4K60Hz/HDR/音声分離セレクター「4×2 HDMI 2.0b Matrix Switcher」レビュー

私は、テレビゲーム用のテレビは、4K60Hz/HDR10対応の液晶テレビ「SAMSUNG 49MU7000」を使っています。
映像・音声関係の入力端子は、HDMIが3(うちARCが1)、コンポーネントが1、コンポジットが1(コンポーネント併用)、とあります。
当初は、HDMIは、ARCがホームシアター「SAMSUNG HT-J4500」、4K60Hzの「Xbox One X」、フルHDの「プレイステーション4」と「Nintendo Switch」をHDMIセレクターで切り替え、でやりくりしていました。
しかし、4K120Hzの「Xbox Series X」を発売日の2020年12月10日から使い始めたことで状況が変わります。「Xbox One X」もまだまだ現役で「Xbox Series X」と併用したかったからです。
HDMIは、「SAMSUNG HT-J4500」、「Xbox Series X」、「Xbox One X」で埋まってしまいますが、「プレイステーション4」、「Nintendo Switch」も併用するとなると、さすがにテレビ背面の端子をその都度差し替えるのは面倒ですし、端子も傷みやすくなります。
そこで、「SAMSUNG HT-J4500」、「Xbox Series X」は単独で接続、「Xbox One X」、「プレイステーション4」、「Nintendo Switch」をHDMIセレクターで切り替えることにして、「Xbox One X」の性能を遺憾なく発揮させるため、4K60Hz/HDR対応のHDMIセレクターを新たに購入することにしました。
4K60Hz/HDRにしっかりと対応しているHDMIセレクターとなると、やはり、3000円は軽く超えてしまい、コストパフォーマンスも兼ね備えたモデルを探すと選択肢はかなり絞られてきます。
最終的に候補に残ったのが、スペック的にはほぼ同性能の、5入力1出力タイプのものと、今回購入した4入力2出力タイプのものでした。

前者は4000円ぐらいで後者よりも2000円ぐらい安いのですが、後者もAliExpressの信頼できそうなショップで買えば$35.00(送料無料)ぐらいで買うことができます。これなら、価格的にはイーブンです。
そこで、用途を考えてみたのですが、現時点で接続するのは、「Xbox One X」、「プレイステーション4」、「Nintendo Switch」、の3端子だけです。
4入力でも1端子は予備になりますし、5入力まではなくても大丈夫そうです。それなら、出力が1端子よりも2端子あった方が、将来的に役に立つこともありそうです。
そんなわけで、4入力2出力の「4×2 HDMI 2.0b Matrix Switcher」を、AilExpressのショップに2020年11月23日に注文しました。$34.72(送料無料)でした。
2週間も経たないうちに送られてきたのですが、なぜか袋が小さく、開封してみると「HDMATTERS」が入っています。どうやら、ディスプレイポートケーブルのようです。
そこでセラーに写真を添えて連絡してみると、倉庫でラベルを貼り間違えたようで、すぐに正しいものを再送するとのことで、2020年12月7日に再発送され、やはり、2週間もしないうちに到着しました。
もちろん、今度は正しいものが箱に収められて送られてきました。同梱物は、本体、5V/2Aパワーアダプター、ユーザーマニュアル、リモコン。
金属製の本体は、スタイリッシュで、控えめにヘアライン仕上げが施され、質感が高く感じられます。リモコンは、プラスチック製ながらもシンプルで使い勝手が良さそうです。
スペックを列挙しておくと、以下のようになります。

テクニカル
HDMI: HDMI2.0b
HDCP: HDCP2.2 & HDCP1.4
ビデオバンド: 4K2K@50/60Hz RGB 8:8:8、4K2K@30Hz. All HDMI 3D TVフォーマット
カラースペース: RGB 8:8:8、YUV 4:4:4、YCbCr 4:2:2
カラーデプス: 8bit、10bit、12bit
HDMIオーディオフォーマット: PCM2.0/5.1/7.1CH、Dolby 5.1、DTS 5.1、Dolby True HD、DTS-HD
オプティカルオーディオフォーマット: LPCM 2CH、LPCM 5.1 Dolby Digital 2/5.1CH、DTS 2/5.1CH
コーキシャルオーディオフォーマット: LPCM 2CH、LPCM 5.1 Dolby Digital 2/5.1CH、DTS 2/5.1CH
L/Rオーディオフォーマット: アナログステレオ2CH
ESDプロテクション: Human-body Model: ±8kV(Air-gap discharge)、±4kV(Contact discharge)

コネクション
インプット: 4xHDMI Type A(19-pin female)、1xIR Receiver Window
アウトプット: 2xHDMI Type A(19-pin female)、1xL/Rオーディオアウト(3.5mmステレオミニジャック)、1xOptical out(S/PDIF)ARC、1xコーキシャル

メカニカル
筐体: メタル
カラー: ブラック
サイズ: 170mm(W)x78mm(D)x20mm(H)
重量: 0.25kg
電源: インプット: AC100-240V50/60Hz、アウトプット: DC5V/1A(US/EUスタンダード、CE/FCC/ULサーティファイド)
電力消費: 5.2W(max)
作動温度: 0℃-40℃
ストレージ温度: -20℃-60℃
対応湿度: 20-90% RH(非結露)

