「2006 FIFAワールドカップ ドイツ大会」レビュー


【GENRE】
スポーツ、サッカー

【PUB./DEV.】
エレクトロニック・アーツ/エレクトロニック・アーツ

【RELEASE DATE】
2006/4/27

【OUTLINE】
「2006 FIFAワールドカップ ドイツ大会」に完全対応したFIFA公認のサッカーゲームです。
FIFAオフィシャルライセンスをフルに活用し、ドイツ大会が行われる12のスタジアム、対戦形式カード、127ヵ国約3000人の選手が実名で登場します(一部の国と選手を除きます)。
そのうち世界的にも有名な100人を超える選手については、顔はもちろん動きまでもリアルに再現されています。
また、実況には土居壮、解説には元日本代表選手でJリーグ4チームの監督を歴任した清水秀彦を起用、前作よりもグレードアップさせています。

【GAME MODE】
本作には、以下の8つのモードがあり、試合を行うモードでは、モードに関係なく、最大4人までプレイすることができます。

プレイナウ
各国の代表チームから、好きなチームを選び、試合のルールを自由に設定し、手軽に試合が行えるモードです。
試合前、または、試合中には、ユニフォームの選択、選手の交代、システムの変更、戦術の変更(オフェンスは、カウンターアタック、ウィングプレイ、3rdマンリリース、ボックスオーバーロード、ディフェンスは、ゾーンマーク、プレスボール、オフサイドトラップ、フラットバック)、などが行えます。
試合開始前のマッチオプションでは、以下の各項目が選べます。
マッチタイプ(親善試合、FIFAWorld Cup予選、FIFA World Cupグループステージ、FIFAWorld Cupベスト16、FIFA World Cup準々決勝、FIFAWorld Cup準決勝、FIFA World Cup3位決定戦、FIFAWorld Cup決勝)。
スタジアム(38タイプ)。
時間(ハーフ、2分、4分、6分、8分、10分、45分)。
ゲームスピード(遅い、普通、速い)。
解除アイテム(パーフェクト、見えない壁、ガードなし、スローモーション、ターボモード)。
EXタイプ(なし、EXタイム& PK、PK)。
試合球(28種類)。
難易度(アマチュア、セミプロ、プロフェッショナル、ワールドクラス)。

世界127ヵ国の顔ぶれと、日本代表チームの選手は、以下の通りです。カッコ内は、平均評価です。

アフリカ
アルジェリア(60)、アンゴラ(59)、ベナン(59)、ボツワナ(61)、ブルキナ・ファソ(57)、カメルーン(70)、カーポ・ベルデ(57)、チャド(61)、コンゴ(60)、コンゴ民主共和国(57)、エジプト(58)、ガボン(59)、ガーナ(64)、ギニア(63)、コートジボワール(72)、ケニヤ(59)、リベリア(58)、リビア(60)、マラウィ(60)、マリ(63)、モロッコ(66)、ニジェール(61)、ナイジェリア(69)、ルワンダ(50)、セネガル(69)、南アフリカ(63)、スーダン(59)、トーゴ(61)、チュニジア(64)、ウガンダ(59)、ザンビア(61)、ジンバブエ(59)。

アジア
バーレーン(61)、中国(63)、香港(60)、インド(60)、イラン(60)、イラク(59)、日本(65)、北朝鮮(60)、韓国(69)、クウェート(60)、パキスタン(59)、サウジアラビア(59)、ウズベキスタン(62)、ベトナム(60)。

ヨーロッパ
アルバニア(64)、アンゴラ(52)、アルメニア(59)、オーストリア(64)、アゼルバイジャン(58)、ベラルーシ(64)、ベルギー(70)、ボスニアヘルツェゴビナ(63)、ブルガリア(66)、クロアチア(72)、キプロス(59)、チェコ(74)、デンマーク(72)、イングランド(80)、エストニア(56)、フェロー諸島(50)、フィンランド(67)、フランス(83)、グルジア(62)、ドイツ(80)、ギリシャ(72)、ハンガリー(62)、アイスランド(63)、イスラエル(67)、イタリア(82)、カザフスタン(59)、ラトビア(63)、リヒテンシュタイン(48)、リトアニア(62)、ルクセンブルグ(58)、マケドニア(60)、マルタ(60)、モルドバ(56)、オランダ(76)、北アイルランド(65)、ノルウェー(72)、ポーランド(69)、ポルトガル(75)、アイルランド(71)、ルーマニア(68)、ロシア(72)、サンマリノ(55)、スコットランド(70)、セルビアモンテネグロ(74)、スロバキア(68)、スロベニア(65)、スペイン(82)、スウェーデン(70)、スイス(72)、トルコ(71)、ウクライナ(66)、ウェールズ(67)。

