勝は、チーバーが服部を抑えてリード。7番手スタートのアーバインが、1周目2コーナーまでで3番手に上昇する。
チーバーはウイングを寝かせて直線スピードを稼ぐセッティングの上、ハードタイヤを選択し、序盤でレースを決めてそのまま逃げ切り勝ち。今期最初の2勝目ドライバーになるとともに、ポイントリーダーにも立った。
単独2番手だった服部は残り3周でスピンしリタイア。鈴木のアタックを交わしたアーバインが2位に入り、チーバーに1ポイント差の24ポイント。
3位鈴木、4位アピチェッラ、5位星野もそれぞれポイントを伸ばし、チャンピオン争いは完全にこの5人に絞られた。

RESULT
優勝 25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
2位 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
3位 77鈴木利男(ローラT92-50/DFV/BS)
4位 8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)
5位 19星野一義(ローラT92-50/DFV/BS)
6位 21ローランド・ラッツェンバーガー(ローラT93-50/無限/BS)
PP 25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
FL ハインツ・ハラルド・フレンツェン(ローラT93-50/無限/BS)

POINT STANDING
ロス・チーバー25、エディー・アーバイン24、星野一義23、マルコ・アピチェッラ20、鈴木利男20、マウロ・マルティニ9、トーマス・ダニエルソン8、影山正彦7、ジェフ・クロスノフ6、アンドリュー・ギルバート・スコット6、ハインツ・ハラルド・フレンツェン6、ローランド・ラッツェンバーガー6、黒澤琢弥5、パウロ・カーカッシ4、服部尚貴4、関谷正徳3、ミカ・サロ1

DRIVERS CONTEST
ロス・チーバー8点。予選では狙いすましたように、ただひとり1分43秒台をマーク。久々に彼らしい、予選でのさえを見せてくれた。決勝も直線スピードを重視してリアウイングを寝かせ、タイヤもハードを選択。ここまでは鈴鹿での作戦は完璧。そして、決勝。セカンドロウの服部は昨年の最終戦で、スタート直後の1コーナーで差された相手。今回はしっかり抑えて、序盤でレースを決めた。後は一人旅で文句のつけようのないレース運び。完勝だ。
エディー・アーバイン4点。予選は彼らしい切れ味を垣間見せたものの7位。ところが決勝ではセナばりのジャンピングスタートで、1周目2コーナーまでで3番手にまで押し上げた。その後も激しくプッシュする鈴木を見事に抑えきって2位でゴール。やはり、並のドライバーではない。いまさら言うまでもないことではあるが・・・。
鈴木利男4点。今回から93ローラでの登場。その初戦で予選3位にまとめる辺り、今の利男は本当に充実している。決勝でのアーバインとの”F1バトル”も、見ごたえたっぷり。”日本一強い男”の称号をここに授けたい。
服部尚貴2点。後半戦に強い服部。昨年、最終戦の鈴鹿の再現なるかと期待がかかったが、2番手に甘んじる。そして、前も後ろも離れた単独2番手だったのに、残り3周でスピンしてリタイア。アクシデントだが、減点で2点。
マルコ・アピチェッラ2点。”F1バトル”に加わった一足お先の”F1ドライバー”の相変わらずの速さは文句なし。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING
エディー・アーバイン23、鈴木利男18、ハインツ・ハラルド・フレンツェン14、マルコ・アピチェッラ13、関谷正徳12、ロス・チーバー12、星野一義11、影山正彦9、トーマス・ダニエルソン5、黒澤琢弥5、服部尚貴5、ジェフ・クロスノフ3、マウロ・マルティニ2、高橋国光2、アンドリュー・ギルバート・スコット2、ミカ・サロ2、ローランド・ラッツェンバーガー2
INTERNATIONAL F3000 FUJI FINAL
(第10戦、10月17日、富士スピードウェイ)
RACE REPORT
またしても雨に祟られた予選は、タイミング良くタイムアタックしたドライバーが上位を占めた。とはいえ、フロントロウはアーバインとフレンツェン。速いものはやはり速い。鈴木は16位、野田は23位、田中は24位と出遅れた。
決勝は、星野が4周目でトップに立つととともに、ライバルたちの自力優勝を消した。アーバインが堅実なレース運びで2位に入り、チャンピオンへの権利をキープ。
チーバーは7位だったもののわずかな可能性を残したが、アピチェッラは4位、鈴木は猛烈な追い上げで5位もチャンピオンの夢は消えてしまった。
また、このレースでは数名のドライバーの素晴らしい追い上げが光っていた。マルティニが予選18位から6位、予選10位も出遅れた金石が8位、野田も一時は9番手まで押し上げたのだ。シーズン終盤戦らしく、見ごたえのあるレースだった。

RESULT
優勝 19星野一義(ローラT92-50/DFV/BS)
2位 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
3位 61トーマス・ダニエルソン(ローラT92-50/DFV/DL)
4位 8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL)
5位 77鈴木利男(ローラT92-50/DFV/BS)
6位 1マウロ・マルティニ(ローラT93-50/無限/BS)
PP 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
FL 10ハインツ・ハラルド・フレンツェン(ローラT93-50/無限/BS)

POINT STANDING
星野一義32、エディー・アーバイン30、ロス・チーバー25、マルコ・アピチェッラ23、鈴木利男22、トーマス・ダニエルソン12、マウロ・マルティニ10、影山正彦7、ジェフ・クロスノフ6、アンドリュー・ギルバート・スコット6、ハインツ・ハラルド・フレンツェン6、ローランド・ラッツェンバーガー6、黒澤琢弥5、パウロ・カーカッシ4、服部尚貴4、関谷正徳3、ミカ・サロ1

DRIVERS CONTEST
星野一義8点。予選3番手から4周目でトップに立つとそのまま逃げ切り。前回鈴鹿が凡走だっただけにこの走りは光った。最後には引退発言(!?)が飛び出すほどで、鬼気迫る走りにも納得がいく。これでポイントもトップ。チャンピオンを決めて引退の花道を飾る気?
