懸垂マシン「Marcy Power Tower TC-3508」レビュー

私は、家庭用トレーニングマシンをあれこれと買っていて、懸垂マシンの購入もずっと検討中でした。特に、筋力トレーニング系のフィットネスDVDセット「BODY BEAST」と「P90X PLUS」では、懸垂マシンを使った種目があり、トレーニングチューブの代用では物足りなく感じていたこともありました。そのため、以下のような希望に沿って懸垂マシンを探していました。

・送料込みで1万円前後。
・チンニング、ディップス、レッグレイズ、がやりやすい(プッシュアップは不要)。
・リビングに置きやすい大きさ、移動しやすい重量。
・リビングに溶け込み存在感を主張しすぎないホワイトカラー。

100時間以上はインターネットで調べて、候補としては、WASAIの「MK518」と「BS30」と「BS50」、YouTenの「YT-BLS01」、リーディングエッジの「LE-VKR02」が残りました。しかし、候補機種は、どれも一長一短があり購入を躊躇していました。
その中では、改良強化版の「MK518」が有力候補だったものの、ホワイトカラーがないこと、土台が大きすぎること(730mm×900mm)、がネックになっていました。

そんな状態が3ヵ月ほどは続いていたのですが、コストコの2018年10月11日のメールで懸垂マシン「IMPEX MARCY パワータワー 耐荷重量 約136kg」が紹介されていて、かなり興味をそそられました。
写真を見ると、トライアンギュラーベースフレームが支柱1本でディップハンドルとプルアップハンドルを支える構造で、一般的なコの字型の懸垂マシンよりも場所を取らなさそうで存在感もなさそうな感じでした。
説明文にも、「懸垂、ディップス、レッグレイズ、腕立て、腹筋などバリエーション豊富なトレーニングができるパワータワーです。アームは折り畳み可能で、部屋のコーナーにも置ける設計となっています」と書かれています。
ディップハンドルが付いた懸垂マシンは、それが邪魔だったり、より存在感を主張したりするのですが、そのアームが折り畳めるというのも好感が持てました。高さも87インチ(221cm)なら、部屋の天井高が240cmなので、懸垂も問題なくできます。
そこで、Amazon.comで調べてみると、公式サイトの$195.99とほぼ同じ価格で売られていて、30件ほどのレビューもおおむね好評。公式サイトの紹介ビデオを見ても、なかなか良さそうな感じでした。それが、日本のコストコなら1万6980円なのですから、色が黒しかないものの、内容も含めて考えると十分にお買い得です。

そこで、なくならないうちにと15日にコストコ川崎に出かけたところ、見本が1台と箱に梱包されたものが2台ありました。見本は下から見上げるような場所に他のトレーニングマシンとともに展示されていたため、想像したよりも大きく感じました。
箱も、思ったよりも大きく見え、端を持ったところ少し重く、スポーツカーの荷台で運ぶにはちょっと大変そうです。配送料を聞くと、ヤマト運輸の玄関渡しで2160円ということだったため、配送をお願いすることにしました。
日程的には、15日の午前中に配送依頼して、16日に発送され、18日に到着しました。開梱する前に調べてみると、梱包重量は39.6kg、梱包サイズは長さ116cm×幅44cm×奥行き23cm、となりました。公式サイトで重量は85lb(38.5kg)と出ていたので、梱包材を含めて39.6kgなら妥当です。
各パーツは、形に合わせた発泡スチロールに収められてはいないものの、パーツごとにビニール袋にきれいに入れられ、ボルトやワッシャーも厚紙にビニールで固定されて型番とサイズが明記されています。
また、パーツ同士が輸送や移送中にぶつからないように、ところどころに発泡スチロールや段ボール板がはさまれており、箱も壊れないように角などの弱いところは板や段ボールで補強されていて、こうした過不足ない梱包は好感が持てました。

