「ジーワンジョッキー3」レビュー

【GENRE】
スポーツ/競馬

【PUB./DEV.】
コーエー/コーエー

【RELEASE DATE】
2002/12/21

【OUTLINE】
ジョッキーとなってレースを勝ち抜いていく、ドラマチックレーシングゲームです。最初は新人ジョッキーとしてデビューしますが、勝利を重ねていきながら一流ジョッキーの仲間入りを果たし、GIジョッキーやリーディングジョッキーをめざします。
国内から海外まで全29ヵ所もの競馬場を、コースレイアウトから景観、アップダウンに至るまで忠実に再現。実名馬約6000頭、実名騎手100人以上が登場します。
また、「3」からは新たに、ハミを掛ける、手前を替える、見せムチ、風車ムチ、豪腕追いなどの多彩なアクションを追加し、審議・降着・落馬、追い切りも導入して、より本格化も図っています。

【GAME MODE】
ニューゲーム
新しくゲームを始めます。難易度はEASY、NORMAL、HARDの3段階から選べますが、EASYはさまざまな制限があるため、初心者であってもNORMALで始めるのがお奨めです。HARDはこれといった特典もなく、オートセーブされるため、選ぶ必要はないと思います。
1984年から2001年の間から始められますが、最初から最新データでプレイしたいのでもない限り、1984年から始めるといいでしょう。ゲームは、1週間が騎乗馬選び、厩舎回り、追い切り、レースという過程で進んでいきます。

ロードゲーム
セーブデータをロードしてプレイできます。セーブデータは5ヵ所まで作成できますが、たくさんセーブデータを作る必要はありません。

トライアルモード
1頭の馬を選んでさまざまな条件のレースを戦うモードで、「1人プレイ」と「対戦プレイ」があります。

1人プレイ
「シナリオ」、「ヒストリカル」、「フリー」をプレイできます。
「シナリオ」は、シナリオごとに決められたレースに乗ってスコアを稼ぎ、ベスト3入りをめざします。
シナリオには、「勇者の飛翔」(障害レース)、「電撃超特急」(短距離レース)、「マイルの鬼」(マイルレース)、「王道創造」(秋・冬の中央GIレース)、「スタミナ自慢」(長距離レース)、「ダートの大物」(ダートレース)があり、ベスト3に入ることで隠しレースを出現させられるシナリオもあります。
「ヒストリカル」には、「キャンペーン」と「シングル」があります。
「キャンペーン」は、1年を通してGI戦を再現するもので、「牡馬三冠」、「牝馬三冠」、「古馬王道」、「古馬短距離」があります。各キャンペーンとプレイする年代を選び、その年代の好きな馬でプレイすることができます。
「シングル」は、1つのレースをレース開催当時の条件通りに再現できます。
「フリー」は、各条件を自由に設定してレースが楽しめます。ライバル馬は、選んだ馬のレベルに応じて自動的に決まります。

対戦プレイ
2人対戦が、左右分割か上下分割による分割画面で行えます。プレイできるのは、「1人プレイ」の「シナリオ」か「フリー」です。

チュートリアル
レースの操作方法と画面の見方を覚えられます。

オプション
各種設定を変更することができます。

リプレイ
セーブしたレースのリプレイを見ることができます。

クレジット
地方競馬のPR画像が見られます。

【GRAPHICS】5
競馬場と競走馬のグラフィックの美しさを喜んでいられるのもほんの束の間で、すぐに処理落ちのひどさに愕然とさせられます。
そもそも「ジーワンジョッキー」シリーズは、テクモの「ギャロップレーサー」シリーズを真似て作られたもので、最近では内容ばかりか発売日までもが似通ってきています。
この「ジーワンジョッキー3」も2002年12月21日発売と、「ギャロップレーサー6」の2002年12月12日のわずか9日後の発売なのです。
「ギャロップレーサー5」では、各競馬場のコース内こそ忠実に再現されていましたが、コース外は現実通りのスタンドこそあるものの、それ以外は木が一様に並んでいるだけのものでした。
それに対して「ジーワンジョッキー3」では、コース内はもちろんのこと、コース外もスタンドばかりか、ビルや高速道路、木や柵までもが丁寧に描かれているのです。そのため、それらと多数の馬が同時に描写された場合には激しく処理落ちしてしまうのです。
この処理落ちに関してはコーエー側でも気がついていたはずですが、「ギャロップレーサー6」の発売日を考えると、発売を延期してまで直すわけにはいかなかったのでしょう。
実は、「ギャロップレーサー6」にも多くのバグが存在しており、こうした競争の被害をユーザー側が被るのは問題ではないでしょうか。