トーマス・ダニエルソン2点。久しぶりにさえた走りを披露。この人、ドライビングはヨーロッパスタイルで豪快。つぼに嵌れば速いということか。
エディー・アーバイン2点。速い上に堅実。すっかり全日本F3000のコツをマスターした。星野とは実質3点差。堅実さから言って、こちらの方が有利かも。
鈴木利男2点。予選16位から次々に順位を上げていった時はいつもの鈴木かと思ったが、結局は5位止まり。今回は序盤の混戦でタイヤを使いすぎたかも。
マウロ・マルティニ2点。やはり、予選18位から追い上げ。こちらはより速く上位に取りついたが、現状では6位が精一杯だろう。内容はあった。
金石勝智2点。黒澤琢弥に替わって今回から登場。スタートで後手を踏んだが、その追い上げは十分に魅せるものがあった。まずは合格点。
野田英樹2点。予選23位は仕方ない。スターティンググリッドでは、ただひとり列からずらしてやる気満々。ステディな追い上げで一時は9番手。ブレーキトラブルでスピンはおまけ。鈴鹿への期待が大いに持てる。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING
エディー・アーバイン25、鈴木利男20、星野一義19、ハインツ・ハラルド・フレンツェン14、マルコ・アピチェッラ13、関谷正徳12、ロス・チーバー12、影山正彦9、トーマス・ダニエルソン7、黒澤琢弥5、服部尚貴5、マウロ・マルティニ4、ジェフ・クロスノフ3、高橋国光2、アンドリュー・ギルバート・スコット2、ミカ・サロ2、ローランド・ラッツェンバーガー2、金石勝智2、野田英樹2
ミリオンカードカップレースファイナルラウンド鈴鹿
(最終戦11月14日、鈴鹿サーキット)
RACE REPORT
予選はまたしても雨に祟られた。特に午後は時間の経過に連れて土砂降りとなり、午前中のタイムでポジションが決まる。
PPは再びスーパーラップを見せたチーバーで、チャンピオンの権利を残すアーバインが6位、星野が11位と、可能性の低いものほど上位を得るという結果になった。
決勝はドライコンディション。予選2位のダニエルソンはソフトタイヤを選択し、スタートに賭ける。
チーバーはハードタイヤをチョイスし、スタートを決めて逃げ切り態勢に持ち込もうとするが、2周目のデグナーで痛恨のシフトミス。ダニエルソンがその隙を見逃さずトップに立つと、そのまま一人旅で悠々と逃げ切り、全日本F3000参戦4年目にして初勝利を手にした。
チャンピオン争いの方は、星野が10周目にリタイアしてしまうが、チーバーが2位、アーバインが4位とあとひとつ順位を上げられず、星野が昨年のマルティニに続き、最終戦でポイントを挙げずしてチャンピオンを決めた。

RESULT
優勝61 トーマス・ダニエルソン(ローラT92-50/DFV/DL)
2位 25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
3位 20アンドリュー・ギルバート・スコット(ローラT92-50/無限/BS)
4位 11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL)
5位 10ハインツ・ハラルド・フレンツェン(ローラT93-50/無限/BS)
6位 3金石勝智(ローラT92-50/DFV/BS)
PP 25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS)
FL 14影山正彦(レイナード93D/無限/BS)

POINT STANDING
星野一義32、エディー・アーバイン32、ロス・チーバー31、マルコ・アピチェッラ23、鈴木利男22、トーマス・ダニエルソン21、マウロ・マルティニ10、アンドリュー・ギルバート・スコット10、ハインツ・ハラルド・フレンツェン8、影山正彦7、ジェフ・クロスノフ6、ローランド・ラッツェンバーガー6、黒澤琢弥5、パウロ・カーカッシ4、服部尚貴4、関谷正徳3、ミカ・サロ1、金石勝智1

DRIVERS CONTEST
トーマス・ダニエルソン10点。予選2位で失うもののない彼は、果敢にソフトタイヤをチョイスしスタートに賭けた。それは決められなかったが、チーバーのミスを見逃さずトップに立つと一人旅。他車を寄せ付けないレース内容は見事というほかない。波がなければもっとポイントを取ってチャンピオン争いに絡めたのだが、ヨーロッパ流の豪快なドライビングも彼の魅力。これはこれでいいか。
ロス・チーバー4点。予選ではまたもスーパーラップ。決勝も例によってハードタイヤを選んだが、そうそう思い通りにいかないのが勝負の世界。もっとも、ダニエルソンが速すぎただけで、彼のレース内容は良かった。デグナーのシフトミスが惜しまれるが、それがなくても勝てたかどうか。
パウロ・カーカッシ3点。きょうのレースの最大の功労者。序盤のアグレッシブな追い上げは迫力があったし、タイヤがタレた後半のブロックも見事だった。最後には中谷と絡むおまけもあって、さしずめカーカッシ・ショーの趣。
ハインツ・ハラルド・フレンツェン3点。これが全日本F3000サヨナラレース。レース内容はあまりパッとしなかったが、その前後が良かった。ピットウォークではただひとり登場して即席のサイン会。ゴール後には、1-2コーナーでファンにお別れのあいさつのスピンターン。これを生で見られた人は幸せ。最後までいいヤツだった。

DRIVERS CONTEST POINT STANDING
エディー・アーバイン25、鈴木利男20、星野一義19、ハインツ・ハラルド・フレンツェン17、トーマス・ダニエルソン17、ロス・チーバー16、マルコ・アピチェッラ13、関谷正徳12、影山正彦9、黒澤琢弥5、服部尚貴5、マウロ・マルティニ4、ジェフ・クロスノフ3、パウロ・カーカッシ3、高橋国光2、アンドリュー・ギルバート・スコット2、ミカ・サロ2、ローランド・ラッツェンバーガー2、金石勝智2、野田英樹2
1993 ALL JAPAN F3000 CHAMPIONSHIP SERIES DRIVERS
1993年の全日本F3000選手権は、不確定要素との戦いだった。まず、全11戦のはずが、第5戦に当たるオートポリスが開催中止、第7戦の富士が決勝中止で2戦少ない全9戦となる。
そして、第3戦美祢決勝が雨天の事故で2ヒート制、予選に至っては雨に祟られたのが、第4戦鈴鹿、第8戦富士、第10戦富士、第11戦鈴鹿と、半数でコンディション不良の中のタイミングレースとなってしまったのだ。
しかし、ドライバーがチャンピオンシップを戦う上で、そうした状況を自身に有利に持っていくのも実力のうち。
