【GENRE】
レース/バイク
【PUB./DEV.】
THQ/CLIMAXENTERTAINMENT
【RELEASE DATE】
2003/5/20(アメリカ)
【OUTLINE】
日本名「Moto GP URT2 Online Challenge」。「MotoGP」の続編です。2002年のMotoGP世界選手権のコース、バイク、ライダーが実名で登場するバイクレースゲームで、コース数は前作の10+1から16+1へと65%大幅増量しています。
リアルでありながらも抜群の操作性を持ち、レースゲーム上級者ばかりでなく初心者でも安心してプレイすることができます。
本作では、特にXbox LIVEの機能が著しく強化されており、最大16人でのレースが快適に行えるほか、すべてのプレイヤーでタイムを競えます。 なお、以下のレビューは前作の「MotoGP」と対比している部分が多々あります。「MotoGP」のレビューを読んでから本レビューを読むと、より一層理解が深まります。
【GAME MODE】
SINGLE PLAYER
シングルプレイの4モードがあります。
Quick Race
手軽に3周のレースを行うことができます。「Career Mode」もしくは「Stunt Mode」でアンロックしていないライダー、コースは選ぶことができません。
Career Mode
2002年のMotoGP世界選手権を実際のレースプログラムに従って戦っていくモードです。また、このモードで、オリジナルのライダーを作ることができます。
最初に、ライダーとバイクの名前、国籍、服、ナンバー、バイク、ロゴ、チームネームなどを決めます。これらは、バイクを作ってからでも随時変更できます。
ロゴは8つまで入れることができるため、最初に最大のBoxで下地を作ります。注意点としては、Textは8文字までしか入らないということです。
例えば、「Microsoft」と入れたい場合、「Microsof」+「t」とすると、バイクの逆サイドは「tMicrosof」になってしまいます。ですから、よく考えてロゴを作成する必要があります。
次に、初期の18クレジットを、Cornering、Braking、Top Speed、Accelerationに振り分けます。
本作では、最高で175クレジット(初期18クレジット、Championship96クレジット、Challenge61クレジット)まで獲得できますが、各要素には50クレジットまで振り分けることができます。
最終的には、Cornering 50/Braking 25/Top Speed 50/Acceleration 50、と振り分けるのが定石です。
振り分ける手順ですが、当初はBrakingは無視して他の3つに優先的に振り分けます(6/0/6/6)。
3つが40に達したら(40/0/40/40)、Top Speedに振り分けるのはやめて他の2つを50まで伸ばします。
2つが50に達したら(50/0/40/50)、次はBrakingだけを伸ばします。
これが15まで伸びたら(50/15/40/50)、Top Speed、Brakingを交互に伸ばします。
そして、最終的に(50/25/50/50)となればいいわけです。
この数値も、いつでも変更できます。
「Challenge」は、「Traning」が14、各コースごとに2-4で47の計61あり、すべて1クレジットです。
「Championship」は1コース最大6クレジットまでで、難易度Rookieで勝つと3クレジット、更にPro、Champion、Legendで勝つと1クレジットずつ上積みされていきます。
また、2位以下でもクレジットは得られますし、RookieをスキップしてProから始めれば勝てば4クレジットが得られます。なお、LegendはChampionでチャンピオンにならないとアンロックできません。
実際にクレジットを伸ばす手順としては、Rookie→Pro→Challenge→Champion→Legend、と進めていくといいでしょう。Proまでは易しいので、先に進めてクレジットを多くためるべきです。
「Challenge」は、パイロンやバリアを避けて既定時間内にゴールするものと、AIのライダーと1対1で競走して5秒差以内でゴールするものに大別されます。
難易度は3段階あり、「Training」の★★★はかなり難しく感じることでしょう。そこでヒントを書きます。
基本的に、ギアレシオはすべてLowにします。
10番目の「Slalom+180」は、タイヤをSoftにして、前半のパイロンは直線的に抜けます。
11番目の「Hold a corner」は、タイヤをMediumかHardにして、スタートからゴールまでアクセルは全開です(スタート時にホイールスピンをさせないのはもちろんです)。
