【GENRE】
アドベンチャー
【PUB./DEV.】
フロム・ソフトウェア/フロム・ソフトウェア
【RELEASE DATE】
2009/4/23
【OUTLINE】
横溝正史の小説である金田一耕助シリーズの「八つ墓村」を原作にするアドベンチャーゲームです。原作小説の雰囲気そのままに、モノクロの墨絵タッチで描かれたグラフィック、重厚な物語、ゲームならではのストーリー展開が魅力になっています。
プレイヤーは、金田一耕助となり、八つ墓村で起こった未曾有の凄惨な連続殺人事件の渦中に身を置き、名推理で事件を解決します。「ニンテンドーDS」ならではの簡単操作で、この本格ミステリーを体験することができます。
【GAME MODE】
時は戦国時代。財宝と褒賞に目がくらんだ村人たちが、8人の落武者たちを皆殺しにしてしまうという事件が起きます。落武者は、死に際に、「七生までこの村を祟ってやる」と言い残します。
その後から村で相次いで起こった奇妙な出来事に、村人たちは落武者の祟りだと恐れ、八つの墓を建てて明神と崇め奉ります。
八つ墓村の時は過ぎて大正時代。村の旧家・田治見家の当主・要蔵が発狂し、村人を惨殺するという事件が起こります。そして、昭和、再び、八つ墓村で祟りが起きようとしていました。
初めから遊ぶ
ゲームを初めから遊びます。3冊の捜査手帳の中から未使用のものを選んでタッチします。選んだ捜査手帳にタッチペンで字を書いて、自由にタイトルをつけることができます。
セーブデータは、3個まで作ることができますが、プレイ中にセーブできるのは、自分が選んだ捜査手帳だけです。
続きから遊ぶ
ゲームを途中からプレイします。任意の捜査手帳を選んでゲームを始めます。
プレイヤーは、金田一耕助となってゲームを進めていくわけですが、物語は基本的に上画面で進行していき、登場人物やセリフ、心の声などが表示されます。下画面には、さまざまな項目が表示され、必要に応じて選ぶことができます。
また、金田一の勘を表す心電図のような線が表示されますが、「重要語」を投げかけた方がいい場合には、色が青→黄→赤と変化していきます。
重要語
物語を進めていくと、赤い文字の言葉を入手することがあります。この言葉を「重要語」と言います。この「重要語」を相手に投げかけると、それについての情報が得られます。
ただし、1度使うと、「重要語」は消えてしまいます。相手に投げかけたい「重要語」はタッチペンで上画面にスライドさせます。
質問中
物語を進めていくと、金田一が相手に対して質問をするシーンが出てくることがあります。その際に、「重要語」の一覧が表示されるので、その中から相手に聴かなければならない「重要語」を選びます。たいていの場合、伏線が敷かれていたり、何らかのヒントが事前に得られます。
投げかける「重要語」によって、入手できる情報や物語の進行が変化し、場合によってはバッドエンドになります。こうした気配を感じたら、直前でセーブしておくといいでしょう。バッドエンドになった場合、その章の最初まで戻されるので注意が必要です。
推理
捜査に行き詰まったら「推理」のパネルをタッチします。金田一の頭をタッチペンでこすり続けると、ヒントを出してくれることがあります。
登場人物
「登場人物」のパネルをタッチすると、上画面に登場している人物の説明が表示されます。その人物の名前やどういう人物なのかが簡単に説明されます。
履歴
「履歴」のパネルをタッチすると、直前までの会話が表示されます。スクロールバーをスライドさせれば、もう少し前の会話も見ることができます。
メニュー
「重要語録」、「相関図」、「新聞一覧」、「捜査記録」、「設定」が見られます。
「重要語録」は、今までに入手してきたすべての「重要語」が、その言葉が出てきた章や発言した人物の名前付きで閲覧できます。「重要語」の書かれたパネルをタッチすると、その「重要語」が発言されたシーンを再生できます。
「相関図」は、人物同士の相関関係が見られます。人物をタッチすると、その人物の説明が表示され、説明文の下の「チェック」をタッチすると、その人物に×印を付けることができます。
「新聞一覧」は、物語中に入手した新聞を見ることができます。掲載されている「パヅル」で遊ぶこともできます。パヅルには、クロスワード・パヅルと虫食い算があります。新聞のパヅルのクリア状況に応じて、それぞれ20問ずつのパヅルが追加されます。
「捜査記録」は、各章で金田一が直面した「出来事」の場面から、再度、物語をプレイすることができます。この項目は、物語のエンディングを見ることで選択できるようになります。
「設定」は、ゲーム中の各種設定を変更することができます。
ゲームの主な流れは、以下の通りですが、ゲーム自体、それほど難しくはないので、各章のタイトルのみの記述にとどめます。
発端。
第一章 尋ね人。
第二章 疑惑の人。
第三章 八つ墓明神。
第四章 四番目の犠牲者。
第五章 鎧の中。
第六章 春代の激情。
第七章 木霊の辻の恐怖。
第八章 絶対絶命。
大団円。
【GRAPHICS】7
3ヵ月前に発売された金田一耕助シリーズ第1弾「犬神家の一族」と全く同じです。
原作小説の雰囲気そのままに、モノクロの墨絵タッチで描かれたグラフィック、とありますが、まさにそのままの絵柄です。
キャラクターグラフィックもなかなか良くできており、しっかりと描き込まれた漫画と言い換えてもいいでしょう。登場人物のセリフが吹き出しで表されるので、そういった形容がピッタリかと思います。
もちろん、テレビゲームらしく、漫画のような完全な静止画ではなく、それなりに登場人物が動きますし、場面によっては色が変わることもあります。このあたりは、飽きることがありません。
「ニンテンドーDS」のこの手のアドベンチャーゲームというと、登場人物がアニメのキャラクターのように表現されることが多いのですが、本作はこうした描写になっており、しかも、それが物語の雰囲気にマッチしているため、好印象を持てます。
【SOUND】5
3ヵ月前に発売された金田一耕助シリーズ第1弾「犬神家の一族」と全く同じです。
「ニンテンドーDS」のゲームということで、セリフに音声はなく、叫んだりする時にだけ声を発します。通常は、効果音が中心になっています。
「ニンテンドーDS」でも、ほぼフルボイスのアドベンチャーゲームをプレイしてみたいものですし、そうなれば感情移入度ももっと上がるとは思うのですが、容量や予算面で難しいものがあるのでしょうか。
【CONTROL】8
3ヵ月前に発売された金田一耕助シリーズ第1弾「犬神家の一族」と全く同じです。
大半の操作は、タッチペンで行います。タッチペンによる操作は、特に難しいこともなく、快適に行うことができます。
また、ボタンによる操作も可能です。Aボタン(Lボタン)が決定/進める/速くする、など、Bボタンがキャンセル/戻る、十字ボタンがカーソル移動/項目の選択です。こちらも、特に問題はありません。おおむね、良好な操作性だと言えるでしょう。
【GAMEPLAY】8
本作は、横溝正史の小説である金田一耕助シリーズの第2弾です。
横溝正史がブームになったのは、角川映画の記念すべき第1弾として「犬神家の一族」が公開された1976年からです。
それ以降、「悪魔の手毬唄」(1977年)、「獄門島」(1977年)、「女王蜂」(1978年)、「病院坂の首縊りの家」(1979年)と、市川崑監督、石坂浩二主演により、立て続けに4本が公開されます。
しかしながら、「八つ墓村」は、ブームの1977年に公開されてはいるものの、松竹の手により作られているため、野村芳太郎監督、渥美清主演と、角川映画の市川崑監督、石坂浩二主演とは異なっています。
また、「八つ墓村」は、1996年には、東宝から、市川崑監督、豊川悦司主演で制作されています。そのため、当時のブームを知らないようなプレイヤーでも、「八つ墓村」はなじみのあるタイトルだと言えます。
横溝正史の小説である金田一耕助シリーズのゲーム化第2弾としても、悪くはない選択だと言えるでしょう。
もちろん、多くの人が、「八つ墓村」を見ているはずで、それとなくストーリーも覚えていることでしょう。映画は、「祟りじゃ~」のセリフとともに異様な雰囲気を醸し出していましたが、本作にも、そのエッセンスを感じ取ることができます。
なおかつ、本作は、モノクロの墨絵タッチでグラフィックが描かれており、映画の持つエッセンスを持ちつつ、漫画を読み進めるような気分で楽しむこともできます。
あの猟奇的な雰囲気や金田一耕助のユーモラスなところもしっかりと描かれていますし、八つ墓村の人々の祟りに対する恐れも、味わうことができます。
ゲームの進行もテンポが良く、事件が次から次へと発生しますし、次に何をやるべきかもある程度は分かります。難易度的には、何度か選択肢で迷うことがありますが、伏線が敷かれていたり、何らかのヒントが事前に得られるため、それほど間違えることもありません。
もちろん、どこでもセーブできるため、こうした気配を感じたら、直前でセーブしておけばいいだけのことです。
もっとも、前作の「犬神家の一族」に比べると、洞窟内の迷路があったり、終盤の選択肢の難しさがあったりして、「犬神家の一族」よりは少し難易度は上がっているのではないかと思います。
それでも、本作は、アドベンチャーゲームが好きな人が楽しめるのはもちろんのこと、横溝正史の小説や映画、「八つ墓村」そのものが好きな人でも問題なくプレイすることができます。
新聞は、物語中にもらうことができ、全部で16部あります。また、それぞれの新聞には、クロスワード・パヅルと虫食い算が掲載されています。このパヅルのクリア状況に応じて、それぞれ20問ずつのパヅルが追加されます。
これらのパヅルの特徴は、クロスワード・パヅルは、パズルでなくパヅルとなっていることからも分かるように、物語の時代設定に適した内容の問題が出題されます。そのため、その時代を想定しつつ解いていく必要があります。
パヅルは、それほど大きいものはありませんが、やり応えは通常のクロスワードパズルと同程度と考えられます。
虫食い算は、少し難しく感じるものもありますが、どうにか解けるでしょう。最悪、適当に数字を入れて、その数字が合っているかどうかをチェックすることもできます。
【LONGEVITY】6
本作は、プレイ時間は、あまり長くはありません。本編の「八つ墓村」は5時間もかからずにクリアできてしまいますし、おまけのパヅルもそれぞれ2時間といったところでしょうか。
つまり、すべてやったとしても、10時間はかからないわけです。プレイ時間的には、少し不満を感じるところでしょう。
【OVERALL】7
本作は、横溝正史の小説である金田一耕助シリーズの「八つ墓村」を原作にするアドベンチャーゲームです。原作小説の雰囲気そのままに、モノクロの墨絵タッチで描かれたグラフィック、重厚な物語、ゲームならではのストーリー展開が魅力になっています。
ゲームの進行もテンポが良く、事件が次から次へと発生しますし、次に何をやるべきかもある程度は分かり、漫画を読み進めるような気分で楽しむことができます。
それでいて、あの猟奇的な雰囲気や金田一耕助のユーモラスなところもしっかりと描かれていますし、八つ墓村の人々の祟りに対する恐れも、味わうことができます。
そのため、アドベンチャーゲームが好きな人が楽しめるのはもちろんのこと、横溝正史の小説や映画、「八つ墓村」そのものが好きな人でも問題なくプレイすることができます。
ただ、プレイ時間が、本編が5時間弱、おまけのパヅルも2種類で4時間ほどと、決して長くはありません。そのあたりが不満の残るところで、980円、せいぜい1480円なら買う価値があるというところでしょうか。
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