そうした点で光っていたのが、エディー・アーバインであり、ハインツ・ハラルド・フレンツェンだった。F1に行ってもトップクラスのポテンシャルを持つ彼らの走りは、全日本F3000史上でもトップランクに位置するものだ。
逆にドライコンディションで強かった星野一義とロス・チーバーだが、前者は富士で後者は鈴鹿でのみレースマスターたりえたという点が、よりチャンピオンシップを混沌としたものにしていた。
マルコ・アピチェッラと鈴木利男も不運に泣いており、このふたりにもチャンピオンの可能性はあった。
黒澤琢弥、影山正彦、服部尚貴の中堅ドライバーは時折光る走りを見せていたが、F3からステップアップしてきた石川朗、檜井保孝、伊藤直澄の3人の走りには壁の厚さを実感させるものもあった。
1マウロ・マルティニ(ローラT93-50/無限/BS/ACOM EVORUTION TEAM NOVA)
シリーズ7位(10ポイント)
マウロ・マルティニの1年は、93ローラと無限・ホンダに泣かされたまま終わってしまった。昨年、チャンピオンに輝いているように、粘り強いレースが彼の身上。
それが、セッティングの決まらない93ローラと、菅生から登場した開発の進まない無限・ホンダでは、レースのしようがなかった。
雨の美祢で見せたうまくまとめるレースや、第10戦富士の6位入賞が彼本来のレースだ。唯一、ポールポジションを獲得した第7戦富士が中止になったのも気の毒だった。
なにより、彼自身がフラストレーションのたまる1年だったろうが、持ち前の陽気さでなんとか持ちこたえていた感じ。ハインツ・ハラルド・フレンツェンとは、予選で4勝6敗、決勝で3勝4敗2分け、そんなに負けていたわけでもない。
来シーズンも94ローラでのスタートとなるが、どうなるかはマシン次第。彼は予選も決勝も速いわけで、チャンピオン争いに絡める可能性はあるのだが・・・。
RESULT 1鈴鹿11/R、2富士6/R、3美祢4/1、4鈴鹿4/R、6菅生8/R、7富士1/、8富士6/R、9鈴鹿13/8、10富士18/6、11鈴鹿8/R、PP1、FL0
2伊藤直澄(1-8戦:ローラT92-50/無限/DL、9戦:レイナード92D/無限/DL、10-11戦:ローラT93-50/無限/DL/GIGA RACING TEAM)
シリーズ-位(0ポイント)
伊藤直澄は今シーズン、F3からステップアップしたひとり。F3000の壁はやはり厚かった、というのがシーズンを終えた今の実感だろう。
予選の最高位が第7戦富士の22位で、ほとんど全戦テールエンド。決勝の最高位も第4戦鈴鹿の16位で、完走は3戦のみだ。
もっとも、今シーズンは勉強の年、完走を目標にしたり、時には攻めてみたりがあっていいし、ラップ遅れにされる時のマナーもとても良かった。
レースデビューが1987年、イギリスのフォーミュラ・フォード1600という事実からも分かるように、レース環境には恵まれている。
実際、今シーズンも92ローラ、92レイナード、93ローラと3台を乗り継いでおり資金は潤沢。F3000に乗りたくても乗れないドライバーからすれば、うらやましいばかりだ。
来シーズンは2年目となるが、予選で他のドライバーとのタイム差をなくすこと、決勝で同一ラップで走ることを目標に頑張ってほしい。
RESULT 1鈴鹿24/R、2富士25/18、3美祢22/R、4鈴鹿25/16、6菅生24/R、7富士22/、8富士24/R、9鈴鹿24/R、10富士26/20、11鈴鹿25/R、PP0、FL0
3黒澤琢弥(ローラT92-50/無限/BS、CABIN Racing with HEROES)
シリーズ13位(5ポイント)
黒澤琢弥は、2シーズン続けて不本意な結果に終わってしまった。数字だけを見れば、昨年の21ポイント、シリーズ5位から大きく見劣りするが、内容的には完全に今シーズンの方が上回っていた。
昨年のリタイアは自らの焦りや強引さから生まれたものだが、今年のそれは不慮のアクシデントやマシントラブルから生じたもので、彼自身には何ら責任のないもの。むしろ、随所で光るものを見せていた。
予選での速さは特筆に値するし、現在、エディー・アーバイン、ハインツ・ハラルド・フレンツェンに抗しうる、ただひとりの日本人ドライバーではないだろうか。
第2戦富士や第6戦菅生では勝つ可能性が十分にあったし、第8戦富士も表彰台は可能な勢いだった。これらはいずれもマシンのトラブルに泣かされたレースで、順調なら昨年並みのポイントは取れていた。
来シーズン、初勝利はもちろんのこと、有力なチャンピオン候補のひとりだ。
RESULT 1鈴鹿5/4、2富士1/R、3美祢3/R、4鈴鹿14/15、6菅生2/5、7富士13/、8富士10/R、9鈴鹿8/R、10富士欠/、11鈴鹿欠/、PP1、FL0
3金石勝智(ローラT92-50/無限/BS、CABIN Racing with HEROES)
シリーズ17位(1ポイント)
金石勝智は、第10戦からヒーローズレーシングで黒澤琢弥に替わって登場。もとより、同チームのテストドライバーをこなしており、さしずめマクラーレンのミカ・ハッキネンの日本版といったところか。
1990年に全日本F3000に最年少デビューしており、レギュラーシートを失った昨年も4戦参加と全くのルーキーでないところも似ている。
それはさておき、彼のレースぶりは、それまでの黒澤琢弥とは対照的だった。
黒澤琢弥がレース序盤からがんがん攻めていくのに対し、彼は序盤はマシンやタイヤをいたわり、中盤から終盤にかけて追い上げていくという内容。
これはおそらく、グループAのシビックで培ったものと思われるが、結果としては十分に合格点をつけられるものだった。
予選は中団とインパクトは薄かったが、残り2戦のみの参戦ということを考えればよくやっている。ただ、来シーズンは、よりアグレッシブなレースを期待したい。
RESULT 1鈴鹿欠/、2富士欠/、3美祢欠/、4鈴鹿欠/、6菅生欠/、7富士欠/、8富士欠/、9鈴鹿欠/、10富士10/8、11鈴鹿14/6、PP0、FL0
5ジェフ・クロスノフ(1戦、5-11戦:ローラT93-50/無限/DL、2-4戦:ローラT92-50/無限/DL、スピードスター ホイール レーシング チーム)
シリーズ11位(6ポイント)
ジェフ・クロスノフは、今シーズンで全日本F3000参戦5年目になる。走りっぷりの方も日本で成長したドライバーらしく、すっかり日本人ドライバーのそれ。
しかも、ベテラン並みに落ち着いたものになってしまった。走る姿にあまり勢いが感じられないのだ。予選は第10戦富士の11位が最高で、決勝も第3戦美祢(2位)を除くと11位が最高と少し寂しい。
