「レッスルキングダム」ウォークスルー&レビュー

【GENRE】
スポーツ、プロレス

【PUB./DEV.】
ユークス/ユークス

【RELEASE DATE】
2006/01/19(不具合修正版)、2005/12/22(不具合未修正版)

【OUTLINE】
新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノア、フリーの大物レスラーが登場するプロレスゲームで、最大4人同時対戦を行うことができます。
プロレスゲームを作り慣れたユークスだからこそ成し得た、”簡単操作かつ奥深いゲームシステム”と”ド派手で爽快な演出”で、プロレスの持つ魅力とその世界観を存分に楽しむことができます。また、Xbox LIVEにより、オンライン対戦を行うこともできます。

【GAME MODE】
FREE FIGHT
実在のレスラーやエディットレスラーを使用して、色々な形式の試合を行うことができます。
「FREE FIGHT」には、「シングルマッチ」(1対1で戦います)、「タッグマッチ」(2対2で戦います)、「3ウェイマッチ」(1対1対1で戦います)、「ハンディキャップマッチ」(1対2で戦います)、「4ウェイマッチ」(1対1対1対1で戦います)、「チームバトル」(5対5で1人ずつ勝ち抜きで戦います)、「サバイバルマッチ」(1対1で戦い、負けるまで次々と相手が登場するもので、途中でセーブすることはできず、30人を破って初めてクリアとなります)、があります。
「サバイバルマッチ」は、対戦相手は、10人目まではジュニアヘビーや若手が中心となり、20人目まではヘビーの中堅が中心となり、30人目までは各団体のエース級が中心となります。
もっとも、30人を連続して破らなければならないと言っても、パラメーターは1人を破るごとにリセットされるため、常に最良のコンディションで新たな相手と戦うことができます。
このうち、「サバイバルマッチ」だけが実績の対象となっていて、ゲーマースコアも150Gあり、実績の中では最も手軽に解除することができるため、狙わない手はない実績です。
ルール設定は、以下の3つから基本的なルールを設定することができます。
「ノーマルルール」は、プロレスにおいて最も基本的なリング内でのフォールやギブアップによる決着を目的としたものです。
「ハードコアルール」は、基本的にはノーマルルールと同じですが、反則裁定を取られることが一切ないものです。
「三本勝負ルール」は、3本のうち2本を先取した方が勝者になるものです。
また、試合形式によっては、以下の2つのルールを別に設定することもできます。
「イリミネーションルール」は、最後の1人になるまで試合が続くもので、「タッグマッチ」、「3ウェイマッチ」、「ハンディキャップマッチ」、「4ウェイマッチ」で設定することができます。
「トルネードルール」は、全員が試合権のあるレスラーとしてリング上で戦うもので、「タッグマッチ」、「ハンディキャップマッチ」で設定することができます。

DRAMA
オリジナルのレスラーを作り、師匠となる実在のレスラーの元で修行したり、海外へ武者修行に出たりして、レスラーとして成長していきます。「DRAMA」では、プロローグを経て、新人時代→修行時代→下克上時代、と物語が進んでいきます。
1周はトレーニング・ドラマ・試合で1セットとなっており、10周が過ぎた時点で1時代が終わり、次の時代が幕を開けます。最後の下克上時代には所属団体のタイトルを目指して戦い、30周を消化するとエンディングを迎えます。
所属する団体やめざすタイトルによってさまざまな結末が用意されており、成長する要素も変化していきます。
「DRAMA」を始めたら、最初にエディットレスラーを作成します。
エディットレスラーは、ロングネーム、ショートネーム、ニックネームを入力したら、バックボーンを以下の中から選びます。
アマレス、柔道、相撲、空手、キックボクシング、ボクシング、インディー団体、総合格闘技、体操、ボディビル、プロレスファン、無し。
次に、バックボーンによって異なるベースボディを3つの中からひとつ選び、全10問の性格判断に答えたら、更に細部にわたって設定していきます。
肉体調整は、全体、頭頂部、頭、顔(顔のタイプ、輪郭、眉毛、目、鼻、口、ひげ)、カラー&スキン、を細かく決めていきます。
続いて、コスチューム選択を行います。コスチュームは、試合用、練習用、入場用を個別に設定することができ、上着、パンツ、シューズ、アクセサリ、SPアクセサリ、髪型、マスク、ボディペイント、コスチュームカラー、を細かく決めていきます。
入場設定は、入場曲、登場時間、エントランス、花道、リングイン、コールアピール、コールネーム、を決めることができます。入場曲は、ハードディスクに入れてある音楽を使うことも可能です。
技設定は、ファイトスタイル、立ち技、寝技、飛び技、カウンター、コーナー、その他、フィニッシュホールド、を決めることができます。当初は、バックボーンに沿った基本的な技しか持っていません。
COM設定は、オーソドックスタイプ、投げ技タイプ、ラフタイプ、飛翔タイプ、打撃タイプ、間接タイプ、からひとつを選びます。その後、カードを作成してエディットの終了です。

「DRAMA」の実際の流れは、以下の通りです。

第一章 目指せスーパースター!
新人時代: この時代は、団体内の抗争に巻き込まれる形で進んでいき、団体の若手や中堅、ジュニアヘビーの選手などと戦います。試合前には、師匠として選んだ選手から、その試合のアドバイスが受けられます。難易度は、低めです。

第二章 個性を見いだせ!
修行時代: この時代は、海外の以下の4地区をサーキットします。アメリカ西部(魅せるプロレスが盛んな地域です)、アメリカ東部(有名なボクシングジムが多数あります)、ロシア(総合格闘技が盛んな地域です)、メキシコ(空中殺法を特色とするルチャ発祥の地です)。
どの地区で戦うかは1試合ごとに選ぶことができますが、勝つごとにその地区のレベルが上がっていきます。試合前には、対戦相手とのやり取りがあります。各地区の選手は架空選手なのですが、地区によってはそれなりにモデルがあります。
特に、ロシアの場合には、5人全員がすぐにそれと分かるようになっています。上から順に、イゴール・ボブチャンチン、アレクサンドロ・ヒョードロフ、エメリヤーエンコ・ヒョードル、ヴォルク・ハン、アレキサンダー・カレリン、です。
もっとも、修行時代の海外遠征は勝って当然の試合ばかりなので、ヒョードルであろうとも、あまり強くはありません。ヒョードルほどの実力者であれば、最後の最後に出てきても良さそうなものですが、実名でなければ、そうもいかないのでしょう。
10周を終えたら、帰国して凱旋試合を行います。難易度は、凱旋試合を除いては、低めです。

第三章 プロレス界の頂上へ!
下克上時代: この時代は、団体に関係なく、以下の各団体の最高峰のリーグ戦やトーナメントを選んで出場します。
新日本プロレス: ヘビー級(GICLIMAX、IWGPチャンピオン)、ジュニア級(ベスト・オブ・スーパージュニア、IWGPJr.チャンピオン、スーパーJカップ)。
全日本プロレス: ヘビー級(チャンピオンカーニバル、三冠チャンピオン)、ジュニア級(世界Jr.チャンピオン決定戦、スーパーJカップ)。
ノア: ヘビー級(7番勝負、GHCチャンピオン)、ジュニア級(GHCJr.チャンピオン、スーパーJカップ)。
フリー(運命の十番勝負)。
難易度は、少し高めです。優勝すると、リーグ戦やトーナメントにちなんだ隠しレスラーをアンロックできるようです。

CARD FILE
ゲーム中に入手したカードの閲覧が行えます。
カードには、レスラープロフィールカード(実在レスラーのプロフィールや画像を閲覧することができます)、エディットレスラーカード(作成したエディットレスラーのプロフィール・パラメータ・特殊能力を閲覧することができます)、タイトルカード(タイトルや大会の情報を閲覧することができます)、ムービーカード(実在レスラーのインタビューを再生することができます)、があります。

