「XBOX 360 GAME PAD PRO」レビュー

「Xbox 360」のアメリカにおける代表的サードパーティであるMad CatzのXbox 360用コントローラー「XBOX 360 GAME PAD PRO」が、2006年5月25日にカナダから到着したので、そのインプレッションをご紹介します。
Mad Catzは、1989年の登場以来、アメリカでは常にトップクラスの周辺機器メーカーの地位にあり、製品に対して5年間保証を付けていることでも知られています。私も、実際に、その恩恵にあずかっています。
Mad Catzの「XBOX CONTROL PAD PRO」のトリガーの調子が悪くなった時、Mad Catzに「トリガーのパーツだけ買えないか」と問い合わせのメールを送ったところ、「無料でトリガーのパーツを送ります」という返事が来たのです。
さすがに、素人がいきなり分解して直せるものではなかったのですが、そのあたりにMad Catzの真摯な姿勢をうかがい知ることができます。
さて、前置きはこのぐらいにして、この「XBOX 360 GAME PAD PRO」のインプレッションを書いていくことにしましょう。

外観 マイクロソフトの純正コントローラーとほぼ同じ外形寸法ですが、ボタンやスティックが全体に中央寄りに配置されており、コントローラーの下側が純正コントローラーよりもせり上がった形状になっています。
それに伴って、グリップも細身になっています。また、横から見た形状も、純正コントローラーに比べ、トリガー側に向けて大きくえぐれています。そして、同社の「PRO SERIES」の最大の特徴となっているラバーグリップですが、それは「XBOX 360 GAME PAD PRO」でも健在です。
健在というよりもむしろ、それを一歩進めた形になっており、グリップ部分だけでなく、コントローラー裏側の薬指と小指が当たる部分、そして、人によっては中指が当たる部分にも、ラバーグリップが施されています。
こうした外観とラバーグリップの存在により、「XBOX 360 GAME PAD PRO」のホールド性は、純正コントローラーよりも向上しています。
純正コントローラーは、実は「Xbox」のマイクロソフト純正コントローラーよりも肉厚が減っており、「Xbox 360」の純正コントローラーでプレイしてからXboxの純正コントローラーでプレイすると、少しボテッとした印象を受けます。
それでも、「XBOX 360 GAME PAD PRO」を握ると、純正コントローラーのホールド性に見劣りを感じてしまいます。
それは、前述した「XBOX 360 GAME PAD PRO」のグリップ部分の形状とラバーグリップによるところが大きくなっています。
このグリップ形状は、薬指と小指が自然にグリップに絡みつくようになるとともに、指先がラバーグリップに当たるようになっているのです。また、手の平の部分も、グリップ横のラバーグリップにしっかりと触れています。
そのため、コントローラー全体に光沢処理が施されているにも関わらず、その光沢部分を力を入れて握るということがなく、優れたホールド性を実現させているというわけです。
純正コントローラーの場合には、つや消し処理を施すことで手が滑らないようにしてはいるのですが、いったん「XBOX 360 GAME PAD PRO」を手にしてしまうと、コントローラーを握っているというよりは持っているという感覚が強くならざるを得ません。
この違いは、成人男性はもちろんのこと、手の小さな女性や子供にとっては、かなりのアピールポイントになることでしょう。
「XBOX 360 GAME PAD PRO」のコントローラー形状にあえて難点を挙げるとすれば、人差し指トリガー派にとっては、中指部分のグリップが少しえぐれすぎているかもしれないという点です。
それでも、中指の先はラバーグリップに当たるため、純正コントローラーよりも良好なホールド性が得られるのは確かでしょう。
ちなみに、重量は235gで、純正コントローラー(ワイヤード)の225gよりも、10g重いだけという僅かの差になっています。

左右のスティック 「XBOX 360 GAME PAD PRO」は、純正コントローラーよりも、スティック自体が一回り小さく、逆にストロークが長くなっています。つまり、純正コントローラーよりも、小さなスティックが上に飛び出した形状になっているということです。
そのため、純正コントローラーはスティックの上面に親指がピタリとはまり込むのに対し、「XBOX 360 GAME PAD PRO」は親指の腹を当てて操作する感じになります。
この違いは慣れによるところが大きく、どちらがいいとは言えませんが、あえて言うなら「XBOX 360 GAME PAD PRO」の方が軽いタッチで操作できそうです。
また、ストロークの大きさは、繊細なアナログ操作をしたい時には適しており、レースゲームで少しだけステアリングを切った状態で保っておくといった操作は得意そうです。

方向パッド 機種を問わず、純正コントローラーとサードパーティのコントローラーの大きな違いが、方向パッドの形状でしょう。
純正コントローラーは丸型で十字状の溝が盛り上がっているのに対し、「XBOX 360 GAME PAD PRO」は完全に十字キーの形状をしています。この形状が十字になっていると、正確に上下左右に動かせるばかりでなく、斜め方向への操作も間違いなく行えるという利点があります。
もっとも、この点に関しては、丸型であっても慣れれば的確な操作が行えるため、大きなアドバンテージとも言えないかもしれません。