北米
カナダ(63)、コスタリカ(63)、エルサルバドル(51)、グァテマラ(58)、ホンジュラス(67)、ジャマイカ(64)、メキシコ(75)、ニカラグア(50)、パナマ(67)、セントクリストファー・ネイビー(41)、セントビンセント(50)、トリニダード(61)、アメリカ(70)。

南米
アルゼンチン(79)、ボリビア(65)、ブラジル(83)、チリ(69)、コロンビア(67)、エクアドル(60)、パラグアイ(68)、ペルー(63)、ウルグァイ(72)、ベネズエラ(58)。

オセアニア
オーストラリア(67)、フィジー(59)、ニュージーランド(59)、ソロモン諸島(58)、タヒチ(58)、バヌアツ(59)。

日本代表チーム
GK: 川口能活、楢崎正剛、土肥洋一。
DF: 中澤佑二、宮本恒靖、田中誠、三都主アレサンドロ、中田浩二、坪井慶介、加地亮、茶野隆行、三浦淳宏、茂庭照幸、山田暢久、駒野友一、今野泰章、松田直樹。
MF: 中村俊輔、福西崇史、小野伸二、中田英寿、遠藤保仁、小笠原満男、藤田俊哉、本山雅志、阿部勇樹、稲本潤一。
FW: 柳沢敦、高原直泰、大久保嘉人、鈴木隆行、久保竜彦、玉田圭司、松井大輔、大黒将志、巻誠一郎。

2006 FIFA World Cup
「2006 FIFAワールドカップ ドイツ大会」を楽しめるモードです。新しく始める場合には「NEW」、続きをプレイする場合には「ロード」を選びます。次に、ゲームの設定を行います。
「モードセレクト」では、どの地域予選にチャレンジするかを選択します。FIFAワールドカップ本選を選択すると、予選をスキップして本選からプレイできます。
以下の各項目も選びます。時間(ハーフ、2分、4分、6分、8分、10分、45分)、ゲームスピード(遅い、普通、速い)、難易度(アマチュア、セミプロ、プロフェッショナル、ワールドクラス)。
使用できる国は、選択した地域予選により異なります。使用したい国を選択し、Yボタンでユーザーにします。Xボタンで国を入れ替えることも可能です。
次に、トーナメントを勝ち抜くメンバーを、スタメン11人、サブ11人、選出します。予選グループが複数ある地域では、組合せを変更することもできます。
地域予選に勝ち残ると、本選が始まります。本選では、1グループ4ヵ国ごとの8つのクループに分かれ、各グループでホーム&アウェイの2回戦総当りを行います。上位2ヵ国に入ると、最終予選を突破できます。
リーグ戦では、90分戦って決着がつかない場合には、引き分けになります。このグループで、2位までに入れば、決勝トーナメントに進むことができます。決勝トーナメントは、決着がつくまで、延長戦、PK戦を行います。

ゲームモード
「グローバルチャレンジ」(さまざまなシチュエーションにチャレンジします)、「PK戦」(キッカー5人でPK戦を行います)、「プラクティス」の3種類をプレイすることができます。
「グローバルチャレンジ」は、過去に行われた大会と予選を再現しており、世界6地域の歴史的な戦いが用意されています。カッコ内は、主たる目的です。

アフリカ
アイボリーコースティング(勝利)、コンゴのコンテスト(勝利)、ホークウインド(負けるな)、アフリカの意地(勝利)、グライダーイーグル(勝利)、注目の戦い(勝利)、ライオンズ・デン(勝利)。

アジア
極東の決着戦(勝利)、コリアンダービー(勝利)、ガルフライバル(勝利)、カルカッタの逆襲(勝利)。

ヨーロッパ
クロアチア旋風(勝利)、フランスの抵抗(勝利)、ルーマニアの宝くじ(勝利)、バモス!! エスパーニャ!(勝利)、スペインの君臨(勝利)、ローマの落日(負けるな)、イングランドの期待値(勝利)、スコットランドの勇士(3ゴール差で勝て)。

