【GENRE】
3Dアクション/キャラクター/タイムコントロール
【PUB./DEV.】
マイクロソフト/アートゥーン
【RELEASE DATE】
2002/12/12
【OUTLINE】
キャラクター3Dアクションゲームです。プレイヤーは、時間工場に勤務する”時間掃除人(タイムスイーパー)”のブリンクスとなって、”時間ドロボー”のタムタム団によって時の流れが歪められてしまった世界を救い、彼らに人質にされてしまったプリンセスをも救出するのが目的になります。
ブリンクスは、「リトライ」、「巻戻し」、「早送り」、「一時停止」、「録画再生」、「スロー」などの時間操作の能力を駆使して、時の流れの歪みによって作り出された「時の結晶」から変化したタイムモンスターを倒したり、失われた道を回復したりしながら、全9ラウンドからなる戦いに挑みます。
ハードディスク内蔵の「Xbox」だからこそ実現できた新たなゲーム性と、ファンタジックな世界観やキャラクターが魅力のタイトルです。
【GAME MODE】
あたらしくはじめる
新しくゲームデータを作成してゲームを始めます。ゲームデータを保存するファイル(箱)が3つ表示されるため、その中からひとつを選びます。
つづきをあそぶ
選んだデータは、ステージクリア後やSHOPでのアイテム購入後に自動的に保存されます。ステージの途中で、ゲームをセーブすることはできません。
本作には全部で9つのラウンドがあり、更にそれが3つのステージとボス戦に細分化されていて、それぞれのラウンドにSHOPがあります。
各ステージとボス戦は、すべてのタイムモンスターを倒して10分以内にゴールゲートに到達すればクリアとなります。
タイムモンスターを倒すためには、各ステージに落ちているガラクタを掃除機で吸い込んで、今度はそれを掃き出してぶつける必要があります。
ガラクタは、当初は5つまでしかストックできませんが、SHOPでボウルを買うことにより、10までストックすることができます。
また、各ステージとボス戦には、6種類のタイムクリスタルが落ちており(タイムモンスターを倒しても出現します)、これらのタイムクリスタルを組み合わせて時間操作を行います。
タイムクリスタルは、1度に4つまで持つことができ、同じ種類を、3つ集めると1個、4つ集めると2個、時間操作が手に入ります。
時間操作は、最初は少ないのですが、各ラウンドのSHOPでボウルを買うことで、最大10個まで持つことができ(リトライは1+9個)、次のステージに持ち越せます。時間操作は、以下の6種類です。
リトライ
最優先で拾うべきで、ラウンド7以降は常にスタート時に満タンにしておきます。
巻戻し
失われた道の回復に使いますが、たいていその直前に落ちています。ただし、ラウンド8-3では最後に必要になるため、あらかじめ1個だけ持っておきます。
早送り
まず使いませんが、同じ種類を3つ持っている時の数合わせに重宝します。
一時停止
最も使用頻度が高く、ラウンド8では、10個中8個以上はこれにします。
録画再生
使う場面は少ないのですが、これがないと先に進めない時があります。ラウンド8-3では最後に必要になるため、あらかじめ1個だけ持っておきます。
スロー
あまり使いませんが、巻戻し、一時停止の代用品として役に立つことがあります。
ステージは、以下の9つです。カッコは順にステージ1、ステージ2、ステージ3、ボスで、カッコ内はムズカシさ、タイムモンスターの数です。
タイムスクエア
石畳の夜の街中のチュートリアル的なステージです。
(★、3)、(★★、6)、(★、6)、(★、1)。
スプラッシュドライブ
水路が張り巡らされた街中のステージです。
(★、8)、(★、9)、(★、9)、(★★、1)。
クォーツモール
海底のような雰囲気の流砂のあるステージです。
(★★、12)、(★★、14)、(★★★、13)、(★★、1)。
アラームマウンテン
岩肌が露出した山のステージで立体構造になっています。
(★★、15)、(★★、16)、(★★、15)、(★★、1)。
エルダーキャッスル
お城の敷地内のステージで立体構造も動く床もあります。
(★★、14)、(★★★、16)、(★★★★、17)、(★★★、1)。
トゥモローバレー
切り立った谷のステージでトロッコに乗っての移動もあります。
(★★、14)、(★★★、15)、(★★★、14)、(★★★★、1)。
エヴァーウインター
ツルツルと滑りやすく難易度も高いステージです。タイムモンスターのオクトバルーンとダストキーパーに、わざとガラクタを飛ばさせる必要もあります。