EDIT
オリジナルのレスラーを作成できます。作成方法は、「DRAMA」の項目で述べている通りで、「NODATA」のカードを選択すると新規にレスラーを作成することができ、既にデータがあるカードを選択すると再編集することができます。

OPTIONS
ゲームの各種設定の変更やセーブ&ロードなどが行えます。本作はオートセーブではないため、必ずセーブする必要があります。

XBOX LIVE
Xbox LIVEで通信対戦が行えます。
「ランクマッチ」は、1対1で対戦するもので、対戦結果はランキングに反映されます。
「プレイヤーマッチ」は、「シングルマッチ」、「タッグマッチ」、「4ウェイマッチ」で対戦することができますが、ランキングには反映されません。
ランキングは、スコアの低い人が高い人に勝つと加算されるスコアが増え、逆に、スコアの高い人が低い人に負けると大幅に減ってしまいます。スコアの差によっては、引き分けでも増減することがあります。また、エディットレスラーは、名前は表示されません。

【ACHIEVEMENT】
新人王(100): 「DRAMA」をクリアします。
絶対王者(100): 「DRAMA」を負けずにクリアします。
闘神(200): 「DRAMA」をカリスマMAXでクリアします。
五冠王(150): 「DRAMA」でタイトルカードを5枚入手します。
全冠独占(150): 「DRAMA」でタイトルカードをすべて入手します。
鉄人(150): 「サバイバルマッチ」で30人勝ち抜きます。
闘将(150): 「FREE FIGHT」で50勝します。

Overall(1000): 「DRAMA」で取れる実績が5つで、「新人王」、「絶対王者」、「闘神」は、1回目のプレイで同時に解除することも可能です。
「五冠王」は、早ければ2回目、遅くとも3回目のプレイで解除できます。厄介なのが「全冠独占」で、最低でも6回はプレイしなければなりません。
「鉄人」、「闘将」は、簡単に解除することができますが、「鉄人」は、いったん始めたら途中でセーブすることができず、1時間30分ぐらいはかかるため、あらかじめ時間の余裕を持って始める必要があります。
通常は「全冠独占」を除いた850Gをめざすべきで、作業的繰り返しを我慢できるなら「全冠独占」までの1000Gを狙います。

【GRAPHICS】8
リアル系のプロレスゲームということで、レスラーや会場がどこまで現実に忠実に再現されているかが問題となりますが、その点で本作は十分どころか十二分に満足のいくレベルに仕上がっています。
本作では、新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノア、フリーの大物レスラー、が登場しますが、具体的に名前を挙げると、以下のようになります。

新日本プロレス: 蝶野正洋、中邑真輔、棚橋弘至、天山広吉、永田裕志、中西学、西村修、藤波辰爾、獣神サンダーライガー、タイガーマスク、金本浩二、稔、井上亘、邪道、外道、初代タイガーマスク(隠し)、マスクド・デビロック(隠し)、アントニオ猪木(隠し)。田中秀和リングアナウンサー、レッドシューズ海野レフェリー。

全日本プロレス: 武藤敬司、グレート・ムタ(隠し)、小島聡、嵐、太陽ケア、ジャマール、カズ・ハヤシ。木原文人リングアナウンサー、和田京平レフェリー。

プロレスリング・ノア: 三沢光晴、小橋健太、秋山準、田上明、力皇猛、森嶋猛、小川良成、モハメド・ヨネ、丸藤正道、KENTA、金丸義信、杉浦貴。仲田龍リングアナウンサー、西永秀一レフェリー。