北米
オールセインツ(勝利)、ボルケーノ!!!(負けるな)、Oh! カナダ(勝利)、立ちはだかる壁(2ゴール差で勝て)。

南米
一次方程式(勝利)、ペルードロー(負けるな)、コロンビアマウンテン(勝利)、アルビローハの夜(3ゴール差で勝て)、サンバパーティー(5ゴール差で勝て)、アルゼンチンの咆哮(負けるな)、南米の巨人(勝利)。

オセアニア
ラッキー13(13ゴール差で勝て)、アイランドメンタリティー(勝利)、オージールール(7ゴール差で勝て)。

FIFA World Cup決勝
1966 FIFA World Cup決勝、1994 FIFA World Cup決勝、1986 FIFA World Cup決勝、1978 FIFA World Cup決勝、1974 FIFA World Cup決勝、1958 FIFA World Cup決勝、1998 FIFA World Cup決勝。

Xbox Live
世界中のプレイヤーを相手に、オンライン対戦することができます。「ランクマッチ」と「フレンドリーマッチ」があります。リーダーボードも見られます。

チームマネージメント
スタメンやフォーメーションの変更といったチーム編成が行えます。戦術の確認も可能です。

FIFAワールドカップオプション
ゲームの各種設定を変更できます。「EAパスポート」では、各国と対戦した結果ページと勝利時にもらえるスタンプコレクションが確認できます。「ターゲット」では、ゲームポイントを獲得できる条件が確認できます。「EA SPORTS Trax」では、ゲーム中の音楽の設定が行えます。

FIFAワールドカップエクストラ
「ストア」(ロックされたアイテムを、試合で獲得したゲームポイントを使用して解除できます)、「ヒント」(ゲームを楽しむためのアドバイスが見られます)、「クレジット」が行えます。

ロード
各モードのセーブデータをロードできます。

【ACHIEVEMENT】
シナリオを1つ完了(50): 「グローバルチャレンジ」のシナリオのどれか1つを完了します。
ホスト国に勝利(50): 「2006 FIFAワールドカップ」のホスト国であるドイツに勝利します。設定は問いません。
World Cupの予選突破(150): 「2006 FIFA World Cup」の予選を突破します。
World Cupに勝利(200): 「2006 FIFA World Cup」で優勝します。
シナリオを全て完了(500): 「グローバルチャレンジ」のシナリオをすべて完了します。

OVERALL(1000): EAらしいシンプルな実績構成というよりも、大雑把な実績構成と言った方がいいかもしれません。
「シナリオを全て完了」以外は誰でも解除することができると思いますが、「シナリオを全て完了」を解除できるのは少数だと思われます。
なぜなら、シナリオは全部で40あるのですが、中には完了するのが困難なシナリオも少なからず含まれており、すべてのシナリオを完了するのは容易ではないからです。
本来は、1シナリオにつき10Gで400G、1地域完了につき10Gで60G、「FIFA World Cup決勝」完了で40G、などとしておくべきだったと思います。ここは、500G取れれば十分でしょう。

【GRAPHICS】7
本作は、前作に当たる「FIFA 06 ロード・トゥ・FIFAワールドカップ」の発売から半年も時を経ずして、今度こそ「FIFA ワールドカップ ドイツ大会」の開催に合わせてリリースされています。
前作は、間に合わせ(?)のローンチタイトルだったとはいえ、「Xbox 360」と比べると世代的には1.5世代前とも考えられる「プレイステーション2」の、それも初期の頃のグラフィックレベルだと言っても過言ではないほどでした。
それどころか、映し出される画によっては「プレイステーション」レベルとすら言えるほどのお粗末なグラフィックだったのです。
そのため、本作は、ほんの数ヵ月の間に、そのグラフィックをどこまで向上させられるかに注目していましたが、結論から言うと、数ヵ月分の進歩はあったかなと言えます。

