1976年1月10、11日/鈴鹿サーキット
鈴鹿サーキットは、フォーミュラカーレースを中心に据える方針を敷いたことで、1973年5月の「全日本鈴鹿1000キロ・レース」を最後に2リッタースポーツカーが姿を消していました。
「ガーネット鈴鹿200Kmレース」は、そんな2リッタースポーツカーが2年半ぶりに還ってくる記念すべきレースです。
予選は、シェブロンとマーチがガップリと四つを組み、ローラやシグマ、GRDも顔を覗かせています。また、エンジンが、BMW、ハートBDA、トヨタターボ、マツダ12A、と多彩なのも面白いところです。
1. 高原敬武(マーチ74SBMW)2分01秒2
2. 藤田直広(シェブロンB23BMW)1分01秒7
3. 米山二郎(シェブロンB23ハートBDA)2分02秒7
4. 竹下憲一(マーチ73SBMW)2分03秒0
5. 森泰章(シグマGC75トヨタターボ)2分03秒6
6. 長谷見昌弘(ローラ390BMW)2分05秒5
7. 佐藤文康(マーチ73BMW)2分07秒0
8. 片山義美(シェブロンB23マツダ12A)2分11秒0
9. 室町健三(GRD73ハートBDA)2分33秒4
結果は、高原敬武が勝ち、藤田直広が2位に入っています。
サポートイベントのFL-500チャンピオンレースは、中島悟(ベルコウエスト759スズキ)が2分24秒0でポールポジション、ニコ・ニコル(ベルコウエスト・スズキ)が2分25秒3で2番手、金田政行(ハヤシ709スズキ)が2分25秒7で3番手につけています。
もうひとつのサポートイベントであるツーリングチャンピオンレースは、常勝・長坂尚樹(サニー)が2分24秒9で、2位の笹野功(サニー)の2分26秒4に1秒5の大差をつけてポールポジションになっています。
読み物のトップは、「新春! いま再びスズカに巻き起こる2シーター旋風 ガーネット200キロ・レースの見どころ」と題して、レースの予想とドライバーの紹介を行っています。
予想では、高原敬武、桑島正美、長谷見昌弘、星野一義の順に有力だとしていますが、このうち、桑島正美と星野一義は欠場しています。ドライバーのインタビューも載っています。
高原敬武「出場マシンの競争力が伯仲しているのと、ボディのカサが大きいので抜くのがむずかしい。そこで、第1コーナーが勝負どころとなるに違いない。他のコーナーではライバルを抜くことはかなり困難となろう」。
藤田直広「コースがテクニカルなので面白いレースになりそう。タイムは2分前後までいくと思われるが、ボク個人の希望としては2分を切りたい。130R、最終コーナーをいかに速く回るかがポイントとなる」。
長谷見昌弘「これまでこの種のレースではマーチが圧倒的に速かったが、それは強力なBMWエンジンを備えたためだ。シャシー自体はセッティングできる範囲が限られるので特別高性能とはいえない」。
「2シーター(2l)スポーツカー大百科-1 還ってきたグループ7-その変遷は・・・・・・」は、鈴鹿サーキットにおける2リッタースポーツカーの歴史と、2リッタースポーツカーについて記述しています。
その歴史は、高原敬武のローラT212と田中弘のシェブロンB19に始まり、前述の鈴鹿1000Kmでいったんその幕を閉じます。
2リッターのスポーツカーは、FIAの既定する競技車両規則J項では、グループ5及びグループ7と呼ばれています。
グループ5は、公道を走るための最低限の装備が要求されており、ヨーロッパのレーシングカーが中心になります。
グループ7は、サーキットの専用のレーシングスポーツカーで排気量ごとの最低重量制限もなく、CAN-AMシリーズなどのアメリカのレースが中心になります。
日本の2リッタースポーツカーはグループ7となり、マーチ735/745、シェブロンB23、ローラT292/390、GRDS74、アルピーヌA441などを日本のレギュレーションに合わせて改造したものになります。
すなわち、フレームを強化し、ボティカウルを軽量化し、ヘッドライトも外し、ヨーロッパの”純正”マシンよりも速くなります。
エンジンは、F2000と共用することができ、加速とコーナリングはF2000には劣るものの、ストレートは空気抵抗が少なくなる分、F2000よりも速く走ることができます。
「2シーター(2l)スポーツカー大百科-2 2lグループ7スズカを攻める!」では、ラップタイムを2分が最初の壁になると推察しています。
「2シーター(2l)スポーツカー大百科-3 大集合! 日本の2リッター・グループ7」では、日本で走る2リッター・グループ7を紹介しています。
シェブロンB21/B23/B26、シグマ、ローラT212/T290/T292/T390、アルピーヌA441、GRDS72/S73/S74、マーチ735/745。エンジンは、BMW、ルノーゴルディーニV6、ニッサンL18、BDA、ターボチャージド・セリカ1600DOHC、FVAターボ。
「★最新情報★ 噂のコーナー新春版」は、草野球チーム「レーサーズ」が強いこと、サーキットでのレーサーの探し方、星野一義がゴーカートのグリップ走行で鈴鹿の走りをひらめいた、などの記事が載っています。
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