1990年11月30日~12月2日/富士スピードウェイ
「EURO-MACAU-JAPAN CHALLENGE CUP」で、ヨーロッパと日本のF3のトップドライバーが一堂に会して、F3トップの座を競います。また、マカオ、富士と2週連続で戦うという画期的な試みの第1回となります。
予選順位は、以下の通りです。決勝選抜トーナメントレースA組、B組それぞれ上位12人の24台と、13位以下の選手で予選タイム上位3人ずつの6台、合計30台が決勝レースに進出します。
【F3決勝選抜トーナメントA組】
1. マウロ・マルティニ(ラルトRT33無限)1.30.993R
2. ミハエル・シューマッハ(レイナード903VW)1.31.421
3. 羽根幸浩(ラルトRT34無限)1.31.509
4. ヴィクトル・ロッソ(ラルトRT34トヨタ)1.31.565
5. マッシミリアーノ・アンジェレッリ(ダラーラ390アルファロメオ)1.31.702
6. 横島久(ラルトRT34無限)1.32.007
7. オットー・レンジング(ラルトRT34VW)1.32.028
8. 伊藤直澄(ラルトRT33無限)1.32.126
9. 中川隆正(ラルトRT34無限)1.32.147
10. エディー・アーバイン(ラルトRT34無限)1.32.218
11. フィリップ・アダムス(ラルトRT33VW)1.32.271
12. 田中実(ラルトRT34無限)1.32.284
13. 古谷直広(ラルトRT34無限)1.32.294
14. 藤永敬道(ラルトRT34無限)1.32.310
15. リカルド・リデル(ラルトRT34無限)1.32.313
16. パウロ・カーカッシ(トムス031Fトヨタ)1.32.327
17. ロベルト・コルチアーゴ(レイナード903アルファロメオ)1.32.625
18. ジェローム・ポラカン(ダラーラ390アルファロメオ)1.32.699
19. 本山哲(ラルトRT33無限)1.32.740
20. フレドリク・エクブロム(レイナード903無限)1.32.743
21. 土屋圭市(ラルトRT34無限)1.32.764
22. 岡田晃典(ラルトRT34無限)1.32.874
23. ペーター・ヅァコウスキー(レイナード903無限)1.32.855
24. 前田信哉(ラルトRT34無限)1.32.874
25. ホルディ・ジェネ(ラルトRT34無限)1.32.983
26. アレッサンドロ・ザナルディ(ダラーラ390VW)1.33.105
27. 松井茂樹(ラルトRT34無限)1.33.238
28. フィル・アンドリュース(ラルトRT34無限)1.33.364
29. クラウス・パンヒルツ(レイナード903VW)1.44.346
【F3決勝選抜トーナメントB組】
1. ローレン・アイエロ(ラルトRT33VW)1.31047R
2. スティーヴ・ロバートソン(ラルトRT33VW)1.31.149R
3. マウリツィオ・サンドロ・サラ(ラルトRT34無限)1.31.150R
4. 和田久(ラルトRT33無限)1.31.217
5. 石川朗(ラルトRT34無限)1.31.432
6. 見崎清志(ラルトRT34無限)1.31.466
7. ミカ・ハッキネン(ラルトRT34無限)1.31.523
8. 高村一明(ラルトRT33無限)1.31.530
9. 服部尚貴(ラルトRT33無限)1.31.723
10. 西垣内正義(ラルトRT34無限)1.31.815
11. エリック・エラリー(レイナード903無限)1.31.897
12. ヴィンチェンヅォ・ソスピーリ(ダラーラ390無限)1.31.939
13. 粕谷俊二(ラルトRT34トヨタ)1.31.976
14. 檜井保孝(ラルトRT33トヨタ)1.32.004
15. ジュゼッペ・ブガッティ(レイナード903アルファロメオ)1.32.076
16. ミカ・サロ(ラルトRT33無限)1.32.083
17. 萩原修(レイナード903無限)1.32.104
18. 原貴彦(レイナード903無限)1.32.178
19. オリヴィエ・ベレッタ(ラルトRT33VW)1.32.182
20. ジョー・ヅェラー(ラルトRT34アルファロメオ)1.32.344
21. ミルコ・ザヴォルディ(ダラーラ390アルファロメオ)1.32.507
22. 萩原英明(ラルトRT33無限)1.32.604
23. 夏川竜一(ラルトRT34無限)1.32.608
24. 近藤真彦(ラルトRT33無限)1.32.614
25. 森本晃生(レイナード903無限)1.33.202
26. ジャック・イスラー(ダラーラ390アルファロメオ)1.33.408
27. オリヴィエ・パニス(レイナード903VW)1.33.825
28. クリス・スミス(ラルトRT34無限)1.34.271
29. ダレン・ショウ(ラルトRT33VW)1.35.284