唯一気を吐いた美祢は、第1ヒートこそ9位だったが、第2ヒートでは2位のマウロ・マルティニをぶっちぎって独走、溜飲を下げさせられた。
ただ、これで雨が強いのかと思うと、その後の雨の予選でも凡走続き。決勝はもちろん、いいところがなかった。彼の第2のハイライトが、第7戦富士の決勝前の花火のアトラクションとは・・・。
気のいい彼だけに、来シーズンはいいところが見たいと誰もが思うはず。昨年は予選上位につけることもあったから、マシンの仕上がり次第ではやれるかもしれない。
RESULT 1鈴鹿12/14、2富士17/13、3美祢17/2、4鈴鹿21/13、6菅生16/R、7富士15/、8富士15/11、9鈴鹿20/11、10富士11/13、11鈴鹿23/15、PP0、FL0
7高橋国光(ローラT92-50/無限/YH、ADVAN SPORT PAL)
シリーズ-位(0ポイント)
高橋国光は、随所で健在ぶりを見せていた。今年で53歳になるが、年齢による衰えもほとんど感じさせない。
彼は数少ないヨコハマタイヤのユーザーだが、ブリヂストンやダンロップに比べると遅れ気味の開発にもめげないだけの走りをしている。
予選もシーズン前半戦こそ良くないが、第7戦からは、10、9、19、13、13位と中団か中団よりやや前という位置につけている。
これは現在の全日本F3000の状況と、ヨコハマ・ユーザーということを考慮すれば、評価して余りあるものだ。
決勝も実に7戦で完走、そのうち数戦はポイント圏内をうかがう走りをしている。また、予選序盤やフリー走行では常に上位に顔を出すアグレッシブさも忘れてはならない。
特に、最終戦鈴鹿で始終予選トップに顔を出したのは、誰あろう彼だった。そのアタックぶりは、観衆を大いに湧かせていたもの。
日本レース界の至宝・国さんには、来シーズンも熱い走りを期待したい。
RESULT 1鈴鹿20/R、2富士20/11、3美祢13/9、4鈴鹿23/12、6菅生19/10、7富士10/、8富士9/9、9鈴鹿19/9、10富士13/18、11鈴鹿13/R、PP0、FL0
8マルコ・アピチェッラ(ドームF103i/無限/DL/株式会社 童夢)
シリーズ4位(23ポイント)
マルコ・アピチェッラの今シーズンは本当に安定していた。
予選シングルが8回、決勝完走が7回、ポイント獲得が5回で、第8戦富士でトップを快走していた時にリアカウルが浮くというトラブルがなければ、チャンピオン争いはより混沌としたものになっていたはずだ。
いや、彼の頭上に輝いていたかもしれない。ポールポジションとファステストラップも1回ずつ叩き出しているように、速さも兼ね備えている。ドームの評価が高いのも、彼の速さと堅実さによるところが大きい。
たった1度のF1は決勝でほんの数秒走っただけで終わってしまったが、これで彼の評価を下げるのは早計というもの。F1サーカスでも、間違いなくコンスタントに走れるドライバーだ。
エディー・アーバインやハインツ・ハラルド・フレンツェンほど派手な走りではないが、実力は彼らにもヒケを取るまい。引退などせず、来シーズンもその走りを見せてほしい。
RESULT 1鈴鹿1/7、2富士5/2、3美祢8/R、4鈴鹿10/5、6菅生6/1、7富士2/、8富士2/R、9鈴鹿5/4、10富士7/4、11鈴鹿20/9、PP1、FL1
10ハインツ・ハラルド・フレンツェン(ローラT93-50/無限/BS、KAWAI STREEL TEAM NOVA)
シリーズ9位(8ポイント)
ハインツ・ハラルド・フレンツェンは、雨の第3戦美祢で急速に評価を上げたドライバー。この時、他のドライバーよりも1周5秒は速いタイムで走っていたのだから、それも当然といえば当然だった。
もとより、ミハエル・シューマッハやカール・ベンドリンガーとメルセデスの若手3人衆として甲乙つけ難い走りをしていたのだから、この走りも納得もの。
マウロ・マルティニ同様、93ローラ+無限・ホンダの開発にてこずっていなければ、チャンピオン争いにも絡んでいただろう。
予選も常に上位に顔を出し、速さという点ではエディー・アーバインとともに横綱級。その走りもひときわ際立っていた。彼の走りを1年間にわたって見られた我々は、本当に幸せだった。
いつもニコニコし、日本を愛していた彼は、最後のレースとなる第11戦鈴鹿でファンにお別れのあいさつのスピンターンを披露。彼のF1での素晴らしい活躍を期待したいものだ。
RESULT 1鈴鹿8/R、2富士19/R、3美祢9/R、4鈴鹿3/8、6菅生3/14、7富士25/、8富士1/2、9鈴鹿9/10、10富士2/12、11鈴鹿9/5、PP1、FL2
11エディー・アーバイン(ローラT92-50/無限/DL、コスモオイル レーシングチーム セルモ)
シリーズ2位(32ポイント)
エディー・アーバインは、惜しくもチャンピオンの座を逃がしてしまった。
総合ポイントは星野一義を上回る33ポイントながら、有効ポイントが同じ32ポイント。そのため、優勝回数で上回る星野一義の頭上に王座が輝くことに。
逆に言えば、彼の今シーズンがそれだけ安定していたということだ。予選は第8戦富士(22位)を除くとすべてシングルで、最悪でも7位。しかも、ポールポジションが4回もある。
決勝は完走が8回、ポイント獲得が7回。唯一のリタイアも第3戦美祢で、ハインツ・ハラルド・フレンツェンに弾き出されてしまったもの。
彼のすごいところは、シリーズの戦い方をすっかりマスターしてしまったのに速さも十分に兼ね備えているところだ。
見た目の派手さはそれほどでもないのだが、その走りは迫力十分。F1日本グランプリでも十二分のパフォーマンスを見せ、全日本F3000のレベルの高さも実証して見せた。来年も最右翼だ。
RESULT 1鈴鹿4/3、2富士4/3、3美祢1/R、4鈴鹿1/1、6菅生1/15、7富士4/、8富士22/6、9鈴鹿7/2、10富士1/2、11鈴鹿6/4、PP4、FL2
14影山正彦(レイナード93D/無限/BS、NAKAJIMA PLANNING)
シリーズ10位(7ポイント)
影山正彦は、久しぶりに速かった中嶋企画のドライバー。シーズン序盤からその片鱗を見せていたが、第6戦菅生でトップのマルコ・アピチェッラを猛追しての2位は観客を大いに湧かせたものだった。
予選は中団ということが多かったが、決勝では毎回素晴らしい追い上げを見せ、ファステストラップも2度記録している。
彼のレイナード93Dはタンクが軽くなってくるとバランスが良くなるようで、それがそうした結果に結びついている。