【SOUND】9
ステレオです。馬の蹄の音やゲートが開く際の音、レース時以外のBGMなどは、競馬ゲームとしては水準レベルのサウンドとなっています。
ただ、ゲートイン時のファンファーレは鳴らしてほしかったところです。GIの場合は特に、各競馬場ごとに特徴的なファンファーレが流れます。そのファンファーレがGI特有の緊張感や期待感を盛り上げる要素にもなっているのです。次回作では、ぜひともファンファーレを入れてほしいものです。

【CONTROL】9
ハミを掛ける、手前を替える、見せムチ、風車ムチ、豪腕追いなどの多彩なアクションが追加されていますが、特に難しいものもありませんし、そもそもすべてを使いこなせる必要もありません。
通常の操作も良好ですから、レース中は手先よりも頭を使った臨機応変な騎乗をすることができます。コーナーでは何もしないと徐々に外に膨らんでいき、自馬の外を走っている馬もそれに合わせて膨らんでくれます。
そのため、道中は経済コースを通り、3コーナーから徐々に外に出すといった乗り方もできます。また、レース時以外の操作性も良好です。

【GAMEPLAY】9
元々が本格的なジョッキーレーシングゲームをめざしている本シリーズですが、ハミを掛ける、手前を替える、見せムチ、風車ムチ、豪腕追いなどの多彩なアクションを追加することで、より本格的な競馬ゲームへと進化を遂げています。また、そうした操作が手軽に行えるのも嬉しいところです。
更に、馬の個性が20項目にもわたって設定されていますし、それらをレース前に馬場状態などとともに知ることができるのも適切な配慮です。
「トライアルモード」も、競馬好きの気持ちをよく理解したモードで、ゲームの幅をより広げるものとなっています。唯一残念なのは、地方競馬の重賞競走が中途半端なことと、最近の地方馬が実名になっていないことです。
ミツアキサイレンスがミソカツサイレンスでは悲しすぎます。ここはもうちょっと頑張ってほしかったところで、これがなければ10点満点にできたことでしょう。

【LONGEVITY】10
1週間の間にも騎乗馬選び、厩舎回り、追い切り、レースとやることが多く、1週間の騎乗馬が5頭もいれば軽く30分はかかってしまいます。それが1ヵ月で2時間、1年で24時間というわけで、仮に10年プレイするとなると240時間もかかります。
「トライアルモード」も、楽しみ方次第では何時間でもプレイできることでしょう。競馬にそれほど造詣が深くない人でも50時間、興味がある人ならかなり長く楽しめること請け合いです。

【OVERALL】9
「ギャロップレーサー6」がそれまでのリアル路線から一転してライトユーザー狙いに走ってしまったため、初めてこの「ジーワンジョッキー」シリーズに手を出すことにしました。
そもそもコーエーの競馬ゲームは競馬サークルに力を入れすぎていることが面倒でずっとプレイしていなかったのですが、本作のデキの良さはその面倒な部分を補って余りあるほどです。
本作はまさに、競馬もテレビゲームもコアユーザーという人のためにあるのだと言えるでしょう。それだけに処理落ちのひどさが残念でなりません。
これだけのデキの良さであれば、例え発売を延期したとしても、ユーザーは「ギャロップレーサー6」を買わずに待っていてくれるはずです。メーカーには、そうした英断も期待したいものです。

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