A組は、シューマッハが12周を18分19秒647で制し、2位ロッソと3位マルティニが0.1秒差の接戦で、4、5位のレンジング、中川隆正までが3秒以内の激戦でした。
B組は、ロバートソンが12周を18分20秒769で制し、2位がアイエロ、3位が和田久、4位が16位から大ジャンプしたサロです。ハッキネンは、1周目でリタイアしています。
決勝レースは、シューマッハが20周を30分23秒704で制して初代チャンピオンに輝き、「マカオグランプリ」との2冠を達成しています。3秒弱の差でアイエロが2位、3位にアーバインが13番手スタートからアイエロに7秒差まで追い上げています。アーバインは、「マカオグランプリ」に続く3位です。日本人最上位は和田久の6位ですが、アーバインとは1.2秒差です。
読み物のトップは、「ヨーロッパ/マカオ/ジャパン F1への新しき道」です。1990年、F1GPを戦った40人の中で、F3レースを経験したことがないのは、アレッサンドロ・ナニーニただ1人だけです。
FIAが、F1とF2を制定したのは1948年ですが、イギリスで1947年から始まった500ccフォーミュラを1950年にF3に認定します。1950年代半ばにF3は下火になりますが、1964年には4気筒1000ccエンジンを使ったフォーミュラカーが始まります。
1971年からは4気筒1600ccエンジン、1974年からは4気筒2000ccエンジンとなり、それ以降はこれがF3のスタンダードになります。日本でも、1979年からF3選手権が始まり、当初はヨーロッパ派遣制度もありました。
1983年には、「マカオGP」がF3で争われるようになり、名実ともにF3世界一決定戦となります。そんなレースに出場した精鋭たちが、そのまま1週間後に富士にやってくるというわけです。
「ヨーロッパF3の現状 エスカレートする若獅子の野望」は、ヨーロッパのF3の解説です。ヨーロッパでは、イギリス、イタリア、フランス、ドイツ、スウェーデン、スイスにF3選手権があります。
アイルトン・セナ、アラン・プロスト、ネルソン・ピケ、ゲルハルト・ベルガーらは、F3000を経ずに、直接、F1に乗っています。1990年は、ミカ・ハッキネンを中心に回りましたが、ミカ・サロも差がありませんでした。
イギリスは、最もレベルが高く、ミカ・ハッキネンが有効ポイント115でチャンピオンになり、ミカ・サロが95ポイントで2番手。日本勢は、田中実がハッキネンのチームメイトで10ポイントで10位、野田英樹がサロのチームメイトで8ポイントで12位です。
イタリアは、過激なレースで知られ、ロベルト・コルチアーゴが38ポイントでチャンピオン、アレッサンドロ・ザナルディが惜しくも35ポイントで2位、マッシミリアーノ・アンジェレッリが30ポイントで3位になっています。
フランスは、シリーズがやや小ぶりになり、マルティニのシャシーは駆逐されています。エリック・エラリーが101ポイントでチャンピオンになり、ローレン・アイエロは68ポイントで5位です。日本勢は、嶋村健太が4ポイントで17位です。
ドイツは、優秀な成績を収めると、ツーリングカーやスポーツカーのレースに抜擢されます。ミハエル・シューマッハが148ポイントでチャンピオンになり、2位がオットー・レンジングの117ポイントです。
スウェーデンは、レベルは高くなく、ここをステップにイギリスのF3などに上がります。二クラス・ヨンソンが100ポイントでチャンピオンになっています。
スイスは1955年の「ル・マン24時間レース」の大事故により、自国でのレースが禁止されており、近隣諸国のサーキットでレースを行います。レベルはかなり低く、ジョー・ヅェラーが190ポイントでチャンピオンになっています。
なお、タイヤは、各国ともワンメイクで、イギリスがエイヴォン、それ以外がミシュラン、スイスは不明です。
「F3世界一決定戦・マカオGP エキゾチック・マカオの風を富士に迎えて」は、「マカオGP」の歴史です。1983年以降の優勝者は、アイルトン・セナ、ジョン・ニールセン、マウリシオ・グージェルミン、アンディ・ウォレス、マーティン・ドネリー、エンリコ・ベルタッジア、デビッド・ブラバム、です。
「マカオGP」自体は、1954年に始まります。1970年代後半からフォーミュラ・パシフィック、フォーミュラ・アトランティックによって争われるようになり、1983年からF3が定着します。
「年々増加する参加台数 盛り上がりを見せる全日本F3選手権シリーズ」は、日本のF3の解説です。エンジンは、無限が、低速から高速までのフラットなトルクを利して最強の地位にあり、シャシーは、ラルトが全盛期を誇ります。
1990年のシリーズチャンピオンは服部尚貴が48ポイントで輝き、以下、古谷直広33ポイント、和田久31ポイント、羽根幸浩29ポイント、高村一明23ポイントと続きます。
それ以外の読み物は、「F3マシン解説」、「シャシー紹介」、「エンジン紹介」、「ドライバー紹介」があります。
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