本体前面は、左から、3.5mmジャックアウトプット、EDIDスイッチ、ARCオン/オフキー、ARC LED、リモートレシーバー、OUT B LED、OUT Bスイッチャーキー、OUT A LED、OUT Aスイッチャーキー。
前面にあるべき、端子、スイッチ、レシーバー、LED、が整然と並べられており、使い勝手も視認性も良さそうです。
本体背面は、左から、DC5V電源端子、S/PDIF光デジタル出力端子、コーキシャル出力端子、2xHDMI出力端子、4xHDMI入力端子。
入出力端子が背面にきれいに並べられ、前面はもちろん、左右両面に端子を接続する必要がないため、ケーブル類を後ろにまとめられ、置き場所に気を遣うことがないし、前から見てもスッキリとします。
リモコンは、最上部がオン/オフとARCのオン/オフ。その下に、アウトプットAとアウトプットBが上下に並べられ、IN 1からIN 4までのキーが独立するとともに、アップキーとダウンキーでIN 1からIN 4までを順に切り替えることもできます。

このHDMIセレクターで特徴的なのが、EDIDスイッチの存在です。4つ並んだEDIDスイッチを上(0)か下(1)にすることで、映像・音声の組み合わせを自由に切り替えることができるのです。
このモード説明は、本体底面にプリントされているとともに、ユーザーマニュアルにも書かれています。しかし、背面にケーブル類を接続した状態で本体底面を覗き込むのは難しく、ユーザーマニュアルもルーペで見たくなるような小ささです。列挙すると、以下のようになります。

0000: TV COPY
0001: 1080P, 2CH AUDIO
0010: 1080P, DOLBY/DTS 5.1
0011: 1080P, HD AUDIO 7.1
0100: 3D, 2CH AUDIO
0101: 3D, DOLBY/DTS 5.1
0110: 3D, HD AUDIO 7.1
0111: 4K30, 2CH AUDIO
1000: 4K30, DOLBY/DTS 5.1
1001: 4K30, HD AUDIO 7.1
1010: 4K60(4:2:0) 2CH AUDIO
1011: 4K60(4:2:0) DOLBY/DTS 5.1
1100: 4K60(4:2:0) HD AUDIO 7.1
1101: 4K60, 2CH AUDIO
1110: 4K60, DOLBY/DTS 5.1
1111: 4K60, HD AUDIO 7.1

これだけモードが多いと、どれを選べばいいのか迷いますが、上から順に映像・音声ごとに並べられています。映像は、フルHD、3D、4K30、4K60(4:2:0)、4K。音声は、2CH、5.1CH、7.1CH。
基本的には、下に行けば行くほど高画質、高音質と考えれば良く、自分が接続したい機器の映像と音声の組み合わせを選べばいいということになります。
私の場合は、「Xbox One X」で4K60、DTS 5.1という組み合わせにしたいので「1110」を選びましたが、手持ちの4K対応のHDMIケーブルではHDRまで対応しないため、新規に8K/HDR対応のケーブルを買ったところ、無事に4K、HDR、DTS 5.1が出力されています。
また、「1110」を選んだ場合にも、「プレステーション4」でも「Nintendo Switch」でも映像・音声ともに出力されています。
ただ、「プレイステーション4」でHDRは認識されているものの、「Nintendo Switch」で5.1CHは出力できません。

私は、本体は、AVボードの上手前側に置いています。AVボードの後ろ半分はスピーカーやウーハーなどが置いてあり、HDMIケーブルが本体背面からまっすぐに延びているからです。
この状態だと、オン/オフと出力の切り替えは本体でもリモコンでも行うことができますが、リモコンを本体に向ければ1mを少し超える距離でも反応します。
出力の切り替えは、ボタンを押してから3~4秒ぐらいで映像・音声ともに出ます。テレビの入力切替よりは少し遅いものの、許容範囲だと思います。
また、このHDMIセレクターの特徴であるHDMIマトリックス4×2は、4つの4K HDR信号を2つのテレビやモニターなどに表示できるもので、用途によっては役に立つことと思います。
たとえば、「Xbox One X」と「プレイステーション4」を同時に立ち上げているとして、「Xbox One X」(「プレイステーション4」)を2台のテレビやディスプレイに同時に出力することもできれば、「Xbox One X」と「プレイステーション4」をそれぞれのテレビやディスプレイに同時に出力することもできるのです。

このように使い勝手が良く、なかなか優秀なHDMIセレクターなのですが、5ヵ月ほど使って不具合が出ることが時々ありました。
映像がちらつくことがまれにあり、音声が出なくなることはそれ以上の頻度で起こっています。
ただ、プレイ中に音声が出なくなるということは少なく、起動時に音が出ないということがほとんどです。
これらの現象が起こった場合には、そのままの状態でプレイするか少し放置しておいたりすれば音声が出ることがあります。
また、EDIDをゆっくりと切り替えたり、セレクターをゆっくりと切り替えたり、音声が出ない機器のHDMIケーブルを抜き差ししたり、出力側のHDMIケーブルを抜き差ししたり、プラグを抜いて十数秒待ったりすると、たいていは回復します。
あとは、本体に排熱のためのスリットが開けられておらず、ゴム足などがなく底面が置き場所に密着していることも関係しているのか、それなりに熱を持つため、なんらかの足を履かせて1~2cmぐらい本体を浮かせると良さそうです。
このように、不具合が出た際には原因が特定できないため、あれこれと試してみる必要があります。
映像・音声出力に関して不安な部分があるのは確かですが、日常茶飯事のように不具合が起こるわけではないし、壊れているわけでもありません。
この機種に限らずHDMIセレクター全般に耐久性は高くはないようですが、それほど苦労せずに使えるうちは使っていこうと思っています。

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