A、B、X、Yボタン 「XBOX 360 GAME PAD PRO」の方が、純正コントローラーよりも、4つのキーの距離が近くなっています。この距離の近さは、誤操作するほどの距離ではないため問題とはなりません。
逆に、4つのキー間を頻繁に行き来する必要があるゲームでは、距離が近い分、素早い操作を可能にすることでしょう。
また、純正コントローラーのキーの上部が丸められているのに対し、「XBOX 360 GAME PAD PRO」が平たくなっているのも、このキー間の距離と関連性があるとも考えられます。
キー間の距離があると素早くキー間を移動する際に上部が丸められていないとひっかかるおそれがありますが、キー間の距離が近い場合には、キーの上部が平たくてもひっかからないからです。
もっとも、両者のキーの距離と形状の違いは、慣れと好みの範囲ではあると思います。

スタート、バック、Xboxガイドボタン 純正コントローラーではXboxガイドボタンの両脇にバックボタンとスタートボタンが配されているのに対し、「XBOX 360 GAME PAD PRO」ではXboxガイドボタンの上部のエッジ部分にバックボタンとスタートボタンが配されています。
純正コントローラーは、Xboxの純正コントローラーのバックボタンとスタートボタンが左のグリップ上部に配されていて誤って手の平などで押してしまうことがあったため、コントローラーの中央に場所を移しています。
このため、そのことによる誤操作はなくなったのですが、新たな問題が発生しました。それは、Xboxガイドボタンとの誤操作です。Xboxガイドボタンとスタートボタンは押す機会が多いのですが、急いで押そうとすると違う方のボタンを押してしまう場合があります。
「XBOX 360 GAME PAD PRO」では、この点に配慮して、バックボタンとスタートボタンをこの位置に配したのでしょう。お蔭で、こうした誤操作は少なくなっているのですが、バックボタンとスタートボタンを頻繁に使うゲームでは、距離が遠くて少し押しづらくなってはいます。
また、Xboxガイドボタンの質感に関しては、純正コントローラーの方が高級感があります。純正コントローラーがメタリカルな印象があるのに対し、「XBOX 360 GAME PAD PRO」は透明のカバーの中にプリントを入れただけといったチープさがあります。見た目で損をしている数少ない部分であると言えるでしょう。

LRボタン、LRトリガー 純正コントローラーでは、ボタンとトリガーはほぼフラットに配されており、トリガーはコントローラーで覆われるような形状になっています。
それに対し、「XBOX 360 GAME PAD PRO」では、ボタンは大きく平たくし、トリガーを指に沿うように湾曲した形状とした上でボタンよりも後退させてコントローラーからは独立させています。
これにより、ボタンを的確に押せるばかりでなく、トリガーも指になじみやすいようになっています。トリガーのストロークも純正のコントローラーより大きくなっているため、レースゲームのパーシャルスロットルはよりやりやすくなっています。
また、スティックが後退してコントローラーから独立したことで、手の小さな女性や子供でもスティックが操作しやすくなっています。

ターボボタン Mad Catzのコントローラーの特徴として、ターボボタンの存在も挙げられます。ターボボタンは、A、B、X、Y、L、Rの6つのボタンにプログラムすることが可能です。
ターボ時間は、秒間に以下の回数でプログラムすることができます。5回、10回、15回、30回。設定方法や解除方法も難しくはないため、ゲームによっては重宝することでしょう。

インバートボタン Xbox 360では、ゲーマープロフィールで右スティックのインバートを指定することができますが、ゲームによってはこの指定が効かない場合も考えられます。そうした場合に、このインバートボタンが役に立ちます。

オーバーオール 純正コントローラー(ワイヤード)が3500円なのに対し、「XBOX 360 GAME PAD PRO」は$34.99。DVD boxoffice.comなら、送料は無料のため、4000円弱で購入することができます。
そのため、純正コントローラーとの実売価格差は1000円程度になります。「XBOX 360 GAME PAD PRO」には、その価格差を補うだけの利点があると言えるでしょう。
コントローラーのホールド性は高く、女性や子供でも扱いやすい形状をしています。また、左右のスティックと左右のトリガーは、アナログ操作に対する柔軟性が高く、特にレースゲームなどで効果を実感できます。
更に、ターボボタンも、必要に迫られた時には重宝しそうです。2P用のコントローラーや予備のコントローラーとしても、お薦めできるコントローラーです。

※、「Xbox 360ヘッドセット」を装着すると、相手方に対し、人によっては不快なノイズが出っ放しという状態に陥っています。ただし、これが、個体差による不具合なのか、「Xbox 360ヘッドセット」が純正のコントローラー以外のサードパーティのコントローラーとの相性が悪いことによるものなのか、コントローラーのポートの端子の感度が良すぎるものなのかは不明です。
もっとも、「Xbox 360ワイヤレスヘッドセット」を使えば、当然のことながら、この問題は発生しません。

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