やはり、1年間F3000を休み、日産の契約ドライバーとして経験を積んだのが大きかった。
グループCでは長谷見昌弘と、グループAでは星野一義と組んだのも貴重な時間だった。鈴木利男もこれを機に飛躍しており、才能のあるドライバーにはこうしたことも重要かもしれない。
今後の課題としてはやはり、予選順位を上げること。決勝レースで中団の混戦でトラブルに巻き込まれることも多く、それがなければ結果は残せる。
RESULT 1鈴鹿13/12、2富士14/8、3美祢15/6、4鈴鹿13/R、6菅生7/2、7富士9/、8富士18/8、9鈴鹿10/R、10富士17/R、11鈴鹿18/11、PP0、FL2
15檜井保孝(レイナード93D/無限/BS、NAKAJIMA PLANNING)
シリーズ-位(0ポイント)
檜井保孝も、今シーズン、F3からステップアップしたひとり。彼にとっても、F3000の壁は厚かったようだ。
予選は第6戦菅生(14位)を除くと最高が第7戦富士の18位、決勝は第3戦美祢(10位)を除くと最高が第9戦鈴鹿の13位と振るわなかった。今年は勉強の年とも言えるが、もう少しアグレッシブさがほしかったのも事実。
とはいえ、年1回だけのコースではいいところも見せた。雨の第3戦美祢で完走車中最下位ながら10位、第6戦菅生で予選14位は評価できる。
富士や鈴鹿のようなコースではベテラン、中堅勢には及ばないものの、ほぼイコールコンディションとなる美祢、菅生で結果を残せたところに光明が見える。
走りにこれといったインパクトや元気さが見られなかったのは残念だが、同じマシンの影山正彦が見せたパフォーマンスをバネに来シーズンの飛躍を期待したいところだ。楽なシーズンにはならないだろうが、やるしかない。
RESULT 1鈴鹿23/R、2富士23/14、3美祢20/10、4鈴鹿20/R、6菅生14/R、7富士18/、8富士20/14、9鈴鹿21/13、10富士20/15、11鈴鹿22/R、PP0、FL0
16和田久(ローラT93-50/無限/BS、CAPCOM RACING TEAM Hagiwara Racing)
シリーズ-位(0ポイント)
和田久の今シーズンは、最初から最後までアクシデントに泣かされ続けた。
他車と絡んでリタイアとなるか、マシントラブルが出るレースがほとんどというありさま。昨シーズンは完走9回という高い完走率を誇るだけに、決して彼の責任ではあるまい。
その証拠に予選では時折速さを見せており、特に第7戦富士で6位となったレースが決勝は中止になったのが残念だった。
彼もシーズン当初から、93ローラを使っているという事実も見逃せない。これが最後まで調子の上がらなかった要素のひとつではある。
彼は極めてオーソドックスな走りをするだけに、とてつもない速さというのはないかもしれないが、マシンさえ良ければそれなりのレースはするはず。
F3000へのステップアップは服部尚貴と同じ1991年で、レギュラードライバーのひとりとしてそろそろ昨年第2戦の5位以上の成績を残したいところ。荒れるレースになれば出番はあるはずだ。
RESULT 1鈴鹿17/R、2富士13/R、3美祢18/R、4鈴鹿22/R、6菅生12/R、7富士6/、8富士19/13、9鈴鹿16/19、10富士15/R、11鈴鹿17/10、PP0、FL0
17和田孝夫(1-4戦ローラT92-50/無限/YH、6-7戦:ローラT93-50/無限/YH、SUPER EVOLUTION RACING TEAM)
シリーズ-位(0ポイント)
和田孝夫は、最も不幸なシーズンを送ったドライバーだと言えるだろう。
昨年は日本石油というビッグスポンサーを得ながら、マシンの選定でつまづき(走らないラルトRT24)、レイナード92Dに変えてからも波に乗れずじまいだった。
その不振を、そのままシーズンに持ち込んでしまった感がある。少しずつ上向きつつあったものの、92ローラは疲弊してしまい93ローラにスイッチ。
その93ローラが周知のようにひどいマシンで、資金力に乏しいチームは何らモディファイもしないままでずっと走らせていた。
これではいかな彼を持ってしても、まともに走れるわけがない。”炎の追い上げ”などは、望むべくもなかったのである。
唯一の勲章は、ただひとりの全戦完走ぐらいか。彼の目もシーズン中から、既に来シーズンに向けられており、チーム次第ではいきなりトップグループで走れるはずだ。再び彼の他を超越した走りを見てみたいものだ。
RESULT 1鈴鹿22/15、2富士18/12、3美祢14/8、4鈴鹿24/14、6菅生23/12、7富士16/、8富士欠/、9鈴鹿欠/、10富士欠/、11鈴鹿欠/、PP0、FL0
17アンソニー・リード(ローラT93-50/無限/YH、SUPER EVOLUTION RACING TEAM)
シリーズ-位(0ポイント)
アンソニー・リードは、和田孝夫に替わって第8戦富士から登場。しかしながら、前述の通りこの93ローラはとんでもなく走らないマシンだった。
昨年のF3チャンピオンで、スポンサー次第で今シーズンからF3000に乗れていた彼だけに、実力的には申し分ない。実際、今シーズンのF3でも、ダラーラにマシンを変えてからは、完全にトップランナーとなっている。
やはり、結果は予想通りで、予選は最初の3戦が20番台、雨の最終戦鈴鹿のみタイミングをうまく計って12番手だったが、これとて晴天では出せなかったポジションだろう。
決勝でも散々で、完走したのは第9戦鈴鹿の14位だけだった。これでは待望のF3000参戦というよりは、単に走っただけという表現の方がピッタリ当てはまる。
来シーズンどうなるかは分からないが、いつまでもF3ボーイズたちの頭を押さえていないで、早く真のF3000ドライバーになってほしいものだ。
RESULT 1鈴鹿欠/、2富士欠/、3美祢欠/、4鈴鹿欠/、6菅生欠/、7富士欠/、8富士21/R、9鈴鹿22/14、10富士22/R、11鈴鹿12/R、PP0、FL0
19星野一義(ローラT92-50/DFV/BS、NISSEKI INPUL RACING TEAM)
シリーズ1位(32ポイント)
星野一義は今シーズン、苦難の末に見事シリーズチャンピオンに輝いた。昨シーズン、不振を極めただけに、今シーズンは最高の体制で望んだのが功を奏したのだ。
第4戦までで21ポイントを獲得した時には、このまま独走でチャンピオンを獲得するのではと思われたが、それ以後がまさに苦難の道のりだった。
特に、第6戦菅生や第8戦富士では自らの焦りから、レースをフイにしてしまっている。
この間、エディー・アーバイン、ロス・チーバー、マルコ・アピチェッラ、鈴木利男とライバルが着実にポイントを伸ばし、シリーズ争いも激化する。
彼は第9戦鈴鹿で守りのレースに入った反省から、第10戦富士では気力だけで勝利を呼び込んだ。このレースに彼の真骨頂を見た気がする。やはり、シリーズ制覇に燃える男の執念はすさまじかった。
納得のいかないチャンピオン決定で彼の引退が1年延びたのは、レース界にとっても喜ばしいことだ。
RESULT 1鈴鹿3/2、2富士3/1、3美祢10/R、4鈴鹿2/2、6菅生5/R、7富士19/、8富士11/R、9鈴鹿6/5、10富士3/1、11鈴鹿11/R、PP0、FL0
20アンドリュー・ギルバート・スコット(ローラT92-50/無限/BS、ステラインターナショナル)
シリーズ7位(10ポイント)
アンドリュー・ギルバート・スコットも、日本のレースは長い。全日本F3000に初参戦したのは1989年だから、もう5年になる。
そして、彼の最大の魅力は、堅実だということだ。予選ではシングルが7回あり、最悪でも13位というのは全ドライバー中で最もいい。
しかも、ブロックがうまいから、彼をいったん前にやると抜くのが難しい。もっとも、今シーズンの彼はレース後半の追いこみに際立ったものを見せており、それほどブロックする必要はなかったが・・・。
後半に強いというのは、タイヤをいたわった走りができるということで、これはレースキャリアがなせる業でもある。
昨シーズンはローランド・ラッツェンバーガーのNo.2という位置づけだったが、今シーズンは93ローラが不調でしばしば彼の前を走ることになった。
最終戦でようやく表彰台を得たが、あとは真ん中に立つだけ。不可解なペナルティ(第6菅生)も忘れ、頑張ってほしい。
RESULT 1鈴鹿7/5、2富士7/6、3美祢7/R、4鈴鹿8/4、6菅生11/8、7富士5/、8富士13/R、9鈴鹿12/R、10富士6/9、11鈴鹿4/3、PP0、FL0
21ローランド・ラッツェンバーガー(ローラT93-50/無限/BS、ステラインターナショナル)
シリーズ11位(6ポイント)
ローランド・ラッツェンバーガーも、93ローラの犠牲者のひとりだった。今シーズンはグループAを休んでまでF3000のタイトル1本に賭けたのに、いきなり出鼻をくじかれてしまった格好だ。
シリーズ前半戦は第4戦鈴鹿でこそ、予選16位から好スタートを決めて6位に入賞しているが、彼本来の実力からすればこれとて不満の残るもの。なにしろ昨年は、ポールポジション2回、優勝1回という成績なのだから。
マシンのモディファイが進んだ後半戦も、予選3位が2回あるものの、成績に結びついたのは第8戦富士の3位表彰台だけ。
全く不満だらけのシーズンで、ステラインターナショナルのファーストドライバーとして得た93ローラがあだ花になってしまった。
これといった見せ場もなく終わってしまった今シーズンだが、来シーズンは再びアンドリュー・ギルバート・スコットとともに、ステラの2台で編隊走行を見せてくれるのだろうか。
RESULT 1鈴鹿15/R、2富士16/10、3美祢5/R、4鈴鹿16/6、6菅生9/R、7富士12/、8富士3/3、9鈴鹿11/6、10富士19/14、11鈴鹿3/7、PP0、FL0
25ロス・チーバー(レイナード93D/無限/BS、プロミス&レイナード)
シリーズ3位(31ポイント)
ロス・チーバーは、またしてもシリーズチャンピオンを獲得できなかった。これで、何年惜しいところでチャンピオンを逃がしているだろうか。
今シーズンの彼は、例年にも増して波が激しかった。これがなければタイトルを手中にしているのだろうが、これもまた彼のいいところではある。
今年も開幕戦の鈴鹿を制し、チャンピオン候補最右翼と騒がれながら夏場までメリハリのないレースが続いた。
かと思えば、第9戦鈴鹿でいきなりポール・ツー・フィニッシュをやってのける。特に、鈴鹿で彼がポールポジションを獲得した時の作戦は、みんなに知れ渡っている。
つまり、ハードタイヤをチョイスし、リアウイングはいっぱい寝かせて、コーナーでは後続を抑え、ストレートエンドでのオーバーテイクを許さないというもの。
ところが、最終戦鈴鹿でこの作戦をついたトーマス・ダニエルソンに見事にやられてしまう。来シーズンも、一発屋は健在か?
RESULT 1鈴鹿2/1、2富士12/R、3美祢6/4、4鈴鹿12/9、6菅生4/3、7富士3/、8富士25/12、9鈴鹿1/1、10富士4/7、11鈴鹿1/2、PP2、FL0
26石川朗(レイナード93D/無限/BS、CAPCOM RACING TEAM Le Mans)
シリーズ-位(0ポイント)
石川朗も今シーズン、F3からステップアップしたひとりだ。彼の場合も当然のように壁にぶち当たるのだが、彼だけは予選で光るところを見せたり、ルーキーらしいさまざまなアプローチを試みていた。
例えば、鈴鹿の1コーナーの進入。他のドライバーがそれまでに5速から4速にシフトダウンしているのに対し、彼はF3よろしく5速のまま1コーナーに進入し、1-2コーナーの中間で立て続けに5→4→3とシフトダウンしている。
また、鈴鹿や富士などのヘアピンへの進入でも、ハインツ・ハラルド・フレンツェンやトーマス・ダニエルソンのように、クルマの姿勢を一気に変えていた。
そうした努力が報いられた時にはいい結果を生んでおり、予選で第2戦富士10位、第4戦鈴鹿9位、第8戦富士14位などとしている。
さすがに決勝では格の違いを見せつけられるが、来シーズンはこのチャレンジが花開くことを祈りたい。注目したいドライバーだ。
RESULT 1鈴鹿21/16、2富士10/15、3美祢24/R、4鈴鹿9/7、6菅生22/R、7富士23/、8富士14/10、9鈴鹿18/12、10富士21/16、11鈴鹿21/R、PP0、FL0
28パウロ・カーカッシ(レイナード93D/無限/DL、NAVICONNECTION RACING)
シリーズ14位(4ポイント)
パウロ・カーカッシも、全日本F3000にステップアップして3年目になる。一昨年の全日本F3チャンピオンであり、昨年のウイナーのひとりである。それにしては今シーズンの成績は、やや寂しいものがあった。
予選はシングルが4回あり、フリー走行では常に上位に顔を連ねるし、決勝も後方から追い込んでくるので、同じレイナード93Dの景山正彦同様、タンクが軽い状態だといい走りができるのであろう。
だから、彼のレースは見ているものにとってはなかなか面白い。完走も8回あり、この辺はF3チャンピオンの面目躍如たるところだ。
それだけに上位がつぶれる展開になると、必ずポイント圏内に顔を出してくる。特に、最終戦鈴鹿のすさまじい追い上げと、タイヤがタレてからの後続のブロックは見物だった。
彼は全日本F3000においてはあと一息足りないだけに、来シーズンも残れるか疑問だが、荒れるレースには強いだろう。
RESULT 1鈴鹿18/R、2富士9/R、3美祢16/3、4鈴鹿17/7、6菅生17/13、7富士20/、8富士4/7、9鈴鹿15/7、10富士9/10、11鈴鹿7/13、PP0、FL0
30野田英樹(レイナード93D/DFV/BS、TOM’S)
シリーズ-位(0ポイント)
野田英樹は、全日本F3000残り2戦のみ、特別に参戦することになった。これは国際F3000が早めに終了したためで、ファンにとってはそのレース内容が注目された。
もっとも、日本をF3000で走るのは初めてで、富士は1991年のインターF3以来、鈴鹿は1989年以来とあって、このハイレベルの中で好成績を望むのはいささか酷でもある。
案の定、第10戦富士は雨の予選で23位と振るわない。ところがフリー走行(8位)で好感触を得た彼は決勝に入ると次々と前車をパス、いったんは9位にまでマシンを押し上げる。
その後、ブレーキトラブルが出てスピンしてしまうが、セカンドファステストラップを記録する。ファステストラップは、途中、タイヤ交換したハインツ・ハラルド・フレンツェンだけに、実質トップといっていいもの。
最終戦鈴鹿はセッティングの決まらない自車で臨み散々だった。来シーズンこそ国際F3000で輝いてほしいものだ。
RESULT 1鈴鹿欠/、2富士欠/、3美祢欠/、4鈴鹿欠/、6菅生欠/、7富士欠/、8富士欠/、9鈴鹿欠/、10富士23/19、11鈴鹿24/R、PP0、FL0
33清水正智(レイナード92D/無限/DL、トライデントレーシングチーム)
シリーズ-位(0ポイント)
清水正智は今シーズン、全日本F3000にカムバックした。彼は日本のレースシーンとともに歩んできた男だが、さすがに現在の全日本F3000のレベルは高くて、いいところは見せられなかった。
参戦したのも富士の4戦のみで、マシンも1年落ちのレイナード92D、これでは致し方ないか。予選はいずれもテールエンドで、決勝も完走したのは第2戦の19位だけ。やや苦い復帰となった。
彼は星野一義と同世代で、全日本F3000が始まった1987年から参戦している。当時の顔ぶれで今も走っているのは星野一義、関谷正徳、高橋国光、鈴木利男、和田孝夫ぐらいで、ロス・チーバー、中谷明彦、影山正彦らはまだ全日本F3で走っていたのだから重みも感じようというもの。
トライデントのスポンサードも、15年以上の長きにわたって続いている。来シーズンもこういった経済状況の折、エントリー台数は増えないだろうから、先生の参戦を待ちたい。
RESULT 1鈴鹿欠/、2富士26/19、3美祢欠/、4鈴鹿欠/、6菅生欠/、7富士24/、8富士23/R、9鈴鹿欠/、10富士25/R、11鈴鹿欠/、PP0、FL0
36関谷正徳(レイナード93D/DFV/BS、TOM’S)
シリーズ16位(3ポイント)
関谷正徳は、よくよくツキのない男だと思う。過去にこの全日本F3000で優勝を逃がしたことは幾度となくあり、今シーズンもいいレースをしながら落とすことが何度かあった。
開幕戦の鈴鹿でもオーバーテイクの難しいコースにあって、予選9位からどんどんポジションアップしながら右足ふくらはぎの筋肉が痙攣して後退してしまう。この時にはレイナード93D+DFV+BSが今シーズンの最高のパッケージングだと言われたもの。
第4戦鈴鹿でも予選6位からハードプッシュしたのは良かったがシケインでスピン、第9戦鈴鹿でも6番手を走りながら最後にスピン、最終戦鈴鹿でもハインツ・ハラルド・フレンツェンに押し出されコースアウトと、鈴鹿はまさに鬼門だった。
第8戦富士で唯一4位に入賞しており、これで救われた感じ。速さという点では今なおトップクラスのものを持っており、来シーズンこそはF3000初勝利を期待したいもの。
RESULT 1鈴鹿9/10、2富士15/7、3美祢欠/、4鈴鹿6/R、6菅生13/R、7富士17/、8富士5/4、9鈴鹿4/18、10富士欠/、11鈴鹿5/R、PP0、FL0
37ミカ・サロ(ローラT93-50/無限/YH、株式会社アドレーシング)
シリーズ17位(1ポイント)
ミカ・サロは速いはずなのだが、なかなか結果に結びつかない。1990年のイギリスF3でミカ・ハッキネンと壮絶なチャンピオンシップ争いを演じて、惜しくも2位。
同年のマカオグランプリでは、ミハエル・シューマッハの2位になっているのだ。この結果を考えれば、もっと走ってもいいはず。
ところが、予選も第6戦菅生で10位、第8戦富士で7位のほかは下位に低迷している。
その菅生で今シーズン初の6位に入賞しだが、富士ではフリー走行でロス・チーバーの流したオイルに乗ってクラッシュして決勝は走れなかった。結局、菅生の1ポイントだけで終わり、またしても不本意なシーズンとなってしまった。
ヨコハマタイヤの熟成不足や、その他の要因もあるかもしれないが、これで終わる人だとも考えられない。
来シーズンこそは好成績を残して、全日本F3000の卒業生として早くF1へと巣立ってもらいたい。彼はそれだけの可能性を秘めた男だと思う。
RESULT 1鈴鹿19/13、2富士21/9、3美祢23/7、4鈴鹿18/R、6菅生10/6、7富士21/、8富士7/R、9鈴鹿17/17、10富士23/19、11鈴鹿16/R、PP0、FL0
38田中実(ローラT92-50/無限/YH、株式会社アドレーシング)
シリーズ-位(0ポイント)
田中実が今シーズン残り2戦にして、ようやく全日本F3000に帰ってきた。野田英樹もこの2戦のみのエントリーで、期せずしてイギリスF3でともに戦ったふたりが顔を合わせることになった。
本来は彼も国際F3000にステップアップしたかったのだが、金銭的な事情やシートの問題から全日本F3000に戦いの場を移していたのだ。
昨年までの彼は随所でヨーロッパ仕込みらしいキレのいい走りを見せていたが、さすがに今回の参戦ではそういった走りはかなわなかったようだ。
予選は24位と19位で、決勝もたんたんと走って17位と12位。決勝で雨でも降って荒れたレースになっていればまた違ったところを見せられたかもしれないが、あいにくそうした展開にはならなかった。
まだまだ老け込む年でもないし、来シーズン、シートが得られて1年を通して参戦できれば、それなりの結果は残せるのではないだろうか。F1をまた近づけてほしいもの。