フリーの大物レスラー: 高山善廣、川田利明、天竜源一郎、佐々木健介、藤田和之、長州力、村上和成、柴田勝頼、橋本真也。

まず、レスラーのモデリングですが、「Xbox 360」のグラフィック能力のお蔭で、耳の中まで立体的に作ることができるようになったそうで、レスラー本人が見ても「うわー、気持ち悪いぐらいそっくりだなぁ。本人よりもカッコイイよ!」とビックリするほどだったようです。
プロレスゲームにかかわらず、この手のライセンス商品では、選手の社交辞令も混ざったコメントになりがちですが、本作ではそんなことは皆無だと言えるでしょう。
体格やコスチューム、リングシューズ、バンテージ、サポーターなどはもちろんのこと、筋肉、体脂肪の付き方までそっくりですし、何よりも驚かされるのは、顔が実際のレスラーに酷似していることです。
プロレスゲームと言えば、世界的にもユークスの開発力が抜きん出ているのは確かなところですが、ここまで実在のレスラーに似ているのは、史上初めてのことだと言えるでしょう。
また、レスラーのモーションも、モーションキャプチャーしているのは当然のことながら、実際のレスラーの動きを正確に再現したものになっています。
おなじみの入場行進や選手紹介の動き、選手固有のアピール、技などは、どれもが迫真のリアリティを生み出しています。
レスラーのモーションで残念な点を挙げるとすれば、敵の攻撃を避けたり、切り替えしたりする際の動きで、これに関してはどのレスラーも同じになってしまっています。
ここは、せめて、ジュニアヘビーやアマレス出身などレスラーのタイプごとに、違った避け方や切り替えし方があっても良かったのではないかと思います。

エディットレスラーの自由度の低さも、残念なところです。エディットパーツは、どうしても表現を簡略せざるを得ない部分があり、クオリティのギャップを埋めるのに非常に苦労したとのことです。
とはいえ、デフォルトのレスラーのモデリングがここまで素晴らしいと、完成したエディットレスラーとの間に生じるクオリティ差を、もう少し埋めることができなかったのかと思わずにはいられません。
実際のところ、本作でエディットレスラーを作る際に、実在するレスラーにそっくりなエディットレスラーを作ろうと思っても、ほぼ不可能です。
エディットパーツやその自由度があまりにも低いため、そもそも日本人顔を作るのが難しいですし、体格や装備がバックボーンで決められてしまうことや身長がcm単位で選べないのも考えものです。
なにしろ、バックボーンをインディー団体にすると(冬木弘道のような)大柄のレスラーができてしまいますし、バックボーンをキックボクシングにするとボクシンググローブを着けた状態で試合をやらなければなりません。
こうした点から考えても、自由度はもっと高くしておくべきでした。次回作への検討課題でしょう。
会場は、ホール会場、国技館、シーサイドホール、武道館、ドーム会場、道場、海外会場1、海外会場2、があり、日本国内の会場は、各団体のリングタイプを選ぶことができます。
それぞれの会場の雰囲気はよく出ているのですが、観客が、アメリカだろうが、ロシアだろうが、メキシコだろうが、すべて日本人で埋め尽くされているというのは、少し手抜きかなという気がします。
やはり、アメリカ、ロシア、メキシコ、それぞれに観客のカラーがあるはずなので、こうしたところにもこだわってほしかったところです。

【SOUND】6
ドルビーデジタルです。本作のサウンドは、グラフィックに比べると、少し寂しいものになっています。
選手の入場曲は実際のものを使用し、リングアナウンサーのコールは各団体のリングアナウンサーがアフレコしています。観客による応援の歓声もあります。ところが、肝心のレスラーのボイスが、一切、入れられていないのです。
本作は、「DRAMA」では、試合前には、師匠として選んだ選手から、その試合のアドバイスが受けられますし、場合によっては、リング上で言葉の応酬が飛び交うこともあります。ところが、こうしたアドバイスややり取りのボイスがないのはもちろんのこと、試合中の掛け声やうめき声すら聞くことができません。
「プレイステーション」版の「全日本女子プロレス女王伝説~夢の対抗戦~」という7年半前のタイトルでも、これを実現させていたのですから、残念だと言うほかありません。
レスラーを招いてモーションキャプチャーしているぐらいですから、最低でも掛け声やうめき声ぐらいはサンプリングするべきでしたし、アドバイスややり取りのセリフ量も少ないのですから、ぜひともアフレコはしてほしかったところです。こちらも、次回作への検討課題ということになるでしょうか。