まず、ゲームの中で最も長時間接することになる試合中のフィールド画面ですが、これはデフォルト設定では、前作のようなタッチライン上空の少し低いところからフィールドを広く見渡した画面ではなく、より選手に近い視点になっています。そのため、プレイアビリティは低下しています。
なぜ、そのようなことをしたのか理解に苦しみますが、前作では選手が大げさに言えば米粒のようであり、画だけでそれが誰なのかを識別することはできませんでしたし、まさに米粒を動かしているかのような印象すらありました。
本作では、それらの点に配慮して、このような視点をデフォルト視点にしたのかもしれません。もっとも、設定で前作と同じ視点にも変更できるため、これは大きな問題とはならないことでしょう。
もちろん、前作同様の視点に変更しても、前作以上に、選手の立体感が増し、キャラクターアニメーションも向上しています。これは、フィールド画面での最大の変化である、画面が華やかになったこととも関係しているのかもしれません。
前作は淡い色調で画的な華やかさがなかったのですが、本作は色味が増して光源処理による陰影もくっきりして、画面に華が感じられるようになっています。カクテル光線に彩られるナイトゲームでは、それがより一層協調されています。
開発サイドで狙ったかどうかは分かりませんが、過酷な国内予選とは趣を異にする、ワールドカップ本大会ならではの華を意識させられるほどの違いがあります。

そして、何よりも大きいのが、それ以外のほとんどのグラフィックが、前作よりもはるかに向上しているということです。
プレイ中の選手がアップになった時や、リプレイ画面などは、前作では選手が画ではなく絵になっており、監督や選手の顔は絵画のようなタッチで描かれ、背景は被写界深度という言葉を通り越して不自然にぼかされ、1枚絵で描かれていました。
そのため、フィールド画面とのギャップを感じさせられたものです。ところが、本作では、選手や背景にそのような不自然さはなく、フィールド画面からこの画面に切り替わっても違和感を覚えるということがありません。
もっとも、これでようやく「Xbox 360」の水準レベルに近くなったというだけで、「Xbox 360」のスポーツゲーム中でも突出したグラフィックというわけではありません。
ちなみに、日本選手のグラフィックも、大幅に向上しています。前作は、中田英寿や中村俊輔などの欧州勢はそれとなく似ていたものの、それ以外の選手は似ても似つかないものでした。
ところが、本作では、多くの日本選手がそれなりに似ているというレベルになっています。「Xbox 360」のローンチに間に合わせた前作とは違い、本腰を入れて各国の選手をモデリングしたということでしょうか。

【SOUND】7
ドルビーデジタルです。前作は、サウンド面でも、グラフィックに負けず劣らずチープでした。
そのチープさといったら、次世代機で発売されるサッカーゲームで、ここまでひどい実況が入れられているのかと驚かされるほどのものでした。
実況アナウンサーはボキャブラリーの少なさとイントネーションの抑揚のなさが目立ち、解説のボキャブラリーの少なさも、それに輪をかけてひどいものでした。
本作では、そうした醜態を反省したのか、実況には土居壮、解説には元日本代表選手でJリーグ4チームの監督を歴任した清水秀彦を起用し、実況、解説ともに大幅なレベルアップを図っています。
実況はボキャブラリーが増して、イントネーションにも抑揚がつき、解説もサッカーを知っている人ならではの味のあるものになっています。
失笑ものの実況、解説だった前作から比べると雲泥の差があり、素晴らしいとまでは言えないものの、水準レベルに到達しているのは明らかです。

【CONTROL】5
コントロールは、基本的には、前作を踏襲したものになっており、部分的な変更こそあるものの、前作の経験者なら違和感なくプレイすることができます。基本的な操作は、オフェンス、ディフェンス、キーパーの3通りがあります。

オフェンスは、左スティックが選手移動、Aボタンがパス/ヘディング、Bボタンがシュート/ヘディング、Xボタンがクロス/ロングパス、Yボタンがスルーパス、左トリガーがアクション、右トリガーがスプリント、左ボタンがキャンセル/ダミー(フェイント)、右ボタンがチェンジオブペース、右スティックがスキルムーブ、右スティック押し込みがチームメンタリティ、となっています。
より高度なテクニックとしては、以下のものがあります。
コンボターンがドリブル中に左スティックを進行方向と逆に倒す、ワンツーパス(グラウンダー)が左トリガー+Aボタン、ワンツーパス(ロブ)が左トリガー+Aボタン→Xボタン、チップスルーパスが左トリガー+Yボタン、フェイクパスA、X、Yボタンの直後に左ボタン、スルー/ダミープレイがパスを受ける直前に左ボタン、ワンタッチプレイがパスを出した直後にA、X、Yのいずれかのボタン、クロス/ロングパスが敵陣内の残り3分の1でXボタン、アーリークロスが左トリガー+Xボタン、グラウンダークロスがXボタン2回、アーリークロス(グラウンダー)が左トリガー+Xボタン2回、ループシュートが左トリガー+Bボタン、シュートフェイントがBボタン→左ボタン。