12番目の「Obstacles」は2つ目もイン側を走ると楽です。
13番目の「Perimeter」は、比較的簡単でしょう。
14番目の「Perfectlap」は完璧に近い走りをしないとクリアは困難なため、LIVEでSheridanをアンロックしている人に走らせてもらって、1分29秒00を切ってアンロックしてから練習するといいでしょう。本来、Sheridanは、「Challenge」をクリアしないとアンロックできないからです。
ChampionとLegendはハイレベルです。ここからは決勝を1ラップに設定し、予選で上位のスターティンググリッドを獲得し、なんとか1位でゴールすることです。
ちなみに、予選が進んでくると他のライダーがプレイヤーの近くに集まってきてタイムアタックしづらくなります。しばらくバイクを止めてクリアラップを取るか、電源をいったん切って予選をやり直すといいでしょう。
Legendで雨などでどうしても1位になれない場合は、次のシーズンでやり直しましょう。決勝が晴れる場合もあります。
Stunt Mode
2002年MotoGP世界選手権をアーケードスタイルで戦っていくモードです。
制限時間内にチェックポイントを通過するとともに、ウィリー、エンドス、クリーンセクション、バーンナウト、オーバーテイク、パワースライド、ジャンプによりボーナスポイントを獲得できます。
ここで高得点を獲得すると、ライダーをアンロックできます。
Time Trial
タイムトライアルを行うことができます。ここでのタイムはXbox LIVEに反映され、スコアボードにランキングされます。
MULTIPLAYER
Xbox Live、Systemlink play、Split Screenによる1台4人最高16人までの対戦が行えます。Xbox LIVEも、1台の「Xbox」から4人まで参加できます。もちろん、ゲーマータグは必要ありません。
SETTINGS
ゲームの各種設定を変更できます。コントローラーは自由に設定変更することができるため、自分に合ったセッティングに変更しましょう。
EXTRAS
「Replays」、「Unlockables」、「Videos」、「Credits」を見ることができます。「Credits」は、必ず目を通しましょう。ゲームの進行状況に応じて、最大7つのミニゲームをプレイすることができるからです。
【GRAPHICS】9
前作も「Xbox」のレースゲーム中でもトップクラスのグラフィックでしたが、本作ではそれにより一層の磨きをかけています。
前作に追加された、Phakisa、Catalunya、Estoril、Rio、Motegi、Sepangの6コースは、F1などでも知られるサーキットですが、実にリアルに再現されています。
天候の変化や光源処理、各種エフェクトも前作譲りですが、スピード感は前作以上のものがあり、より繊細で的確な操作が要求されます。前作で問題だった逆光の問題が完全に解消されているのも嬉しいところです。
また、クラッシュ時のグラフィックが一新されていますが、これに関しては好みによりけりでしょう。
なお、せっかくのカスタムバイクのデザインが走行中にはよく見えませんが、多彩なリプレイがありますし、Xbox LIVEでは1位でゴールすると自らのバイクをすべてのプレイヤーに見せつけることができます。そのためにも、かっこいいデザインを施しましょう。
【SOUND】9
ドルビーサラウンドです。前作とは若干エンジンサウンドが変わって軽い感じになったため、当初は違和感もありましたがすぐに慣れました。リアルさのない不自然なサウンドというわけでもなく、これはこれで悪くはないでしょう。
観衆の声援や場内の実況音が新たに追加されていますが、前作までの各種効果音にこれらが加わることで、より一層臨場感が増した素晴らしいサウンドになっています。
【CONTROL】10
前作同様、レースゲームとしてリアルでありながらも抜群の操作性を持ち、レースゲーム上級者ばかりでなく初心者でも安心してプレイすることができます。
バイクということでクルマとは違った操作感覚になりますが、キー操作にリニアに反応して素直な動きをしてくれるため、バイクの動きや操作に慣れてくればストレスなく爽快なライディング感覚を味わうことができます。
本作では、当初からコントローラーの設定を自由に変更できるため、上達してくるとさまざまな操作を駆使する奥の深さも持ち合わせています。
加速時には前傾姿勢をとってスピードをアップさせる、コーナーでは、ノーアクセルノーブレーキで回ったり、ブレーキングしてから回ったり、ブレーキングしてからリアブレーキでバイクの向きを変えたり、パーシャルスロットルの量を調節しながら回ったり、など、プレイヤーのアイデアとトライ次第でさまざまな操作が行えるのです。
唯一の問題点としては、AIが横暴なことです。多くの場合、自らのラインやスピードを主張して前を行くプレイヤーを転倒させますし、当たりの強さは装甲車を相手にしているほどです。こればかりは、改善を要求したいところです。
【GAMEPLAY】8
冒頭で、「本作では特にXbox LIVEの機能が著しく強化」と書きましたが、本作はまさにXbox LIVEのためにあると言っても過言ではないでしょう。なにしろ、ゲームを立ち上げると、いきなりXbox LIVEへの接続画面になるほどですから。
そして、最も力を入れたのが、不正・マナー違反対策です。
前作では、プログラム上の盲点を突いた壁抜けによるショートカット、大幅なコースのショートカットが横行するとともに、シケインのジャンプによる通過もタイム短縮のテクニックとなっていました。また、コースを逆走して他のライダーに体当たりすることを楽しみとするプレイヤーもいました。
本作では、そうした不正・マナー違反をなくす大胆な措置を取っています。まず、不正対策としては、コースの縁石を含む舗装路面以外を走行すると、その時間分だけタイムに加算されるようになりました。
例えば、1分30秒00のラップタイムを記録しても、舗装路面以外を3秒00走行すれば、記録上は1分30秒00+3秒00=1分33秒00となるわけです。ただし、これは「MULTIPLAYER」の結果には反映されません。
次に、シケインの縁石が高くなり無理にジャンプするとクラッシュするようになったため、シケインのジャンプは事実上不可能になりました。
また、マナー対策としては、前作でもあった「Collisions: Off」(衝突なし)に、「Forward Only」(前進のみ)が追加されました。
タイム加算は行き過ぎのような気もしますが、これらの対策により健全なプレイができるようになったのは確かです。
前作からあったパワースライドが大幅に強化されたのは残念です。
実際のパワースライドは、コーナーの立ち上がりで早めにパーシャルスロットルからフルスロットルに移行することによってリアタイヤを滑らせてバイクの向きを変えてコーナーを素早く抜けようというテクニックです。
しかし、本作のパワースライドは、アクセルを2回タップすることで成立します。つまり、いったんアクセルをカットするのです。これは、実際のMotoGPではありえないことです。
ところが、このでたらめなパワースライドを使うことによって、ラップタイムが大幅に向上するのです。リアルな本作にあって、このアンリアルさは本当に残念です。ゲームバランスを大きく崩すこの愚考に対し、CLIMAXは猛省すべきです。
【LONGEVITY】8
「SINGLE PLAY」をどこまでやり込むかにもよりますが、「Career Mode」と「Stunt Mode」をクリアするだけなら、30時間未満といったところでしょうか。
しかし、本作では前作以上にXbox LIVEを前提とした作りが成されています。
本作では前作の11コースから17コースにコースが65%大幅増量しており、「Time Trial」をしっかりやるとかなりの時間がかかります。
Xbox LIVEでは自分の実力に応じたセッションを選んだり作ったりすることもできますが、よりハイレベルなプレイヤーと戦うためには、自分のスキルを十分に上げておく必要があります。
そのためには、100時間でも200時間でも必要になります。ここではスタンドアローンでのゲームライフが原則なので「8」としておきますが、Xbox LIVEに接続すればかなりの期間楽しむことができるでしょう。
【OVERALL】10
本作は、つらく苦しい体育会系のゲームです。しかし、そのつらさ苦しさに耐えて自分のスキルを向上させてこそ、Xbox LIVE上で真の喜びが得られるのです。
カスタムバイクで50、25、50、50を作るのは至難の技で、トップクラスのプレイヤーの中にも満点のカスタムバイクを作ってはいない人がいるほどです。
50、25、50、50のカスタムバイクは、ステータスシンボルと言うこともできるでしょう。
レースゲーム上級者ならこれに挑戦してほしいところですが、Xbox LIVEでは自分のレベルに合わせたセッションも選べるため、ここまでつらく苦しい思いをせずに適当に楽しむのも悪いことではありません。
上級者から初級者まで思い思いの楽しみ方ができるのが本作のいいところなのです。前作同様、本作単独で見れば「8」といったところですが、Xbox LIVEに対応しているということで「10」になります。
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