【CONTROL】8
プロレスらしく、それぞれのレスラーの技に対応した操作はありますが、基本的な操作はすべてのレスラーに共通です。
左スティックか方向パッドが移動、Aボタンがつかみ、つかみカウンター、Xボタンが打撃、打撃カウンター、Yボタンがダッシュ、Yボタン+左スティックか方向パッドが場外との出入り、Bボタンがその他のアクション、Bボタン+左スティックか方向パッド下がフォール、右スティックがアピール、左トリガーがハンズアップ(手四つ発動)とグラッブル状態解除、右トリガーが気合行動、左右のボタンがターゲット変更、が主なもので、長押しによって強くすることもできます。
相手と同じボタンをタイミング良く押すことでカウンターが発動し、ボルテージMAX状態でアピールを行うとA+Xでフィニッシュホールドを繰り出すことができます。また、気合を使うと、それぞれの行動が早くなりますが、気合は限られています。
本作は、適当なボタンを押しているだけでいろいろな技が出て、それなりの試合をすることができますし、対戦相手に勝つこともできるので、そうした意味では操作は簡単な部類に入ります。
しかし、さまざまなボタンを組み合わせることによって、よりプロレスらしい試合を行うこともできるため、自分なりの試合を作ることもできるという奥深さも持っています。
操作に対する反応が少し鈍いような気もしますが、プロレスならではの”間”ということもできるでしょう。

【GAMEPLAY】7
プロレスゲームと言えばユークス、ユークスと言えばプロレスゲームというぐらいに、プロレスゲームにおけるユークスの地位は揺るぎないものになっています。
アメリカで発売されるプロレスゲームの多くも、実はユークスが開発しており、ユークスのプロレスゲーム開発会社としての知名度は、国際的なものになっているわけです。
そんなユークスが、新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノア、フリーの大物レスラーを一堂に会したプロレスゲームを、「Xbox 360」のローンチに近いところで「Xbox 360」で独占販売し、しかも、オンライン対戦を可能にしているのですから、こんなに素晴らしいことはありません。
ところが、ここに落とし穴がありました。ゲームソフトでハードディスクの空き容量を正しく認識できず、ゲームデータをハードディスクにセーブできないことが起こりうるという事実が判明してしまったのです。
これにより、「Xbox 360」発売直後の有力タイトルが、年末というテレビゲーム最大の商機でありながら、販売を一時停止せざるを得ないという羽目に陥ってしまいます。

もっとも、この件に関するユークスの対応は真摯なもので、販売停止以前に購入したユーザーに対しては無償で修正品と交換していますし、不具合修正版も2006年1月19日に販売を開始しています。
しかも、不具合修正版とそうでないバージョンの見分け方すら明示しています。その見分け方とは、不具合修正版は、パッケージ裏面のJANコード記載欄とゲームディスクの下部に丸い印が付いているというものです。メーカーのこうした姿勢は、大いに評価できます。
しかし、これによって、本作のセールスが盛り上がりを欠くものになってしまったのは事実であり、「Xbox 360」のスタートダッシュに幾ばくかの影響を与えたのも確かです。
ユークスの持てる力(人力と財力)のすべてを投入したタイトルだっただけに、このつまずきは大きく、「ONLY ON XBOX 360」のはずが、半年で「プレイステーション2」でもリリースとなってしまったのも致し方のないところでしょう。
もちろん、「プレイステーション2」のグラフィック性能によるグラフィックの低下と、オンライン対戦の未対応による楽しさのスポイルはあるため、「プレイステーション2」版が本来の「レッスルキングダム」ではないので、「レッスルキングダム」がどうしてもやりたいという向きは、「Xbox 360」版を買うのが最良の選択ではあります。

