「’76鈴鹿BIG JOHNトロフィーレース」

1976年7月3、4日/鈴鹿サーキット
鈴鹿サーキットの2リッタースポーツカーによる「ジュエルシリーズ」の最終戦です。1月の「ガーネット鈴鹿200Kmレース」は高原敬武が藤田直広との一騎打ちを制し、4月の「鈴鹿ダイヤモンドレース」は桑島正美が優勝しています。
予選は、マーチが8台、シェブロンが3台、ローラが1台、シグマが1台、合計13台が参加しています。

1. 星野一義(マーチ74SBMW)2分00秒1
2. 高橋健二(マーチ74SBMW)2分02秒1
3. 桑島正美(マーチ74SBMW)2分02秒2
4. 竹下憲一(マーチ73SBMW)2分02秒8
5. 中島悟(シェブロンB23BMW)2分02秒8
6. 松本恵二(マーチBMW)2分05秒4
7. 長谷見昌弘(マーチ76SBMW)2分04秒1
8. 片山義美(マーチ75Sマツダ13B)2分07秒8
9. 森泰章(シグマGC75トヨタ・ターボ)2分09秒0
10. 米山二郎(シェブロンB23ハートBDA)2分09秒8
11. 従野孝司(シェブロンB23マツダ13B)2分14秒6
12. 速見翔(ローラT290BDG)2分16秒9
13. リチャード・T・ゲック(マーチ75SBMW)2分17秒2

結果は、星野一義が高橋健二を下しています。
サポートイベントは、TS/GTS-IIと、TS/GTS-I。TS/GTS-IIは、12台中11台がサバンナGTで、そこにフェアレディ280ZGが1台だけ加わっています。予選は、片山義美が2分18秒8、従野孝司が2分19秒0、猪原理徳が2分19秒6でフロントロウを占めています。
TS/GTS-Iも、サニーの中にシビックが3台だけ混ざるといった状態で、高橋健二が2分25秒3でポールポジション。瀬川雅雄(2分25秒6)、長坂尚樹(2分26秒2)を抑えています。また、星野薫がサニーで参戦して2分26秒6で4番手につけています。

読み物のトップは、「BIG-JOHNトロフィーレースの見どころ 好調マーチ、今回も優勢?」で、桑島正美を本命視しています。
マーチ76Sのデビューについてもふれていますが、75Sの空力的な改良を加えたモデルで、基本的なところは変わっていないとしています。
星野一義はスタートが課題、高橋健二、松本恵二もレースを面白くする存在で、中島悟とリチャード・T・ゲックの両新人も注目していると締めくくっています。
「西高東低ムードのシーズン後半展望 F2000選手権は、日本GPは・・・・・・」は、鈴鹿のシーズン後半戦の中心となるF2000とFJ1300の展望です。
F2000は、ノバ512の高原敬武と藤田直広が強力で、関西の松本恵二、力身修、大阪のヒーローズの星野一義、京都のKEの長谷見昌弘もマーチでの巻き返しが見物だとしています。

「スズカ育ち ■竹下憲一■松本恵二■森泰章 チェッカーをめざせ、関西若手三羽ガラス」は、トヨタ車でTS-Iレスに参戦していた3人の記事です。
当時、トヨタワークスは自販チームの綱島チューンで、故中野雅晴、舘信秀、高橋晴邦が強く、クワハラチューンの3人は3、4位につけるのがやっとでした。
しかし、ほぼ互角の戦いで、中野雅晴は「関西には速い連中がいる。富士を中心に走っている関東勢はテクニック的にも甘く、レース運びにもろさがあった。さすがにテクニカルな鈴鹿を走っているせいか、関西勢には骨がある」と語っていたそうです。

「ミニヒストリー マーチ、シェブロン、ローラストーリー」は、イギリスの3メーカーの紹介です。
マーチは、代表格のマックス・モズレイ、主任設計者のロビン・ハード、初期のチームマネージャーだったアラン・リース、製作主任のグレアム・コーカーの4人の頭文字を適当につないで「MARCH」と名づけています。
ロビン・ハードは航空畑のエンジニアで、当初は野心的・革新的でしたが、1973年からは基本設計を同一にして徐々に熟成しながら改良する手法になってきています。マックス・モズレイの商売人としての才覚から、セールス的にも成功しています。
シェブロンは、家内手工業的イメージがあり、主任設計者であり代表のデレック・ベネットは、クラブマンレーシング出身で、プライベートユーザーの立場で製図版に向かうそうです。
シェブロンのかまぼこ型ダルノーズも、フリーハンドでデザインされたものです。B19/21/23とキープコンセプトで発展し、B26になって初めてフルモノコックシャシーを採用しています。
ローラは、大量生産を前提にした安定性能のマシンを作り続けており、商品性も高くなっています。代表のエリック・ブロードレイは若手デザイナーチームに設計をほぼ任せており、自分はアドバイスするだけにとどめています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました