シミュレーションボードゲーム「モスラ対ゴジラ」(バンダイ GAME for ADULT)

「モスラ対ゴジラ」は、昭和29年から50年にかけて製作された東宝の特撮映画「ゴジラ」シリーズをテーマにしたシミュレーションボードゲームで、バンダイの「ifシリーズ」の一作として発売されています。
「ifシリーズ」は、近代戦タイプ、日本史タイプ、SF・アニメタイプ、ビジネスタイプ、スポーツタイプが発売されており、それぞれ入門、初級、中級、上級、超上級という難易度があり、「モスラ対ゴジラ」はSF・アニメタイプの初級となっています。
ゲームの内容は、3パートに大別されており、パートIとパートIIIは2人のプレイヤーで遊びますが、パートIIは1人プレイに対応しています。
パートIは、ゴジラの大都市襲撃とモスラの幼虫との戦いをテーマにしたもので、映画「モスラ対ゴジラ」をベースに、ゲーム前半では怪獣による都市攻撃と怪獣対人間の攻防戦も楽しめます。
パートIIは、パートIのシステムをそのまま使って1人ゲームが可能です。
パートIIIは、「キングコング対ゴジラ」以降で特徴となった怪獣同士の対戦、地球怪獣対宇宙怪獣の戦いを繰り広げることができます。

ゲームには、以下のものが付属します。
リバーシブルの2種類のゲーム盤、ゴジラなど怪獣9体のフィギュア、ターン表示表、戦闘結果表、怪獣のチェックボード、ゴジラカード、防御カード、高層ビルコマ、小美人コマ、市民コマ、防衛隊コマ、モスラの卵コマ、火災チップ、破壊チップ、マーカーペン、サイコロ。
ゲーム盤は、パートIとパートIIでは都市が描かれているものを、パートIIIでは島が描かれているものを、それぞれ使用します。
映画「モスラ対ゴジラ」では、物語の舞台は名古屋だったのですが、「どうせ壊すならデカイところを」(デザイナーズノート)ということで都市は東京がモデルになっています。また、当時は存在しなかった高層ビルも取り入れられています。
怪獣は、ゴジラ、モスラ(親・双子)、アンギラス、ラドン、キングギドラ、ガイガン、メカゴジラが登場します。
映画「モスラ対ゴジラ」から映画「メカゴジラの逆襲」までのゴジラシリーズのエッセンスが2つのゲーム・5つのシナリオに盛り込まれているものの、登場しない怪獣がいるのは商標権の関係・予算の都合・デザイナーの趣味などの理由からだそうです。

パートIでは都市が描かれているゲーム盤を使うわけですが、高層ビルコマを指定された場所に置き、市民を各エリアの黄色の丸印のあるヘックスに配置します。
モスラ側プレイヤーは、卵の隠し場所を緑地の番号が書かれているヘックスの中から選んでゴジラ側プレイヤーに分からないように紙などに記入しておきます。
続いて、海岸線沿いに書いてある番号の中から連続した5ヘックスを選んで高圧鉄塔を配置してゴジラ側プレイヤーに分からないように紙などに記入しておきます。
さらに、防衛隊23個を川や高圧鉄塔を配置したヘックスを除いた任意のヘックスに配置し、卵の隠し場所から3エリア以内に小美人を置きます。
ゴジラ側プレイヤーは、ゴジラカードをよく切って裏返しのまま山にして上から5枚取り、サイコロを振って出た目と同じ番号の海中のヘックスにゴジラを置きます。
これでプレイ準備の完了で、いよいよ第1ターンを開始します。

1ターンは、以下のような手順で進みます。
延焼(ゴジラ側プレイヤー): 前のターンで発生した火災の延焼をチェックします。
パニック移動(ゴジラ側プレイヤー): 前のターンでパニック状態になったコマをパニック移動させます。
市民移動(モスラ側プレイヤー): 移動できる市民を移動させます。
小美人移動(モスラ側プレイヤー): 小美人を移動させます。
防衛隊移動(モスラ側プレイヤー): 防衛隊を移動させます。
防衛隊攻撃(モスラ側プレイヤー): ゴジラを射程内に収めた防衛隊が攻撃します。
ゴジラ移動・攻撃(ゴジラ側プレイヤー): ゴジラカードを1枚出し、それに従って移動します。
モスラ孵化(モスラ側プレイヤー): 第1段階・8ターン以降。
モスラ移動・攻撃(モスラ側プレイヤー): 第2段階、モスラが孵化した後。

それぞれの怪獣には総合能力があり、ゴジラの場合は最大で40で、他の怪獣や防衛隊からの攻撃でダメージを受けたり、熱線放射攻撃を放ったりすると減っていき、市民コマが1個消滅すると増えていきます。
総合能力が40から31の間なら攻撃力は6、移動力は5、カード数は5ありますが、総合力の範囲が減るごとに攻撃力、移動力、カード数も減少していき、総合能力が0になったら戦闘能力を失ったことになって即座にゲーム盤から取り除かれます。
ゴジラが移動したヘックスにある橋は破壊されたものとみなされ、防衛隊と市民は踏みつぶされたものとみなされます。
小美人は、7ターン以前にゴジラに攻撃されたり、ゴジラがそのヘックスに入ったりしたら、その時点でゴジラ側プレイヤーの勝ちになり、8ターン目にモスラの卵が孵化したらゲーム盤上から取り除かれます。
モスラが孵化した時点でゲームは第2段階に入り、怪獣同士の格闘戦がゲームに加わります。

パートIの勝利条件は、以下のようになっています。
ゴジラ側の勝利条件は、7ターン以内に小美人コマを倒すか、モスラが孵化する前に卵を発見して破壊するか、モスラの総合能力を0にする。
モスラ側の勝利条件は、ゴジラの総合能力を0にする。
また、ゲーム時間を短縮させるための設定もあります。モスラが孵化した後のゲームを10ターンに制限して、ゴジラ側はモスラの総合能力を16消費させれば勝利、モスラ側はゴジラの総合能力を6以下にすれば勝利、それ以外は引き分け。

パートIIは、プレイヤー側がモスラ・人間側となりパートIの第1段階のみをプレイします。ゴジラの行動は、すべてゴジラカードによって決定します。
プレイヤーの勝利条件は、15ターンの間、ゴジラからモスラの卵を守り抜くことで、15ターン以前にモスラの卵が孵化した場合もプレイヤーの勝ちになります。

パートIIIは、怪獣同士の決戦をメインテーマにしたもので、ゲーム盤は島の面を使用し、4つのシナリオが楽しめます。
1ターンは、以下のような手順で進みます。
先攻プレイヤーが、自分のコマを移動させるか、光線・羽ばたき攻撃などの特殊攻撃を行う。
移動によって格闘戦を仕掛ける場合は、それを相手プレイヤーに告げる。
攻撃を仕掛けられたプレイヤーは、格闘戦に備えて防御カードを1枚伏せて出す。
先攻プレイヤーは、相手の戦闘領域内に移動し、戦闘結果表によって結果を判定する。
上記の手順を後攻プレイヤーも行う。
ターン表示表にチェックする。

シナリオAは、「ゴジラ対メカゴジラ」で、孤島が戦いの舞台になります。
ゴジラ側(先攻)はゴジラを操り、メカゴジラ側(後攻)はメカゴジラを操ります。
10ターンのうちに相手を倒した方か、残った総合能力の高い方が勝ちになります。

シナリオBは、「モスラ対ゴジラ」ラスト近くの対決で、伊豆の小島が戦いの舞台になります。
ゴジラ側(先攻)はゴジラ(既にかなり疲労しており総合力は30からスタート)を操り、モスラ側(後攻)はモスラ(双子)を操ります。
15ターン以内にゴジラの総合力を6以下にすればモスラ側の勝ち、それ以外はゴジラ側の勝ちになります。

シナリオCは、「ゴジラ対ガイガン」で、侵略者ハンター星雲人の前進基地がある孤島が戦いの舞台になります。
ガイガン側(先攻)はガイガンとキングギドラを操り、ゴジラ側(後攻)はゴジラとアンギラスを操ります。
20ターン以内に宇宙人基地を破壊(バリヤーにダメージ20を与える)できればゴジラ側の勝ち、できなければガイガン側の勝ちになります。

シナリオDは、「怪獣大戦争」で、地球怪獣すべてが集まっている怪獣島が戦いの舞台になります。
宇宙怪獣側(先攻)はキングギドラ、ガイガン、メカゴジラを操り、ゴジラ側(後攻)はゴジラ、アンギラス、ラドン、モスラ(親)、モスラ(子1頭のみ)を操ります。
25ターン以内に司令塔を破壊(バリヤーにダメージ25を与える)できればゴジラ側の勝ち、できなければ宇宙怪獣側の勝ちになります。

ゲームの内容を簡単に紹介してみましたが、「モスラ対ゴジラ」がSF・アニメタイプの初級とされていても、シミュレーションボードゲームだけにA4版22ページにびっしりと書かれた解説書が付属しており、覚えなければならないことはそれなりにあります。
私も久しぶりにパッケージを開けてみたのですが、解説書をコピーして綴じたものが2部入っており、2人対戦する際に事前に読んだり、調べながらプレイすることを配慮していたということが分かります。
私は、映画は、昭和ゴジラシリーズは15作品すべて、平成ゴジラシリーズは7作品すべて、鑑賞しています。また、ミレニアムシリーズ6作品も強い印象はないものの鑑賞していると思います。
ゲームも、「ドリームキャスト」は「GODZILLA GENERATIONS」と「ゴジラ・ジェネレーションズ マキシマム・インパクト」、「ゲームキューブ」は「GODZILLA: DESTROY ALL MONSTERS MELEE」、「プレイステーション4」は「ゴジラ-GODZILLA-」をプレイしています。
当時はシミュレーションボードゲームはいくつか買っていて、ゴジラのシミュレーションボードゲームが発売されたため、これはと買ったのだと思います。
ちなみに、まとめて売ってしまったのですが、ゴジラとゾンビだけは残しているので、いかにゴジラとゾンビが好きなのかがうかがい知れるでしょう。

さて、ゲームですが、デザイナーズ・ノートを読んでみても、このゲームを作ったスタッフがゴジラ好きだということが文章の節々から伝わってきます。
実際、怪獣のフィギュアだったり、それぞのコマだったり、怪獣などのカードだったりから、好きな人が作ったんだろうなぁということが分かります。
怪獣のフィギュアは着色されていればもっと良かったとは思いますが、当時でボードゲームのコマということを考えれば、極端にデフォルメされてもいないし、頑張ったと言えるでしょう。
今作ったら、怪獣のフィギュアは着色されているし、ビルや小美人も紙のコマを立てるのではなくフィギュアで作られるのかもしれません。
ボードも、ゴジラの主戦場である都市と島がリバーシブルになっており、映画「モスラ対ゴジラ」から映画「メカゴジラの逆襲」までのゴジラシリーズのエッセンスが2つのゲーム盤に盛り込まれているということが感じられます。
「モスラ対ゴジラ」がSF・アニメタイプの初級とされていても、シミュレーションボードゲームだけにコマの数は多く、並べるだけでもそれなりに大変です。
ただ、「宇宙の戦士」のシミュレーションボードゲームも持っていたのですが、コマを並べるだけでも気の遠くなるような時間がかかっていたことを考えると、“初級”らしさはあります。
実際のプレイはやはり楽しく、ゴジラのエッセンスをうまく詰め込んでいるということが分かります。実際問題、2人プレイというのも簡単ではなく、1人プレイが可能なのも嬉しいところです。

「モスラ対ゴジラ」は、久しぶりに引っ張り出してきたわけですが、それぞれのコマはもちろんのこと、フィギュアの状態も良好なのも感心します。
私は、「ifシリーズ」は「モスラ対ゴジラ」しか持っていないのですが、近代戦タイプ、日本史タイプ、SF・アニメタイプ、ビジネスタイプ、スポーツタイプの他のシミュレーションボードゲームも、このようにこだわったものになっていたのでしょうか。
「連合艦隊」、「零戦」、「関ケ原」、「源平合戦」、「機動戦士ガンダム」、「宇宙戦艦ヤマト」などといったものがありますが、今さらながら興味津々です。
シミュレーションボードゲームはプレイするのが大変ですが、「プレイステーション4」の「ゴジラ-GODZILLA-」もけっこう楽しかったですし、「Xbox Series X」あたりで4Kのゴジラ新作がいつか楽しめればなと思います。

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