デジタルハイビジョンビデオカメラ「パナソニック HC-W580M」レビュー

ビデオカメラは、何年も前から安ければほしいとずっと思っていて、積極的にではないものの、ネットやチラシなどで眺めていました。
私は、毎年、福袋戦線に参加するのですが、その年ごとに本命のものが決まっていたり、これが安ければぜひ買いたいというものがあり、ビデオカメラは大穴的存在でした。
しかし、2018年は、ようやくビデオカメラが大本命に躍り出て、ブルーレイレコーダーなども激安なものがあれば買おうと考えていました。
そのため、ビデオカメラも、他の製品同様、事前に何十時間も調べて、候補はある程度絞っていました。
私のビデオカメラの用途は、その時点での想定では、屋外ライブとモータースポーツがメインで、いずれも動きのある被写体を望遠で撮ることになります。
そのため、ビデオカメラに求めるものは、望遠性能、望遠時のズームでのピントの合いやすさ、望遠時の手振れ、望遠時の画質、ということになります。
冒頭で「何年も前から安ければほしいとずっと思っていて」と書きましたが、具体的には実質2万円ぐらいと考えていました。
そのため、エントリー機種の、パナソニック「HC-V360M」、ソニー「HDR-CX470」&北米専売モデル「HDR-CX405」、キヤノン「iVIS HF R800」、あたりで検討していました。
中でも、望遠、ズーム、という点で考えると、パナソニックが優れており、メーカーとしてはパナソニック一択ということになりました。
また、パナソニックには4Kモデルである「HC-VX985M」もあり、高いなりに安ければという条件付きで有力候補として考えていました。

福袋は、ヨドバシカメラもビックカメラも、約2万円の福袋は例年通りJVCの“ビデオカメラ特定販路向け製品”が入れられており、同一価格帯なら性能的にパナソニックやソニーよりも劣るため購入の対象とはなりません。
ヨドバシカメラの福袋は、実は、ネットで「夢のお年玉箱2018 ビデカメフルハイビジョンの夢」の抽選に応募したのですが、それには理由があります。
ヨドバシカメラの福箱は、例年、パッケージの絵が実際に入れられている製品に酷似しており、レンズフードが黒っぽく目立つ反射が1ヵ所、上面のボタンがグレーで2分割、と「HC-V360MS」に見えたため、一応、抽選に応募したのです。結果、倍率24倍の抽選には外れたのですが、2018年も過去数年と同様にJVCだったため外れて良かったです。
家電量販店・スーパーなど各社の福袋・初売りでは、ビデオカメラは希望するような価格での販売はなかったのですが、ヤマダ電機では、福袋を除いて過去2台のデジタルカメラを実質最安値で購入しており、“困った時のヤマダ電機”に期待して初売りの2日に向かうことにしました。
目標としては、パナソニックで、「HC-V360MS」なら実質2万2500円、「HC-VX985M」なら実質5万円、だったのですが、前者は1300円ほど届かず、後者は8000円ほど届かず、で購入即決までは至りませんでした。
詳しい店員2人と話していると、「HC-V360MS」はエントリークラスだけにこうした用途では厳しい場面もありそう、「HC-VX985M」は4K30Pだとカクカクした動きになりやすく1080/60Pで撮るなら「HC-W580M」の方が良さそう、という見解で一致しました。
「HC-W580M」は、私も当初は候補に入れていたのですが、2万円ぐらいならビデオカメラを買ってもいいかなという考えでスタートしており、画質を考えると4Kも価格次第では買いたいと思うようになり、価格的には両者の中間ながら1080の「HC-W580M」は候補から後退していました。
「HC-W580M」は、2016年1月21日発売ながら生産終了したモデルで、大手家電量販店で扱っているところも少なくなっています。ヤマダ電機でも、ホワイト1台、ブラウン2台、しかなく、ホワイトが買えたのは幸いでした。
価格は3万8664円(387ポイント)で激安とは言えないのですが、ケンコー・トキナーの一脚をサービスしてもらいました。この一脚はパナソニック特注品なのか、名称・型番・価格は1時間ほど調べても見つからなかったのですが、最低でも2000円はするはずなので、実質的にはネット最安値(3万6299円)と同額は確実で、なかなかいい買い物だったと思います。
では、例によってレビューしてみます。

【デザイン】8
ビデオカメラとして、ごくごくオーソドックスなデザインです。ビデオカメラのデザインは、各社似たり寄ったりで、デジタルカメラに比べると遊べる部分が少ないのかもしれません。
ただ、パナソニックのビデオカメラは、ヒエラルキーがしっかりしているのか、クラスによって質感が変わってきます。
購入前に家電量販店で何度か実物を見たのですが、エントリークラスの「HC-V360MS」はプラスチック感満載で白は黒よりも少しチープに感じたのに対し、4Kの「HC-VX985M」は白でもどっしりとした重厚感あるデザインで高級感があります。
私が買った「HC-W580M」は、液晶画面側は「HC-V360MS」に近い感じなのですが、手に持つ側は全面にシボ加工が施されており白でも高級感を感じることができます。
見た目的にも、エントリークラスの「HC-V360MS」、中級機種の「HC-W580M」、4Kの「HC-VX985M」、といった具合にクラス分けがなされている感じです。
バッテリーは、ビデオカメラの場合は、デジタルカメラと違って本体内にしまうのではなく、後ろ側に取り付けるのですが、標準バッテリーなら大きく飛び出ることもなく収まりはまずまずです。

【画質】9
価格.comなどを見ていると、画質優先なら4Kモデル以外は買ってはいけない、なぜなら実質的な撮像素子の関係できれいに撮れないから、という意見があり、気にはなっていました。
しかし、YouTubeで「HC-V360M」、「HDR-CX470」、「HDR-CX405」などで一般人が撮影した映像を見ていても、とてもきれいに感じたため、この意見には疑問を感じていました。
私が最初に「HC-W580M」で試し撮りしたのは、川崎競馬場で行われた「川崎記念」だったのですが、家に帰ってパソコンで見てみると、やはり、きれいに撮れていました。
私は、テレビゲームの画質にはとてもこだわっており、4K HDRの「Xbox One X」でプレイし、4K HDRの「SAMSUNG 49MU7000」で映す、4K HDRや4Kエンハンスドのグラフィックを見ると、2Kの画質とは特に遠景で大きな違いを感じさせられます。
しかし、私が「HC-W580M」で録画して再生するのは、フルHDの21.5インチAH-IPS液晶モニターで、4K HDRの「SAMSUNG 49MU7000」で再生することはまずありません。
ひよっとしたら、前者で再生する分には全く問題なくきれいに見られるものの、後者で再生する際には期待通りの美しい映像が得られないということなのかもしれません。
そんなわけで、この件に関しては、私の再生の仕方では全く問題なくきれいに見られるものの、大画面の4Kテレビで再生するのが当たり前の人にとってはひょっとしたら大満足とはいかない可能性もあります。

さて、私がこだわった、望遠性能、望遠時のズームでのピントの合いやすさ、望遠時の手振れ、望遠時の画質、についてですが、これはおおむね満足しています。
望遠性能は、50倍光学ズームで35mm換算すると28.0~1740mm(16:9)と、驚異的な望遠性能が得られます。
私がモータースポーツ撮影に使っているメインのデジタルカメラ「PowerShot SX500 IS」は、光学720mm、画質が劣化しにくい「プログレッシブファインズーム」を使えば1440mmまでなので、この数値がいかにすごいかが分かります。
「HC-W580M」も、iAズーム90倍まで備えており、ここまで使うと3150mmになります。もっとも、50倍(1740mm)までの画質は素晴らしいものの、90倍(3150mm)まで使うと、さすがに画質は劣化します。50倍までが常用、そこから先は必要に応じてというところでしょう。
望遠時のズームでのピントの合いやすさは、さすがはパナソニックというところで、追徴性はとても高いです。被写体さえしっかりとらえていれば、ズームでのピント合わせに困ることは少ないと思います。
望遠時の手振れは、「HC-W580M」をしっかりと右手でホールドしつつ、左手もそえていれば、50倍(1740mm)ぐらいまでならあまり気にはなりません。ただ、モータースポーツのようにクルマの動きを追うもので、そこから先となると手振れが気になります。この領域だと、一脚や三脚を使って撮影するのが無難です。

【操作性】9
グリップベルトに手を通して奥までしっかりと差し込むと、手のひらと指がビデオカメラに絡みつくようになり、ホールド性はとても高いです。
その状態で、親指が撮影開始/一時停止ボタン、中指がズームレバー、人差し指がフォトショットボタン、を押す位置に自動的に来て、使い勝手も良好です。
液晶に関しては、いったん設定してしまえば、それほど使う機会もないと思いますが、普通にデジタルカメラを使える人なら、タッチパネルで問題なく操作できるでしょう。

【機能性】9
公式サイトを見ると、以下の3点がウリの機能になっているようです。
・高品位な映像を残せる「HDハイプレシジョンAF」、「HDR動画モード」を搭載。
・遠く離れた被写体もアップで撮れる高倍率iAズーム90倍。
・最大3つのシーンが同時に撮影可能になった大好評の「ワイヤレス ワイプ撮り」機能。

「HDハイプレシジョンAF」は、撮影に必要なAF性能を追求し、技術を結集。フォーカススピード・追従性能・安定性に優れ、より高品位な映像と快適な撮影を実現しています。
私が、画質的には大差ない「HC-V360MS」よりも実質1万3000円ほど高くなる「HC-W580M」を選んだ大きな理由のひとつです。
前述しているように、私のビデオカメラの用途は、現時点での想定では、屋外ライブとモータースポーツがメインで、いずれも動きのある被写体を望遠で撮ることになります。それらの場合、「HDハイプレシジョンAF」の効果はそれなりにあるのではないかと考えたからです。
「HDR動画モード」は、背景と被写体の明暗差が大きい場合などに、黒つぶれや白飛びを抑えて撮影することができるモードです。効果の強弱も選べます。