(★★★★★、16)、(★★★★★、15)、(★★★★★、17)、(★★★★、1)。
フューチャーファイア
一転して溶岩が煮えたぎるステージで、エヴァーウインターよりは易しいでしょう。ステージ3の最後は、録画再生と巻戻しのコンビネーションが必要です。
(★★★★★、11)、(★★★★★、13)、(★★★★★、11)、(★★★★、1)。
クロノポリス
過去のボスと4回連続して戦わされます。ステージで言うと、5、7、6、8の順です。それが終わるとSHOPでリトライなどの補充ができます。そして、いよいよラスボスのタイムデモンとの戦いを迎えます・・・。
(★★★★★、1)。
オプション
ゲームの各種設定を変更することができます。
ゲームデモを見る
「フィッシングライブオンライン」、「格闘超人」、「N.U.D.E.@」、「ザ・ワイルド・リングス」、「トゥルーファンタジーライブオンライン」のデモを見ることができます。
【GRAPHICS】8
「Xbox」屈指の可愛らしいキャラクターと、それに見合ったファンタジックな世界を持つゲームです。
各ラウンドの各ステージは、細部まで詳細に描き込まれ、そこに素晴らしいライティングが施されています。
特に、ラウンド2のスプラッシュドライブの水の表現は、「Xbox」中でも指折りと言えるでしょう。
ファンタジックながらもリアルなステージに対し、敵キャラクターはカートゥーンタッチですが、動きも滑らかでステージにマッチしています。
ただ、これはコントロールの項で述べますが、オブジェクトに対する透過処理がほとんど取られていないため、ブリンクスがいる場所によっては、その場の状況がとても見づらいものになってしまうのが残念なところです。
【SOUND】7
ドルビーデジタルです。敵の気配に対するサラウンドの恩恵にはそれほどあずかれませんが、効果音はタイムモンスターを倒したり、失われた道を回復したりするのには役立ちます。
オクトバルーンやダストキーパーがガラクタを投げたり、トゲタマがトゲトゲを出して突撃してきたり、壁や橋が崩れ落ちたりするのは、実際には見ていなくても効果音で知ることができるからです。
時間操作時の音も、時間操作中には気分がいいものです。ただ、BGMに関しては、単調な繰り返しといった感じです。
また、ブリンクスが壁などを登るのに失敗した時に発する「ミュー」は、もうちょっと可愛い声の方がキャラクターには合っていたような気がします。
【CONTROL】5
本作の基本的な操作は、それほど難しいわけではありません。
左スティックでブリンクスの移動、右スティックでカメラの移動、右スティックのクリックで一人称視点での見渡し、左右のトリガーでカメラの回転、Aボタンでジャンプ、ジャンプ中にもう1度押して二段ジャンプ、Bボタンを長く押してガラクタの吸い込み、短く押してその掃き出し、Yボタンで掃除機の構え、Xボタンで時間操作パネルの表示、が主なものです。
これらのうち慣れが必要なのは、二段ジャンプぐらいのものでしょう。ただ、左右のトリガー同時引きで瞬時にカメラがブリンクスの後ろに回り込む、といった配慮はほしかったところです。
これがないため、どちらかのトリガーでのんびりとブリンクスの後ろに回り込まざるを得ず、窮地に陥るということもありました。
より問題なのは、基本的な操作とは関係のない要因が、操作を難しいものにしていることです。
まず、オブジェクトには、透過処理がほとんどありません。そのため、ブリンクスが壁などを背にして立つと、カメラはなんとかブリンクスを捕らえようとして、真上や真横からのアングルでブリンクスを映し出します。
そうなると、敵の姿を捕らえることなど不可能になり、敵の攻撃を受けてしまわざるを得ません。
また、ブリンクスは、自動的に敵に正対するようなカメラアングルを取ります。そのため、ブリンクスの視点は右に左にとふらふらとさ迷うのです。
このカメラの動きは突然訪れるため、敵に対して真っ直ぐにバックして安全地帯にジャンプしたはずが、敵が開けた穴にドスンと落ちたりすることもあります。
リトライも、大きな問題点を抱えています。リトライは、ブリンクスがダメージを受けた時点から数秒戻ってやり直しとなるわけですが、これがその場の状況など一切お構いなしに自動的に決まった時間だけ戻されるのです。
そのため、宙に浮いて再び落ちるしかない場所だったり、タイムモンスターを倒す前だったり、複数のタイムモンスターの真ん中だったり、といったとんでもない状況からやり直させられることも珍しくはないのです。