実際、すべてのパーツは大きな傷やへこみ、塗装の剥がれもなく、この手の組み立て式トレーニングマシンとしては十分にきれいな状態でした。手で握る場所は、最初からグリップがはめられている点も好感が持てます。
ただし、最初に組み立てる支柱の足がブリッジ上に二股に分かれているところと、トライアンギュラーベースフレームの先2ヵ所、合計4ヵ所の床に設置するところは、スチールがむき出しのままになっています。
コストコで見本を見た際にそうした部分があるのは分かっていたので、事前にホームセンターで3mm厚のわずかに弾力があるゴム板を買っておきました。そして、組み立てる前にその形に合わせて切り取り、両面テープで貼りました。
ところが、いざ床の上に置いてみたところ、支柱の足のブリッジの溶接が下手で少しガタガタします。“懸垂マシンあるある”が見た目はほぼ完璧と思われたこれにもあったわけですが、ゴム板を貼った状態で上に立ってみたところ、ゴム板がうまい具合にへこんでガタガタしなくなりました。これなら安心です。

組み立ては、分かりやすい説明書が英語の原版に加えて、コストコで翻訳した日本語版も添えられており、手順通りに組み立てていけば、特に悩むこともありません。工具は、六角レンチが3種類入れられており、あらかじめ17mmと19mm(18mm?)のスパナやレンチを用意しておけば十分です。
下から順番に組み立てていくわけですが、パーツがうまくはまらないなどの問題点もなく、特に困ったり時間を要したりしたところもありません。基本的には、最初から最後まで1人で組み立てることができます。
ただし、ディップハンドルは、左右を同時に支柱にボルト止めしなければならず、片方をはめて肩の上で固定しながら、もう片方をはめる必要があるため、2人いれば楽に組み立てられると思います。
また、プルアップハンドルは、221cm近い高さに最終段階でボルト止めするため、脚立など高いところに上がって作業できるものがないと無理です。普通の踏み台程度だと、少し低いかもしれません。
最終的な組み立て時間は、最初のゴム板のカットや、パーツが入れられたビニールからテープを剥がしてごみをまとめるなどしながら作業したため、4時間ほどかかりました。単純に説明書通りに組み立てていくだけなら、3時間ほどでできるのではないかと思います。

いざ組み上がってみると、事前に想像していたよりも存在感があります。支柱1本で支えるタイプで強度を出すために支柱自体が四角くて太く、バックパッドが大きく、ディップハンドルとパッドが大きいからです。
また、トライアンギュラーベースフレームが、バランスをとるために、思ったよりも長くて1mぐらいあり、角度が90度ではなく80度ぐらいと直角ではなく、これも存在感があります。
さらに、「部屋のコーナーにも置ける設計」なのですが、支柱の後ろ側もバランスをとるためか大きくせり出しており、プルアップハンドルもそれなりに出っ張るため、部屋のコーナーにピッタリと置くことができません。
加えて、ディップハンドルが上に折り畳めるようになっているため、折り畳んだ際のスペースを確保する必要もあります。そんなわけで、実際には、部屋のコーナーに置いたとしても、左右の脚は壁から30~40cmは離さなければなりません。
それでも、脚が80度ぐらいは開いていて、ディップハンドルが折り畳めるため、一般的なコの字型の懸垂マシンよりも場所はとらないでしょう。脚の裏に奥行き30cmぐらいのシェルフなどを置くこともできるので、工夫次第では確かに邪魔にならないはずです。