RESULT 1鈴鹿欠/、2富士欠/、3美祢欠/、4鈴鹿欠/、6菅生欠/、7富士欠/、8富士欠/、9鈴鹿欠/、10富士24/17、11鈴鹿19/12、PP0、FL0
61トーマス・ダニエルソン(ローラT92-50/DFV/DL、TEAM TAKE ONE)
シリーズ6位(19ポイント)
トーマス・ダニエルソンは、最終戦の鈴鹿で全日本F3000参戦4年目にして初勝利を飾った。ここまで来るのは長い道のりだったに違いない。
もとより国際F3000で上位を争っていたドライバーで、この優勝は遅すぎたものとも言えよう。
また、日本で4年も走っていながら、これほどヨーロッパ流の激しい走りをするドライバーも珍しい。その走りのせいもあってか、成績にも大きな波がある。
予選も2位から18位までバランス良くちりばめられており、決勝の成績にもばらつきが見られる。もっとも、第10戦富士の3位あたりから、マシンは決まってきていたようだ。
特に、最終戦鈴鹿は予選2位からチーバーの作戦を読んでソフトタイヤを選択し、序盤でトップに立つとそのまま一人旅。全く危なげのないレースを展開した。
星野一義のチャンピオン獲得に貢献した、陰の主役のひとりだ。来シーズンも波のある、大味なシリーズになることだろう。
RESULT 1鈴鹿14/9、2富士11/5、3美祢11/R、4鈴鹿5/3、6菅生18/9、7富士8/、8富士17/R、9鈴鹿14/16、10富士8/3、11鈴鹿2/1、PP0、FL0
77鈴木利男(ローラT93-50/DFV/BS、ユニバーサル レーシングチーム)
シリーズ5位(22ポイント)
鈴木利男が昨シーズン、チャンピオンを獲れなかったのは、ひとえに前半戦のノーポイントが響いていたためだった。そうした反省もあって、今シーズンは序盤からポイント獲得に動く。
苦手の第1戦鈴鹿で1ポイント、第2戦富士もミッショントラブルに苦しみながらも3ポイントをゲットした。しかし、その後2戦がいけなかった。
いずれも自爆と言えるスピンで、勝てるレースを落としてしまったからだ。結果としては、これが後々まで尾を引くことになる。
やはり、序盤はじっくり見て、中盤から追撃を開始するのが彼のスタイルなのだ。第8戦富士の快勝はまさに絵に描いたような利男パターンで、第3戦美祢、第4戦鈴鹿でも、このようなレースをしていればと悔やまれる。
終盤戦はF1を横目で睨みながらの参戦で、今ひとつの内容だった。「後ろにつかれるのが1番嫌なドライバー」(エディー・アーバイン)の3度目の正直を信じたい。
RESULT 1鈴鹿6/6、2富士2/4、3美祢2/R、4鈴鹿7/R、6菅生15/4、7富士7/、8富士8/1、9鈴鹿3/3、10富士16/5、11鈴鹿26/R、PP0、FL0
88エマニュエル・ナスペッティ(ドームF103i/無限/DL、株式会社 童夢)
シリーズ-位(0ポイント)
エマニュエル・ナスペッティは、昨年のF1ドライバーとして全日本F3000に登場した。
松本恵二が現役を引退し監督に就任したことにより空いたドームのシートに収まるためで、F1ではこれといった成績を残せなかったものの、それなりに注目されていたのは確かだった。
ところが、いざフタを開けてみると全くそれらしい走りを見ることができない。
同僚のマルコ・アピチェッラも遅いのならともかく、開幕戦の鈴鹿で彼がポールポジションを獲る一方で、こちらは予選16位、決勝も後方に沈んだままである。続く第2戦富士も予選22位から、決勝もポジションキープの16位。
ならば雨の第3戦美祢で速いかというと予選21位から、決勝はスピンしてリタイア。第4戦鈴鹿を最後に、日本を去ってしまった。
クルマが良くなかったのかという気もするが、それにしてもひどい成績だった。F1ではせいぜい、いい思いをできるように祈るばかりだ。
RESULT 1鈴鹿16/17、2富士22/16、3美祢21/R、4鈴鹿15/R、6菅生欠/、7富士欠/、8富士欠/、9鈴鹿欠/、10富士欠/、11鈴鹿欠/、PP0、FL0
88中谷明彦(ドームF103i/無限/DL、株式会社 童夢)
シリーズ-位(0ポイント)
中谷明彦がブラバムと契約し、F1のレギュラードライバーになる寸前だったのも随分過去の話のような気がする。昨年始めのこの騒動を境に、全日本F3000でもすっかりペースを崩してしまった。
今シーズンの開幕戦はレギュラーシートがなく、第2戦鈴鹿からジャッドエンジンで参戦するが、このエンジンではポイント圏内などうかがいようもなかった。
後半戦からエマニュエル・ナスペッティに替わってドームのシートを得るがこのマシンはツキがないのか彼本来のレースを見せることがなかなかかなわない。
第7戦富士は予選11位ながら決勝は中止、第8戦富士は予選12位もスタート直後に星野一義に追突され、第10戦富士は予選5位という絶好のポジションを得ながらエンジンストールで最後方からのスタート。
完走した鈴鹿2戦も、覇気の感じられないレースに終始する。実力はF1級のはず、来シーズンこそピリッとしたレースが見たい。
RESULT 1鈴鹿欠/、2富士24/17、3美祢19/R、4鈴鹿11/10、6菅生21/11、7富士11/、8富士12/R、9鈴鹿23/15、10富士5/R、11鈴鹿10/14、PP0、FL0
98服部尚貴(ローラT92-50/無限/BS、LE GARAGE COX RACING TEAM+MOON CRAFT)
シリーズ14位(4ポイント)
服部尚貴も、期待を大きく裏切ったひとりだ。昨年終盤戦の猛ラッシュ、それて、今シーズンも第1戦鈴鹿、第2戦富士のレース内容からポイントを積み重ねていけるものと思われたが、中盤戦でふがいないレースが続いてしまう。
立ち直りの気配を見せたのが、夏から秋へかけての2戦。ようやく第8戦富士で予選16位から素晴らしい追い上げを見せて2ポイントを獲得すると、続く第9戦鈴鹿でもフロントロウからロス・チーバーの2番手をキープし、結果こそ20位だったものの復活ぶりをアピールしたのだ。
ところが、その後の2戦は再び凡走を繰り返してしまう。結局、彼らしい見せ場もほとんどないままにシーズンを終えてしまった。
彼が若手No.1ドライバーであることは、エディー・アーバインをはじめ誰しもが認めるところ。物怖じしない性格もF1向きで、早く全日本F3000のチャンピオンを獲って、F1へと駒を進めてほしいものだ。
RESULT 1鈴鹿10/8、2富士8/R、3美祢12/5、4鈴鹿19/11、6菅生20/7、7富士14/、8富士16/5、9鈴鹿2/20、10富士14/11、11鈴鹿15/8、PP0、FL0

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