ディフェンスは、方向パッドが戦術の指示、左スティックが選手移動、Aボタンが選手切替、Bボタンがタックル、Bボタンを押し続けて自動マーク、Xボタンがスライディングタックル、YボタンがGKチャージ(ボールに向かっていく)、左トリガーが守備バックアップを呼ぶ、右トリガーがスプリント、右ボタンがウォークディフェンス、右スティック押し込みがチームメンタリティ、となっています。

キーパーは、基本的には自動操作で、ボールをキャッチした時だけプレイヤーが操作します。Aボタンがスローイング、BボタンとXボタンがキック、Yボタンがボールを離す、となっています。

スローインは、Aボタンが選手切替、Yボタンがロングスロー、Xボタンがショートスロー。
コーナーキックは、Aボタンが近くの味方へのパス、Xボタンがロブ、Xボタン+左トリガーが低いロブ。
フリーキックは、Aボタンが近くの味方へのパス、Xボタンがロブ、Xボタン+左トリガーが低いロブ、Bボタンがシュート、Bボタン+左トリガーがドライブシュート、右ボタンが第2キッカー。
ペナルティキックは、左スティックが倒した方向にシュート(キーパーならダイブ)、Bボタンがシュート、Bボタン+左トリガーがループシュート、Xボタンがインサイドシュート。

さて、本作のコントロールですが、基本的には、前作と同じく複数の問題点があります。その多くは、当然のことながらオフェンスです。
まず、ドリブルが取られやすいという点です。たいていのサッカーゲームでは、少しぐらいドリブルで敵のディフェンスをかわせるのですが、本作では前作同様に、それができません。
また、本作では、ロングパスやセンタリングを上げると、極めて高い確率で敵に取られてしまいます。
同じEAの3DO版「Jリーグバーチャルスタジアム’95」では、味方が取ってくれるだろうなぁと思いながら画面外にロングパスやセンタリングを上げると、たいていの場合は予想通り味方がボールを取ってくれました。
ところが、その10年後に発売された本作でも、前作に引き続き、それができないのです。これは、サッカーゲームとしての進歩が見られないどころか、退歩していると言っても過言ではないのではないでしょうか。
更に、これほどゴール前に味方フォワードがいないゲームも珍しいのではないかと思います。ゴール前でのこぼれ球に味方が対処してくれると考えるのは絶望的なのですから。
本作も前作も、どうしてこうもオフェンスが機能しないのでしょうか。前作から数ヵ月後の発売で、修正しているところもあるのですから、これも直しておくべきでした。

そうした意味では、ゴールキーパーのAIには進化の跡が見られます。
前作のゴールキーパーは、ゴールマウスにへばりついていることが多く、ボールがペナルティエリアにこぼれようが、敵が攻め上がってこようが、コーナーキックを上げられようが、積極的に前にボールを取りに行くということがありませんでした。これでは、ゴールキーパーとしての役目を果たせていないも同然です。
それが本作では、ゴールキーパーが積極的に前に出るようになったため、実際のゴールキーパーらしいアグレッシブな動きが見られるようになっています。
前作から本作へのコントロール面の進化ということでは、ここだけは評価することができます。

しかし、前作にもあった、オフェンスとディフェンスのボタンの振り分けの問題は残されたままでした。
前作には、ドリブルが使いづらい、ロングパスやセンタリングをしても味方がボールを拾ってくれない、といった特徴がありました。
そのため、基本的な戦い方としては、ボールを取ったら、とりあえずロングパスで敵のゴール前にボールを放り込み、敵からボールを奪ってシュートということにならざるを得ませんでした。
そして、そのロングパスを行うのがXボタンなのですが、このXボタンはディフェンスにおいてはスライディングタックルになります。それが意味するものは、ディフェンスによるペナルティの頻発です。
味方選手がボールを取ったら即座にロングパスを狙いますが、前作ではボールのキープ力が著しく低いため、間髪置かず敵にボールを奪取されてしまいます。
気持ちではロングパスをしているつもりなのですが、実際にはその敵に対してスライディングタックルをしていることになり、やたらとペナルティをもらうということになるわけです。
本作では、このキー設定を改善してほしかったのですが、ここには手をつけられずじまいでした。残念なところです。