私は、プッシュアップハンドルを取り付けると、せっかくの空間を埋めて邪魔になってしまうし、プッシュアップバーも持っているため、これは取り付けないことにしました。
また、その取り付け穴2ヵ所がぽっかりと開いたままになってしまうので、スピンバイク使用時の汗対策として100円ショップで買って未使用の予備のリストバンドを装着したのですが、太さも幅もピッタリでうまい具合に穴が塞がりました。
実際の使用感ですが、すべてが高い位置にあるため、何をやろうが足が床に着くことはありません。逆に、何をやるためにも、公式サイトの動画にもあるように、シットアップフォームパッドを足場として使いますが、そのバーが固定できずに回るので注意が必要です。
公式サイトの動画では、懸垂、ディップス、レッグレイズは支柱を背にしてやっていますが、懸垂は支柱に向かってやることも可能です。ワイド・ニュートラル・パラレル、オーバーハンド・アンダーハンドも問題なくできます。ナローは、バックパッドが腹部にあたるのでやりづらく、ぶら下がり用と考えてもいいでしょう。

ただ、パラレルとナローは、ここだけグリップが巻かれておらず手が痛くなるので、100円ショップで「スベリ止めシート」を買ってきて巻きつけました。支柱の脇が幅7cm×長さ75cm巻き、斜めのところが幅11cm×長さ75cm巻き。これで、手が痛くなくなりました。
ディップスは、ディップハンドルの先端で行うため、支柱を背にシットアップフォームパッドの上に立ち、ディップハンドルの先端を持ち、斜め前にジャンプして伸び上がるような感じでスタートポジションをとります。
先端で宙に浮いた状態で上下に動くので、腕が限界に近づいてくると特に、本体が少し揺れます。また、ディップスを終える時は、シットアップフォームパッドの上に戻るのは難しく、前方に飛び下りようにします。
レッグレイズは、支柱を背にシットアップフォームパッドの上に立ち、ディップハンドルの垂直のハンドルを持ってパッドに腕を置きます。バックパッドとディップハンドルのパッドと垂直のハンドルの場所が絶妙で、レッグレイズもやりやすく、下りるのも楽です。

マンションの場合は余計なところに鉄骨が出っ張っていて、支柱が高さを調節できない構造になっていることもあり、支柱とプルアップハンドルがその鉄骨にぶつかるため、前述した構造上の問題に加え、余計に部屋のコーナーに置けなくなってしまっています。
そのため、設置場所が部屋のコーナーから浮き出してしまい、思ったよりも存在感を高める結果となるのですが、裏にうまく物を置けばそれも軽減することができます。
価格も、予算からは少しオーバーすることになったのですが、候補機種のレビューにあるような、懸垂をやるとぐらつくとか、ディップスがやりづらいとかといったことはないため、高いなりの価値はあったと思います。
重量は、38.5kgと重いのですが、プッシュアップハンドルは両側で1.1kgあり、これを取り付けなかったため、37.4kgとわずかながら軽減されています。移動も、高さがあって天井にぶつかるので、あまり高くは持ち上げられないのですが、支柱をかつぐように持ってホバークラフトのような感じで動かせば、それなりに移動させることもできます。
結果的に、それぞれの動作がやりやすく、見た目も格好良く、コストパフォーマンスは高いので、買って良かったと思います。コストコの在庫はすぐになくなるかと思いますが、適当な設置場所が見つかりそうなら、いい買い物になるのではないでしょうか。

【2022年2月24日追記】

使い始めてから3年以上経ち、毎日のように使っていますが、これといって大きな問題もなく順調に使えています。
ただ、レッグレイズをやる際、脚を下ろした時にくるぶしを支柱にぶつけることがごくまれにあり、一時的にせよ痛い思いをするので、支柱下部にスポンジを貼ることにしました。
スポンジは、ホームセンターなどで売られている10cm×10cm×1cmのシールタイプのものを4枚使い、それを切って支柱下部の前面と側面に貼りつけています。
支柱前面最下部は足を置くスポンジがあるため、そこは形状に合わせて削っています。
思いのほか、うまく加工でき、最初からあったように感じるぐらい違和感もなく収まっています。
見た目も良く、くるぶしをぶつけて痛い思いをする心配もなくなったため、レッグレイズも安心して行うことができるようになりました。やって良かったです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました