ボードゲーム「忍者ゲーム」

「甲賀の忍者と伊賀の忍者が互いに術比べをして戦いながら、どちらが早く城に忍び込むか、または、敵を全部捕虜にしてしまうかで勝負を決めるゲームです」。
1963年に発売されたようで、1962年10月からTBS系列で放送された「隠密剣士」をモチーフにしています。発売元は、小出信宏社です。
セットには、三つ折りのゲーム盤が付いていて、城を中心に双六状のマスが描かれ、盤の四隅には伊賀組(青色と黄色)と甲賀組(赤色と緑色)の砦があります。
また、セットの箱自体がサイコロ代わりのルール盤となっており、スマートボールのように玉を弾いて転がし、玉が落ちた穴のところがサイコロでいう目となります。
穴には、数字と、丸付きの数字、剣士、十字剣、火、水、木、金、土、などが書かれています。この意味するところについては、後述します。 

ゲームの準備: 2人から4人で遊ぶことができますが、最も都合がいいのは4人で、伊賀組(青色と黄色)と甲賀組(赤色と緑色)の2チームに別れて遊びます。
ルール盤の発射台にばね板を差し込みますが、このばね板は折れやすいため、私は下敷きに画鋲をはめてばね板代わりとしています。今、作るなら、もっと気が利いたものを作っていると思います。
次に、 ゲーム盤を広げて、2~4人がそれぞれ自分の砦を決めて、その上に砦の色と同じ色の忍者(キャップ)を置きます。

ゲーム開始:
A. 忍者の動かし方
順番を決めて(時計回りがいいでしょう)、発射台から玉を弾き、その玉の入った穴に書いてある数だけ、任意の忍者を1人、動かします。前進しても、後退しても、構いません。自分の忍者が砦からすべて出るまでは、既に砦から出ている忍者を動かすことはできません。
ルール盤の丸付きの数字は、早足の穴のため、そこに玉が入って動かした忍者は、もう1度、玉を弾いて動かすことができます。
ゲーム盤のまきびしのところは、手前のマスで止まり、次にルール盤で玉を弾いた時に進むことができます。ただし、剣士の穴に入った時だけは、止まらずに進むことができます。
ゲーム盤の火薬のところは、ルール盤で玉が火か剣士のところに入った時でなければ通ることはできません。玉が火か剣士以外のところに入った場合には、火薬の手前のマスで止まらなければなりません。そして、ルール盤で玉が火か剣士に入るまで待つか、迂回するかします。
ゲーム盤の赤の点線のところは、ルール盤で玉が丸付きの数字か剣士のところに入らないと通ることができません。また、矢印のある点線は、一方通行となります。
ゲーム盤の関所を通った忍者は、関所から後戻りすることはできません。

B. 試合のやり方
敵の忍者に追いついた時は追い越さないで、そのマスの上で術比べをします。術比べのやり方は、互いにルール盤で玉を弾いて、入った穴に書いてある術を比べて勝負を決めます。それぞれの術の関係は、以下の通りで、列挙してあるのは倒せる相手です。たとえば、自分が火遁の場合には、相手が金遁か土遁なら、勝つことができるというわけで

剣士: 十字剣、火遁、水遁、木遁、金遁、土遁。
十字剣: 火遁、水遁、木遁、金遁、土遁。
火遁: 金遁、土遁。
水遁: 火遁、木遁。
木遁: 火遁、土遁。
金遁: 水遁、木遁。
土遁: 水遁、金遁。

勝った忍者は、負けた忍者の上にキャップをかぶせて捕虜にし、一緒に移動します。
味方の忍者(色の異なる味方の忍者を含む)を捕虜にしている敵の忍者に勝った時は、敵の忍者を捕虜にし、味方の忍者は自分の(色の)砦に戻します。
自分の(色の)忍者が全員捕虜になった場合には、玉を弾くことができません。しかし、自分の味方の忍者がそれらの捕虜を解放した場合には、全員を自分の(色の)砦に戻して、元通りに動かすことができます。
ゲーム盤の離れたマスとマスが点線で結ばれているところを通る際に、点線の反対側のマスの上に敵の忍者がいる場合には、そこで止まって十字剣の試合をしなければなりません。
十字剣の試合は、互いにルール盤で玉を弾き、十字剣の穴に入った方が勝ちになります。敵味方ともに十字剣の穴に入った時は、数字の大きい方が勝ちになり、同点の時はやり直しになります。どちらも十字剣の穴に入らなかった時も、やり直しになります。
十字剣の勝負で負けた忍者は、自分の砦まで戻らなければなりません。そのため、勝った忍者は、負けた忍者を捕虜にすることはできません。

勝負の決め方: 敵の忍者を2色とも全員捕虜にするか、味方の忍者2人を早く城に忍び込ませた組の勝ちになります。この際、敵が連れて入った捕虜は数には数えません。
また、城には、ピッタリの数で入る必要があり、数が余ったら、その数だけ戻ります。

インプレッション
まず最初に、上記のルールのうち、解放された捕虜は砦に戻る、城にはピッタリの数で入る、ということは書かれていません。昔、遊んでいた際に、このように解釈してプレイしていたため、そう書きました。
解放された捕虜は、いったん砦に戻って態勢を立て直すのが自然でしょうし、双六の場合にはピッタリの数でないと上がれないのが一般的なため、ルールには書かれていないものの、このように解釈したものです。
さて、ゲーム盤やルール盤、そして、それに沿ったルールをご覧いただければ、このゲームがかなりしっかりと練り込まれたものになっていることがお分かりいただけるのではないかと思います。
ゲーム盤は、単なる双六とは異なり、関所、火薬、まきびしなどがあり、赤の点線は、絵では川、谷、崖、城壁などの移動が困難なところであり、絵が単なる飾りでないことが分かります。十字剣による戦いも、あちらこちらで起こるようになっています。
ルール盤は、スマートボールをうまく取り入れながら、穴への落ちやすさに応じて数字と丸付きの数字、術をうまく配していることが伺えます。ただ、あまりにも隠密剣士のところに玉が落ちないため、少し手を加えていますが、それでもそんなには落ちないので、適度なバランスになっています。
試合も、忍術をうまく組み合わせ、通常の忍術ならすべての忍術が2勝2敗の五部になるようにした上で、十字剣と隠密剣士をその上に配するというよく考えられたものになっており、楽しみながら戦うことができます。
十字剣による戦いも、随所で突発的に発生するように作られているため、敵に追いつかなくても戦いが起こってしまうという緊迫感があり、ゲームをより白熱したものにしています。
このように、「忍者ゲーム」は、双六ベースの創作ボードゲームとしては、傑作の部類に入ると言って差し支えないものになっているのではないかと思います。 

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