【GAMEPLAY】6
本作は、前作に当たる「FIFA06 ロード・トゥ・FIFAワールドカップ」の発売から半年も時を経ずして、今度こそ「FIFA ワールドカップ ドイツ大会」の開催に合わせてリリースされています。
そんなわずか数ヵ月の期間ではありましたが、前述してきたようにグラフィック面、サウンド面では、お粗末だった前作からは大幅に向上し、ようやく「Xbox 360」水準に近いサッカーゲームを生み出すことに成功しています。
それに対して、コントロール面では、ゴールキーパーのAIを除いては、残念ながら改善されることはありませんでした。本作は、サッカーのシミュレーションゲームではなく、サッカーのアクションゲームなので、この点は残念なところです。
今度こそ、FIFAワールドカップの本選を戦えるのは喜ばしいことですが、本来なら、予選だけで終わってしまうようなゲームを出すべきではなかったのですから、当然こうあるべきだっただけのことです。

本作がFIFAワールドカップの本選に的を絞ったゲームであるため、メインモードの「2006 FIFA World Cup」は、とてもボリュームの薄いものになっています。
ワールドカップ自体は試合数も多くボリュームはあるのですが、これら全部の試合をプレイヤーが操作するのは不自然なことであり、このボリュームのなさは致し方のないところです。
そこで新たに加えられたのが、さまざまなシチュエーションにチャレンジすることができる「グローバルチャレンジ」です。
これは、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米、南米、オセアニアの6地域と、FIFAワールドカップのさまざまな試合の”if”に挑戦するものです。
しかし、実際のところ、それぞれの地域のそれぞれの試合のシチュエーションこそ異なるものの、やっていることはほとんど同じで、しかも、それぞれの国や試合に思い入れがないため、とてもすべての試合をプレイしようという意欲が湧きません。
しかも、日本の登場するチャレンジは、いずれも日本が敵役であり、日本ではサッカー史に残る”ドーハの悲劇”すら入れられてはいません。これは、おそらく日本だけに言えることではなく、どの国のプレイヤーも同じような不満を持っているはずです。
本作が世界的な視点で作られていることによる弊害だと言えるでしょう。しかも、EAのゲーム全般の特徴である実績の解除のしやすさも、このモードにはないため、必要性の薄いモードになってしまっています。

【LONGEVITY】7
本作は、前作よりもグラフィック、サウンド面で進化してはいるものの、コントロールはあまり進化したとは言えません。
また、メインとなる「2006 FIFA World Cup」は、当然ながらボリュームがありません。しかも、「グローバルチャレンジ」には、長くやりたいと思わせるものがなく、実績の解除も容易ではありません。
そのため、下手をすると前作以上にプレイ時間の短いゲームになるおそれがあります。ここでは、10時間ぐらいはプレイするだろうということで、「7」にしておきます。

【OVERALL】6
本作は、「2006 FIFAワールドカップ ドイツ大会」の予選だけに的を絞った前作とは異なり、その本選をプレイすることができます。
また、グラフィック、サウンド面でも前作よりも進化しており、コントロールも極めてわずかながら進化してはいます。
そのため、環境的には前作よりもプレイしがいがありますが、ゲーム自体を心から楽しんでプレイできるだけのボリュームというものはなく、前作のような実績解除の楽しみも存在しません。
そうした意味で、前作同様に、特価販売されていれば、「2006 FIFAワールドカップ ドイツ大会」の関連商品としてコレクターズアイテム的に買っておく程度の商品なのではないかと思います。

(C) 2006 Electronic Arts Inc. Electronic Arts, EA, EA SPORTS and the EA SPORTS logo are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved. Official licensed product. (C) The Official Emblem, the Official Mascots of the 2006 FIFA World Cup GermanyTM and the FIFA World CupTM Trophy are copyrights and trademarks of FIFA. All rights reserved. Produced under license by Electronic Arts Inc. Made in Japan. Player names and likenesses used under license from FIFA, International Federation of Professional Footballers “(FIFPro)” and national teams. All sponsored products, company names, brand names, trademarks and logos are the property of their respective owners. EA SPORTSTM is an Electronic ArtsTM brand.

コメント

タイトルとURLをコピーしました