さて、本作の特徴として挙げられるのが、プロレスゲームにストーリーの要素を持ち込んだ「DRAMA」の存在です。
「DRAMA」は、既に解説しているように、エディットレスラーを作り、1人の新人プロレスラーとして付き人からスタートし、新人時代、修行時代、下克上時代を経て、トップレスラーとして成長していくというものです。
「DRAMA」では、師匠として選んだレスラーや対戦相手のレスラーなどと、試合前を中心にやり取りがあり、プロレス界の空気を肌で感じ取ることができます。
これにより、ひたすら試合を繰り返して勝ち続けていくという従来のプロレスゲームの単調さという壁を打ち破ることに成功しています。
ここまでやるなら、やはり、セリフにボイスはつけてほしかったというのが率直な感想ですし、エディットレスラーの自由度の高さもほしかったところです。
また、「DRAMA」では、30周を過ぎてエンディングを迎えると、そのレスラーの「DRAMA」は終了してしまいますが、この手の育成シミュレーションの場合には、エンディング後も自分が育てたキャラクターでストーリーを続けられるのが当たり前になっています。
本作でも、そのまま他団体のベルトに挑戦したり、リーグ戦に参加できるようになっていれば良かったと思います。
本作の実績には「全冠独占」という項目がありますが、これを解除するためには、最低でも6回は「DRAMA」を繰り返さねばなりません。
この作業が面倒で、「全冠独占」の解除をあきらめるという人は、少なくないのではないかと思います。ここは、ユーザーに便宜を図るべきでした。

新たに採用された、「ボルテージシステム」、「気合システム」、「チェーンレスリング」は、プロレスらしさを演出するとともに、試合の単調さを防ぐという意味で、悪くないシステムだと思います。
「ボルテージシステム」は、試合の展開により、グロッキー状態、ノーマル状態、ボルテージMAX、フィニッシュ状態、と変化していくので、これを目安に試合を行えるというメリハリがあります。
「気合システム」も、気合ゲージを使ってしまうとほとんど回復の見込みがないため、どこで気合を使うかといった駆け引きを楽しむことができます。
「チェーンレスリング」は、プロレスの試合で序盤によく見られる攻防のひとつですし、ボルテージが回復するという効果もあるため、名実両面で役立つものになっています。
これらも、プロレスゲームの第一人者であり、日夜、プロレスを研究するユークスだからこそ、採用されたものだと言えるでしょう。

【LONGEVITY】7
本作のメインモードとなる「DRAMA」は、「EDIT」に意外と時間を取られるのですが、それでも、30周を終えるのに、早ければ4時間、遅くとも5時間もあれば十分です。
「もう1回やってみる」と2回目のプレイをするのが一般的だと思いますし、たいていの人は「FREE FIGHT」もプレイすることでしょう。そう考えると、最低でも20時間近くはプレイするのではないかと思います。
もちろん、「全冠独占」を狙えば30時間以上はかかりますし、「XBOX LIVE」もやれば息長くプレイすることができます。ここでは、最低でも20時間を取って、「7」ということにしておきます。

【OVERALL】8
本作は、プロレスゲームと言えばユークス、ユークスと言えばプロレスゲームというぐらいに、プロレスゲームにおいて確たる地位を築いているユークスが、「Xbox 360」に向けて全力で取り組んだプロレスゲームです。
プロレスラーがここまで実在のプロレスラーに似ているプロレスゲームは史上初めてですし、「DRAMA」や新たに採用されたプロレスらしいシステムもゲームを面白いものにしています。
発売直後に味噌を付けはしたものの、プロレスゲームとしてのデキは過去のプロレスゲームを上回っているので、プロレスゲームが好きなら、買っても損はないタイトルでしょう。

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