遠く離れた被写体もアップで撮れる高倍率iAズーム90倍は、光学50倍ズームレンズを搭載し、超解像技術によりハイビジョン画質のままiAズーム90倍を実現したものです。これは、「HC-V360MS」も同じです。
しかし、「HC-VX985M」は、光学ズーム20倍、iAズーム25倍(4K)/40倍(FHD)で、「HC-W580M」に大きく劣ります。屋外ライブとモータースポーツがメインで高倍率ズームが必要となることから、実質2万円近く高くなる「HC-VX985」ではなく「HC-W580M」を選んだ大きな理由のひとつです。

最大3つのシーンが同時に撮影可能になった大好評の「ワイヤレス ワイプ撮り」機能は、最大3台のスマートフォンとWi-Fi接続でき、このうち2台を選んで2つの子画面で表示する「子画面ツイン表示」が可能で、親画面と合わせて3つの視点の映像を一緒に記録できます。
本体だけでワイプ撮りすることもでき、サブカメラを使ってメインカメラとサブカメラの2つの映像を同時に記録することも可能です。サブカメラは270度回転させることができ、前景も隣も自撮りも可能です。
これらの機能は、面白そう、できればほしい、などと感じたことはありませんでした。しかし、「HC-V360MS」にはない機能であり、ライブでメインカメラでボーカルを撮りながらサブカメラで全景や全メンバーを撮るといったことも可能なので、試しに使ってみようとは思います。

なお、本体の機能ではないのですが、専用ソフト「HD Writer LE 3.1」を本体のシリアルコードを入力することでダウンロードできます。本体内のデータをパソコンのHDDにコピーしたり、ブルーレイディスクやSDカードにコピーしたりすることができます。
もっとも、このソフトは専用と書かれていることからも分かるように、完全に「HC-W580M」専用になっています。他の動画も編集できれば便利だと思うのですが、このあたりの親切心はほしかったところです。

【バッテリー】5
付属バッテリー(VW-VBT190)は、充電時間約2時間20分(USB充電時約5時間20分)、実撮影時間約1時間5分(MP4、1080/50M)。別売の「VW-VBT380」なら、充電時間約3時間45分(USB充電時約9時間45分)、実撮影時間約2時間25分(MP4、1080/50M)。
実撮影時間は決して長いとは言えず、付属バッテリー以外の対策が必要になります。もっとも、純正バッテリーの「VW-VBT380」の実売価格は1万1000円を超えており現実的ではありません。
Amazon.co.jpなどで互換バッテリーと充電器をセットで3000円前後で買うか、モバイルバッテリーを使うかの選択になると思いますが、私はとりあえず10000mAhのモバイルバッテリーで対処することにしました。

【携帯性】9
外形寸法は幅60×高62×奥行129mm(バッテリー装着時)、本体質量は約266g、使用時質量は約309g(付属バッテリーパック含む)。
全体的な大きさは、350mlの缶飲料、ペットボトルの下半分、といった具合でコンパクトさが際立ち、携帯性は抜群です。
使用時質量は約309gで、ホールド性がいいことから、一定時間撮影しても、それほど重さも感じません。
私は、100円ショップのセリアで売られている「ジャーボトル クーラーバッグ ロゴ柄ホワイト」に入れています。このバッグは、底径約9cm、縦約19cmの円筒形で持ち手が付いており、上から2cmほどのところに340度ぐらい開くファスナーがあり、かぱっと開くことができます。
「HC-W580M」を余裕を持ってすっぽりと収めることが可能で、内面アルミ蒸着シートが適度なクッションにもなり、出し入れも簡単です。
私は、デジタルカメラもビデオカメラもペットボトルも、ショルダーバッグの中に入れているため、それなりに保護されつつ、使う時にサッと取り出せるということが重要なため、こうしたバッグは重宝するし、108円でこれが買えてしまうのはありがたいものです。

【液晶】8
3.0型ワイド液晶モニター(約46万画素)で、タッチパネルになっています。操作性のところでふれたように、いったん設定してしまえば、それほど使う機会もないと思いますが、普通にデジタルカメラを使える人なら、視認性も良く、タッチパネルで問題なく操作できるでしょう。

【音質】8
Dolby Digital準拠2chステレオ(ズームマイク機能あり)です。まだ、競馬とモータースポーツを撮影しただけですが、場内音も場内実況もエンジンサウンドも問題なく録音できています。
私のもうひとつの用途である屋外ライブはこれから撮ることになりますが、この感じだと問題なく録音できるように思います。問題は風が強いと少し風切り音がするところですが、現実的ではあり、許容範囲かなとも思います。

【総評】9
私の用途では、屋外ライブとモータースポーツがメインで、いずれも動きのある被写体を望遠で撮ることになるため、ビデオカメラに求めるものは、望遠性能、望遠時のズームでのピントの合いやすさ、望遠時の手振れ、望遠時の画質、ということになるのですが、この点においては十分に満足できるものです。
流し撮りする際に、「カメラの動きが速すぎます」などと表示されることがあり、気持ちクルマを追うスピードを遅くすることもあるのですが、実際に映った映像ではそれほど問題ないようにも感じます。
価格的には、もう少し安ければ良かったかなと思いますが、高い買い物というわけでもなく、妥協できる範囲ですし、買って良かったと思います。

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