「THE ARTFUL ESCAPE」煌びやかで摩訶不思議な4K/60FPS/3D横スクロールギターアクション

「THE ARTFUL ESCAPE」が2021年9月9日のリリースと同時に「Xbox Game Pass」入りし、スクリーンショットやトレイラーを見たところ面白そうだし、4-5時間で実績もコンプリートできそうだったのでプレイすることにしました。
翌10日に始めて11日にコンプリートしたのですが、さくっと実績をコンプリートして終わらせるつもりが、予想の斜め上を行く素晴らしさに、早く次のステージをプレイしたいという思いが募り、その世界観に圧倒されたままゲームを終えることができました。

ゲームの舞台は、コロラド州の架空の町カリプソ。フォークミュージックレジェンドである故ジョンソン・ヴェンディッティの生誕地です。
1970年代にリリースされた彼の画期的なアルバムの20周年を祝うため、町は大規模なフェスティバルを開催しており、彼の甥であるフランシス・ヴェンディッティはコンサートで彼のフォークソングを演奏することになっています。
しかし、フランシスは、叔父の影の中で生きることに悩まされています。彼が演奏したいのは、フォークミュージックではなく、ロックミュージックなのです。
コンサートの前日、彼はヴァイオレッタという奇妙な女性に出会います。彼女は、ライトマンを探すように彼に勧めます。
その夜、彼のもとにエイリアンのゾムが現れ、そのエイリアンもまた、ライトマンに会うべきだと言います。フランシスは、その言葉に従ってゾムについていきます。
ライトマンは、異常な宇宙を旅して次の宇宙に向かうためには、グラマーゴンに最高のショーを披露して認められることだと言います。
かくして、フランシスは、異常な宇宙から宇宙へとセッションを繰り返しながら、自らの音楽を発展させていき、カリプソで“凱旋コンサート”を開催するのです。

本作を開発したのはBeethoven & Dinosaur(ベートーベンと恐竜)で、これが第1作となります。創始者のジョニー・“ガルバトロン”は、バンド「ザ・ガルバトロンズ」の創設メンバーでリードギタリストです。
彼は、バンドを組む前、オーストラリアのメルボルン大学で映画とコンピューターアニメーションについて学んでいました。
彼は、10年間に及ぶバンド生活の中で、興味があったビデオゲームの研究を続け、オーストラリアのメルボルンでBeethoven & Dinosaurを創立します。
スタジオには、作曲家のジョシュ・エイブラハムズのギタリストであるエデン・アルトマン、プログラマーのジャスティン・ブラックウェルとショーン・スレヴィン、もいます。
物語はデヴィッド・ボウイの5枚目のアルバム「ジギー・スターダスト」(The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars)に基いており、アートスタイルはスタンリー・キューブリック、ウェス・アンダーソン、スティーブン・スピルバーグの作品を引用しています。
確かに、ゲーム中でもAT-ATウォーカーらしきものが出てきますし、個人的には「The Elder Scrolls III: MORROWIND」や「Rez」を彷彿させるような世界観も垣間見ることができました。

また、世界デザインやキャラクターの一部は彼が若い頃に学校の本に書き込んだ落書きから生まれており、ジョンソン・ヴェンディッティはフォークミュージックの伝説ボブ・ディランに基いているそうです。
奥深いキャラクターたちとの会話は英語音声によるフルボイスになっていますが、日本のプレイヤーに向けても完璧とも言える日本語字幕で物語に深くかかわらせてくれます。彼のバックボーンを活かした素晴らしい音楽の数々を堪能しつつ、会話も楽しめるというわけです。
ボイスパフォーマンスは、マイケル・ジョンストン(MTVテレビシリーズ「ティーンウルフ」コーリー・ブライアント役)、キャロライン・キンリー(本作でデビュー)、レネ・ヘディ(ドラマ「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」サラ・コナー役)、ジェイソン・シュワルツマン(ドラマ「ファーゴ」ジョスト・ファッダ役)、マーク・ストロング(映画「シャーロック・ホームズ」ブラックウッド卿役)、カール・ウェザーズ(映画「ロッキー」シリーズのアポロ・クリード役)。

ゲームは、4K/3Dの奥行きある美しく煌びやかな世界の中、横スクロールにより展開されます。プレイヤーは、そんな世界の中では右に向けて進んでいきますが、建物の中では左右、はしごやエレベーターにより上下に移動することもできます。
プレイヤーができるのは、Aボタンによるジャンプ、Aボタン2回押しによるダブルジャンプ、Xボタンによるハイジャンプ、Aボタンによるキャラクターとの会話などです。
また、エイリアンのゾムから渡されたギターを手にしている際には、Xボタンを押すことでギターを演奏することができ、場所によっては照明や動物や植物などが鮮やかな光を放ち、それでなくても煌びやかな世界がより幻想的な世界に発展していきます。
ちなみに、ゲーム序盤でエイリアンのゾムにギターを渡されたら、Xボタンを3分間押し続けると実績を解除できます。
続いて、町の中すべてをXボタンを押してギターを演奏しながら進んでいくと、街灯や家が明るく照らされ、街灯や家をすべて光らせると実績を解除することができます。
また、ゲームを進める中で、様々なキャラクターとの会話により3択が現れることがありますが、どれを選んでもストーリーが分岐することはなく、キャラクターの一部の受け答えが変わるだけなので安心できます。
さらに、Aボタンによるジャンプ、Aボタン2回押しによるダブルジャンプ、Xボタンによるハイジャンプ、で失敗して足場の間から落下しても直前からやり直すことが可能です。
そして、本作のそれぞれの世界の煌びやかさと摩訶不思議な世界をトリップした後には、いわゆる中ボスとのセッションが待ち受けています。
中ボスの顔は、Xボタン、Bボタン、Yボタン、LBボタン、RBボタン、で構成されており、セッション中はこれらのボタンが順に光っていきます。
プレイヤーは、これをそっくりそのまま真似てボタンを押すことで、セッションが成立し、素晴らしい音を鳴らすことができます。
逆に、これに失敗したとしても、直前からやり直すだけで、明らかなペナルティもゲームオーバーもありません。ちなみに、本作には、ゲームオーバーという概念はなく、失敗しても直前のチェックポイントからやり直すだけで、ステージセレクトもあります。
セッションが素晴らしい音楽を奏でることにより完了すると、中ボスは満足してフランシスのミュージシャンとしての存在を認め、次の世界へ旅立つことを許可してくれます。
プレイヤーは、これを繰り返すことにより、いわゆる大ボスにたどり着くことができ、大勢の観客で賑わう巨大ステージで最高のセッションを繰り広げ、カリプソで“凱旋コンサート”を開催できるようになるのです。
この4-5時間という煌びやかで摩訶不思議な4K空間による映像と音楽による世界は想像をはるかに超えたものであり、1作目でこれだけの作品を作り上げたことは称賛に値します。
「Xbox Game Pass」により無料でプレイできるのですから、「Xbox」ユーザーの多くにぜひとも体験してもらいたいと思います。素晴らしい経験が待ち受けているはずです。

(C) 2021 Beethoven and Dinosaur Pty Ltd. Published by Annapurna Interactive under exclusive license. All rights reserved.

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