しかも、カメラアングルも、戻されている間に自分で調節しないと、どうしようもないカメラアングルからやり直される怖れがあります。
これらの欠陥は、デバッグ時点で明らかになっていたはずですから、直してから発売すべきでした。
【GAMEPLAY】5
本作のウリは、なんと言っても、ハードディスク内蔵の「Xbox」だからこそ実現できた時間操作にあるでしょう。
この時間操作、確かにアイデア自体は興味深いものですし、ラウンド8-3の最後のように録画再生と巻戻しのコンビネーションが必要などというのにはうならされもします。
しかし、ものによってはハードディスクに頼らずともできてしまうものですし、ちょっとアイデア先行型かなという気がします。
また、本作は、「Xbox」屈指の可愛らしいキャラクターと、それに見合ったファンタジックな世界を持つゲームで、ライトユーザーや女性ユーザーにも訴求できる年末には適したタイトルでした。
しかしながら、そうしたユーザー層にとって本作は、その可愛らしいグラフィックとは裏腹の高い難易度を持っています。それはコントロールの項でふれた点以外にも数多く挙げられます。
まず、単純にステージ構成自体が難しいことで、ラウンド3のクォーツモール辺りで音を上げるユーザーも出ることでしょうし、ラウンド7のエヴァーウインター以降は一般的なゲーマーでもてこずらされるほどの難易度です。
異なる2種類のタイムモンスターがセットで出てくるのも、一般的なゲーマー以外は対処しづらいのではないでしょうか。
タイムクリスタルの集め方にしても、1度に4つまで持つことができ、同じ種類を、3つ集めると1個、4つ集めると2個、時間操作が手に入る、というのではなく、それぞれの種類で個別に5つ集めると1個とかにして、それぞれ10個までとか集められるようにすべきでした。
また、時間掃除機はSHOPで何種類も売られているのですが、新しい掃除機を買うと、それまで使っていた掃除機は強制的に引き取られてしまいます。
単に強力な掃除機に買い替えていくだけならそれでもいいのですが、実際には、トゥモローバレーでは水系の掃除機を買い、エヴァーウインターでは炎系の掃除機を買い、フューチャーファイアでは再び水系の掃除機を買う必要があるのです。
こうした無駄なお金の使い方をさせられるため、最初の方のステージを何度もプレイし直して、掃除機購入のためのお金をせっせと稼がざるを得なくなります。
このように本作は、一見、ライトユーザーや女性ユーザーに適したタイトルでありながら、その中身はというと、コアなアクションゲーマーのためのゲームなのです。
本作と「Xbox」をセットで買ったライトユーザーや女性ユーザーがいたとしたら、当分は「Xbox」のゲームをやろうという気は起こらないのではないでしょうか。
【LONGEVITY】9
本作は、これまでにふれてきたような数々の問題点を内包しています。相当の腕前を持つアクションゲーマーでもない限り、着々とラウンド、ステージをクリアしていくのは不可能だと思います。
特に、ラウンド7のエヴァーウインター以降は、一般的なゲーマーでもてこずらされるに違いありません。
ゲームをクリアするには、かなりの根気を要求されるため、クリアするまで頑張ろうという人がどれだけ存在するのか、疑問を差し挟む余地はないでしょう。
【OVERALL】7
本作は、「Xbox」屈指の可愛らしいキャラクターと、それに見合ったファンタジックな世界を持つゲームで、ハードディスク内蔵の「Xbox」だからこそ実現できた時間操作という斬新なアイデアも持ち合わせています。
しかしながら、これまでにふれてきたような数々の問題点も内包しています。マイクロソフトは、いったい誰に本作をプレイしてほしかったのでしょうか。
これでは、ライトユーザーや女性ユーザーに本作を薦めることはとてもできません。それどころか、一般的なゲーマーにすら薦める気にはなれません。本作は、相当の腕前を持つアクションゲーマーになら薦められるでしょう。
しかし、一般的なゲーマーがハードディスクを利用した時間操作がちょっと気になると考えている程度なら、1980円以下でないとつらいと思います。早々とコレクターズアイテムの仲間入りをする可能性もあるわけですから。
もし、次回作を作るなら、ここで挙げた数々の問題点をクリアした上で、難易度設定を設けるようにするべきでしょう。
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